退院し、工務店の空きの寮に戻った犬夜叉。
そして日曜日にかごめと共に来た場所とは・・・。
「戦国町ブライダルホテル」
『ブライダル無料体験のご案内』
そんなタイトルのパンフレットを手にしたかごめはブライダルコーナー
の受付にいた。
「あの〜。下見をしたいんですけど・・・」
受付でパンフレットを見せるかごめ。
費用のことやら色々と説明を聞いている。
楽しそうに話を聞いている。
横に座って犬夜叉はめんどくさそうな顔でむすっとしている。
(だからこういうところは嫌なんだ)
女が多い。まして何だか香水やら化粧の匂いばかり。
「ご主人さまはどういった洋式をご希望ですか?」
「えっ」
(ご、ご主人・・・ってオレか!??)
犬夜叉、ご主人様という響きにちょっと感動・・・。
「お、オレは・・・む、難しいことわかんねぇし・・・」
「このような可愛い方を奥様にむかえられるなんてー。素敵な結婚式になさらないと
いけませんよー。ふふふ」
受付けの職員のよいしょに犬夜叉とかごめはもじもじさん。
「まぁ〜。初々しいわぁ。ふふふー・・・」
すっかり新婚さん扱いされた二人は否定するのも面倒なのであえてしなかった。
そしてドレスの試着をするため衣裳部屋に・・・
「どんなドレスかな。ふふー♪」
るんるん気分のかごめをよそに犬夜叉はあくびをしながら
試着室に行った。
「きゃああー♪素敵なドレスがいっぱい♪」
純白のドレスから、和式の赤い派手な着物、十二単まで様々な
花嫁の衣装がガラスケースに揃っている。
「わぁあー・・・。これも綺麗。あれも・・・そっちのもいいなぁー・・・」
もうかごめはうっとり・・・。
鮮やかなドレスたちに夢中・・・。
全身鏡の前で何着もあててみている。
「この色なんか最近の花嫁さんには人気でして・・・」
「うーん。迷っちゃうなぁ。珊瑚ちゃんのイメージって。ねぇー。
犬夜叉、あんた、どっちがいいとおもう?」
「知るか。そんなもん・・・」
拗ねる犬夜叉を無視してかごめはドレス選びに夢中。
(けっ・・・これだから女ってのは・・・)
つまらなそうにドレスをながめる犬夜叉。
犬夜叉を完全に忘れてドレスに魅入っている。
(やっぱくるんじゃなかった・・・。ちょっと外で一本吸って来るか)
たばこを吸おうと衣装室を出ようとしたとき・・・。
「犬夜叉」
「なんだよ。オレにドレスなんてわか・・・」
くわえた煙草をぽろっと落とす・・・。
振り向くとそこには・・・。
「まぁ・・・お綺麗だこと・・・」
純白のドレスをきたかごめ・・・。
「・・・」
犬夜叉、動きが止るほど魅入る・・・。
ドレスをきたまま・・・くるっと回ってみる・・・。
真っ白な雪のような色のドレス・・・
胸元まで大きく開いて、すっと綺麗に鎖骨が映える・・・。
「・・・着ちゃった・・・」
「・・・」
「・・・。あの・・・変・・・?」
「・・・」
犬夜叉、時を忘れるほど魅入る。
「犬夜叉ってば」
「はっ・・・。な、なんだよ」
犬夜叉、リアクションに困り後ろを向く。
「どう・・・?」
「ど、どうって・・・。べ、別にい、いいんじゃねぇか」
「・・・いいってどこが?」
「ど、どこがって・・・」
犬夜叉の視線・・・ちらりとかごめの胸元に・・・
白いレースのふちから柔らかそうな・・・ムネが。
「どっ、どこ見てんのよ!!」
「なっ・・・(焦)」
犬夜叉、慌てて目線をそらす。
「弥勒さまじゃあるまいし、信じられない。こんなときに・・・」
「弥勒を引き合いにだすんじゃねぇッ。弥勒だったら更衣室覗いてるだろうが」
「な、なんてこと言うの!もう知らないッ」
かごめはシャッとカーテンを閉めた。
「な、なんでいっ。てめぇが見ろつーから見てやったのに・・・」
赤く染まりながら犬夜叉、はっと気がつく。
周囲の視線・・・。
(はぁー・・・。だから来たくなかったんだ・・・)
でもやっぱりかごめのドレス姿が見られてよかったな、と思う犬夜叉でありました。
そしてホテルをあとにした二人。
『梅の花が綺麗な歩道があるの』
かごめがそう言ったので、出来まで続く一本道。
両脇に梅の花がアーチのように植えられている。
「ふぅ・・・。色々迷ったけど手ごろな値段でよかったわね」
「ああ・・・」
梅の花にもめもくれずぼんやりする犬夜叉。
「どうしたのよ。さっきからぼうっとして。やっぱり疲れた?
