居場所を探して・一話完結読みきりシリーズ
たんぽぽアルバム
3ページ目 主夫・犬夜叉誕生物語 「はぁ・・・」 洗濯物かごをしんどそうにじゅうたんの上に置くかごめ。 (何だか・・・疲れてるかな・・・) 満を生んでからやたらと疲れやすくなった。 出産時の無理がいまだに応えてるのか・・・。 「そうだ・・・。お昼食べたお皿洗ってな・・・」 バタン! かごめがふらりと気を失って倒れた。 「んぁああん!!」【母ちゃん!!】 満が驚いて泣き出した。 「わああん!!うえーえんッ!!」【てぇへんだ!てぇへんだ!母ちゃんが!! 母ちゃんが!】 満の泣き声に楓おばあちゃんがすっ飛んできて・・・。 「かごめ、しっかりせい!!」 さらに倒れたことを犬夜叉にお伝わって。 「かごめーーーーーッ!!」 ドタタタン!! 仕事場からのこぎりを持ったまんますっ飛んできました(笑) 「犬夜叉・・・」 居間でかごめが少し辛そうに横になっていた。 「だ、大丈夫か!??」 「うん。ちょっと眩暈しただけ・・・。ほら。最近 満が夜泣きで疲れてたの」 「ほ、ほんとにそれだけか!?」 「うん。一応お医者様にも診て貰ったけど、血圧は大丈夫だって。 ゆっくり休めば大丈夫って」 「そ、そうか・・・」 ほっと犬夜叉は腰が抜けた。 (じ、寿命が縮まった・・・) かごめのいのちにかかわるかと想ったら・・・ 頭の中が真っ白になって・・・。 (もう・・・あんな想いはたくさんだ・・・) 「ごめんね。犬夜叉・・・」 「お、お前があやまることじゃねぇ」 育児や家事を出来るだけは手伝いたいとは思っているがなかなか うまくいかず・・・。 (いや、それじゃいけねぇ。かごめが元気になるまで オレが代わりする!!) なにやら拳に力を入れて誓う犬君。 (オレは一週間・・・。主婦になる!!) 翌日から・・・。 キッチンにたっていたのはなんと。 「い、犬夜叉!?」 「おす。かごめ」 かなり似合っていないひまわり柄のエプロンを付けて・・・。 「な、な、何してんの・・・?」 「何って・・・。米磨いでんだ」 「・・・それ・・・。バケツよ(汗)」 「え(汗)」 青い青いプラスチックのバケツ君です(笑) 「あ、ははは。いや、なんか入れモンねーかって 探してたらちょうどいーのがあって」 「・・・。あの。朝食私創るから・・・」 「いーからーから。お前は寝てろ」 「でも・・・」 「いいか!一週間お前の代わりは俺がする!」 と、犬夜叉はかごめを二階へかごめをあがらせた。 「あ、ちょ・・・」 「お前は休んでろ!」 バタン! (・・・休んでろって・・・逆に休めないわよ(汗)) かごめは起き上がり、部屋を出ようとした。 キィ・・・ 入ってきたのは・・・。 「楓おばあちゃん」 「かごめ。お前は寝ておれ。心配するな。」 「でも・・・」 「犬夜叉を一週間で立派な”主夫”にしあげてやろう。いい機会じゃ。ほっほっは」 楓ばあちゃんはまるで何か楽しみを見つけたように にやりと笑って出て行った・・・。 (大丈夫かしら・・・。(汗)でもま・・・) ベビーベットの満の頬をつんつんとつつくかごめ。 「パパの奮闘ぶり・・・拝見しようね。満」 「だぁあ」【そうだな。父ちゃんの株のあげどころだ】 そして犬君の”主夫修行”が始まった。 衣食住。毎日するものといったらまず、食事だ。 「よいか。米を”研ぐ”というのは米を磨くことではない」 「じゃあカンナ研ぐのといっしょか!?」 「・・・っていって米粒を包丁で研ごうとするんじゃないぞ?」 ・・・犬君、してました(笑) 「・・・呆れた。いいか?まず、米びつのボタンをおして 何合米をいれたか確かめる。そうじゃの五合なら・・・」 犬君、楓ばあちゃんの言うとおりに お米を入れる。 お水もカップでちゃんと測っていれました。 「で。あとはボタンをポン!現代は楽になったものじゃ。 昔は釜戸じゃったのに」 ピ! 炊飯の緑色のスイッチを押す犬夜叉。 「なーんでい。簡単じゃねーかへっ」 自信満々の犬夜叉だが・・・。 「コンセントはいっとらんぞ」 「え」 電気いれなきゃごはんもなにも炊けませんよ(笑) 「・・・う、うるせえ!」 「まだまだじゃのう。さ、次は味噌汁作るぞ」 まな板と包丁が犬君の前に。 「よいか。野菜にはいろんな切り方がある。そうじゃのう。 いちょう切りでもしてみるか」 楓ばあちゃんの見事な包丁さばき。 (へっ。俺だって木材きるなんざ手馴れてる) 「で、やってみろ」 犬君、得意げに包丁を構えそして。 