犬かご50
出会い
出会い。 不思議な糸と糸が結びついて 人と人は出会う。 「ねぇ」 「んー?」 木の枝に並んで座る犬夜叉とかごめ。 「私とあんたが出会って・・・。どのくらいの時間がたったのかな」 「んなことしるか。計ってるわけじゃねぇんだから」 「・・・。もう・・・」 相変わらず愛想の無い返事にかごめはため息・・・。 甘い言葉は犬夜叉の口から出ないとしても 自分達の出会いについて真剣な言葉が 聞きたいのに・・・ (負けないわよ) 「この御神木が私達の出会いの象徴・・・。そう思ったら 御神木がとても大切に見えてくるよね」 「あー?別に」 犬夜叉、大きなあくび・・・。 かごめ、ムカっとするが抑える。 「・・・。出会いって不思議・・・。ねぇ。もしであったのが・・・ ”私”じゃなかったら犬夜叉はどうしてた・・・?」 「・・・」 「桔梗の生まれ変わりの魂が”私”じゃくても・・・。犬夜叉は・・・」 「・・・。うっせーな!!さっきから!!黙ってろ!!眠れねぇッ!」 犬夜叉が過剰に怒鳴り、かごめはビクッと肩を動かした。 「・・・。ごめん・・・。もう黙るから・・・」 かごめは正座して俯く・・・ (そうだよね・・・。犬夜叉には・・・。それほど重要じゃないよね・・・。 犬夜叉に重要なのは・・・。私と出逢ったことじゃなく・・・) 自分を封印した”巫女”のこと・・・ かごめはじわっと浮かびそうになる涙を目尻でぐっと止める・・・ (泣かない。犬夜叉が困るだけだもんね・・・) 「・・・大切なのは出会いじゃねぇだろ」 (えっ) 犬夜叉はかごめの腕を掴み想いを込めて 抱きしめる・・・ 「さっきは怒鳴ってすまねぇ・・・。なんか・・・お前に返す上手い言葉 思いつかなくて・・・」 「・・・犬夜叉・・・」 「すまねぇ・・・」 「犬夜叉・・・」 かごめの腰を抱く犬夜叉の手に 力が入る・・・ かごめが出会いについて 自分に語ってきた・・・ 自分も同じ気持ちなのに・・・。 赤い衣で 涙を拭う・・・ 「オレは・・・お前と出会いたかった。お前じゃなきゃ嫌だ・・・。他の誰か、じゃ 駄目なんだよ」 「・・・ありがとう。その言葉貰っただけで・・・。私・・・。犬夜叉に出会えてよかった・・・」 「出会えてよかった・・・。なんて過去形にするな・・・」 「そうだよね・・・。出会いが大切なんじゃない・・・。 大切なのは・・・”出逢ってから”だよね・・・」 「ああ。そうだ・・・」 犬夜叉はかごめの頬に手を添えて 伝える・・・ 唇から・・・ 出逢った場所で 出会いの意味を・・・。 「・・・。犬夜叉の前髪・・・。くすぐったい」 「///。そういうことを言うな・・・」 出会ったことを喜ぶより この今を 好きな人と口付けを交わせる今を 大切にしよう・・・