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絆を探し求めて
〜白い羽根が舞う頃〜
第一話それぞれの現実犬夜叉とかごめが持つ2枚の白い羽・・・。 それは互いの絆の印 いつも大切に懐に持っている・・・ ”これをもっている限り・・・ずっと一緒。繋がってるよ” お互いにそう思って持っている・・・ 例え離れても 別れても 違う時間の中で生きていくことになっても・・・ きっとまた会える・・・ そう信じられる希望があるから・・・※奈落を倒した犬一行・・・ 邪悪な妖怪は減り 平穏な日々が続いていた・・・ けれど、個々に向き合わなければいけない現実がある。 風穴が消えた弥勒。 だが惚れた女・珊瑚の弟・琥珀が目覚めない 「琥珀・・・」 四魂のかけらが琥珀の命を繋いでいた。 そのかけらが浄化された今。 琥珀の命の灯火は小さく・・・ 「琥珀・・・!」 楓の小屋で生き絶え絶えの琥珀の手を握る珊瑚・・・ 「姉・・・上・・・」 「琥珀・・・!しっかりして・・・!」 「琥珀くん!!」 かごめ達も駆け寄る・・・ 「おい・・・!楓ばばあ!なんとか・・・なんとかならねぇのか・・・!!」 「・・・」 楓は俯くだけで・・・。言葉を発しない・・・ 誰もがわかっている・・・ かけらの力で維持していた琥珀の命。 ・・・一度消えた蝋燭の火を・・・もう一度つけることはできないことを・・・ 「姉・・・上・・・」 「琥珀・・・!しゃべるな・・・!」 琥珀の手を握りしめる珊瑚・・・ 「・・・オレは・・・もう・・・覚悟はできてる・・・」 「ダメだ・・・!!琥珀。最後まで諦めるな・・・!!簡単に・・・っ」 「姉上・・・。オレは・・・。誤りに行かなくちゃ・・・」 「え・・・」 かごめがそっと琥珀の額の汗を拭う・・・ 「・・・謝りに・・・行かなくちゃいけない・・・。オレが・・・ 奪ってしまった人たちの魂の元へ・・・」 「・・・な、何を・・・っ。それは奈落に操られていたから・・・」 琥珀は首を振った・・・ 「・・・姉上・・・。命を・・・。命を奪われた人たちには・・・。 俺の事情など無関係・・・。なんの因果も罪もないのに・・・ たった一つの命を・・・もぎとってったんだ・・・」 琥珀の瞳に・・・ 滲む涙・・・ 「普通に暮していた・・・日々を・・・。奪って踏みにじって・・・」 「琥珀・・・っ」 「・・・罪は・・・。罪なんだ・・・。その罪を受け入れないと・・・俺は・・・ 救われない・・・」 息を切らせて・・・ 苦しそうに 心のうちを 告げる琥珀・・・ 「・・・姉上・・・。楽しかったな・・・。雲母とかけっこして・・・」 「琥珀・・・ッ!!」 琥珀の抱き上げる珊瑚・・・ 冷たくなりつつある琥珀の 体を必死にこすって温める・・・ 「琥珀・・・ッ!!ダメだ・・・!!しっかりしろ・・・ッ!!頼むから・・・ 頼むから冷たくなるな・・・ッ」 「・・・法師様・・・」 弥勒の手を求める琥珀・・・ 琥珀の手をしっかりと握り締める弥勒・・・ 「姉を・・・。よろしくお願いします・・・。ちょっと・・・ゴホッ。 乱暴だけど・・・。優しい心の姉です・・・」 「・・・分かってる・・・。琥珀・・・。しっかりしろ・・・! お前は・・・。お前は私の弟になるんだぞ・・・!」 弥勒の言葉に・・・ 青白い微笑を浮かべる・・・ 「・・・。兄上・・・か・・・。いいな・・・」 「ああそうだ・・・。だから琥珀・・・!死ぬんじゃない・・・!!」 弥勒の頬にも 一滴流れる・・・ 「・・・。姉上と・・・。兄上と・・・。雲母と・・・。それから・・・ 姉上達の子供が見える・・・。ああ・・・楽しそうだ・・・」 「琥珀!!ダメだ・・・。お願いだから目を閉じるな・・・ッ」 琥珀を両手で抱きしめる・・・ 琥珀の瞳はどこか遠く・・・遠くを見つめて・・・ 「・・・姉上・・・。姉上は・・・やっぱりあったかいな・・・」 「琥珀・・・ッ」 「・・・暖かい・・・。今・・・初めて人間に戻れた気がする・・・」 「琥珀・・・!琥珀・・・!!」 琥珀のまぶたが・・・ 静かに 閉じられていく・・・ 「・・・駄目・・・。お願いお願いお願い・・・ッ。逝くなッ。逝かないでッ!!」 「・・・姉・・・上・・・。しあ・・・わせに・・・」 「琥珀・・・ッ!!!ダメだぁ!!目を閉じるな、駄目!!閉じたら駄目だ・・・」 琥珀の体を揺らして必死に 叫ぶ・・・ 「・・・。あり・・・がとう・・・。あね・・・うえ・・・」 「駄目・・・駄目・・・駄目・・・ッ!!!」 「・・・大好き・・・だった・・・。あね・・・う・・・え・・・」 ストン・・・ッ (!!) 珊瑚の手を握っていた・・・ 琥珀の手から力が抜け・・・ 床に・・・ 落ちた・・・ 「・・・こ・・・はく・・・?琥珀・・・こは・・・」 琥珀の体をゆする珊瑚・・・ しかし 手はピクリとも・・・ 動かない・・・ 「・・・琥珀!!!琥珀!!!琥珀ーーーーーッ!!!!」 楓の小屋から・・・ 珊瑚の泣き叫ぶ声が 痛く痛く 轟いて・・・ 「・・・なんで・・・なんで・・・。なんでだぁああッ!!!」 「珊瑚・・・!」 琥珀を抱きしめる珊瑚ごと・・・弥勒は抱きしめた・・・ 「琥珀・・・。ごめんね・・・。ごめんね・・・。救ってあげられなくて・・・。 ごめんね・・・。ごめんね・・・」 「・・・珊瑚・・・」 珊瑚の嗚咽が・・・ かごめ達の心にも伝わる・・・ 痛く・・・ 切なく・・・ 哀しく・・・。 「琥珀くん・・・ッ」 かごめはしゃがみこみ・・・うな垂れて・・・ 肩を震わせて泣く・・・ 「くそうッ!!!!」 ドン!! 犬夜叉も・・・ 悲しみと怒りを 柱にぶつけ・・・ 楓の小屋中が・・・ 哀しみという石に 押しつぶされそうだった・・・ 「琥珀ぅーーーーーーッ!!」 声が枯れるほど 珊瑚は叫んだ 泣き叫び続けた 仲間達も 皆 泣いて泣いて・・・ この世の悲しみが 寄り集まったみたいに 重く・・・ 悔しく・・・ 楓の小屋からは 珊瑚のすすりなく声が 絶え間なく聞こえて・・・ そのとき。 ザ・・・ッ (天生牙よ・・・。何をさせようとう言うのだ・・・) 殺生丸の姿が あった・・・