アルバムを開くと、必ずアイツがとなりにいる。
幼稚園でのお遊戯会も(アイツは狼役)
小学校の運動会も。
中学の文化祭も・・・。
必ず隣にいた。
”何で神様、こいつと一緒なの!”
って神様に文句いったことあるくらい。
いつも一緒だった。
隣には・・・。
※
「え?アイツ、犬夜叉が?」
2年B組の教室。
かごめが同級生から幼馴染の犬夜叉が先輩に呼び出されたと聞いた。
「場所はどこ!?」
「確か・・・。体育館裏とか言ってた・・・」
「体育館裏ね!」
かごめはモップを一本持って、教室を飛び出す。
「あっ。ちょっとかごめったら・・・」
同級生の制止も振り切ってかごめは一路、体育館に突っ走った。
(もう!アイツったらあたしの忠告また無視して・・・!)
昼休み、体育館裏は薄暗く、人気がないはずなのだが・・・。
「ぐえッ・・・」
人のうめき声・・・。
(ま、まさか・・・)
不安がよぎるかごめ・・・。
「犬夜叉ー!」
持ってきたモップを振り上げるかごめ・・・。
「あ?なんだ?」
「犬夜叉・・・」
三人の図体の大きい3年生をこてんぱんに
倒し、どかっとその上であぐらをかいている犬夜叉。
「なんだじゃないわよ!あんたが先輩から呼び出しくらった
って聞いたから・・・」
「けっ。よけーな心配すんじゃねぇよ。”挨拶”したから
オレも挨拶返ししてやっただけだ。けっ。図体だけでけぇ
奴らだったぜ」
自慢げに話す犬夜叉。
「馬鹿じゃないのあんた!何自慢してるのよ!」
「なっ・・・なんだよッ」
てっきりかごめは褒めてくれると思っていたのに犬夜叉、ショック。
「停学がやっと終わったばかりじゃない!
なのに・・・」
「けっ。停学が怖くてケンカやってられるか。そんなもんッ」
「そんなものとはなによ!あたしが今までどれだけあんたの
尻拭いしてきたと思ってるのよ!」
小学校のとき、隣のクラスのケンちゃんに怪我させて
一緒に誤りに行ったし、
中学のときは、隣町の生徒にケンカふっかけて、また一緒に誤りに行ったし・・・。
数え切れない。
「誰が尻拭いしろって頼んだ!てめぇが勝手にやってることだろ!」
「何ですってぇ!」
睨み合う二人をよそに・・・。
3人の先輩達がこそっと逃げようとした。
「おう、まちやがれ」
「はいッ」
先輩達は完全に犬夜叉にびびっているご様子で声がうらがえっている。
「今日のこと、誰にも言うんじゃねぇぞ。
余計なこと言いやがったら今度は病院送りだからな」
犬夜叉はガクランの襟をつかんだ。
「は、はいッ。言いませんッ」
「もう二度とオレにイチャモンつけてくんじゃねぇぞッ!」
「は、はひーッ」
3人はまるでねずみのようにすたこらと逃げていった。
「けっ。くずどもが・・・」
相変わらずの大柄な犬夜叉。
このあたりでは”触らぬ犬にたたりなし”といわれるほどに
名が知れた不良君(?)だが。
「・・・なんだよ。まだ怒ってんのかよ」
「怒ってるわよ・・・」
「だから。アイツには口止めしたから大丈夫だって・・・」
「・・・そんなことで怒ってんじゃないわよ・・・!あ・・・」
犬夜叉の額のコブを見つけるかごめ。
かごめはポケットから絆創膏を取り出して犬夜叉のおでこにぺたっとはる
「こら、動かないで!」
「ん、んなッ。こんなのたいしたことな・・・」
かごめの顔が目の前に・・・。
「・・・(照)」
犬夜叉君おとなしくなりました。
「これでよし・・・。もう。私の必需品になったわよ。
絆創膏」
「けっ・・・。誰も手当てしろなんて頼んでねーぜ」
「なによ。その言い方・・・。あたしが心配してるのは
あんたが怪我してないかなっていうことなのに・・・」
かごめはうつむいて背を向ける。
(うっ・・・。やべぇ・・・泣いちまったか?)
