8ページ目 去来する音色 「さぁああ!今日こそは手伝ってもらうわよ!!」 犬夜叉、久しぶりの休日。 本当はもっと眠っていたいのにかごめにたたき起こされる犬夜叉。 「さぁあ〜!今日は徹底的にお掃除しちゃうわよーーー!」 と、エプロン姿ではりきるかごめ。 だが犬夜叉は不満そう。 「んもー・・・。手伝ってくれたらおこずかいUPしてあげるから」 ”それだけじゃ不満だ” 寝癖頭の犬夜叉の顔はそう物語っています。 「んもー・・・。しょーがないないんだから」 かごめはちょっと背伸びをして・・・ チュッ! 「・・・///(喜)」 かごめのほっぺにチューで犬夜叉、とってもいいお目覚め♪ 「よおし!掃除つきあってやらぁ!!」 犬夜叉はがらっと押入れをあけて 「うおりゃああ!!」 中のもの、とりあえず全部ひっぱりだしてみました。 「ちょっと!そんな乱暴なこと・・・」 「うっせーなきれーになりゃいーんだろ!」 犬夜叉、ひょいひょいと箪笥の中身とか全部出しちゃってます。 (あ・・・こ、これは・・・) 犬夜叉の手が止まった。 「どしたの?」 「・・・」 「犬夜叉・・・?」 かごめは横から犬夜叉が手に持っているものを覗き込む。 (女物の・・・ハンカチ・・・?) ちょっと高そうな・・・。 「犬夜叉・・・」 犬夜叉の顔が ”刹那い顔” だ・・・ かごめはハンカチの持ち主がすぐに分かった。 「犬夜叉、私、掃除機とってくるね」 「えっ、あ・・・」 パタン。 犬夜叉、はっと我に帰ったが遅し・・・。 かごめに気を使わせたことをすぐに悔やむ。 (かごめ・・・) 隣の部屋で眠っている満の寝顔を見詰めるかごめ。 「んぁああ」【なんか。母ちゃんと父ちゃんのの様子がへんだ】 目を覚ます満。子供は敏感です。 「ンママ・・・」【かあちゃん。どうしたんでい。そんなせつねぇ顔してよー。父ちゃん、まさか 浮気でもしたか!?】 「・・・」 「ンマンママ・・・」【そんなかなしー顔しねぇでくれよ。母ちゃん・・・】 「満・・・。ごめんね。心配掛けちゃって・・・」 ぎゅっと満をだっこするかごめ・・・。 「ママンマ・・・」【母ちゃん・・・】 かごめの顔を心配そうに覗き込む満。 「大丈夫よ。だって私はもう一人じゃないから・・・」 「だぁあ」【そうだぜい。俺もいるしな】 にこにこ笑う満・・・ (今更なに動揺してんだろ・・・。はぁ。でもなんていうか・・・。 犬夜叉と桔梗のあのシリアスな世界観にはなれないって言うか・・・) 好きになればなるほど 幸せなほど ささいなことで不安になる。 (幸せな悩みなのかもしれないわね。もっとどしっと構えてなくちゃ。 私は母親なんだから) そう。 ”女性”でもあるし”お母さんでもある” 小さな瞳が今は支えになる・・・。 (もう。今更このくらいのことで物怖じしてどうするの! 私は母親でもあるんだから!しっかりしなくちゃ) 自分の頬をぺちぺちと叩いて 気持ちを切り替える。 「犬夜叉!ねぇ午後からみんなでお出かけしよう!」 「えっあ、か、かごめ・・・」 満をだっこしたかごめ。 「ね、いいでしょ?」 「お、おう・・・」 「よーし。満。お散歩行こうね!」 「んぁああ!!」【よっしゃー!母ちゃんそのいきだぜ!】 三人は出かけることにした・・・。 かごめは気持ちを切り替えようとして。 犬夜叉も・・・。 (家族に妙な気、つかわせちまったらいけねぇ・・・) そして午後。 犬ファミリーはデパートにお買い物へ。 