絆を探して
6
「・・・ふっ・・・。役者はそろったというわけか・・・」
「・・・てめぇ・・・っ」
白童子の心理作戦にまんまと嵌ってしまった自分が悔しい
自分の心ばかりに酔って
(・・・オレはかごめを・・・危ないめに・・・)
後ろに倒れるかごめの姿が痛々しく・・・
鉄砕牙を握る手により一層力がはいる・・・
「・・・。哀れだな・・・」
「何がだ!!もうてめえの戯言なんぞ、オレには通用しねぇぞッ!!覚悟しやがれ・・・ッ!!!」
ザンッ!!!
鉄砕牙を白童子に振り下ろす・・・!
かわす白童子・・・
(くそ・・・っ!!)
「・・・。かごめの立場はまたないな・・・」
「何・・・?」
「・・・。あそこをみろ・・・。桔梗の矢だ・・・」
「・・・!?」
地面に突き刺さる桔梗の矢を見る・・・
(どうして・・・)
かごめは桔梗の矢に戸惑いをみせた犬夜叉の視線を察知して・・・
「・・・。だ・・・っだからどうしたってんだ・・・!」
「お前の思考はすぐ揺れる。矢一本で。かごめを案じていた心が
一瞬のうちに桔梗に様変わりする・・・。それがかごめを苦しめているのでは
ないか・・・違うか・・・?ククク・・・」
「・・・や・・・っやかましいいッーーーー!!!!!!」
鉄砕牙を白童子にむけていく犬夜叉・・・
白童子の挑発。
わかっていても犬夜叉の心は揺れる・・・
鉄砕牙をかわしながら
白童子は犬夜叉の一番痛い部分を言葉にしてついていく・・・
「お前の心の闇を・・・。かごめは癒した・・・。桔梗と同じ力をもち更に生まれ変わり・・・。
これほどお前の心の傷を癒す『道具』はなかろう・・・?」
白童子の言葉が
怒りに火をつける
「・・・!!馬鹿なこと言ってんじゃねぇえええ!!!」
ザシュッ!!!!
「ククク・・・」
感情的になってきた犬夜叉の刃は
なりふりかまわず白童子に食って掛かる・・・
その様子を
かごめは見ていて・・・
(・・・駄目だわ・・・。このままじゃ・・・。完全に白童子の思い通り・・・)
「・・・ヤシャ・・・。コホッ・・・。犬夜叉・・・惑わされないで・・・
白どうじ・・・に・・・」
掠れ声で
犬夜叉に訴えるかごめ・・・
「かごめ・・・!」
かごめの声に一瞬余所見をしたとき・・・!
「それがお前の最大の弱みだ・・・!」
ザン・・・ッ!!!!
「ううッ!!!」
白童子の伸びた腕が犬夜叉の肩を辛い抜いた・・・!!
ポタ・・・っ
「・・・く・・・」
血が犬夜叉の足元に流れ・・・ひざまずく・・・
「・・・もろいな・・・。互いを気遣いあって壊れていくのか・・・。お前とかごめの
絆はしょせんそんなものだ・・・。さっさと・・・逝け・・・!!」
ビュン・・・ッ!!!!!
「・・・な・・・?」
かごめの矢が白童子の体の真ん中に穴をあけた・・・
「・・・かごめ・・・!」
「犬夜叉・・・。信じて・・・!私達が出逢ったことに意味があると信じて・・・!!」
(・・・かごめ・・・)
かごめは微笑んで頷く・・・
”出逢ったことに必ず意味はある・・・”
かごめの微笑が
犬夜叉の心の迷いを打ち消していく・・・
そう。
信じるものは唯一つ・・・
唯一つ
あの微笑みだ・・・
「どうした。犬夜叉・・・。女の言葉でまた迷うのか・・・?」
「・・・うるせぇ・・・。てめぇこそヒトの心玩具代わりにしやがって・・。
だがもう終わりだ・・・」
「フッ・・・」
「オレは・・・信じる・・・」
鉄砕牙を再び握り白童子に向ける
「信じる・・・。オレには確かな絆があることを・・・!」
(犬夜叉・・・)
鉄砕牙を白童子にまっすぐに向け振り下ろす・・・!!
同時にかごめも最後の力を振り絞って
白童子に矢をむけた・・・!
「これがオレたちの『絆』だ・・・!!金剛創破ーーーーーーッ!!!」
ザシュッウウウーーーーッ!!!!!
犬夜叉の放った金剛創破とかごめの破魔の矢が
一つになって
白童子の胸を貫く・・・!!!
「・・・くっ・・・」
だが直後最妙勝が白童子の体を包み、高く空にきえていく・・・!!
「ふっ・・・犬夜叉よ・・・。覚えておくがいい・・・。人の心にはいつでも”闇”が
できることを・・・。絆などもろいものだということを・・・」
「待ちやがれッ!!!」
バラバラになった白童子の体は
最妙勝に包まれ・・・
天高く消えた・・・
「・・・。てめぇの言うことなんか信じるか・・・」
ザワ・・・
犬夜叉は振り返る・・・
「かごめ・・・」
よろめきながら
かごめも犬夜叉をまっすぐ見つめる・・・
「犬夜叉・・・」
御神木の前
二人は
確かに
向かい合い
見つめあう・・・
確かな絆を
見つめるために・・・