あなたのためにあなたのためになにができる? いつもそれを私は考えている。 何が・・・できるのかな・・・※「犬夜叉。腕の怪我・・・?ほんとに大丈夫なの?」 井戸の前。犬夜叉とかごめは井戸の淵に座って話している。 昨日、妖怪と闘ったとき負った怪我を心配そうに見つめるかごめ。 「大丈夫なの?ほんとに?」 「うっせぇなー!オレの体はそんなにヤワじゃねぇって」 「・・・」 (・・・はっ) かごめ、犬夜叉の言葉に哀しそうに俯く。 ちょっと怪訝にあしらってしまい、犬夜叉、慌てる。 「そ、そんな顔すんじゃねぇッ。し、心配はいらねぇっていってんだ」 「うん・・・。わかってるけど私・・・。犬夜叉のために何ができるのかなって 考えたら・・・。怪我も治してあげられなくて・・・。無力だなって・・・」 「・・・そ、そんなことねぇよ。お前はお前で・・・」 (・・・さ、先の言葉が見つからない) 犬夜叉、かごめを慰めようと上手な言葉を考えるが口から言葉は発せられない。 「・・・。霊力の強い桔梗ならきっと犬夜叉の怪我も簡単に治せてしまうんだろうな・・・」 「・・・なっ。なんでそこで桔梗が・・・」 「ごめん・・・」 (・・・謝るなよ・・・) 自分と桔梗を比較させるような気持ちを与えているのは きっと自分・・・ そう遠まわしにかごめに言われているようで。 胸の奥を抓られたようだ・・・。 「お前はお前だ・・・。だから・・・」 「・・・うん・・・」 サワ・・・。 優しい風が・・・ どこか切なく・・・苦しく二人の心に吹きぬける・・・。 「・・・。ねぇ犬夜叉」 「何だ」 「・・・私。これからも頑張るからね」 「・・・え?」 「どれだけ犬夜叉の力になれるか分からないけど・・・。 頑張るからね」 そう言ってかごめは穏やかに微笑む・・・ 「・・・かごめ・・・」 かごめの笑顔を見るたび、感じるたび思う・・・ (・・・オレの力の源は・・・。全てここに在る・・・) この微笑を守るためなら死んでもいい。 この体が千切れたっていい。 「・・・あんま、頑張るな」 「え?」 犬夜叉はかごめの肩を引き寄せた。 「頑張って・・・。お前の身に何かあったらどうすんだ。頑張るのは オレの役目だ・・・」 「犬夜叉・・・」 「・・・お前はおれのそばで・・・笑っていてくれたら・・・。それでいいから・・・」 「・・・うん・・・」 かごめの髪が犬夜叉の鼻にかかる。 この笑顔と・・・この匂いを守りたい。 おまえのためにできること あなたのためにできること お互いを慈しみながらずっと 一緒にいよう・・・ 二人はそう柔らかな風に誓った・・・FIN