子供の目線で 「あぁああ〜♪あんぽんみゃんッ!!」【おっ。アンパンの兄貴の時間だぜ!】 アンパンマンのビデオをいれたとたん、テレビの画面の前によちよちと 歩いてくる満。 「あぅぱんみゃんあぅぱんみゃん」【今週はアンパンの兄貴また顔食われるのかな】 最近の満のお気に入りはアンパンマンのビデオ。 優しい顔とおいしそうな顔がとっても好きらしい。 「おーい。満。一緒にボールで遊ばねぇか?」 コロコロっとゴム製のボールを満の前に転がすが 満はテレビの画面に釘付けで・・・。 「おーい。満。一緒に輪投げしねぇーか?」 ひょいっとわっかを投げてみるが素通り・・・。 「ばーきーみゃん(バイキンマン)」【あの野郎。また悪さしやがって!】 テレビに夢中の満・・・。 犬夜叉とーちゃんは完全無視のご様子で・・・。 (お、オレはこんなまるっこい顔のヤローに負けたってのか・・・!?) 犬夜叉、父親としてのプライドにひびが入った・・・。 (くそう!こうなったら意地でも・・・!) 「満〜。とーちゃんと遊ぼうぜ〜」 テレビに夢中の満の周りをうろちょろする・・・ 「満〜とーちゃんと風呂はいらねぇか?」 テレビの画面の前にがばっと登場して・・・ 「んやっ!!」【みえねーだろとーちゃん!】 べちんッ!! 楓のようなちっちゃな満の手が犬夜叉の顔面にHIT!! (・・・ぐすん。息子に殴られた嫌われた・・・) 鼻の頭に楓模様をつけた犬夜叉とーちゃんが膝を抱えていじけています。 「・・・ったく。どっちが子供だかわかんないわねぇ」 「う、うるせえ。ち、父親の権威がなくなった気持ちなんて 母親に分かるかよ」 「・・・子供に”媚びよう”とするから子供は見抜くものよ。 子供の目線で見守ってやる気持ちが大切なの」 さすがかごめかーちゃん。元保育士。 言うことに説得力があり、犬夜叉は少しだけ反省しました。 「子供の目線でか・・・。わかった!かごめ!」 「・・・え」 犬夜叉は四つんばいになってテレビを見ている満の側に ほふく前進して近寄った。 (・・・”子供の目線で”。そのまんま実践したわけね(汗)) 実に単純とーちゃんです(笑) 「み、満・・・。お、おもしれぇか・・・?テレビ」 「あい!」【おう。いまいーとこなんだぜ。新しい顔できたとこだ。 とーちゃんも一緒に見るか】 満はぽんぽんと、座布団をたたいて”座って”と言った。 「お、おう!一緒にみよーぜ!オレもカンパンマン好きなんだ」 「あんぱんみゃん!」【アンパンマンだって。とーちゃん。ったくよー。 子供の趣味ぐらい把握しといてくれや】 「おお。そうかカンパンマンか。うし。今度 カンパンマンの木のおもちゃつくってやる」 犬夜叉の言葉に満の顔がにこーと笑った。 「とーちゃんにゃいちゅき(父ちゃん大好き)」【とうちゃんいいとこあんじゃねぇか!】 「・・・満・・・」←じーんとしてます。 愛息子から”大好き”の言葉を貰った犬夜叉。 ”子供の目線で子供を見守る” 犬夜叉はちょっとだけ本当の意味がわかった気がしたのでした。 そして・・・その夜。 満は犬夜叉にこしらえてもらった木のアンパンマンの人形を 大事に大事にだっこしたまま眠っています。 「ふふ。よっぽど嬉しかったみたいね」 「ふっ。どうでい。これが父親の権威だ。見直したか」 「はいはい。立派なおとーちゃんです」 かごめは犬夜叉の頭をなでなで。 「・・・それでだ。子供の目線・・・ってのはわかったんじゃ あとは・・・」 パサ・・・。 かごめを押し倒す犬夜叉・・・。 「こ、これは・・・”夫婦の目線”だよ・・・な・・・?」 「・・・そう?エッチな旦那様の目線のような気がするけど?」 「・・・う・・・。い、嫌なの・・・か?」 「ふふ。冗談よ。今日は犬夜叉頑張ったから・・・。 ご褒美あげる」 犬夜叉の首に手を回すかごめ・・・。 「ずっといい”おとーちゃん”でいてね・・・」 「・・・けっ・・・。あったりめぇだ・・・」 夫婦の目線はお互いを見詰め合うこと。 上から物を見ないで同じ位置で同じ気持ちで向き合うこと。 それが大切。 「犬夜叉・・・。”その前”にお風呂はいろっか?」 「・・・え?お、おうッ(喜)」 ・・・夫婦の愛の育みもいつも一緒に二人で・・・ねv