続・居場所をさがして
〜タンポポの種〜

其の12 悔しいけれどお前に夢中




となりに居るのが当たり前。





朝、起きれば







「おはよう。犬夜叉」






自分に微笑みかけるかごめ。







かごめという存在が自分のそばにあることが当たり前だと犬夜叉は
思っていた。





だから。ちょっとでも離れたりすると・・・




「なにーーー!一週間も!??」






旅行バックに着替えをつめるかごめ。




保育所の職員との慰安旅行で二泊三日、楓荘を空けることになり・・・



其の後ろでなにやら苛苛する犬夜叉・・・








「・・・絶対いかなきゃいけねぇ旅行なのかよ」






「まあね。職員同士の親睦会みたいなものだから・・・。なんであんたが苛苛するのよ」






「お、お前が見たいっていってたビデオ借りてきてやったんだぞ!!なのに・・・ブツブツ・・・」





犬夜叉、要するにかごめちゃんと離れたくないだけらしい。







「・・・ぷっ。そんなにあたしがいないと寂しい?」






「ばっ。馬鹿いってんじゃねぇえ!!何いってやがる。馬鹿いってんじゃねぇ。
何言ってやがる。たかが、三日じゃねぇか。けっ・・・(照)」
」






思い切り無理してます、犬夜叉。











「でも残念だな。犬夜叉と二人きりで『世界の中心で恋をしたい』みたかったのに・・・」






”二人きりで・・・”のフレーズに犬夜叉の心、ドキドキ・・・




「・・・。い、一週間延長して借りといてやるよ」







「・・・ホント!?ありがとv犬夜叉」







「///。べ、別に・・・」








かごめの喜ぶ顔。






もっと見たい。






携帯の待ち受け画面じゃ満たされない。





それが三日も見られないなんて。







(・・・)





「じゃ、弥勒さま、珊瑚ちゃん、楓おばあちゃん、いってきまーす!」






タクシーに乗って行くかごめを
犬夜叉は寂しそうに窓に手を置いて見ている






「・・・けっ・・・。外国にいくわけじゃあるまいし・・・」







犬夜叉はゴロンとベットに寝転がる・・・





チッチッチ・・・








「・・・」








やけに時計の秒針の音が気になる・・・







(くそ・・・。なんかおちつかねぇ・・・)







日曜の午前・・・




いつもならかごめは布団を干しているか



ベランダで洗濯ものを干しているか・・・







”ねぇ。犬夜叉も草むしり手伝ってよー”




庭の花壇の手入れをしたり・・・







(・・・どこにも・・・。いねぇ・・・)






ベランダ・・・花壇・・・






かごめがいるはずの場所を目が追ってしまう・・・









(ちっ・・・。一人で居てもしかたねぇし弥勒と一杯やるか)





ビールを持って向かいの弥勒と珊瑚の部屋をノックする
犬夜叉。




だが応答がない。





(いねぇのか・・・。そういえば、赤ちゃん教室どうのって行ってやがったな・・・)




其の通り。



弥勒と珊瑚はかごめから進められたマタニティ何でも講座
という妊婦の集まりへ出かけていた。






(つーことは。二階にはオレ一人か・・・)







「・・・」






犬夜叉の視線が





かごめの部屋に自然と行く








ドアが少し開いていて・・・









「・・・」








犬夜叉の耳に





悪魔(?)の囁き・・・








”かごめの部屋探索しちゃえよ!”







(だ、だめだ!!いくらなんでもそれは・・・)





キィ・・・












かごめの部屋のドアがまるで犬夜叉に”おいで”と言う様に自然に開いた・・・











(・・・。お、オレは別にかごめの部屋をいじくろうとかってわけじゃねぇ。ただ
窓が開いてるから閉めてやるだけだ。そうだ。やらしい意図はねぇ)







と、自分に強引な意味づけをしてこそっとかごめの部屋に
入る・・・







「・・・」








かごめの部屋にはしょっちゅう入っていたが改めて
感じる・・・









(やっぱり・・・いい匂いだ・・・)







目を閉じて思わず深呼吸してしまうほど・・・











そしてかごめの部屋をじっくり眺める・・・







かごめが使っているドレッサー・・・







(かごめはここで髪の毛といてるのか)








かごめのふわっとした髪を浮かべる犬夜叉・・・








綿菓子みたいだ。







壁には保育所の園児がかいたかごめの似顔絵や
園児達の写真がはられていた。







(・・・オレのはねぇのかよ)






ちょっと妬く犬夜叉。






それから・・・










(はっ)








かごめのタンス・・・







「///」



犬夜叉、秘密の園(?)のようにタンスの引き出しが見えて・・・







(はっ・・・。オレは何を考えているんだ。んなことしちまったら
弥勒より変態だ・・・)







理性をがんばってきかせて、かごめのタンス開封は押しトドメたが。







犬夜叉の足元におちていたのは・・・











(こ・・・ここここここれは・・・ッ!!!!!)







