「・・・なにぃ!??かごめに別れを告げてきたじゃとーー!??」
犬夜叉の肩で騒ぐ七宝
妖怪退治で隣村の犬一行。
かごめとのことを弥勒たちに話した犬夜叉。
「・・・貴様という奴はーーー!!またかごめを悲しませおって・・・!!」
「うっせぇ!!ガキは黙ってろ!!」
ボカッ!!!!
「黙るのはお前だ!!どうしてどうしてそう振り回すんだ。かごめちゃんの心を・・・ッ!!」
涙目の珊瑚の拳が犬夜叉の頬を打った・・・
「・・・」
「あんたは結局自分に酔ってるだけじゃないか!!かごめちゃんを傷つけたくないんじゃ
なくてあんたが傷つきたくないンだろッ!!」
「珊瑚・・・。やめろ・・・もういい・・・」
「法師さま・・・」
興奮する珊瑚をなだめる弥勒・・・
「別れはかごめ様と犬夜叉の問題だ。私たちがこれ以上何もいえない
それより大事なことがある。犬夜叉」
「なんだよ・・・」
「時にお前、四魂のかけらは?」
「え・・・(汗)」
「”え”じゃない。んっとにお前は・・・どうしてそう学習力がないんだっ!??
前にも別れるとかなんとかいって四魂のかけらを忘れてきて貴様はッ!!」
犬夜叉の胸くらをつかんでにらみを利かす弥勒
「ん・・・んなこと言ったって・・・」
「てめぇは大体な、肝心なこと忘れて自分の決意に酔っ払いやがって”肝心”なこと
忘れてんだよ」
「なっ何がだよ・・・」
弥勒に詰め寄られ、だじっとする犬夜叉。
「白童子の狙いはなんだ?桔梗様とお前の幻を見せ、かごめさまとお前の中を
ぎくしゃくさせている狙いはなんだ!??単純な答えだろう!!」
「・・・!!」
弥勒の言葉にはっとする犬夜叉。
そうだ。
白童子の目的は・・・
かごめが持つ四魂のかけら・・・
考えればすぐわかる答えだったのに・・・
犬夜叉は奥歯を噛む・・・
「葛藤するのはいい。だが肝心なことを見失うな。別れる別れないより大事だろ!??
大事なのはかごめさまの命だろう!??」
「・・・弥勒・・・」
「お前の”決断”は後回しだ!早く戻れ!!」
「弥勒・・・」
「
早く行け・・・ッ!かごめ様は
我々にとっても大事な仲間だ・・・!」
ザザッ・・・!!
弥勒のゲキに応えるように
犬夜叉は高くジャンプし
空に消えた・・・
「・・・。なんで・・・。なんでアイツは繰り返すんだ・・・!いつも
いつもいつも・・・!勝手に自分に酔って盛り上がって勝手に後から気がついて・・・!
どうして・・・」
「それがかごめ様と犬夜叉なんだよ・・・」
「え・・・?」
弥勒は少し切なげに空を見上げる
「迷って苦しんで・・・。すれ違って・・・。思いをぶつけあって・・・。
それを繰り返すたび・・・あの二人『絆』は強くなっていく・・・。そうは思わないか?」
「法師さま・・・」
「『絆』は・・・そういうものだ・・・」
珊瑚の肩をそっと抱き
空を見上げる二人だった・・・
宙に舞う
白童子・・・
かごめを嘲笑うかのように見下ろす・・・
「・・・ずっと見物させてもらったぞ・・・」
「・・・白童子・・・!!」
かごめは弓を白童子に向け睨む・・・
「面白くもない・・・。少しワシがお前達のこころをいじくっただけで
別れる・・・。人間の『絆』とはそんなものなのか・・・?クク・・・」
「違う・・・。違うわ!!」
「・・・。そうか・・・?だが結局・・・。犬夜叉は桔梗を
選んだではないか・・・?」
バシュ・・・!!!
白童子はかごめの放った矢を
スラリとよける・・・
「所詮お前は桔梗の二番煎じでしかない・・・。霊力も想い人も・・・」
「・・・」
かごめは奥歯を噛み締め
白童子を睨む・・・
「私は・・・。私を信じるだけよ・・・!!
