続・居場所を探して
〜タンポポの種〜
其の二十一 きっと家族「ここ、七宝ちゃんのお部屋にしようね」 二階の一番左奥の部屋。 七宝の学習机やタンスを弥勒と犬夜叉が運ぶ。 机は窓際にタンスは壁際に・・・。 「七宝ちゃん・・・。気に入らない?」 なめるように部屋を見る七宝。 「・・・。センスが悪いのう。この家の男たちは」 「なっ」 七宝6歳児。見た目は可愛い少年だが喋り方や態度は 60歳のおじいちゃんだ。 「・・・かごめ。お前、こんなセンスのない男と結婚するのか?」 かごめの胸にひょこっと抱き上る七宝。 「うん。でも犬夜叉も本当はいい男なのよ。タキシード着せたら すごくかっこいいんだから」 「///」 かごめに褒められ犬夜叉、うれちいv 「・・・ふっ。おなごに褒められ赤面するなんて。・・・子供じゃの」 「・・・(怒)」 犬夜叉の反応が面白い七宝。 さらに七宝は・・・ 「かごめ。オラ、かごめにだっこされるのが大好きじゃ♪」 「きゃっ」 (んなっ) 七宝、ほっぺでかごめの胸にすりすり・・・ 胸の谷間にふわっと・・・ 「あー。かごめのここはえーきもちじゃのう〜。かごめのおっぱい はマシュマロのようじゃ〜」 (ま、マショマロ・・・(照)) 犬夜叉、思わず想像・・・。 「七宝ちゃんたらもう・・・」 「・・・オラ、母ちゃんのオッパイ知らないから・・・。かごめ、 オラ眠い・・・」 かごめの胸に顔を埋めて目を閉じる・・・ 「じゃあ一緒にお昼ねしましょ。犬夜叉、七宝ちゃんの 荷物、後お願いね」 「え、あ、か、かごめ・・・」 かごめは七宝をだっこして 自分の部屋に連れて行った・・・ 「完璧にかごめ様を取られたなぁ」 「・・・けっ・・・。ガキ相手に嫉妬するとでも思ってンのか」 犬夜叉、余裕の顔で机を運ぶ。 流石に結婚を約束してあるだけあって(?)嫉妬犬も大人になったのか・・・ (かごめを母親がわりにしてるだけだろ。子供だ。子供) が・・・ かごめの部屋から聞こえてくる七宝とかごめの楽しそうな声・・・ 「きゃあ。七宝ちゃんたらぁ、突然CHUっなんて。もおっ。エッチなんだから〜vv」 (なっ・・・!!CHUだと!??) ガタン!! 犬夜叉、ピキっと血管浮かせた拍子に運んでいたたんすから手を離す・・・ 「ぎゃぁあああー・・・」 哀れ・・・ 犬夜叉の足にタンスが落下・・・ 犬夜叉の足の親指が真っ赤なったという・・・。 そんな犬夜叉の横で弥勒、ただ、合掌・・・ (・・・ご愁傷様ですぞ。犬夜叉・・・(でも顔は笑ってる)) その夜。 かごめは犬夜叉の部屋で犬夜叉の足の親指にかごめが包帯を巻き巻きする。 七宝はお先におねむです。 「ったくー・・・。七宝ちゃんのからかいにいちいち過剰反応してるから こんな怪我するんでしょ」 「なっ・・・だ、誰が過剰反応だ!!ちょっと手が滑っただけだ」 かごめはきゅっと包帯の先を縛って止めた。 「はいおわり!」 「けっ・・・」 犬夜叉、完璧にご機嫌斜め。 「あのねぇ。七宝ちゃんはねぇ、寂しいの。不安で一杯なの。 笑っておどけて・・・。犬夜叉にはああやって甘えてるのよ。 それくらい、本当は分かってるんでしょ?」 「・・・」 「誰より七宝ちゃんの気持ちわかるの犬夜叉だって。私は思ってる」 かごめは犬夜叉の手にそっと握った。 (かごめ・・・) 「七宝ちゃんが少しでも元気になるように・・・。私達、頑張らなくちゃ・・・ ね?」 「ああ」 かごめは静かに微笑む・・・ なんとなくいい雰囲気に犬夜叉は・・・。 (・・・やべぇ) なんとなくムラっと・・・。 「え・・・。