かごめの顔を覗き込んで慌てる犬夜叉。
「・・・わ、悪かったよ・・・。も、もう、お前に
迷惑はかけねぇ・・・」
「・・・ほんと・・・?」
「あ・・・ああ・・・。だ、たからなくなッ!」
「じゃ、約束♪」
かごめはにこっと笑ってこゆびを出した。
「て、てめぇ、泣いたフリしやがったな!」
「ずっと騙されっぱなしなんだからあんたは昔から。ともかく約束よ。
もうケンカはしないって」
「けっ。仕方ねぇ・・・」
犬夜叉の長い小指とかごめの細くい白い小指が絡み合う。
”これであたしたち仲直りね”
ケンカしても
いつもこれで仲直り。
小指と小指の約束。
二人ともちっちゃな手だった。
でもいつの間にか・・・。
大きな手の平になってて、その手のたくましさに
異性を意識しだしたのはいつのころからか・・・。
それは犬夜叉も同じで。
”オレには弱みなんてねぇ”
それが口癖だったのに
かごめの涙は昔から弱かったけど・・・。
(なんでかごめはオレのためにこんなに泣いたり笑ったりできるんだ)
かごめの横顔をじっと見詰める犬夜叉。
「え?何か言った?」
「な、なんでもねぇよッ。ほれ、さっさと教室戻るぞ!」
「あ、ちょっと待ってよー!」
一緒に走って校舎に入っていく二人。
本当にいつも一緒だ。
隣にいるのが当たり前だ。
お互いが大切な存在。
一緒にいるのが”当たり前”すぎてまだ
ちょっぴり実感が沸かないけど・・・。
「くそ・・・。アイツめ。後輩の癖にデカイ面しやがって・・・!」
校舎に入っていった二人を
犬夜叉がこてんぱんに痛めつけた3年生たちがかごめを眺めながら
なにやら相談していたのだった・・・。
次の日。
放課後。
かごめは図書委員で図書室で本の整理や貸出票のチェックをしていた。
「よいしょ。えっとこの本は・・・」
脚立にのぼり、本棚に返却された本を戻してくかごめ。
「犬夜叉の”女”ってのはお前か?」
「何よ。あんたたち・・・」
昨日、犬夜叉にやられた先輩3人組。
「ちょいと顔貸してもらおうか」
「・・・嫌よ。あたしを使って犬夜叉呼び出そうって魂胆でしょ。
分かりやすい手段よね。卑怯者で弱虫が考え出しそうなことだわ」
「なっ・・・」
怖がるかと思いきやかなり強気のかごめの態度に
先輩3人ぐみは一瞬たじろぐ。
「てめぇ。女だからってなめんじゃねぇぞ!」
「どいてよ。本の整理の邪魔!」
脚立を降りようとするかごめ。
ドカッ!
「きゃあッ!」
転んで本が床に散らばる。
「フン・・・。手荒な真似したくはなかったがしかたねぇ・・・。
気の強い女は嫌いじゃないんだ。覚悟しな・・・ケケ・・・」
嫌らしい笑みを浮かべる先輩達・・・。
(・・・犬夜叉・・・)
こうして。
実にお約束的展開だが、かごめは囚われの身となってしまった。
そして放課後・・・。
万年帰宅部の犬夜叉はホームルームが終わると、
教室を出て行く。
「おい」
クラスメートの男子生徒が犬夜叉をちょっと
恐る恐る呼び止めた。
「犬塚(犬夜叉の苗字)これ・・・。3年の奴らがお前に
渡せってそれから体育館裏に来いって・・・」
(こ、これは・・・!)
