犬かご50
笑顔
「えへへ・・・」 かごめはむすっと機嫌の悪い犬夜叉の前でにこにこ笑ってみせる。 「ごめんね。ちょっとテストが長引いちゃって」 「・・・けっ」 いつもより相当にご機嫌が優れない犬夜叉君。 かごめもにこっと色々笑って見せるが、一向に機嫌を直してくれません。 「なによ。別にいーじゃない。一日くらい帰って来るの、遅くなったって」 「て、てめぇ!!オレはなぁずっと寝ずにここで待ってたんだぞ!! それを・・・」 かごめ、犬夜叉をじーっと覗き込む。 「へぇ。寝ずに待っててくれたんだv」 「ばっ。オレは元々あんまりねむらねぇ」 「うふふv」 照れる犬夜叉をひじてつんつんとつくかごめ。 「お、男をからかうんじゃねぇ」 「だーって。嬉しいんだもの。犬夜叉が待っててくれたことが」 「そ、そのくらいのことで・・・」 「嬉しかったの。本当に・・・本当に・・・」 かごめはリュックを下ろし、犬夜叉の隣座った。 「・・・。嬉しいのか」 「ウン」 「・・・そうか・・・」 なんでもない事で。 小さなことで。 かごめはどうしてこんなに喜んだり笑えるのだろう。 「うふふ・・・」 かごめが笑ってくれるだけで 疲れが消える。痛みも消える。 そして・・・ (・・・生きていてよかった・・・って思う・・・) 「犬夜叉。アリガトね」 「ああ・・・」 屈託のない 微笑。 ただ ただ・・・ 可愛い 愛しい・・・ (オレだけにずっと・・・笑っていてくれ・・・) この笑顔を独占したい。 「かごめ」 「なあに?」 「・・・。いや・・・。なんでもねぇ。もうちっとここにいるか。 二人で・・・」 「うん!」 他の男には見せて欲しくない。 (一時だけでも・・・。かごめの笑顔はオレだけが・・・) 犬夜叉はさりげなく かごめの肩を抱く・・・ 「・・・犬夜叉・・・」 「・・・た、たまにはいいだろ」 「ウン・・・」 笑顔も声も・・・ 今だけ・・・ (オレだけが・・・見ていたい聞いていたい・・・) かごめの肩を抱く犬夜叉の右手に・・・ 少しだけチカラが入ったのだった・・・。