「おりゃああああ!!!」 それはそれはすさまじいおとを立てて切りまくりました。 「どうでい!」 「犬夜叉。お前。こんな分厚いだいこんいつ煮えるじゃ」 「え」 まっぷたつにきった大根。 そのまんまいれちゃいましたよ? 「・・・修行がたりーん!!」 楓ばあちゃんから厳しい採点をもらい。 その後も犬君の修行は続き・・・。 「こりゃー!色物と白い服はべつにしろといったじゃろーに!」 「うるせー!きれいにならやいーんだ!」 と言って、白のTシャツを黄色にそめちゃったり。 犬君は自分のジーンズをしわくちゃにしたり。 「こりゃー!掃除機の中のゴミ袋とりかえろといっただろうに」 「めんどくせーからゴミ箱くっつけといた」 といって掃除機のホースの口にガムテープでゴミ箱と結合させちゃったり・・・。 (・・・犬夜叉に任せていたら・・・電化製品が全壊しそうだわ(汗)) とかごめはかげながら心配そうに見守っていました。 そして一週間・・・。 「え・・・」 食堂のテーブルの上に 見事な朝食が並んでいる。 「どうでい。かごめ。これぜーんぶオレがつくったんでい」 「すごい・・・」 黄身が盛り上がった目玉焼き。 ほかほか湯気がたつごはん。 だいこんとじゃがいものお味噌汁・・・。 定番メニューだが、犬夜叉が作ったのだと思えば豪華に見える・・・。 「かごめ。洗濯もしといたぞ」 「えっ」 庭の物干し竿を見るとちゃーんときれいにそろえて干してある・・・。 「・・・犬夜叉。ほんっとにほんっとにあんたがやったの?」 「しんようねぇな!本当でいッ」 「・・・。感心しちゃった♪犬夜叉もやれば出来るじゃない♪」 「///あ、あったりまえだ!」 かごめに誉めてもらえて嬉しい犬夜叉君。 「じゃあ早速ごはんいただこうかな」 「あ、かごめ。ほら、此処に座れ」 犬夜叉はレストランのボーイのように、 椅子をひいてかごめを座らせる。 「かっこいいよ。犬夜叉」 「///」 「じゃあごはんにしよう。みんな。ではいただきます」 合掌していただきます。 さてさてお味は・・・。 「・・・ど、ど、どうでい」 ちょっと緊張する犬夜叉。 「うん。おいし!おいしいよ!!お味噌の加減も ちょうどよくて・・・」 「そ、そうだろう!!」(ほっ) かなーり安心しました犬夜叉。 何故でしょう?? 「でもホントに犬夜叉一週間でよくがんばったよね! 見直した!」 「・・・(照)」 「でもね。犬夜叉・・・」 かごめはぼそっと犬夜叉の耳に耳打ち。 ”お味噌汁パックは・・・もっと熱いお湯の方がいいよ” 「!わ、分かってたのか(汗)」 「うふふ。戸棚に残ってたからね・・・」 お味噌汁だけは実は簡易のお味噌汁セットを使った犬君なのでした。 「・・・と、途中まではちゃんと作ったんだぞ。ほんとだぞッ」 「わかってる。美味しいことよりも・・・犬夜叉の気持ちが嬉しいの。 私のためにつくってくれたことが・・・」 「・・・かごめ・・・」 見詰め合う二人・・・。 「うおっほん!いちゃつくなら朝飯の後にしてくれんか」 味噌汁をずずっとすする楓ばあちゃんだった・・・(笑) 朝ごはんもお洗濯も終わって・・・。 午前10時。 かごめと犬夜叉はベランダで空をみていた。 足元のゆりかごには勿論満君が。 「こーして二人でここでゆっくりするのも久しぶりね」 「そうだな」 かごめは育児に追われ犬夜叉は仕事が多忙で・・・。 「犬夜叉。本当にありがとうね。でも私、 一週間、休んだしもう大丈夫」 「かごめ・・・。頼むから無理すんな・・・? オレは・・・お前に何かあったら・・・もうどうしていいか わかんねぇ・・・」 「・・・犬夜叉・・・」 弥勒の冗談だったとはいえ・・・ 顔に白布がかぶせられたかごめを見た瞬間の 衝撃が生々しく痛い・・・。 「かごめになんかあったら・・・オレ・・・オレ・・・」 (かごめがいない世界なんて・・・考えられない) 「大丈夫よ。私・・・そんな簡単に天国へなんかいかないから」 「ったりめーだ・・・。誰が行かせるか・・・」 犬夜叉はぎゅうっと・・・ かごめを抱きしめた。 生きていることを確認するように・・・。 「ずっと一緒に・・・いようねv」 「///お、おう・・・」 抱き合う両親の足元で ゆりかごの中の愛息子は・・・ だぁああ【オアツイねぇ。父ちゃん母ちゃん。今晩も熱くか?まぁ、 ほどほどにな】 両親の微笑ましい愛の語らいを見守っていたのでありました(笑)