ああいうところ、苦手そうだし」
「・・・。べ、別にそんなんじゃねぇよ。けっ・・・」
思いっきりかごめのドレス姿に酔っているご様子の犬夜叉君。
「でも間に合ってよかった・・・。珊瑚ちゃんたちにいい思い出つくれる・・・」
「あん?思い出ってお前。永遠に別れるわかじゃねーだろ」
「うん・・・まぁそうだけどさ。ほら・・・笑顔で送り出してあげたいじゃない」
「・・・」
分かれるのは珊瑚なのに。
まるで自分が離れてしまうような・・・。
「つくりたいの。みんなとの思い出。珊瑚ちゃんにも弥勒さまにも
それから犬夜叉にも・・・」
「・・・思い出思い出って・・・。なんでそんなにこだわるんだ?弥勒達が引っ越すつったって
別にまた会えんだろ?」
「・・・。でもね。人ってさ・・・。楽しい思い出があると辛いとき、
すごくそれが支えになるのよ・・・。すごく・・・」
立ち止まり、街路樹の梅の木のピンクの花を見つめた。
「犬夜叉は・・・。楽しい思い出、いらない?」
「けっ・・・思い出なんてな。辛気臭いこと・・・」
「・・・そう・・・」
かごめはひどく寂しいそうな顔をした。
(な、なんだよその顔は・・・。本気じゃねぇのに・・・)
「で、でもな・・・。ま、まぁ。お、お前との思い出ならその・・・わ、悪くは
ないぜ」
「ほんと?」
「・・・ほんとだっつってんだろ(照)」
犬夜叉はポケットに手をつっこむ。
「・・・アリガト・・・。お世辞でも嬉しい・・・」
「ばっ・・・。お世辞なんか・・・」
「アリガト・・・」
にっこり笑うかごめだけれど・・・
かごめの”ありがとう”が少し・・・寂しく犬夜叉に聞こえた
(・・・かごめ・・・?)