かごめがカバンにつけている漫画のマスコット人形。
「アイツら・・・ッ!!」
バタンッ!
犬夜叉は教室をドアをドンと激しくたたいて走っていった・・・。
(かごめ・・・!)
「・・・。ちょっと。何このマニアックな縛り方は・・・」
体育館運動用具倉庫。
マットの上で両手と両足を縛られ、身動きが取れない。
何気に短めのスカートが乱れて、白い太ももがチラリな状態で・・・。
「ちょっと!やらしい目でみないでよ!!」
「な・・・なぁ・・・。兄貴。犬野郎が来る前に”味見”しねぇか・・・?」
「ふふ。そうだな。自分の女に手を出されたアイツの顔が
楽しみだぜ」
なんとも嫌らしい口調の3年生たち。
「あのね!あたしに指一本触れてみなさい!犬夜叉にこてんぱんにやれるから!」
「だから。その顔をみてぇつってんだ。可愛がってやるからおとなしくしな・・・」
一人がかごめの太ももに触れようとしたが・・・。
ドカ!
かごめの両足が見事にHIT。
靴跡が思い切りついた。
「女だからって油断するからよ!」
「このアマ・・・。ふざけんな・・・っ」
一人がかごめのがっと制服をつかんだ時・・・。
ガラガラガラッ。
運道具倉庫のドアが開き・・・。
「犬夜叉・・・っ」
仁王立ちする犬夜叉が登場・・・。
「て・・・てめぇら・・・っ」
犬夜叉の視界にはいってくる、
かごめの制服の乱れ・・・。
「て・・・てめえらぁッ。オレのかごめに何しやがったーーー!!」
バキィッ!!
「グワッ」
先輩達に襲う逆上した犬夜叉。
まるでバレーボールの球のようにビシバシっと平手打ち・・・。
「ウワァッ」
一人は跳び箱にHit・・・。
「犬夜叉!やめて!私は何もされてないから・・・」
「うるせぇっ。オレの気がすまねぇッ」
「犬夜叉!約束したでしょッ!!暴力はしないって!!!!」
「う・・・」
かごめの言葉に、犬夜叉は我に返る。
だが、既に先輩達は虫の息で・・・。
「かごめ・・・」
「あたしは大丈夫だから・・・」
かごめの声に落ち着きを取り戻した犬夜叉。
先輩達を睨み・・・。
「おう・・・。てめぇら・・・。今度こんな真似してみろ・・・。
てめぇらが入ってる族のリーダーごとぶっつぶしてやるからな!!わかったか!!」
「わかりましたぁ・・・」
すでに伸びている・・・。
「とっとと消えやがれ!!!」
「は、はひーっ」
先輩達はまたもや情けなく小者のように逃走・・・。
「けっ・・・」
が。
ガチャリ。
突然、倉庫のドアの鍵が閉められ・・・。
「て、てめぇらッ!!!あけねーか!!」
「ヘン!油断するからだ!!」
小者は小者らしい反撃で、すたこらと逃走・・・。
「開けやがれッくそッ!!」
ドンドン叩くが流石に鋼鉄の扉はびくともせず・・・。
「くそ・・・」
悔しがる犬夜叉だが・・・。
「ね・・・ねぇ。犬夜叉。悔しいのは分かるけどその前に
縛ってるの、解いてくれないかな・・・」
「え・・・」
両手両足を縛られたままのかごめ・・・更にスカートと制服のボタンが取れて
なんとも乱れた・・・。
「・・・(照)」
「ってじっと見ないで早く解いてーーー!!」
照れながら、かごめを解く犬夜叉・・・。
そして、倉庫に閉じ込められて二人きり・・・。
薄暗い倉庫。
何度も開けようと犬夜叉は試みるがやはり微動だにせず・・・。
「どうすんだよ。これから・・・」
「仕方ないわね。警備員さんでお通り過ぎるの待つしか・・・」
