晴れた空の下、かごめは作ってきた弁当を広げる。
お重には、目玉焼き、タコウィンナー、きんぴら等犬夜叉達初めて見る料理だ。
「いただきまーす!」
一声に皆、弁当にかぶりつく。
「けっ・・・。ま、まずくはねぇな」
といいながらも、夢中でほおばる犬夜叉。
「何よ素直においしいって言えないの。ま、別にいいけど。ほらほら。はい。あーん」
「んあ?」
かごめは犬夜叉に卵焼きを食べさせた。
「な・・・なにすんでいッ!」
犬夜叉、かなり照れております。
「だって。卵焼き、犬夜叉好きだっていってたから・・・」
「・・・。けッ」
拗ねた顔しておりますが、犬夜叉、嬉しいご様子。それを横で見ていた、弥勒は
(いいですなぁ・・・)
と、うらやましそう。そして、何を思ったか、かなりわざとらしく、珊瑚に向かって大きく口をあけた。
「珊瑚」
「何よ」
「ん★」
珊瑚の前に顔を差し出す弥勒。その顔は“あーん・・・”と思いっきり言っている。
「・・・。七宝、食べさせてあげて」
「え」
七宝、弥勒にウィンナーを“あーん”してあげました。
「どうじゃ。弥勒、嬉しいじゃろ??」
「はい・・・(ぐすん)」
そして、犬夜叉達は見事にかごめの弁当をたいらげ、七宝はねむってしまった。
「いや〜。しかしやはり、おなごは料理が上手に限りますなぁ。かごめ様の夫になる男は幸せ者ですな。どうです。かごめ様。私のために毎日料理を・・・はっ」
かごめの背後と弥勒の背後から殺気が・・・。
かごめの後ろで犬夜叉がギロリとにらみ、弥勒の背後では珊瑚がギランという視線を・・・。
「はははは・・・。で、では珊瑚。私は珊瑚の手料理も食べてみたいですぞ」
「えっ・・・」
「私が一番食べたいのは珊瑚。お前の手料理・・・。ふ。私の作ってはくれまいか」
弥勒、真剣に申し出ますが・・・。
「じ・・・自分で作れば!」
ぷいっと後ろを向いてしまいました・・・。弥勒様、がっかり。
が、弥勒、そのがっかりした珊瑚のほっぺにご飯粒発見!
「珊瑚」
「え?」
パクッ。
「ご飯粒、ついてましたよ」
弥勒、珊瑚のほっぺのご飯粒を食べちゃった!!
「・・・」
珊瑚、真っ赤っか。
「はて?珊瑚。顔が・・・」
「な・・・な・・・今、何したの!!」
「いえ、ただ、珊瑚の頬の米を・・・。いけませんでしたか?」
「・・・。べ、べ、別に・・・」
「そうですか。でも何だか珊瑚の味がしましたな。美味でした。今度は珊瑚が頂きたいものです」
弥勒の大胆な言葉に、珊瑚、言葉を失う。
(な、な、な・・・!!!)
弥勒は調子に乗って珊瑚の肩に手を・・・。
珊瑚はまた、弥勒の手が後ろに回らないかと警戒するが。
「食事中にセクハラなんてしませんよ。珊瑚」
珊瑚、すっかり弥勒のペースにのせられてしまっている。
一方、犬夜叉とかごめはまだ、「はい、あーん」
などとやっていて・・・。七宝は・・・。
「オラのこと、すっかり忘れておるな・・・。はぁ。オラも『恋』してみたいなぁ・・・」
ホーホケキョ。
犬夜叉達の上の梅が満開で、うぐいすも恋の真っ最中。
でも平和な穏やかな春の日の光景だった。