続・居場所を探して

〜タンポポの種〜

其の十八 愛していると言えなくて
「やっぱり・・・。好きなおなごに純白のドレスを着せるのが 男たるものだろう!」 弥勒にそう言われ、式だけはあげることにしたのだが・・・ 休みの日、犬夜叉とかごめは 手作り”結婚式”の予行練習をしていた。 「絶てぇえに嫌だ」 指輪の交換までは犬夜叉はぎこちないながらもやれるのだが・・・ 弥勒が神父役なのだが・・・ 犬夜叉が ”貴方は日暮かごめに永遠の愛を誓えますか” という質問にどうしても応えられない。 「あんたねぇ、このごに及んで男らしくないわよ!あんた、私を誓えないって言うの!??」 「ばっ。お、男がそんなこと・・・」 「犬夜叉・・・。神聖な神の目の前ですぞ。妻となる女性に愛が誓えないとは・・・」 弥勒、十字架を切って犬夜叉を説得するが・・・ 「てめぇのどこが神聖なんだ。助平神父が」 「男ならね!堂々と言うものでしょ!結婚式ぐらい 照れなんか捨ててくれたっていいじゃない・・・。もうしらないっ」 「あ・・・かご・・・」 バタン! すっかりお冠のかごめはバタバタと二階に上がっていってしまう・・・ 「犬夜叉・・・。お前の不器用さはどこまで行くんだ」 「・・・だ、だってよ・・・(汗)」 ポリポリと鼻をかく犬夜叉。 「今時な・・・。指輪もいらない、結婚式はしない、ドレスもいらない・・・。そんな謙虚 なおなごはそうはおらんぞ。犬夜叉。お前な・・・」 「じゃじゃあてめぇは珊瑚に気障ったらしい台詞言ったりしてんのかよ」 「毎日、毎朝。愛してるといってキスしてから出社するが?」 弥勒神父、自信満々。 「・・・お、オレはお前と違うんだよ。ったく・・・(汗)」 「別になぁ。毎日言えといってるわけじゃない、結婚式だぞ結婚式。 人生の節目だ。決め台詞ぐらい言えなくてどうする」 「・・・」 かごめへの気持ちは今も溢れんばかり。 だがいざそれを言葉にしようと思うと・・・ 「か、かごめ・・・あ、あ、あい・・・あいあい・・・」 自分の部屋で手鏡片手に愛の告白の練習をする犬夜叉。 だが・・・あい・・・まではいえるのに最後までどうしても口がまわらない 「・・・だーーー!!なんでオレがこんなことで悩まなきゃいけねぇんだ!」 手鏡を放り投げ、ベットにごろんと寝転がる犬夜叉。 犬夜叉は思う。 どうして女はことばにすることにそんなに拘るのか? (・・・そんなもん・・・。態度でわかるだろ) ”人生の節目だ。決め台詞くらい言えないのか” 弥勒の言葉がひっかかる・・・ (い、いえねぇもんは仕方ねぇじゃねぇか・・・。でもやっぱ・・・。 オレも男だ) 「決め台詞だけが、能じゃねぇだろ!!」 犬夜叉は何かを思いついたようだ。 拳を握って気合を入れる犬夜叉。 (・・・みてやがれ・・・!オレは俺なりのやり方でかごめをに二度惚れさせてやる!) 翌週の休み。 「ん?」 かごめの部屋のドアに一通の手紙が挟まれていた。 『かごめへ』 (この乱暴な字は・・・) 犬夜叉だ。 中の便箋をひらくと・・・ 『今日10時までにこの手紙を持って高台の教会までこい。オレ以外の 奴には気がつかれずに、一人でこい。いいな! 犬』 「・・・。まるで誘拐犯人の手紙じゃない。これ。一体何なのかしら・・・」 犬夜叉のちょっと不器用な画策。 かごめは少し呆れて。でもすごくワクワクして・・・ 着替えるとすぐに教会に向かう。 ギィ・・・ 教会の重たそうな扉を開ける・・・ (わぁ・・・) 静かでひんやりとした空気が流れる・・・ 赤い絨毯の先には十字架が掲げられる。 高い窓はステンドグラス。 (素敵・・・) かごめはステンドグラスに目を奪われる 奥の祭壇に近づいていく・・・ 「・・・ん・・・?」 右側の一番前の座椅子 白い衣装ケースが・・・ 『これを開けろ』 白い紙に犬夜叉の文字で書いてある。 (一体・・・なんなの・・・?) かごめは箱をそっと開ける・・・ 「え・・・」 中には・・・ 純白のウェディングドレスと 一通の手紙が・・・ 『今、男をみせてやるから、覚悟しろ。犬』 「?・・・。どういう意味・・・?」 かごめはウェディングドレスをもったまま首を傾げる・・・ 〜♪ 「!」 静かな教会内にかごめの携帯の着信音がなる。 (この着メロ・・・。犬夜叉だわ) P! 「・・・。もしもし・・・?」 「み、見たか・・・?ど、ドレス・・・」 「うん・・・」 「・・・。一ヵ月後の今日・・・。ここの教会に予約いれといた・・・。」 「え?それって・・・」 「・・・お、お前はし、し、式とかしねぇっていうけど・・・。や、やっぱり オレはきちんと・・・したいしその・・・(照)」 (かごめのドレス姿が見たい) とはやっぱりいえない犬夜叉。 「・・・ふふ。うふふふ・・・」 「なっ。なにが おかしいっ」 「ほんっとに不器用なんだから・・・。”頭隠しておしりもかくさず”。犬夜叉。 見えてるよ」 「え!??」 祭壇の陰に四つん這いになっている巨体が・・・ 「・・・ち、畜生・・・み、見つかってしまった・・・」 犬夜叉はかなり悔しそうな顔をして出てきた・・・ 「・・・。柄にもない演出したわよねぇ・・・うふふふ・・・」 かごめは腹を抱えて笑う。 「わ、わ、わ笑うなッ・・・(真っ赤)お、オレは弥勒が 言ったとおりにしただけで・・・ってあ・・・」 犬夜叉、犯行を自供(笑) 「演出家は弥勒様・・・。ふふふ・・・そんなことだと思ったわよ。 でないとあんたが自分からこんなことしないものね」 「・・・(照)」 犬夜叉、黙秘にはいった模様。 「お、オレはただ・・・」 「いいの・・・。犬夜叉が私のために色々頑張ってくれた。 それだけで嬉しいよ。ありがと・・・」 「・・・お、おう・・・(照)」 かごめはウェディングドレスを静かに胸に当ててる 「・・・でもホントにいいの・・・?犬夜叉・・・」 「・・・お、俺達の・・・スタート地点だ・・・。だから・・・だから・・・」 ドラマで言っていた台詞を犬夜叉は言葉にしようとするが 口が空回り・・・ かごめはくすっと笑って 「不器用さんなんだから・・・」 犬夜叉胸にそっとその身を寄せる・・・ 「・・・。愛の告白はね言葉だけじゃないよ・・・。こうして・・・一緒に いるだけで伝わるから・・・」 「・・・かごめ・・・」 かごめを労わるように両手で包む犬夜叉・・・ 「・・・。し、式の時はちゃんと言ってやる・・・(照)」 「・・・うん。じゃあ、”誓いのキス”だけ練習しておこうか・・・」 「///」 十字架の前。 かごめはウェディングドレスを持ったまま背伸びする・・・ 二人は唇を通して想いを伝いあう・・・ 本番では”愛してる”とちゃんと言葉にしあうために・・・