居場所を探して・一話完結読みきりシリーズ
たんぽぽアルバム
一ページ目 ひまわり畑
「だぁだぁー・・・」【母ちゃん。見てくれよ!】
満、一歳。
自我も芽生え始めて、やんちゃな性格も開花させております。
「あー。満、何描いてるの?」
縁側でかごめの膝の上で満がお絵かきをしています。
「だぁだぁ、うばばば・・・」【庭の黄色いやつさ】
きいろのくれよんを持たせて
お絵かき帳『たんぽぽ帳』になにやらかきかき・・・。
「ああそっか。ひまわりかいてるのね」
「だぁあ」【そうだよ】
「上手よ〜。満には絵の才能があるのかな。
乱暴なパパの性格と違って」
「だぁあ♪」【ああ。父ちゃんは体力系だからな。俺は違うぜ】
そんなパパは今頃きっと・・・。
「ふあっくしょい!!」
屋根の上でくしゃみをしていた。
「先輩、風邪ですか?」
「けっ。俺はそんな弱くねぇ」
「んじゃー・・・。可愛い嫁さんと夜のお仕事はバッチリ・・・」
助平な後輩。いつものごとくエロトークに入っております(笑)
「馬鹿いってんじゃねぇッ(照)てめぇはんっとに・・・」
「でもあれですよね。子供ができたら嫁さんって
子供ばっかに構って男は寂しい時期ですよねー」
「けっ。女房が子供をみてくれてるんだ。男は外で
頑張るのは当然だろ。寂しいなんて思うか」
だがしかし。ちょっとだけホントは寂しい犬夜叉パパ。
今朝も・・・
”ごめん・・・。お弁当作るの忘れちゃった。
満が夜ぐずって眠れなくて・・・”
(シカタネェよな。子供の世話でかごめは大変なんだから・・・。
それに・・・)
”奥さんにあまり無理はさせてはいけませんよ。
一応、今のところは心臓の状態も悪くありませんが
疲れやストレスが大敵ですからね”
医者からそう注意を受けている・・・。
(かごめのためにも俺ももっと子育てに参加しねぇと)
「うおーし!!俺はやるぞ!!」
金槌を屋根の上で振り上げて愛する妻と愛する息子のために
拳を上げる新米パパでありました・・・。
(ふふ。先輩ったら・・・やっぱり夜、寂しいんだ・・・(ニヤリ))
助平な後輩はちょっと勘違い・・・(笑)
新米パパ犬夜叉は午後六時には家に必ず帰ります。
「ああ、かごめ、無理すんな。お前、疲れてそうだぞ」
食堂で夕食を作っていたかごめを椅子に座らせ、犬夜叉自らがエプロンを・・・。
「俺にまかせろ!カレーくらいつくれるぞ」
意気込んだ犬夜叉ですが・・・。
「あちちちち・・・!」
犬夜叉、火傷しそうになったりお皿をわっちゃったり・・・。
「もういいから。あとは私に任せて」
「すまねぇ・・・」
「いいわよ。ふふ。犬夜叉だって疲れてるんだから・・・。
満の相手しててくれる?」
「おう・・・」
犬夜叉は渋々エプロンを脱ぎ、結局かごめがキッチンへ・・・。
(はぁ・・・。駄目だな・・・。オレ・・・)
かごめの負担を軽くしたいのに
何だか空回りして余計に負担かけてる気がする。
「・・・おう。お前ならどうする・・・。かごめに何をしたら
喜んで助けになるんだ・・・?」
「あうぅあ・・・」【そうだな。あんまり助平なことは控えといた方がいいぜ。父ちゃん】
満はハイハイして新聞紙にはさまっていたチラシをくしゃっと
握った。
それは旅行会社のチラシで・・・。
「ん・・・?それがどうかしたのか。食う気じゃねぇだろな」
「んあぁ・・・」【おらぁそんなガキじゃねぇぜ。どっか綺麗な景色がみてぇって
母ちゃん言ってたぞ】
「・・・。花パークか・・・。そういや最近
どこも行ってねぇな・・・」
「んぁあ!」【おう。父ちゃん。どっか行こうぜ。夫婦仲深める機会にもなるしな!】
満の思惑は犬夜叉に伝わったようで。
翌日。
「おーし!弁当も持ったし!出発進行!」
「だぁあッ♪」【おう。父ちゃん、高速かっ飛ばそうぜ!】
と、助手席のベビーシートに乗った満も手足をばたつかせて
喜ぶ。
(ふふ・・・)
最近、自我がはっきり芽生えてきた満。
(性格も犬夜叉似ね。ふふ)
やんちゃな所やちょっと短気な遺伝子を受け継いでいると明確なってきております。
そう感じられることが幸せ・・・と思うかごめ。
