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続・居場所を探して
〜タンポポの種〜


其の十五 フェロモン

(俺はやっとかごめと1回・・・) 浴槽の中で犬夜叉が思い浮かべている。 ニヤっと顔がかな〜りしあわせそう (・・・1回した。1回・・・) かごめの唇の感触・・・ ふわっとしてて・・・ 溶ろけそう・・・ (ってー!!オレは何を考えてんだーー!!) 自分で照れながらお湯に顔をつける犬夜叉・・・ だがかごめとやっとキスまでこぎつけてから犬夜叉は一層・・・ (かごめの近くにいると・・・。なんかやばいンだよ) 脈拍が多くなってドキドキする・・・ ”結婚するまでは・・・清い関係でいようね” 別にかごめとそう約束したわけじゃないけれど、やっぱり男は (筋を通さねぇとな) 硬派を決め込む犬夜叉だが・・・ 「あ、犬夜叉。お風呂からあがったんだ。ビール冷えてるよ」 髪を拭きながら食堂に行くとかごめがビールを用意して待っていてくれた。 湯上りのかごめがパジャマ姿で ビールをコップに注ぐ。 まだ濡れた髪をアップして ほつれ髪が耳の横から少したれて・・・ しなやかな白い首筋が犬夜叉にはとても気になって・・・ 「わ・・・わるいな」 「なに謙虚なこといってんのよ。犬夜叉らしくないなぁ。 ハイ乾杯」 コチン。 コップの淵を合わせ乾杯。 かごめはこくこくとビールを飲む・・・ (・・・) コップを握る手つきが。 ビールを飲み込むときの咽元が・・・ 妙に色っぽく見える・・・ 「・・・?どうしたの?じっと見つめて」 「なっ・・・。なんでもねぇよ。なんでも・・・っ」 犬夜叉はかごめから少し視線を逸らすように横を向いてビールを ごくんと飲み干す。 「ふふ・・・。なんかいいよね。こういうの」 「なにがだよ」 「夫婦でお酒飲むって・・・。なんか・・・さ」 「・・・」 ちらっとかごめは嬉しそうな視線を犬夜叉に送る。 かごめの仕草一つ一つに ドギマギして 犬夜叉は落ち着かなく・・・ 「ハァ・・・。美味しい・・・」 (・・・っ) かごめの吐く息さえ・・・一瞬ゾクッとした 「あ。そうだ。私ゴマちゃんのご飯忘れてた」 かごめは慌ててドックフードの袋を持って庭に出た・・・ (・・・ほっ) かごめがその場を離れて少しほっとする犬夜叉。 コップに残ったビールをゴクゴクと飲み干していると・・・ 「・・・かごめ様、フェロモンがモンモンみなぎってますなぁ」 ゴフッ!! ぬっと現れた弥勒の一言に犬夜叉くん、お口からビールをシャワー。 「て、て、てめぇッ!!ヒトの背後でヤラシイ単語吐くんじゃねぇよッ(動揺)」 犬夜叉、パジャマの袖口でお口をフキフキ・・・ 「ヤラシイのお前の目つきでしょう。ったく・・・。お前の周りは発情オーラが メラメラ・・・」 「だ、誰がッ・・・(真っ赤)」 「でもまぁ。それも仕方がない。かごめ様は今、一番 輝いている時期。幸せを感じている 結婚前のおなごのフェロモンも一番みなぎる・・・」 「だからそのヤラシイ物言いをやめろってんだ・・ッ(怒)」 犬夜叉、弥勒からビール瓶を取り上げる。 「格好つけおって・・・。キスの一つもしてない臆病もののくに・・・」 「ば、バカにすんなっ!一つはしたッ」 (・・・はっ・・・) 犬夜叉、自爆・・・ 「・・・。1回ぐらいのキスで・・・。ふっ。私などもう 子を仕込みましたよ(自信満々)」 弥勒、父親になる貫禄(?)を見せ付ける・・・ 「て・・・てめぇと一緒にすんじゃねぇッ。お、オレはあくまで な、筋を通すッ!!」 腕組みをして犬夜叉、背筋をピン!と伸ばす。 「でもねぇ・・・。かごめ様からは男をコロッとさせる”匂い”が今、 満ち満ちてますよ。お前だって感じてるんでしょう・・・?」 弥勒、つんつんと肘をついて犬夜叉を煽る。 「か、か、感じてねぇっ!!!ったく・・・!」 顔を真っ赤にさせてぷいっと顔を背ける。 「・・・犬夜叉。何なら私が教えてやろうか」 「何をだ」 弥勒、犬夜叉の耳もとで囁く・・・ 「・・・初夜の過ごし方・・・」 「な"っ・・・」 「今から知っておけば・・・。役に立ちますぞvv」 「い、いるか、そんなもんッ!!」 だが弥勒はさらに犬夜叉の耳元で囁く・・・ 「・・・いかにおなごに甘い夢をみせるか・・・。まずはですな・・・」 ごにょごにょ・・・ (!??????????) 犬夜叉、弥勒の秘策(?)を囁かれ、あまりにも 濃厚な内容に大混乱! 「・・・でですな、おなごの浴衣を・・・」 (〇△×■★?※ーーーー!????) 只今。犬夜叉クンの脳内で、仮初夜映像が妄想されております 「それでおなごの耳元から・・・(ここから先は18歳未満お断り)」 (・・・!??????) 更に濃厚なシーンが妄想されております。 「・・・となれば、ハネムーンベイビーも間違いなし・・・ですぞ・・・って あら・・・」 「・・・(茹蛸並に赤面)」 犬夜叉、耳の先まで赤面し、さらに妄想しすぎて思考停止で動かず・・・ 弥勒、つんつんと犬夜叉の頬をつねる。 