犬夜叉・・・!?」 「かごめ・・・」 犬夜叉はかごめの頬にてを添えた・・・ 「・・・あ、あの・・・」 「・・・お、お前が悪いんだぞ・・・。そういう雰囲気つくるから・・・」 (犬夜叉・・・) かごめも静かに目を閉じて犬夜叉を受け入れる・・・ (・・・かごめ・・・) 犬夜叉も目を閉じてあと1センチでキス・・・ が。 「かごめ、おしっこ〜!!!」 バフ!! 「ふぎゃ!!」 かごめは七宝の声に驚き犬夜叉の頭をクッションで静止。 「あ、し、七宝ちゃんお、おトイレはこっちよ・・・っ」 かごめは慌てて七宝を抱きあげ、二階のトイレに駆け込む・・・ ・・・クッションに埋没した犬夜叉を残して。 埋もれた犬夜叉ははっきりわかる。 (・・・あのくそガキ・・・。ぜってぇ、確信犯だ!!) あの絶妙なタイミング・・・。 (・・・。お、落ち着け、オレは大人だ。七宝の寂しさをなんとか するのが大人ってもんだ) 必死に自分のイライラを抑える犬夜叉ですが・・・ あと1センチでかごめとの4回目のキッスがおあずけとなり やっぱり残念だった・・・ (今度は完璧に七宝が寝たのを確認してからしねぇとな・・・(決心!))※犬夜叉は大人になろうと 必死だが。 七宝の大人顔負けのからかいは犬夜叉の怒りを日増しに増大させていく。 「七宝、てんめぇえ、かごめがつくった(愛をこめて)作った オレの弁当食いやがったな!!」 「ワシは食堂のテーブルに置きっぱなしなっていたものを食べただけじゃ」 爪楊枝で歯をシーシーして涼しい顔の七宝。 「こんの・・・」 「わぁあん。かごめ。犬夜叉がいぢめるぅ〜」 七宝、予定通りといわんばかりにかごめの後ろにささっと隠れる。 「犬夜叉。今日のお弁当はどこかで買って食べればいいでしょ」 「なっ」 「七宝ちゃん、早く学校いかないと」 「はぁい」 太陽にランドセルを背負わせ、ニコニコ笑顔で見送るかごめ・・・ そんなかごめに犬夜叉も流石に苛苛が・・・ 「・・・犬夜叉は大人よね・・・?」 「う・・・」 かごめの言葉に弱い・・・ 犬夜叉は渋々文句を我慢・・・ だが七宝と犬夜叉のいさかいは続いて・・・ 「だぁああ!!七宝てめぇ!!もう容赦しねぇぞ!!」 「うわぁあん。かごめぇええ!犬夜叉がいぢめるぅううう・・・!」 「犬夜叉!」 そんな台詞のケンカが続き・・・ 困り果てたかごめはある提案をする。 「・・・何ぃ!??ピクニック?」 「そ!私、いっぱいお弁当つくるから、七宝ちゃんつれてピクニックいこう!」 ピクニックセットを犬夜叉に見せてかごめは提案。 「ふん!たまの休みを七宝のために使えるか」 「・・・。そんな寂しいこといわないでよ・・・グスン」 (う・・・) 犬夜叉がこの世で一番弱いもの。 かごめの涙。 「・・・。わ、わかったよ。行きゃぁいんだろ。いきゃあ♪」 「うふふ。アリガトv」 かごめは嬉しそうに冷蔵庫をあけておかずの確認をする。 (ああ。オレ。もう尻にひかれてるのかもな・・・) かごめの喜ぶ顔が一番すき。 それに・・・ (七宝にも気分転換になるかもな) なんだかんだ言って、親に置いていかれた気持ちは犬夜叉にも痛いほどわかる・・・ (オレは大人だ。オレは・・・) 犬夜叉はそう呪文のように唱える・・・ そして翌日の日曜日。 犬夜叉たちは公園にやってきた。 芝生の上にピカチュウの敷物を敷いてかごめが お重を広げる。 「おお〜vvピカチュウのおべんとうじゃ〜★★」 玉子焼きと海苔で白いご飯をキャンパスにピカチュウが描かれている。 「どう?おいしい♪」 「うん。おいしいぞ♪かごめ★★」 パクパクピカチュウ弁当をほおばる七宝・・・。 (まだ子供だよな・・・。父親に理由もいわれず置いていかれて・・・) 周囲にいる人間にあたることしかできない、 かごめの言葉がようやく実感してくる・・・ 周りをみれば 父親母親。両親が揃っている親子連ればかり。 ”何故自分には両親がそろわないのか” 子供の力ではどうにもならない現実。 ならばそんな子供達の心を支える大人がいるべきなのも現実・・・ 「おう。七宝。キャッチボールするぞ」 「・・・なんじゃ?急におやこごっこする気か。似合わんのう」 「んっとにてめぇは素直じゃねぇな。いいから、グローブ持て!」 七宝はしぶしぶグローブを手にして立ち上がるが・・・ 「おう。どうした。ずばっと投げて来い」 「・・・。父ちゃんは・・・。このグローブ置いていってくれたんじゃな・・・」 グローブをじっと見つめる七宝・・・ 「・・・取りに・・・。戻ってくるじゃろうか・・・」 ポツリ・・・ 寂しい気持ちが漏れる・・・ (七宝ちゃん) かごめは七宝を抱きしめたい気持ちになる・・・ 「・・・。七宝・・・。じめじめしてんじゃねぇ!!お前の父ちゃんは 絶対に帰って来る・・・!いや・・・俺が必ず見つけてやるから・・・ オレを信じろ・・・!」 「・・・」 「思いっきり投げろ・・・!ほら・・・!」 七宝はボールをぎゅっと握って思いっきり犬夜叉に向かって投げる・・・。 七宝の投げたボールは 犬夜叉に向かって真直ぐ飛んでいき・・・ 犬夜叉は確かにキャッチした・・・ 力強く・・・ 「よし!今度はオレから行くぞ。ちゃんと受け取れよ・・・!」 「ふん。仕方がないから相手してやるかのう」 「・・・(怒)」 ふてぶてしい言葉も ちょっとだけ可愛く犬夜叉には聞こえたり・・・ 子供っぽいパパと年寄りみたいな子供のキャッチボール。 (・・・ふふ・・・。犬夜叉・・・とってもいい顔してる・・・。お父さんの顔かな・・・) かごめは父と子を見守る母の瞳で・・・ 「ちっ。寝ちまいやがって」 散々遊んで七宝。敷物の上ですっかりお休み中・・・ 「犬夜叉。ありがと」 「あん?」 「七宝ちゃんの気持ち、受け止めてくれて・・・。さっきのキャッチボール。 犬夜叉、すごくいい”お父さん”の顔してたよ・・・v」 「な・・・(照)お、オレはそんな老け込んじゃねぇよ」 「ふふふ・・・」 照れる犬夜叉パパ。 かごめママさんはまた少し犬夜叉パパが好きになりました。 「ねぇ。七宝ちゃん真ん中にして川の字になってみようよ。きもちいーんだから」 「やだよ」 「犬夜叉は”やさしーパパ”よねぇ」 「・・・。し、しかたねぇな・・・」 犬夜叉とかごめは七宝を真ん中にして文字通り、川の字になって寝転がる・・・ 青々しい芝生が風になびいて・・・ 心地いい風が犬夜叉たちの頬を通り過ぎてく。 「あー・・・。いい風ふくねー・・・」 「おー・・・」 「雲もふわふわしてて可愛いねー・・・」 「おー・・・」 いつもながらオウム返しの犬夜叉。 「犬夜叉・・・。私達・・・きっと幸せ・・・。きっと・・・」 「・・・」 「だって・・・。大好きなもの同士・・・ね・・・」 かごめと犬夜叉は同時に七宝の小さな手をぎゅっと包む・・・ 一緒にいて楽しい、あったかくなれたら きっとそれが本当の家族。 きっと・・・ 「ふふ・・・。犬夜叉ったらもう寝てる・・・」 七宝の手を握り締めたまま 犬夜叉のいつしか夢の中・・・ 「・・・。二人とも、これから色々あるかもしれないけど・・・。 一緒に頑張ろうね」 犬夜叉と七宝の頬をつんつんっと可愛くつついて かごめは呟いた・・・