照れ屋の雪だるま
雪<が積もる。 かごめの奴が、朝っぱらからうるせぇんだ。 「ねぇえ。犬夜叉、雪だるまつくろうよ!」 オレの衣をひっぱって外に連れて行く。 ・・・。ったく。朝からよくはしゃぎやがって・・・。 でもかごめが笑ってると・・・ なんつーか・・・。 逆らえなくなっちまう。 外は寒いのに・・・。 「きゃああ。ふふふ!ねぇ見てみて!犬夜叉。雪だよーー!」 両手を広げてにこにこ笑ってはしゃぐかごめ。 ・・・子供そのものだって思うけど。 「真っ白で綺麗だねー・・・。ねぇほおら!」 粉雪をかごめは無邪気に触ってはしゃぐ。 ・・・けっ。なんで雪ぐらいでこんなに喜べるんだ・・・。 今でも不思議だ。 かごめって女は・・・ 「きれーい!雪ーー!」 オレがなんとも思わないことで笑って 喜んで・・・ けど・・・。いつのまにか かごめの笑顔から・・・目が離せなくなっちまって・・・ 「犬夜叉ー・・・!」 (ドキ) かごめの笑った顔見たら・・・ 胸の奥が・・・訳がわからねぇ緊張がはしっちまう。 ぽって・・・火照るっていうか・・・。 「犬夜叉?どーしたのー?」 「な、なんでもねぇよっ」 かごめにこんな気持ち、知られたくねぇ・・・。 オレはぷいっとそっぽをむいてしまった。 こうとき・・・。なんつーかかごめの顔、まともにみられねぇんだ。 ふぅ・・・。 「変なの。うふふ。まぁいいわ。ねぇあんたもてつだってよ」 「あ?」 「雪だるまつくるの。うふふ」 かごめは雪を丸く集めて転がし始めてやがる。 一体、何、つくるつもりなんだ? 「ちっ。仕方ねぇな・・・」 かごめの細い腕じゃ重たそうな雪玉をつくれそうにもねぇからな オレも手伝う。 ったく・・・。 「よいしょ、よいしょ」 一つの雪玉を二人で押してつくる。 ・・・。こんなもん、つくって何が楽しいのか。 でも・・・ かごめ・・・嬉しそうな顔してる・・・ 「だいぶんおっきい雪玉できたよね。これを・・・。犬夜叉、うえにのっけてくれる?」 「ちっ、ヒト使い荒いやつだな」 言葉ではつい、乱暴にいっちまうけど・・・ かごめが喜ぶ顔はおれは見たい。 「耳、つけちゃえば。ほーら。犬夜叉の雪たるまのできあがりv」 「なっ・・・」 まるっこいだるまの頭に葉っぱで耳つけたかごめ。 「結構似てるでしょ?」 「にてねぇよ!けっ」 「そう?うふふ・・・」 オレが怒ってるのに、かごめは笑い飛ばす。 ・・・いつからだろうな。かごめのペースにオレはいつのまにか乗せられて いて・・・。 「犬夜叉、冷たいでしょ?あっためてあげるよ」 (え?) かごめの突然の言葉に かなりドキっとしてしまう。 な、何かしてくれんのか!?? ・・・と思ったら。 「犬夜叉だるまさん、クリスマスプレゼントあげる」 CHU! な!! か、かごめの奴・・・。雪だるまのオレに口付けしやがった・・・! 「つめたぁい。犬夜叉のほっぺ」 「・・・」 な、なんか・・・オレの頬までくすぐったくなる。 でも・・・なんか少し羨ましいような気が一瞬した。 「犬夜叉。もしかして犬だるまに妬いちゃった?」 「ばっ・・・。そこまでオレはガキじゃ・・・」 (えっ・・・) かごめは背伸びをして・・・ オレの頬に 唇を・・・触れさせた。 (・・・や、やわらけぇ・・・) って何オレは思ってんだ・・・! 「やっぱり・・・。”本物”のほっぺの方があったかくて・・・。 いいな」 (・・・) な、な、なんちゅう目をしやがる・・・。 上目遣いで・・・ ・・・あ、な、なんか・・・やべ。 腰のあたりが・・・熱くなってきやがった。 「・・・かごめ」 「なあに?」 「・・・。今晩覚悟しろよ」 「うん・・・。覚悟いっぱいしておくねv」 か、かごめの奴・・・ 肩をすくめて照れやがる・・・ ・・・ち、畜生・・・。かごめの声があんまり可愛すぎて まともに顔がみられねぇ。 ・・・いつの間にだよ。 こんなにかごめにそっごんなオレって・・・ 「手、つないでいい?」 「お、おう・・・」 かごめの手・・・ 雪、さわってたせいでつめてぇけど・・・ すぐに暖かくなった・・・ ・・・オレが一番好きなあったかさに・・・ 「ねぇ。照れてる?」 「ばっ。誰が・・・」 「雪たるまの犬夜叉も照れてるみたいね。うふふ・・・」 雪だるまのオレ。 オレの代わりに照れてるのか? 照れて、少し汗かいてやがるのか? それとも・・・。 オレの熱が伝わったのか・・・? いや・・・違うな。 かごめの温もりが・・・伝わったんだ・・・。 きっと・・・。 「かごめ」 「なあに」 「・・・。お前、すんげぇ・・・あったけぇ・・・」 「うん・・・」 かごめのなんもかんもが あったけぇ。 「かごめ。今夜はオレが・・・そ、そのお前をあっためてやるからな・・・」 「・・・ウン・・・(照)」 オレは・・・ この温もりがなくなったらどうなっちまうんだろう。 そう思うと怖くてたまらねぇ。 だから・・・。 オレはオレのために かごめを守っていく。 ずっと・・・