「さーて。今度の週末は忙しくなるわよ!犬夜叉、弥勒さまの手配、お願いね!」
「お、おう・・・」
梅の花の香りをかぐかごめ・・・。
楽しそうにしている・・・。
(でもなんか・・・)
微かに感じる”違和感”。
犬夜叉は感じつつも香る梅に微笑むかごめを見守っていた・・・。
※
晴天。
4月の下旬並みの温かさ。
桜が一挙に咲きそうなほどに温度が高い。
「おい・・・。お前。たまの休みになんでオレのベットの横にお前がいるんだ?」
「やかましい。とっとと起きてとにかくこれを着ろ」
弥勒をたたき起こし、紙袋から取り出したのはタキシード。
「・・・。オレはお前と式をあげつつもりはないぞ。犬夜叉」
「いーから着ろ。着ればいーんだよ!!だぁ、時間がねぇ!!」
腕時計の針は10時を回っている。
「何をたくらんでいるかは知らないが、付き合うつもりはない。じゃあおやすみ」
「・・・珊瑚のドレス姿、みたくねぇのか」
「!??」
犬夜叉の一言に弥勒、すぱっとベットから起き上がる。
「ドレスとは・・・純白のウエディングドレスか?」
「ああ」
「・・・胸元ががばっとあいているものか?」
「・・・ああ(汗)」
念入りに確認した弥勒、急に顔つきがまじめになり
そしてすばやくタキシードをきりっと着た。
「何をしている。犬夜叉、早くいくぞ。私の花嫁が待っている。ふっ・・・胸元の開いた
ドレスか・・・」
「・・・。てめぇの心変わりの速さだけには負けるぜ(汗)」
こうして無事、犬夜叉は弥勒を連れ出し、結婚式場へ搬送した・・・。
そして建物内にあるチャペルがある教会へ扉へ・・・。
赤い扉。
開くと赤い絨毯のバージンロードが見える。
「・・・すげぇ・・・」
犬夜叉も初めて入る。
十字架の奥はステンドグラスの窓。
両サイドにはパイプオルガンがある・・・。
「犬夜叉。大体お前・・・。いやかごめ様の企みの趣旨がわかったよ」
「そうかよ」
「正直・・・向こうに行ったら式とかそういうことをやってやれる余裕があるかわからなかった。
・・・ありがたいよ。本当に・・・」
まじめな顔で弥勒は犬夜叉に言った。
「お前らしくねぇ。そんなしおらしいこと・・・」
「篠原の奴に色々されたが・・・。一緒に過ごした時間は変わらない。
これからもずっと仲間だ」
「・・・からだが痒くなるから慣れないキャラやめろ・・・けっ・・・」
弥勒の言葉がなんだかこそばゆくて
素直になれない犬夜叉。だけど気持ちは犬夜叉も同じだった・・・。
ギィ・・・。
「・・・お前の嫁さんも支度ができたようだぜ」
赤い扉が開く・・・。
バージンロードをたどると入り口には・・・。
「ほーら。珊瑚ちゃん。照れないでしゃんと背筋伸ばして」
照れくさそうな花嫁・・・。
普段は空手の胴着が衣装だが今日だけは違う。
一人の女の子。
好きな人のためだけに白い衣装をまとった花嫁・・・。
白い霞み草のベール・・・
珊瑚は50メートル向こうにいる弥勒を見つめた。
(・・・な、なんか照れる・・・)
珊瑚の気持ちが手に取るようにかごめにはわかる。
(ふふ。珊瑚ちゃんたら・・・)
「弥勒様ー!珊瑚ちゃん、綺麗でしょうー!今、そっちに連れて行くから
待っててねー!」
聖堂内にかごめの声が響く。
弥勒はかごめの言葉ににっこり笑って返事した。
「さて・・・花嫁を花婿の所まで運ぶ役は私じゃないわよね。普通」
「え・・・?」
「花嫁の父、登場〜!さ、お父さん、出番です!」
かごめは扉の影からぐいっとある人を引っ張り出した。
「お、親父さま・・・!???」
「・・・」
羽織袴姿の珊瑚の父・・・。
相変わらずむすっとしている。
「ど、どうして・・・」
「・・・。お前の強情な親友殿に頼み込まれてな・・・。おなごに土下座
されて、断れるか・・・」
「かごめちゃんが・・・?」
”突然の申し出、筋違いだとわかっています・・・。
でもお願いします!珊瑚ちゃんのために一緒にバージンロードを
あるいてあげてください!”
