戦国時代のシンデレラ
〜口付けの罠〜
後編


「城が・・・焼け落ちましたね・・・」



丘の上から崩れ落ちる鷹丸の屋敷をながめる犬夜叉達・・・。





「鷹丸はなにかの霊にとりつかれておったのじゃろうか?あの邪気はそうとしか・・・」



「さぁ・・・。でも母親への執着・・・があそこまでおいつめたのでしょうな・・・」




「ちょっと可哀想な気もするけどね・・・」




シリアスな表情で事の顛末を語っている弥勒達の横で。



バチッ。



バチッ。



変な音がしている。



「・・・鷹丸の呪いは消えてないようじゃの」




かごめの横で犬夜叉は結界にはじかれていた。




「・・・さ。珊瑚七宝、私達は向こうへ行きましょう」




「おい、まちやがれ!弥勒!かごめの結界なんとかしろよ!」




「私がしてもいいのか?かごめ様のその結界は月が満ちるまでに
男子が口付けをするのだろう?お前がいいのなら私はまったくかまわんが・・・」



弥勒の背後からすごい殺気が。



(・・・珊瑚。怖すぎる・・・(汗))



「と、とにかく、かごめさまを治すのはお前しかいないのだからな!
男なら照れや意地をすて、どーんと決めなさい。では私達はこれで」



少し残念そうな顔を浮かべながら弥勒達は
その場から離れた。






ヒュー・・・。





二人残されて・・・。





「・・・」




「・・・」



”どーんと決めなさい”




吹く風に弥勒の言葉が響く・・・。







「・・・あ、あの・・・。犬夜叉・・・」




「・・・」



ドキドキ。



犬夜叉は何をどうしたらいいか混乱しとっさにかごめに背を向ける。



しかし迷っている暇はない。



段々と半月だったのが丸みを帯びてきていて・・・。





「あの・・・。えっと・・・。とにかくこっちにきて・・・」




何だか妙に色っぽいかごめの声に犬夜叉の動悸が・・・。





「犬夜叉・・・背中なんて向けないでよ・・・。寂しいじゃない・・・」





(かごめ・・・)




かごめの声に導かれるように犬夜叉はかごめの元へ行き、


向かい合って正座して座る。





「・・・あ、あの・・・その・・・」




「あのね。私さっき嬉しかったの」



「え・・・?」




”お前をたすけるためらこんな結界へでもねぇっ・・・”




結界の反発で傷を負っても



かごめの手を求めてくれた犬夜叉が・・・。





「・・・それだけでも嬉しかったのに・・・。それ以上望んだら
贅沢だね。私」




「・・・べ、別に・・・」





「でもね。私、犬夜叉いいの・・・。口付けしてくれるのは・・・。
犬夜叉がいいの・・・」




(かごめ・・・)





「・・・これ以上・・・照れくさいこと言わせないでよ・・・」




頬を染めるかごめ・・・。




(かごめ・・・)







自然と犬夜叉の手は震えながら・・・かごめの肩に向かう・・・。





バチッ。


結界の反発なんか目に入らない。







両肩に触れられかごめはビクッと反応させて・・・。





「犬夜叉・・・」






かごめは目を閉じる・・・。





自分と犬夜叉の間を阻む結界を消して欲しい・・・




今だけは自分を見て欲しい・・・。



そう思って・・・。





(かごめ・・・)






自分を必要としてくれる女。



自分が心のそこから必要としている女・・・。




その女が


目を閉じて自分の目の前にいる・・・。




その事実は犬夜叉の体を


熱く


熱く



熱く



させる・・・。





熱は唇に伝わって




かごめにも伝えたい・・・。





自分の想いを・・・。









ゆっくり・・・近づけていく・・・。






桃色の唇に伝えたい・・・。







あと一センチで・・・。










「ふわ・・・くしょんッ!!」






犬夜叉のくしゃみでかごめはぱちっと目を開けてしまった。






「・・・」




「・・・」





なんだか・・・一気に熱がさめてしまったようなかんじ・・・。






「・・・。あ、あ、わ、わ、悪い・・・っ」



犬夜叉はぱっと肩から手を離してしまった。





「・・・ふふ・・・。犬夜叉らしいなぁ・・・」




「わ、わ、笑うなっ」




「でもそんな犬夜叉は私はスキナンダ」





「えっ・・・」








CHUッ・・・







(今なんかやわらかい感じが・・・)




一瞬。





ほんの一瞬。




甘い香りがした・・・。







「お前・・・っ。不意打ちかよッ」





「・・・。満月になっちゃったんだもん。ふふ・・・」





見上げると明るい月光が二人を照らす。





優しい光だ。



かごめの周りを覆っていた結界はいつのまにか消えて・・・。





かごめは犬夜叉の懐に寄り添い足をたたんで身を寄せた。







「私・・・。好きな人とキスするより・・・。こうして一緒に同じものを見てるほうが
やっぱり好きだな・・・ね・・・。あんたもそうおもはない?」




「・・・。けっ・・・。やっぱり女ってのはわかんねぇ・・・」




「うふふ・・・」







結界を解いたキスはなんだか拍子抜けなキスだった。





でも・・・。







口付けより素敵なこと・・・




貰えたから嬉しい・・・。







好きな人と同じ空を見ること。



同じ時間を過ごすこと・・・。






情熱的なキスよりずっと・・・。






素敵な思い出になるから・・・。








すみません(__;)スランプに陥ってしまって、やっとこさ 完成させたのですがラストがなんかイマイチ締まりませんでした(汗) やっぱりリクエストっていうのは難しいですね。でも少しでも 読んでいただけたら本当に嬉しい限りです・・・