「・・・ん?どうした。何笑ってんだ。かごめ」
「なーんでもない」
バックミラーに映るかごめの笑顔に・・・
(うし。今日は満の世話はオレがやる。かごめには
うまい空気いっぱい吸って元気になってほしい)
ハンドルを握る犬夜叉はほっと安心して・・・。
そして犬夜叉達は車で1時間ほどのさまざまな種類の花が咲いている
公園へとやってきた。
「わぁー・・・。ひまわり畑・・・」
初夏の公園のメインはひまわり畑。
1万本のひまわりが咲き乱れ、迷路のように広がっている。
犬夜叉は満を肩車して、かごめと並んで歩く・・・。
「黄色い海ね。ふふー。満」
「んぁあ!」【ああ。おれ、この花すきだ】
満は嬉しそうに足をばたつかせる。
犬夜叉の額にHIT♪
「おい。満あんま暴れんじゃねぇ!」
「んぁああ!」【あ、悪りぃ悪りぃ。なんかハイテンションになっちまって。
ま、今日は許してくんな。父ちゃん】
「ふふふ・・・」
威勢が良くて元気なところもそっくり・・・。
(嬉しいな・・・)
好きな人の好きな部分が
愛するわが子に受け継がれれて・・・。
ささやかな幸せとは
こういう一瞬なのかもしれない
「満ー。パパー。笑って笑ってー!」
「だぁあ!暴れるなって満!」
デジカメを構えるかごめ。
ファインダーにはひまわりの海に肩車される満と
犬夜叉が映って・・・。
「いくよー。はい、チーズ!」
パシャ!
楽しい思い出の記録が増えていく。
その喜び。
(・・・神様に・・・感謝ね・・・)
ひまわりの海に
幸せな3人笑顔がまぶしい・・・。
そして芝生広場でお弁当を食べ終えて・・・。
「・・・かごめ。なんか疲れた顔してるな・・・。大丈夫か?」
「うん・・・。ちょっと疲れただけ・・・」
(その”ちょっと”が心配なんだ。かごめはすぐ
我慢するから・・・)
犬夜叉はかごめの腕に抱かれ眠っている満をだっこした。
「少し横になれ。満はおれがみてるから」
「・・・うん。ありがと・・・」
かごめは敷物の上でそっと体を寝かせた。
(・・・。疲れやすい体にしちまったのも俺だ・・・。
俺が・・・)
出産時に側にも居てやれず・・・。
「・・・ごめんな・・・」
かごめの頬そっと撫でる犬夜叉・・・。
これからずっと
守っていかなくては・・・。
かごめの穏やかな寝顔を見続けたいから・・・。
「・・・。犬夜叉。ありがと・・・」
「ん・・・?寝言か・・・」
どんな夢を見ているのか。
ありがとう、自分も返さなくては・・・。
(・・・。///)
犬夜叉は辺りの人影を少し気にして見回した後・・・。
「・・・俺のほうこそありがと・・・な」
と呟いて額に口付けた・・・。
(うし。誰もみてねぇな)
確かに誰も見てなかったようですが。実は・・・
「んぁあ・・・v」【でこチューか。可愛いことしやがるな。初ねぇv初ねぇvv】
寝たふり満、ちゃんと目撃しておりましたとさ・・・v
そして・・・。
「楽しかったね。満」
「だぁぁあ♪」【そうだな。父ちゃんと母ちゃんもラブラブだったしv】
かごめは撮った写真を黄色のアルバムに貼った。
「こうして家族の思い出が増えていく・・・。もっと沢山
作っていきたいよね」
「あぅぅ」【おう。そのうち家族も3人4人と増えてほしいけどな☆】
「今度はどんな思い出をつづっていこう・・・ふふ・・・」
犬夜叉とかごめ達のアルバム。
庭に咲くたんぽぽと同じ色。
かごめは『たんぽぽアルバム』と名づけ、
何気ない出来事も記録していった・・・。
生きる毎日の中にある幸せ。
それに気づいて
生きていく糧にしていこう。
何より大切な
宝物だから・・・。
おわり
・・・犬君ファミリー編ですー。やっぱり幸せな一家を書くのは楽しいとですー。
公園とか行くと親子3人を見ると
色々ネタがうかびます。
ところでゴマちゃんに続き、満にも色々喋らせましたが(笑)
ベイビートークという映画がすごく好き。
アメリカのファミリー向けのコメディって楽しい!
ノリもいいし、楽しい中にあったかいメッセージも入ってて・・・。
今はホラー映画やスケールの大きい内容の映画が人気だけど
身近なテーマの映画も私は心ひかれます・・・。