「ねぇー。犬夜叉。どっちがに似合うと思う??」 「あー?男は着るもんにはこだわらねぇ」 「あんたの服じゃないわよ。満の!」 犬夜叉は辺りを見回す。 ここはベビー服売り場です。 「・・・けっ。だからカイモンなんて俺は きれーなんだ」 「んもー。たまの休みなんだから付き合ってよ。ねぇ満」 「だぁあ」【おう。家族サービスは大事だぜ?父ちゃん】 (けっ。オレの物はどーでもいいのか) 犬君がご機嫌斜めなのは 今日は、自分の服を買ってもらえると思ってきたのに満のものばっかり 買っているかごめママが理由らしく。 ベビー服売り場の次はcd屋さん。 「満には感性豊かな子になってほしいのよ。あー。 でも犬夜叉の子じゃあちょっと無理かなー」 「・・・どういう意味デイ」 かごめは童謡が沢山つまったアルバムを物色。 「ふふ。でも体力はあるわよ。何せ犬夜叉の子だから。 間違いない。もうお腹の中にいた頃は動き回って元気だったものね。 犬夜叉も耳当てて聞いたことあるしね」 「///」←思い出している お約束的な光景ですが、ママのお腹に旦那さんが耳を当てて 動いた・・・とか言ってる幸せな光景。犬かごご夫婦にもそんな時期がありましたv 「どのアルバムがいいかなー」 かごめがCD屋を見て回る。 と・・・犬夜叉がふと立ち止まったコーナーは・・・。 (・・・) くらっシックのコーナー。 「ねぇ。犬夜叉このアルバムどう思・・・」 かごめが店内を見回す・・・ (あ・・・) 犬夜叉が立ち止まったコーナーは 『月島桔梗ニューアルバム』 ズキ・・・。 あの・・・刹那な瞳。 かごめが入り込めない あの目を犬夜叉はしている・・・ 「・・・。満。レジ、してこようね」 かごめはそっとしておこうと思った。 胸は微かにまだ痛むけれど どんなに好きなもの同志でも 心を支配したり、自分の思い通りの反応を期待するのは限界がある。 かさぶたが自然にはがれていくように 爪が自然に伸びてくるように そっとしておくべきこともある・・・。 (・・・でも犬夜叉のヤキモチは限界を知らないけれどね・・・) 一方。犬夜叉は・・・。 (元気そうになってんだな。お前も・・・) 昔なら 桔梗の音色を耳にするたびに 胸が締め付けられるような切なさが去来した。 でも今は・・・ ただ静寂で 遠くから風の便りを待つように 見守れる・・・。 (・・・俺も頑張るぜ。大事なものために・・・) 「ん?あれ・・・いねぇ」 辺りを見回すと 店の中にかごめたちの姿がない。 (ど、どこ行きやがった) 犬夜叉は慌ててCD屋を出た。 (はっ。もしや俺が桔梗のCDを見ているところを見られて・・・) 犬夜叉、ようやくかごめの気遣いに気がついたらしい。 (くっそ・・・!俺はんっとに馬鹿だ) 犬夜叉はデパートの中を探し回る。 (何処行った) 大勢の人込み・・・ (かごめ・・・!満・・・!) 一階、二階・・・ 最初にいたベビー服売り場にもいったが姿はなく・・・ (何処いったんだ!!) 焦る 未だにかごめに変な気遣いをさせてしまった自分に・・・ (何処いったんだ!かごめ、満・・・!) 犬夜叉の脳裏に 満を抱いて自分の元を去るかごめの姿がよぎった。 「ハァハァ・・・」 デパートじゅう、探したが かごめ達の姿は見当たらなく・・・。 (どうすんだ・・・。またおれのせいで・・・) 不安が犬夜叉を襲う・・・。 (・・・かごめ・・・) どうしよう。 