そう言って珊瑚の実家、道場の門の前でかごめは必死に珊瑚の父に頼み込んだ。
何度も断られたもののかごめは引き下がらない。
”珊瑚ちゃんの・・・花嫁姿・・・。珊瑚ちゃんのためにどうか
見てあげてください。お願いします”
「・・・。強情な親友殿だな・・・。珊瑚。良い友をもった・・・」
「かごめちゃん・・・」
珊瑚はじわっと涙をうかばせた。
「駄目だよ。珊瑚ちゃん。泣いちゃ。メイクがくずれちゃう。
それに涙はもう少し我慢して・・・ほら・・・弥勒さまが待ってる」
かごめはそっと珊瑚の手をとり、珊瑚の父の腕につかませた。
「それじゃあ、お父さん、珊瑚ちゃんを・・・。宜しくお願いします」
「・・・」
珊瑚の父は無言だがしっかりと確かに・・・頷いた。
そして。
花嫁と父・・・。
花婿がまつまっすぐな道をゆっくりと歩き出す・・・。
50メートル・・・
たった50メートルだけれど
もうすぐ嫁ぐ娘と歩くその道は
育ててきた23年、全てのキオクの走馬燈のよう・・・。
「珊瑚・・・。ワシの娘に産まれてくれてありがとう・・・」
「親父さま・・・」
頑固者の父。石より固いその心は娘の花嫁姿の美しさでいっぺんに解けてしまった。
娘の幸せな未来を願う気持ちに・・・。
バージンロードが終わる・・・。
小さな頃つないだ娘の手を
娘と共に歩いていく男につなげる・・・それが最後の仕事。
父としての・・・。
「ちょいと待った」
「え・・・」
弥勒が珊瑚の手をとろうとしたとき。
「お前・・・。一発殴らせろ」
「へ?」
バキ・・・っ
弥勒は倒れる。
容赦なく、珊瑚の父は弥勒を殴った・・・。
「弥勒様・・・!」
弥勒に駆け寄る珊瑚。
「親父さま!なにすん・・・」
珊瑚ははっとした。
「・・・」
あの石頭の父が
あの頑固の塊の父の瞳が・・・潤んでいる・・・。
「・・・。一人の女を・・・幸せにするということはどういうことかお前はわかっているのか・・・。
一人の人間の人生に責任を持つということが・・・どれだけ重みのあることか・・・」
「・・・お義父さん・・・」
「守り通せるか・・・。生涯・・・。守りぬけるか・・・!お前に・・・!」
珊瑚の父は弥勒の襟をつかんだ。
「・・・。この体がどうなろうとも・・・愛しぬいてみせます・・・。
貴方の宝物を今度は僕に守らせてください・・・」
掴まれた珊瑚の父の手を・・・そっと弥勒は両手で包んだ。
そっと・・・。
「・・・ふんっ・・・。相変わらず口だけは達者だな。いいか?一回でも珊瑚を
泣かせてみろ。すぐ連れ戻すからな!!わかったか!!」
「絶対なかせません」
弥勒は立ち上がり、まっすぐ言った。
正々堂々と・・・。
花婿と花嫁の父。
前よりちょっとだけ・・・仲良くなった瞬間だ。
「さ・・・。式の続きをしましょう。みんな!」
かごめの一声で。
花嫁と花婿の誓いの儀式が始まる・・・
神父が聖書をもって二人に尋ねる。
「海野珊瑚。貴方は健やかなる時も病めるときも夫・仏野弥勒に生涯尽くし、敬い、愛すことを誓いますか?」
「誓います」
「仏野弥勒。貴方は健やかなる時も病めるときも妻・海野珊瑚に生涯尽くし、敬い、愛すことを誓いますか?」
「誓います」
見つめ合う二人・・・。
「では・・・。互いに誓いのキスを神の前で示してください・・・」
弥勒は静かに白いベールをめくる・・・。
今までで一番・・・輝いている瞳がそこには在る・・・
「珊瑚・・・。ありがとう・・・」
「私こそ・・・ありがとう・・・」
出会ったことに。
出会って恋して・・・
結ばれたことに・・・。