自分の選んだ道を・・・絶対に後悔はしないと信じるだけよ・・・っ!!!」
バシュっ!!
怒りと
固い決意を込めてかごめは矢を放つ
バシュ!バシュ・・・ッ!!
「ククク・・・。どうした・・・?当たらないじゃないか・・・?お前は
桔梗ではないのだろう・・・?桔梗ならワシに一発はあたっているぞ・・・?」
白童子の挑発
(負けないわ・・・!私は絶対に負けないわ・・・!)
白童子に
矢はかすりもしない
だけど・・・
(諦めない・・・!!私は諦めない・・・!!)
強い霊力がなくとも
自分の存在が誰かの二番煎じだと言われても
「私は・・・。私なんだからーーー・・・!!!!」
ザンッ!!!!!
かごめが最後に放った矢は白童子の結界を破った・・・!!
「・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「・・・フン・・・。自分は桔梗じゃないと吠えるだけのことはあるな・・・。だが・・・」
(・・・!?)
ガ・・・ッ!!!!
「う・・・ッうう・・・っ」
かごめの細い首が・・・
白童子の小さな手が・・・
食い込む・・・
「・・・。所詮お前は人間だ・・・。ワシがもう少し力をいれれば
首を折るなど造作もないこと・・・。それが『今』のお前の現実なのだ・・・」
(・・・。弥勒さま・・・。珊瑚ちゃん・・・七宝ちゃん・・・っ)
「・・・奈落が半妖のように・・・。お前も『本物』にはなれない哀れな存在・・・」
「ぐ・・・っ」
少しずつ少しずつ・・・
白童子は力を込めていく・・・
じわりじわりと・・・
「苦しいだろう、哀しいだろう・・・。結局お前は犬夜叉と桔梗の運命の間で出来た
『産物』でしかない・・・。それを味わいながら・・・逝け・・・」
「グッ・・・」
首が痛い・・・
骨が軋む・・・
息ができない・・・
消えそうな意識と戦うかごめ・・・
(・・・。駄目だ・・・。私は負けちゃだめなんだ・・・)
力がなくても・・・
自分が誰かの生まれ変わりでも・・・
(・・・私は・・・私は・・・)
最後の最後まで・・・
”私は諦めない・・・!!”
「・・・!?」
バッとかごめの瞳が大きく見開く
「・・・けない・・・。私はあきらめない・・・っ!!!」
ジュウ・・・ッ
自分の首を絞める白童子の手を掴むかごめ・・・
白童子の手が
溶け出した・・・!
「くっ・・・浄化か・・・!」
かごめの思わぬ反発に白童子は力を増させる・・・!
「うぐ・・・ッ」
かごめが眉を歪めた
そのとき・・・!!
スザン・・・ッ!!!!
「な・・・?」
一本の矢が白童子の左肩を打ち破った・・・
「・・・く・・・。これは・・・。桔梗の矢か・・・!」
草の上に倒れるかごめ・・・
「ゴホゴホ・・・ッ!!」
(・・・桔梗の・・・矢・・・?)
咳き込むかごめがあたりを見回すけれど
桔梗の姿はどこにもない・・・
「ふ・・・ククク・・・。面白い・・・。桔梗はお前を助けたのかそれとも・・・高見の見物か?」
「・・・」
「・・・どちらにせよ・・・。お前の四魂のかけらをいただかねばな・・・。
お前の胸を引き裂いてでも・・・」
「・・・」
倒れるかごめに再び白童子の手が迫る・・・
「かごめぇええええーーーーッ!!!」
赤い衣がかごめの上空から降り・・・
「かごめ・・・っ!」
かごめを抱き上げる・・・
「犬・・・夜叉・・・」
「すまねぇ・・・!!すまねぇ・・・!!すまねぇえ・・・っ」
「・・・あたしは大丈夫・・・。それよりごめんね・・・。いっつも助けられてばっかりで・・・」
泥だらけのかごめ・・・
犬夜叉の着物を緩く掴んであやまる・・・
「お前が悪いンじゃねぇ・・・。悪いのは・・・」
犬夜叉が奥歯を噛んでギロっと睨むのは・・・
二人を見下ろす白童子だった・・・