第69話 ラスト・シーン
「篠原てめぇ何する気だ・・・」 「何もー。ゲームの続きをしてるだけですよ。プレイヤーは あなたと鋼牙王子。ふふさーて。何をしてもらおうかなぁー」 子供がゲームを楽しむような幼稚な声で・・・。 篠原は話す。 「・・・ふふ。そうだなぁ。まずラストゲームのセレモニーとして 今、この場所に月島桔梗を呼んで犬夜叉さん、キスシーンなんてどうです? かごめさんの目の前でっくっくっく」 バキッ・・・。 携帯のプラスチックの部分が割れた・・・。 「きさまぁ・・・」 篠原の卑しい言葉が 犬夜叉の怒りを煽る・・・。 「冗談ですよ。相変わらず短気だなぁ。貴方は」 「うるせぇえええ!」 「さぁてと。ラストゲームの本題にはりましょうか。実はですね。 僕・・・このアパートにちっちゃな爆弾、しかけちゃいましてねぇ。 プラスチックでできててまぁ一部屋ふっとバスぐらいはありますよ」 「なっ・・・」 「それが自分でどこにしかけちゃったか忘れたんですよ。確かかごめさんの 部屋のしたの花壇あたりだと 探してくれませんか?あと一時間後にドッカンっていっちゃうんでぇ」 「けっ。もうその手にはのらねぇぜ。てめぇのハッタリにゃ 付き合えねぇ」 「ハッタリかどうか信じるかはあなた方の自由。ただし・・・。 かごめさんの命が僕が握っていることに変わりはないですよ。 僕はお姫様と心中すること、覚悟できてるんで。ククク・・・」 「篠原、てめぇ・・・っ」 「僕とケンカしてる暇ないですよ、ではよーいどーん!」 プツっと携帯は切れ・・・。 「おい!犬っころ!!かごめは無事なのか!??」 「・・・。やかましい。草むしり探すの手伝え!」 「探すって・・・なんだよ!」 「・・・ドッカーンといくモンだよ!!」 犬夜叉は鋼牙に携帯を投げ渡すと、花壇へーへ走った。 (ドッカーンといくモンてまさか・・・) 青ざめる鋼牙。 「・・・ったく・・・。冗談じゃねぇぞっ!!」 かごめの部屋の下の花壇。 枯葉と細い雑草だけで・・・。犬夜叉と鋼牙二人、スコップ片手にとにかく 土を掘る。 大の男が並んでしゃがんで掘る・・・。 「なんで俺がてめぇなんかとこんな・・・」 「やかましい。とにかく掘れ!」 「篠原の野郎に馬鹿にされてぇのか!?きっと今頃笑い話に してやがる・・・」 「・・・いいから・・・。掘れ。かごめを助けたいなら・・・。掘ってくれ」 「・・・」 鋼牙は再びスコップを手にした。 (・・・かごめ・・・) かごめの部屋の窓を見上げる。 ピンクのカーテンが閉められて・・・。 ”犬夜叉!あんた、いつまで寝てんのよ!お天道様でてるわよ!!” 毎朝、かごめの声が目覚ましだった。 太陽の光を浴びた笑い顔と一緒に・・・。 ”今度こそ、かごめさんを守ってくださいね・・・” (守るどころか・・・) 奪っていた。 あやふやな関係の中でずっと・・・。 (絶対に助ける・・・!何がなんでも・・・!) 呪文のように唱えた・・・。 「・・・なんて間抜けな光景なんだ。笑う気も失せる」 カーテンの隙間から犬夜叉達の姿を見おろす篠原。 その片手には、篠原いつも持っている プラスチックの飛行機のおもちゃが・・・ 「・・・。二人の王子さまはお姫様を助けるために 草むしりしてるなんて。クックック。お姫さまも見てみますかね?」 ナイフを光らせ、ベットに座るかごめに向ける。 「いつまでこんなくだらないこと続けるの・・・。一体何が面白いの!??」 「・・・だって。げえむは一人じゃできないでしょ・・・?」 「ゲーム、ゲームって・・・。あんたのはゲームじゃなくて ただの犯罪じゃない!!お兄さんがいなくて寂しいからって いじけてんじゃないわよッ!!!」 パシッ!!! カッと表情を変えた篠原はかごめの頬に平手を加えた。 「やかましいッ!!お前に何がわかるッ!!!!愛情なんてくだらない ものに囲まれた人間が!!!」 赤く腫れる頬を押さえてかごめは立ち上がる・・・。 そして篠原を見据えた。 「・・・。くだらなくないわよ・・・。一番大切なものよ・・・。きっと・・・」 「・・・」 (犬夜叉・・・) つい少し前・・・。 