其の四十四 スタートライン
その夜。 かごめの母と草太も加わって すき焼きパーティー行われた。 宴会(?)は夜遅くまで続いた・・・。 ・・・というよりやっぱり肉争奪戦で(笑) 賑やかな宴会が終わり、皆が寝静まった夜中遅く。 かごめは目が覚めて二階のベランダに出る。 (・・・月が綺麗・・・) なんだか今日一日ドタバタと過ぎてしまった。 (紙一枚で、好きな人の奥さんになったんんだけど・・・ 実感湧かないな。でも私達らしくていいかな) かごめはふと自分の手を見つめた。 (・・・なんか・・・足りないわよね) そう。 かごめの薬指に・・・。指輪がない。 (指輪欲しいなんて我が儘言えないよね。でも・・・) 月に手をかざしてみる。 (犬夜叉のことだからきっとそのうち”これ、忘れてた。やる”とか 言ってぶっきらぼうに渡すんだろうな・・・) 犬夜叉の照れくさそうな顔が浮ぶ。 「・・・おい」 「犬夜叉・・・」 気がつくと犬夜叉が。 何だかもじもじしている。 「・・・。肝心なモン忘れてた・・・」 「・・・?」 「・・・これ・・・。忘れてた・・・。やる・・・」 ポケットから犬夜叉が取り出したのは・・・ 紺色の指輪の箱・・・。 「・・・な、何だよ。い、いらねぇのか」 「ううん・・・。あんまり想像通りだから・・・」 「けっ・・・」 本当に甘くもロマンチックでもない。 ぶっきらぼうで、適当で・・・。 でも・・・。 「わ・・・すごい。これ・・・。ダイヤ?いくらした?本物?」 「値段聞く奴があるか!!それに何で結婚指輪を偽モン 渡す奴かがるか」 こういうのがいい。 ドラマチックでなくていい。 ありのままで。 「・・・綺麗・・・ね・・・。はめてほしいな」 「え?あ、別にいいけど・・・」 犬夜叉は少し緊張しながら指輪を箱から取り出して・・・ 「・・・。”犬夜叉は日暮かごめを生涯愛しぬくことを誓いますか”・・・?」 「え''・・・(汗)」 「・・・ちゃんと言って・・・」 「・・・(照&焦)」 かごめの細い左手の薬指を持つ犬夜叉の手が震える・・・ 「・・・誓いますか・・・?」 「・・・。ち、ち、ち・・・ち、ちか・・・います」 「私も誓います」 「///」 細い白い指にスッと・・・月明かりに光る指輪がはめられた・・・ 「・・・ありがとう。犬夜叉」 「い、いや・・・」 (・・・) みんなに祝ってもらって。 指輪も貰った・・・。 でも・・・ (でも・・・) ”犬夜叉と桔梗は切れない” 自信がない・・・ 「私・・・。犬夜叉・・・」 「な・・・なんだよ。ど、どうしたんだ・・・」 「私で・・・。いいんだよ・・・ね・・・?犬夜叉の隣にいていいのは・・・。 私で・・・」 「あ・・・当たり前だろ・・・」 「・・・私・・・。自信がない・・・。犬夜叉のこと・・・また疑ったり・・・。 怒ったり・・・。責めたり・・・」 結婚したらもっとそれが酷くなるかもしれない。 禍々しい感情が酷くなるかもしれない。 「大丈夫だ。お前は・・・。強いじゃねぇか。強い心じゃねぇか・・・」 犬夜叉はかごめを慰めるように 髪を撫でる・・・ 「・・・強くないよ・・・。私強くなんかないよ・・・っ。犬夜叉!本当は・・・。 今だってこれからだって・・・。不安で不安で・・・っ」 何度犬夜叉に好きだって言われても 抱きしめてくれても 心の埋まらない不安。 「わた・・・わた・・・私は・・・。欲張りになる・・・。 犬夜叉にこうしてほしい、こうなってほしい・・って」 「・・・かごめ・・・」 喜びに満ちるはずの夜なのに 不安で埋め尽くされるのは何故? 「・・・すまねぇ・・・。オレが・・・オレがお前を泣かせて・・・」 かごめは首を横に振って否定する・・・ 「犬夜叉は悪くない・・・。悪くない・・・。悪くないのに・・・」 「かごめ・・・」 「・・・犬夜叉・・・。私・・・。頑張るから・・・。犬夜叉を信じて・・・。支えて・・・。 だから・・・。だから・・・。そばに・・・おいて・・・ね・・・」 かごめの涙がとまらない 抱えていた不安が 溢れて溢れて・・・ 桔梗の影だけじゃない 自信がなかった。 ずっと ずっと・・・ 「・・・・私でいいんだよね・・・?私で・・・。本当に・・・。本当に・・・」 どこの誰でもなく・・・ 「・・・馬鹿だな・・・。お前以外・・・誰がいんだよ・・・?」 「・・・犬夜叉・・・」 遠かった。犬夜叉の側にいても ずっと遠かった でも・・・ 今は・・・少しだけ 近く感じられる・・・ 「・・・オレの居場所は・・・。お前だけだ・・・」 「・・・犬夜叉・・・」 「やっと・・・。自分らしく・・・。生きていける場所を・・・」 「犬夜叉・・・」 互いを ただ ただ 抱きしめあう・・・ 教会の鐘の音もない。 白いドレスもない。 甘い甘い言葉もないけれど・・・。 ベランダで抱きしめあう・・・。 二人が一緒にいられれば そこがスタートライン。 「・・・約束する・・・。ずっと・・・ずっとそばにいる・・・。 絶対・・・。お前を一人にしない・・・絶対絶対に一人きりにしないから・・・」 「・・・犬夜・・・叉・・・っ」 「一人にしない・・・。お前を信じて支えて・・・。生きていくから・・・。 そばにいてくれ・・・」 「・・・うん・・・」 この先続く長い未来。 死ぬほど痛いこと 辛いことあるかもしれない そんなときは・・・ 抱きしめあおう・・・ 激しい口付けなどいらない とろけるような甘い言葉もいらない ただ・・・ ただ・・・ 抱きしめあおう・・・ 「・・・。お前・・・。やっぱり・・・。いい・・・匂いだな・・・」 腕の中のかごめ。 この世で一番やさしい匂い 流氷を溶かす 春の陽のように・・・ 守っていく。 この優しさを 自分に勇気をくれる この温もりを・・・。 「・・・かごめ・・・。オレと出会ってくれて・・・。ありがとう・・・」 「うん・・・」 「そして・・・これから・・・。よろしく・・・」 「うん・・・」 ありったけの想いを確かめ合う・・・ 力の限り かごめを抱きしめて・・・ 月明かり 花嫁のベールの代わりに 二人を柔らかい月光が包む・・・ ・・・ここから・・・ 二人の人生が始った・・・
ラスト一話で終了です(爆)ネタ切れになってきたのか?という 突っ込みはナッシング(汗)ラストでは犬夜叉のぱんつが 犬かご幸せのキーワード?(決して怪しい意味合いではありません(邪笑)) ということで最後までおつきあい下さいね★