「そんな悠長な・・・」
「だって出られないものしょうがないじゃない。カリカリしたって。
ね、あんたも座りなさいよ」
かごめは跳び箱にもたれかかって済ました顔・・・。
「・・・。お前は変わらないよな・・・。度胸があるつーか・・・
なんつーか・・・」
「犬夜叉ほどじゃないわよ。短気で嫉妬深くて・・・」
「なっ・・・」
「それに・・・。いつもあたしを守ってくれる所も・・・ふふ」
「・・・けっ・・・」
その口癖も変わらない・・・。
「・・・二人きりだね」
「おう・・・」
薄暗い倉庫の中。小窓からオレンジ色の
夕日が少しだけ差し込む・・・。
「・・・。くしゅんっ」
かごめのくしゃみに犬夜叉は黙ってガクランを脱いでかごめに着せた。
「アリガト」
「・・・おう・・・」
中学の時も一度こうして自分にガクランをかけてくれたことが
あったっけ・・・。
「ねぇ。犬夜叉覚えてる?中学の時もこんなことあったよね」
「あー?そうだったけか」
「あったわよ。もう。あたしだけ覚えてるなんて。寂しいな」
すぐ怒る犬夜叉。
変わらないけど・・・。
(大きいな・・・)
自分より身長が大きくなって・・・。
変わらないけど
・・・かごめの心は少し違う・・・。
「犬夜叉」
「なんだよ」
「・・・さっきのあの台詞・・・ちょっと嬉しかったな・・・」
”オレのかごめに何すんだー!!”
「あ・・・あれはう、売り言葉に買い言葉でいっ」
「それでも嬉しかった。・・・おかしいかな?」
(う・・・)
かごめは上目遣いで犬夜叉を覗き込む・・・。
「・・・し、しらねぇよっ・・・(照)」
「ふふ。照れてる照れれる」
「照れてなんかねー!」
犬夜叉が一番弱いもの。
それはかごめの涙と・・・。
笑顔。
「ねぇ・・・。ずっと・・・こうしてそばにいてもいい・・・?」
「ずっとって・・・」
(あ、朝までってことか(緊張))
犬夜叉、何か勘違い。
「このさきもずっと・・・。大人になっても・・・」
「・・・。けっ・・・。勝手にしやがれ・・・」
「うん・・・。勝手にする・・・」
かごめは犬夜叉の腕にそっと絡んだ・・・。
「しばらくこうしてるね・・・」
「・・・か・・・勝手にしやがれ・・・(嬉)」
かごめの匂いが犬夜叉の鼻を香って・・・。
更に何だか柔らかな感触が・・・
(・・・)
犬夜叉、動揺・・・。
「ん・・・?どうかしたの?」
「ど、ど、ど、どうもしねぇッ(滝汗)」
「そう・・・」
かごめも変わっていないけど・・・。
確実に”女”なのだと犬夜叉は意識させられて・・・。
(・・・何しゃべっていいかわかんねぇけど・・・。ずっと
こうしていたい・・・)
自分にもたれかかる小さな肩を
ずっと守って生きたいと思う・・・。
「かごめ」
「なあに?」
「・・・ずっと・・・側にいろよ・・・」
「うん・・・」
絡めあった手の平をを握り合う・・・。
約束・・・。
今もこれから先も変わらない・・・。
隣にいるのはいつも・・・。
貴方だから・・・。
FIN
リクエスト二位「犬かご現代版幼なじみ」。
い、如何でしたでしょうか(汗)なんかかなり、
お約束的展開になってしまいましたが、ラブラブな雰囲気にした
つもりでございます(汗)ちなみに夜、学校に閉じこめられた二人は
一晩一緒に過ごしました(邪)・・・そちらの方は個々でご想像くださいませvv
・・・マットが布団じゃ固いだろうなぁ・・・(ポそり)