「・・・ふぅ。本当にウブイですなぁ。これじゃあ本番のときどうなるか・・・」 と、弥勒、背後になにやら殺気を感じる・・・ 「さ・・・珊瑚・・・(冷や汗)」 珊瑚が仁王立ちしていた・・・ 「あんた・・・。犬夜叉とかごめちゃんのピュアな二人をぶち壊してどうするの!!」 「い、いや。だから私はさらにピュアな赤子が産ませ方を・・・」 珊瑚ママさん、キレマシタ♪ 「ちっとは父親になる自覚もたんかーい!!! 助平根性叩きなおしてやる!!」 「ひぃぃぃー・・・お助けを〜!!」 弥勒、その後、珊瑚から父親になる教訓第30条を夜中まで聞かされたという・・・。 ・・・合掌。 そして犬夜叉は・・・ (浴衣が乱れて●●●。それで・・・) 一晩中、犬夜叉の脳内の映画館はかごめとの一夜が上映されておりましたとさ・・・ ・・・合掌。 翌日。 (くそ・・・。弥勒病が移っちまった・・・) 目が真っ赤。 結局一睡も出来なかった犬夜叉。 (暫くかごめには近づかないでおこう・・・。体がもたねぇ・・・) 仕事にも身が入らない。 犬夜叉は一週間はかごめに半径3メートル以内近づかないことを決意するが・・・ 〜♪ (・・・!) かごめからのメールの着信音。 犬夜叉は3秒前の決意もどこへやら、すぐさま携帯に見る 『今日、早く保育園終わったの。一緒に帰らない?駅前で待ってる  かごめ』 (///) 犬夜叉は早く今日の分の仕事を切り上げるため、急に のこぎりさばきがヒートアップ! そして仕事を見事に夕方までに切り上げて、 すぐに駅前に向かう・・・ すると。 (ん?) 駅の改札口前でかごめの姿が見えたが かごめに2人の若い男が囲まれていた。 「ねえ。君、かわいいね。一人?」 「いいえ。彼をまってるんです!」 「えー。でもさぁおれらとあそぼうよ。すっごいおいしい焼肉の 店しってんだー!」 男の一人がかごめの肩に手を回した瞬間・・・ ぐっと男の手を掴む犬夜叉・・・ 「おい、てめぇら。骨おられたくなかったら失せろ」 般若のように男達の前に立ちはだかる犬夜叉・・・ 男達は犬夜叉の迫力にあとづさりして立ち去った・・・ 「犬夜叉・・・。ありがと、助かった・・・」 「・・・(照)けっ・・・。あ、あんな野郎どもにひっかかる お前が悪いんだ」 「な、何よその言い方っ。早く犬夜叉に会いたくて待ってたのに・・・」 (///) あんまり可愛らしく言うので犬夜叉、言葉がない。 「・・・ま、と、とにかくお前の買い物つきあってやるから 行くぞ」 「うん!」 かごめはそっと犬夜叉の腕を組んだ。 「・・・あ、あんまりくっつくなよ・・・。あ、歩きづらいだろ・・・(喜)」 「いいじゃない。たまには・・・」 ”かごめさまの『匂い』お前だって感じてるだろ・・・?” 弥勒の言葉どおり かごめからいい香りがする・・・。香水とかじゃない・・・ ドキドキしながらも犬夜叉はかごめの買い物に付き合い、 その帰り・・・ 「結局オレの役目はこれかよ」 紙袋をいくつも持たされる犬夜叉。 「体力ありあまってるんだからいいでしょ!」 (・・・。さっきの方がよかった) 腕を組んで歩いていた時が幸せだったと思い出す犬夜叉。 するとかごめが急に立ち止まった。 「・・・。なんだよ。黙りこくって・・・」 「犬夜叉・・・。さっきかっこよかった」 「なっ。なんだよ急に・・・」 犬夜叉はぷいっと顔を背けて照れ隠し。 「何だかね・・・。私最近変なんだ・・・ ・・・。犬夜叉のそばにいると・・・。すごくドキドキするの・・・」 (えっ・・・) 自分と同じ症状・・・ (・・・も・・・もしかしてかごめも・・・) ドクンッ 犬夜叉の鼓動が激しくうなった。 「・・・。どうやったらこのドキドキが治るのか・・・」 「・・・どっ。どうやるんだよ・・・っ」 「・・・こうするの・・・」 (こ、こんな道端でキスすんのか!??) 犬夜叉、勝手に憶測して早速目を閉じる・・・。 だが・・・ (・・・ん?) そっと手を握られた (なんだよ・・・キスじゃねぇのか) がっくり、犬夜叉。 「・・・。一番大切な人と・・・一緒に歩いていく・・・。 今、一番の私の幸せなの・・・。って言ったらまた、こっぱずかしいって 怒る・・・?」 「・・・べ、別に・・・。手ぇ繋いであるくぐらいどうってことねぇ・・・」 「アリガト・・・」 犬夜叉もかごめの手をぎゅっと握り返す・・・。 手を繋ぐ・・・ キスもしたけど 何だかそれより満たされた気持ちになる・・・ 不思議だった・・・ 手を繋いで 同じ道を歩く・・・ 同じ道を・・・ (・・・オレは・・・かごめと一緒の人生を生きていこうとしているんだな・・・) 穏やか気持ちで そう実感できる・・・ 一人じゃない人生・・・ 「かごめ」 「なに・・・?」 「・・・。ずっと・・・一緒に・・・いような・・・」 「・・・うん・・・」 幸せな気持ち あったかい気持ち・・・ 大切な人が隣いることがなによりもの媚薬。 幸せのエッセンス。 幸せのフェロモン。 二人の手を中から溢れてくるのだった・・・