自分達を祝福してくれるみんなに・・・。
「・・・愛しているよ・・・」
花嫁の頬に置いて・・・
花婿が優しいキスをする・・・。
娘の口付けを目の前で見せられる。
父親にとっては見たくないシーンだけれど・・・。
(娘の幸せな顔が見られるなら・・・)
我慢する。
何でも耐えられる・・・。
それが親というもの・・・。
親の幸せは・・・子供がずっと笑顔でいられることだから・・・。
一通りの儀式が終わる。
「珊瑚ちゃん、おめでとうー!!」
かごめは弥勒と珊瑚に紙ふぶきをあびせる。
「ありがとう。かごめちゃん。本当になんてお礼をいっていいか・・・」
「ほーら。花嫁さんは泣いちゃ駄目っていったでしょ」
ハンカチで涙を拭うかごめ。
「あたし・・・かごめちゃんが親友で本当によかった。本当にそう思ってるよ」
「珊瑚ちゃん・・・」
珊瑚はブーケをすっとかごめに持たせた。
「今度はかごめちゃんの番。あたし遠く離れてもかごめちゃんの恋が・・・幸せな
恋になるように祈ってるから・・・」
「・・・。うん・・・。ありがとう・・・。珊瑚ちゃん・・・」
花嫁から受け取ったブーケを受け取ると、その女性は幸せになれる。
だれもが知っているジンクス。
でも今のかごめには・・・
すごく切ないジンクス・・・
「犬夜叉。お前にも礼を言わないとな」
「けっ・・・。婿と義理父のクサイ浪花節のために俺はかごめにこきつかわれて・・・」
相変わらず憎まれ口な犬夜叉。
だけど今日はそれも”おめでとう”に聞こえてくる。
「犬夜叉」
「何だよ」
「・・・。かごめ様を頼むぞ。宙ぶらりんが許されるのも潮時だ。けじめをつけろ」
「・・・」
「返事をしろ。でないと俺は北海道にはいけん」
犬夜叉は複雑そうな表情を浮かべつつも深く頷いた・・・。
「本当だな。信じて良いんだな・・・」
「ああ・・・」
弥勒の言葉に返事をした犬夜叉・・・。
珊瑚と喜び合うかごめをちらっと見つめ・・・。
(けじめ・・・。ケジメ・・・か・・・)
”守れるか・・・?ずっと守り抜いていけるか・・・?”
珊瑚の父が弥勒に放った言葉が・・・犬夜叉の心にズシリと残ったのだった・・・。
「はー。珊瑚ちゃんも弥勒さまもとってもいい顔していたわね」
「ああ」
式が終わり、ホテルをあとにする犬夜叉とかごめ。
弥勒と珊瑚はそのままかごめの配慮でホテルに一泊することにした。
”ちょっと早い新婚旅行気分をどうぞ”
と言って・・・。
「お父さんと弥勒さまも和解できたし。うん!みんな、笑顔になった!嬉しい!!よかったー・・・」
かごめはそういってぴょんぴょんジャンプする。
「・・・相変わらずだな」
「何がー?だって嬉しいだもの。みんなが幸せな笑顔を浮かべる・・・。
みんなの笑顔からエネルギーもらってる気がして・・・。変かな・・・」
「・・・変じゃねぇよ。お前らしい」
「よかった。ふふ・・・」
”けじめ・・・つけるんだぞ”
弥勒との約束。
かごめの笑顔をみるたび、その約束の重さを実感する。
「かごめ・・・」
「んー?何?」
「・・・。いや・・・なんでもない」
今、ポケットにある携帯の桔梗のアドレス。
このアドレスを失う決意も、かごめに自分の気持ちを伝える勇気もどちらもない。
まだどちらも・・・。
「ねぇ犬夜叉。旅行しない?」
「旅行?」
「そう・・・。一緒に」
(一緒に・・・!????)
犬夜叉はドキドキ・・・。
だがかごめは・・・。
何かを秘めたような切ない顔を一瞬浮かべたのだった・・・。
・・・その日。春一番が吹いた。
・・・何かを予感させるような・・・。