ピンクのブラ発見ーv







きっとさっき、かごめがバックにしまい忘れたのだろう。





犬夜叉、ブラをまじまじ眺める







密かにサイズもチェックしたり・・・





(86-B・・・ってでけぇのかな)







何故か思わず右手をにぎにぎしてみる犬夜叉。


(だああ!!何をしてるんだ
お、オレは拾っただけだぞッ!!落ちてたのを拾っただけだぞッ!!!)




誰もいないのに

必死に心の中で言い訳してます。







(と、とりあえずこれは落ちていた場所にそのままにしておこう(汗))








なんとも嬉しい(?)拾得物との出会いに犬夜叉はドキドキしつつ・・・







かごめのベットにちょこん・・・と座った。










(ん・・・?)






またもや足元に






何かを発見した・・・






(これは・・・)









『my・ダイアリー kagome』








ピンクの表紙・・・







(かごめの・・・日記!!!!)








これはある意味・・・






かごめのタンスより






犬夜叉にとっては”秘密の園”だ・・・










(だ・・・。だめだ。いくらなんでも・・・。そこまでオレは落ちぶれちゃいねぇ)












「・・・」










目を逸らそうとするがチラッと日記帳が気になり見る。








(や・・・やっぱりだめだ。人間としてしちゃいけねぇ・・・)







犬夜叉は見たいという衝動を抑え日記帳を机の上に帰そうとした・・・







「あっ・・・」







パサッ・・・






手がすべり日記帳は絨毯の上に落ち、中が開いてしまった・・・










(ひ、拾はねぇと、元の位置に・・・)









『●月×日 今日 犬夜叉と久しぶりにショッピングに行った』






日記の出だしが犬夜叉の目に入ったが最後・・・









かごめの文字を犬夜叉の目は追って読み始めてしまった・・・









『犬夜叉ったらあたしがせっかく選んだ洋服に何にも言ってくれなかった。
・・・ちょっと犬夜叉を誘ってみたかったのに・・・』





(さ、誘うって・・・。ど、どういう意味だ!??)





犬夜叉、日記を両手で持って思わず正座。







『でも”他の男がじろじろ見るからやめろ”って言ってくれた。嬉しかった。
セクシーな服は本当に好きな人にしか見せたくないものね』






(・・・じゃあオレに着て見せてくれるってのか・・・(照))







それから続きをさらに読む。






『・・・ショッピングは途中まで楽しかった。犬夜叉はやっぱり意地っ張りで
子供っぽいしわがままだけど・・・』





(なっ。悪かったな)







『そんな犬夜叉が好きなんだってすごく思う。ううん大好き』






(///)






その一行だけ何度も繰り返して読む









『でも・・・。あの”メロディ”が流れてきたら。犬夜叉の表情が一変に変わった。
”私に決して見せない顔”の犬夜叉になった』








(・・・)







うきうき気分でかごめの日記を見ていた犬夜叉だったが・・・
その二行ですぐ心が重くなる・・・








『一瞬。ほんの数秒。あの音色に反応したときの犬夜叉の瞳には・・・。
わたしは映っていない。一瞬、私は片思いになる』







(・・・)









『犬夜叉が悪いわけじゃない。わかっているけど・・・。桔梗の面影を追う
犬夜叉の顔が胸を締め付ける・・・』







(・・・)










『自分の嫉妬に負けてはだめだ。犬夜叉は私のそばにいてくれるって
言ってくれたのに・・・。もっとしっかりしなくちゃ。
どんなことも受け止められる大きな器の女性に私はならなくちゃ・・・いけない』










パタン・・・












「・・・」







犬夜叉は静かに日記を閉じた・・・













(・・・もう・・・読めねぇ・・・)












かごめの本心






かごめの心






これ以上覗いてしまったら








(オレは・・・かごめのそばにいちゃいけねぇって・・・
思っちまう・・・)











傷つけているのは自分







悩ませているのも自分














本当はかごめを幸せにするのではなく
不幸せな想いをさせているのかもしれない







(けど・・・オレは・・・。オレは・・・)

























かごめと一緒にいたい
















離れるなんて想像できない・・・


















(かごめ・・・。早く帰ってこいよ・・・。早く・・・)















離れていたら












不安が募る













もしかしたらかごめは自分から離れようと決意しているのではないか











微妙な心のずれが起きるのではないか・・・










(かごめ・・・)












犬夜叉はかごめのベットに静かに横になった・・・







自分の汗臭い固いベットとは違い




干したてでふわふわと柔らかいベット・・・










犬夜叉はそっとベットを撫でる・・・










ここでかごめはいつも・・・






眠っている・・・
















くの字に体を曲げる・・・











シーツの肌触り・・・








(・・・日の匂いがする・・・。かごめの匂いだ・・・)










