犬かご50のお題
背中
大きな背中。 温かな背中。 頼もしいと 心強いと 想えば想うほど、大切に 愛しくなる・・・。 犬夜叉とかごめ。 犬夜叉はかごめを背負い、 妖怪の匂いがする方へ草むらを駆け抜ける。 「ねぇ」 「なんだよ」 「ちょっと止めて」 かごめがそう言ったので、犬夜叉は草むらの途中でかごめを降ろした。 「ここに座って」 「一体なんだんだよ」 「いーから。お願い・・・」 (う・・・) かごめの”お願い・・・”があんまり可愛いから犬夜叉、言うとおりに どすん・・・!とお座りした。 「なにする気だ」 「”何”してほしい・・・?」 「えっ(ドキッ)」 犬夜叉、してほしいこと、あれこれ・・・浮ぶ。 「ちょっと字を書きたくなったの」 「は?」 「犬夜叉。背中、借りるわね」 かごめは犬夜叉の着物をしわをぴっとひっぱって 人差し指で何か書き始めた。 「お・・・俺、字なんかわかんえぇぞ」 「うん。いいの。私が書きたいだけだから」 かごめの人差し指。 なんだか背中をなぞられてこそばゆい犬夜叉・・・ かごめが最初に書いたのは・・・ 『あ り が と う』 「・・・よ」 「・・・。だから。俺は字がわからねぇって」 「うーんと。最初は”あ”からはじまるの」 犬夜叉、腕組みをして考える。 「・・・。”あー。はらへった”か?」 「違うわよ。もう。ロマンチックじゃないわね」 「だから俺は字、しらねぇって言ってんだろ!」 「じゃ・・・。次。次はね・・・」 何か・・・二文字。 二文字かごめの指は何かを書いた。 「・・・今の・・・私のキモチ・・・。最初は・・・”す”から 始まるよ」 犬夜叉、再び腕組みをして考える。 「・・・。うーん・・・。”すっぱいもんが食いたい”か?」 「・・・。いい加減。食べ物から離れてよ!(怒)」 犬夜叉の鈍感ぶりにかごめは諦め顔・・・ 「じゃあ、口ではっきり言え!わかんねぇだろ!」 「そっ。そんなこと、いえないわよ!」 「いえねーよーなことなのか!」 「いえるわよッ。もうッ・・・!」 (えっ・・・) 犬夜叉の首と肩あたりに・・・一番好きな匂い が漂う。 かごめの両手が犬夜叉の肩をすっぽりと 包んだ・・・ 「・・・。”これ”を書いたの・・・。これが私の気持ち・・・」 「・・・けっ・・・(照)」 回された両手・・・ さらに強く包まれる・・・ 文字をしらなくても分かる・・・ 相手を強く想う・・・気持ち・・・。 「ねぇ・・・。今度は犬夜叉が書いてよ・・・。私の背中に・・・」 「・・・。字・・・しらねぇって言ってんだろ・・・」 「・・・ずるい・・・」 「・・・。けっ・・・」 変わりに犬夜叉はかごめの手をぎゅっと握った・・・ 伝えたい想い。 ピタリと合わさった背中と胸から 伝わり合う・・・。 言葉にならない想いが・・・。 愛しいさがこみあげてくるのだった・・・