ケンカしたまま・・・。 (・・・ごめんね・・・。謝らないといけないよね・・・) チッチッチ・・・。 目覚まし時計の針の音が緊張感を高める・・・。 「くそ!!いくらほっても何もねぇじゃねぇか!!」 「・・・」 出てくるのはガラスの破片や石ばかり・・・。 犬夜叉は腕時計を見た。もう30分は過ぎており・・・。 「くっそ!やっぱりアイツのデマカセじゃねぇか!!!」 「騒ぐな鋼牙。最初からわかってたろ・・・」 ぐいっと犬夜叉のGジャンの襟を掴む鋼牙。 「てめぇにゃプライドがねぇのか!!男だったら正面突破するもんだろ!!」 「・・・。その”プライド”のせいで俺は今までかごめを 何度も危険な目にあわせてきたんだよ・・・」 「・・・」 「”お前を必ず守る・・・”なんて偉そうにいつも・・・。守られていたのは俺だったのに」 「・・・。ちっ・・・」 鋼牙は襟から手を離した・・・。 ”お前を守る” 守るとはどういうことだろうか。身の危険が迫り、敵の魔の手から救い出すことが ”守る”ということか。 それだけが”守る”ということか・・・。 ”心”は守れていない。自分は傷つきないくせに。 嫌われたくないくせに・・・。 「何考え込んでんだ。てめぇらしくもねぇ・・・」 「お前にゃわからねぇよ」 「ヘン・・・。一人、浸ってんじゃねぇよ。そんな暇ねぇだろ。かごめを助け出す方法 考えろ」 「・・・。うるせぇ・・・」 鋼牙の言うとおり。自分の理屈に浸っている暇はない。 PPPPP! 犬夜叉の携帯が鳴った。 携帯が出るのと同時に、かごめの部屋のカーテンが開いて篠原とかごめの 姿が見えた。 「・・・。宝探しはこれで終わりか?篠原」 「そうですねぇ・・・。さて。今度はなにをしてもらおうか・・・」 「てめぇのゲームも俺はあきてきたな。そろそろ終わりにしろ」 「・・・。それはどうかな。僕はまだまだやる気満々ですよ」 かごめにつけつけられたナイフ。 犬夜叉の怒りが再び湧き上がる。 「それよりかごめと話させろ・・・」 「うーん・・・。どうしようかなぁー・・・。そこで大声で『かごめ、世界で 一番愛してる』なーんて台詞言ってみましょうか。王子様。ックックック。 ふはははー・・・!ヘヘヘヘ」 子供の悪戯だ。 子供が退屈で退屈で仕方ないとき、とんでもない 悪戯を思いついた・・・。 子供はいいことも悪いことだとも何も思わず、ただ、楽しむ。 人が傷つくことがそれが快感となって・・・。 「さぁ。どうしました?大声で叫んでみてくださいよ。 そしたらかごめさんと変わりますよ?そして愛を語り合ったら如何です? フン・・・」 ギシッと携帯を怒りで握り締める犬夜叉・・・。 「あんたのほれた男は、この期に及んでも甘い言葉も吐けないなんて。 どこがいいんだ?何もかも中途半端な男じゃないか。フン・・・」 完全に犬夜叉をなめて、蔑んで、それが嬉しくて楽しくてたまらない。 そんな篠原の笑みが悔しいかごめ・・・。 「犬夜叉を馬鹿にしないで・・・っ!!!!」 「!?」 ナイフを持つ篠原の右腕を両手で掴み、ナイフを取り上げようとするかごめ! 「か・・・かごめっ!!!」 もみあうかごめと篠原の背中に気づいた犬夜叉は携帯を投げ捨て、 かごめの部屋に走る・・・! 「離せ!!このアマッ!!!!」 「きゃッ・・・!!」 篠原は思い切りかごめを振り払い、壁に打ち付けた。 そしてセーターの襟を掴む。 「・・・。あまりカンに触ることばかりすんじゃねぇ!!本当にその顔、 ズタズタにするぞっ!!!!!」 「それであんたのゲームが終わるなら本望よ!!」 「ほう・・・。度胸がある所は桔梗に似てるが・・・。無鉄砲なところは偉い違いだな・・・」 「・・・あたしはかごめよ・・・!誰でもないわよ・・・っ!!!」 「・・・ならお望みどうり刻んでやるよ・・・」 ナイフがかごめの首筋に迫った。ぎゅっと目を閉じるかごめ。 (犬夜叉・・・!) 「篠原ァアーーーー・・・っ!!!!」 バアンッ!!!! 犬夜叉は鍵のかかっていたドアを蹴破り、篠原に凄まじいスピードの 拳を放った! 「犬夜叉!」 「かごめ・・・!!大丈夫かッ!??」 