シーツにくるまる・・・








ここでかごめは毎晩どんな夢をみているんだろう・・・










(・・・夢ん中には・・・オレは出てきてんのかな・・・)












かごめが眠っている







かごめのヌクモリが





残っている・・・










(かごめ・・・・)













寂しい・・・






寂しいということはなんて





心細いことなんだろう









自分の魂がどこかへ行ってしまうみたいに







力が出ないんだろう。












(かごめ・・・。早く帰ってこえねぇかな・・・)











シーツのぬくもりより








この腕に






この手で







かごめを抱きしめたい











(かごめ・・・)


















犬夜叉は









かごめの匂いに包まれ













いつのまにか眠った・・・












「・・・やしゃ」 (・・・ん) 「犬夜叉!」 犬夜叉が目を覚ますとかごめが・・・ 犬夜叉、かごめの枕を抱えたまま飛び起きる。 「わッ!!!!お、オレは何にもしてねぇぞッ・・・っ。タンスみたり 机の引き出し見たりなんて・・・っ。って・・・はっ・・・(汗)」 犬夜叉、寝起き座間、3秒で自供。 「ふーん・・・(怒)タンス見たり、机の引き出し見たりしたんだ・・・」 「・・・(汗)」 犬夜叉、上目遣いでかごめが怒らないかとびくびく・・・ 「お、お、お、お前こそどうして・・・。帰ってくるの早いじゃねぇかよ」 「同僚の一人が体調悪くなっちゃって、旅行は取りやめになったのよ。 それで早く帰ってきてみれば・・・。あんたって人は!いくら恋人でも勝手に部屋の 中あらしちゃだめでしょ!」 「・・・う・・・」 犬夜叉は絨毯の上に鎮座。 その構図は悪戯したお子様と子供を叱るママです。 「・・・。まぁいいか。せっかく犬夜叉とゆっくり出来る時間できたんだし・・・」 かごめは旅行バックを肩から下ろすと正座する犬夜叉の横に足を組んで静かに座った。 「・・・怒ってねぇのか」 「怒ってるけどー・・・。二人きりの時間を楽しく過ごすほうが大切だもの。ね?」 「///」 犬夜叉は思わずかごめの肩を抱こうとするが 「そうだ。あんたが借りてきたビデオ、せっかくだから見よう!」 「お、おう・・・」 タイミングを逃し、手はズボンのポケットに納める・・・ 『夏のソナタ』 最近若い女性に人気の純愛ドラマ。 かごめは食い入るようにテレビの画面を見ているが・・・ 犬夜叉は (・・・。かごめの匂い・・・) ベットの残り香より鮮明に 鼻腔に伝わる かごめの匂い。 ”かごめがそばにいる” 確かに体全部で感じて・・・ 体の奥がクラクラ 何かが沸き立つ・・・ 「・・・!!」 肩にふわっとした感触・・・ 寝息をたてるかごめの頭が寄りかかって・・・ 「スー・・・」 「・・・。んっとに・・・。こいつはどこでもいつでも寝やがる女だな・・・」 せっかく 二人きりになれったっていうのに・・・ (・・・) 何を思ったか。 (誰もいねぇな) ガチャリ。 部屋に中から鍵を閉める・・・。 「・・・」 そして壁にもたれかかり眠るかごめをそっと抱き上げベットに寝かせる・・・ 毛布をかけ 犬夜叉はかごめの枕元に頬をついて かごめの寝顔を眺める・・・ (・・・。キモチよさそうに寝やがって・・・) だけど こうしてかごめの寝顔を独り占めしているのも 悪くない・・・ 「うん・・・ン・・・ッ」 かごめの寝声に犬夜叉思わずドキッとする・・・ (・・・。そんな誘うような声だすな。(汗)) かごめの寝顔、声・・・ 仕草に心が反応する (頬・・・。あったかくてさらさらしてる・・・) 手の甲で触れるかごめの頬 桃色に染まって 赤子の肌のようにすべすべで・・・ (女の唇って・・・) 指の腹でなぞるかごめの唇は 小さな風船のように柔らかく (もっとかごめを見つめていたい・・・) 好きな女をずっと一人締めする キスするより 抱き合うより・・・ もっとドキドキする・・・ (ずっと・・・ずっと一緒だ) 離れたくない かごめの手をぎゅっと握り締めながら犬夜叉はいつまでも かごめのそばにいて思う・・・ (悔しいけどオレは・・・) ”かごめに夢中” だ・・・

・・・私は毎日毎秒かごちゃんに夢中です(おい) 犬くんにまけてられないわッ(笑)余談ですが。いくら恋人同士とはいえ タンスあさりまでは許せても(許せません)日記はみちゃいけませんよ。 やっぱり親しき仲にも礼儀ありですから。親兄弟でも同じです。 ということで犬くんの場合は事故ということで・・・(汗)