「犬夜叉・・・っ」 犬夜叉の顔を見て、安心したかごめは抱きついた。 「・・・ごめん・・・。遅くなって・・・」 「・・・。うん・・・」 怪我一つないかごめの様子に犬夜叉もほっとするが・・・。 「・・・ラブシーンもそこまでだ・・・!」 殴られた篠原は立ち上がり、ポケットから飛行機のおもちゃを取り出す・・・。 「ククク・・・。ラストゲームは華麗な”花火”と洒落込みますか・・・」 不適に笑う篠原・・・。 「な、何する気だ・・・っ」 「・・・。ラストシーンの・・・終幕だ・・・」 「!?」 篠原は飛行機の玩具を・・・落とした・・・。 バアン・・・!!!!!! ガシャーーーーンッ!!!!!!! 物凄い爆音と共に かごめの部屋の窓のガラスが物凄い音で吹きんだ・・・。 パラパラと・・・。 アパートの花壇に・・・ ガラスの破片が雨のように落ちる・・・。 「どうしたんじゃ!?一体何があったんじゃ!?」 爆音に、チョビを抱いた楓が飛び出てきた。 「鋼牙・・・。一体何が・・・」 「か・・・かごめーーーーっ!!」 かごめの部屋からあがる黒煙。 鋼牙が階段を上がり、二階に上がるが・・・。 「わ・・・っ」 階段に煙は流れ・・・ (かごめ・・・っ) どうにか二階にあがり、かごめの部屋に近づこうとするが・・・ 煙に視界を阻まれる。 「かごめーーーー!!どこだーーーーー!!!」 鋼牙の声が響く・・・。 煙をかきわけ、かごめの部屋の前まで来る・・・。 吹き飛ばされたと見られる篠原がドアの前に倒れて・・・。 (な・・・) 部屋の中のベットや机、家具は全て粉々に崩壊し・・・。 壁には大きな穴が開いていた・・・。 あちこちに炎が飛び移っている・・・。 「ぷは・・・っ。かごめ、どこだ!?返事しろーー!!」 「・・・が君」 「!?かごめ!?」 ベットと机が倒れ、その倒れた隙間から 顔中すすだらけのかごめが・・・ 「かごめ・・・っしっかりしろッ!!!」 鋼牙は倒れた本棚とベットの隙間からかごめを引きずり出そうとした。 「駄目・・・っ!!やめてッ!!!」 「!?何言ってんだ!かごめ!」 「・・・わ・・・私の上に犬夜叉が・・・」 かごめの背中に・・・。 額から血を流した犬夜叉が覆いかぶさるように・・・。 「・・・私が出たら犬夜叉が押しつぶされちゃう・・・。お願い。犬夜叉を先に・・・」 「だ、だけど・・・かごめ、お前が・・・」 「いいの・・・。犬夜叉は私を庇って・・・。お願い・・・お願い。鋼牙君・・・」 目を潤ませるかごめ・・・。 「・・・。バカ・・・いう・・・な・・・」 「犬夜叉!?」 かすれた犬夜叉の声・・・。 「鋼牙・・・。かごめをさき・・・に・・・」 「何言ってるの!?嫌!!そんなの・・・!」 「・・・。早く・・・いけ・・・。早く・・・」 息遣いも荒く・・・酷い怪我だとかごめも鋼牙もすぐ悟った。 「一緒じゃなきゃ嫌・・・っ」 「早く・・・はや・・・」 犬夜叉の意識が途絶えた・・・。 「ちょ・・・。い、犬夜叉!?犬夜叉・・・っ」 かごめの肩に力が抜けた犬夜叉の右腕がぶらりと下がり・・・ 犬夜叉の呼吸は止った・・・。 (かごめ・・・ごめんな・・・)
うーん(>_<)情景描写とか細かい表現は難しいです。 爆発した時の部屋の様子とかもっとこう・・・わかりやすく したいんだけど、自分はそういった上手な言葉が浮かびません。 感情論なんだよな。自分。小難しいことは受けつけない脳なんでしょうね。 ・・・単純ってことか(汗) 言葉自体も知らないし。今まで生きてきた中で覚えた言葉しか 使えない。 色々な小説サイトまわるけど、圧倒されっぱなしです。 プロ並みの文章に出会ったり。 ・・・と言うかその前に私、変換ミスとか誤字脱字を直した方が いいですよね。でも我が家のPC状況で、一度UPしちゃうと なかなか直せない。UPする前に点検ですよね(汗) ネットに繋いでいるが一台しかないので 夜は兄貴とPC争奪戦なので更新したり、レスかいたりする 時間をとるのが難しかったり(言い訳) と。ともかくもう決まり文句ですが愛だけは込めておりますので 大きな心で読んでいただけるとたすかりますデスハイ・・・(¨;)