自分の些細な心の隙間で かごめが かごめと満が 自分から離れていってしまったら・・・。 (怖い・・・) 大事なもの 自分の命より大事なもの であって やっと見つけられたのに・・・ なくしてしまったら どうしよう (かごめ・・・!) 犬夜叉はエスカレーターを逆に降りる。 「かごめ!!」 ぐいっと肩をひっぱるが 「ちょっとなにすんのよ!」 人違い・・・。 「す、すんません(汗)」 「何息荒くしてんの?犬夜叉」 ポン! と犬夜叉の背中を叩いたのはかごめ・・・ 「!か、かごめ・・・。お、お前どこに・・・っ」 「え。ああ、ちょっとお手洗いに・・・。 満のおしめ、取り替えてたの。急ににおい出しちゃって・・・」 バックのなかのおむつの替えを取り出そうとするかごめ・・・ 「馬鹿や郎!!」 「・・・!?」 ぎゅっと突然、かごめを抱きしめる犬夜叉・・・。 「勝手にいなくなるなよ・・・。びびるだろ・・・」 「ちょ、ちょちょっと・・・!犬夜叉、どうしたの・・・?」 「もう勝手に居なくなるな・・・」 ぎゅうっと とにかく抱きしめる・・・。 (・・・う、嬉しいけど人前・・・) 買い物客たちの視線を浴びつつ 犬夜叉ははかごめを抱きしめた。 「んぁあ」【ご両人ういねぇ。オレはオムツが気持ちいいけどな】 其の夜・・・。 満が寝静まった頃。 「んもう・・・。恥ずかしいったらありゃしない・・・」 「・・・あ、あれは・・・(照)」 今日の出来事にやっと犬夜叉は 照れを自覚してきた。 「なにかあったの?ようす編だったけど」 「べ、別に・・・、お、お前達が突然いなくなったからお、お、 驚いただけでい」 「ふーん・・・。そうなんだぁー・・・」 にこっと犬夜叉の目を覗き込むかごめ・・・ 「な、なんでいっ。文句あっか!」 「ンフフ。ないよ。フフ♪」 こうしてかごめは許してくれる。 大きな愛で。 心で・・・。 「かごめ・・・ごめんな」 「”何”が・・・?」 「ごめん・・・」 ”何”の部分は分かっているけれど あえて言わない。 犬夜叉の気持ちはいたいほど伝わってるから・・・。 「恥ずかしかったけど・・・。嬉しかったよ。抱きしめてくれて」 ぎゅっと犬夜叉の腕に捕まるかごめ。 (///) 何だか体がむずむずしてきたようですよv 「・・・私・・・。まだまだ駄目な奥さんだね」 「な、何が」 「まだやきもち妬いちゃうもの。どっしり構えてなくちゃいけないのに・・・」 「・・・かごめ」 「でもま、犬夜叉のやきもち度の高さには負けるけど(笑)」 「けっ(照)」 さらにぎゅっとかごめは犬夜叉の腕に身を寄せた。 「でも・・・もう離れないでね・・・」 犬君の・・・スイッチ、ON! 「・・・離す訳ないだろ」 バサ。 かごめそのまま押し倒す犬夜叉。 「・・・犬夜叉・・・」 「今日・・・お前達を探しても探しても 見つからなくて・・・。怖かった・・・」 「どこにもいかないよ・・・」 かごめはすっと犬夜叉の首に両手を回した。 「・・・ホントだな・・・」 「うん・・・」 そのまま・・・ 犬夜叉はかごめの体を 包んだ・・・ 電気を消して 愛し合う・・・。 大切なのは貴方だけ そう伝え合うように・・・。 ゴソ。 ゴソゴソ・・・ッ モソモソ。 なにやら怪しげにお布団が動いています その上のベビーベットの満君は。 (んぁああ)【およ?母ちゃんたち、プロレスごっこか?体、組み敷いちゃって。 でも何で裸なんだ?・・・って野暮なことはキカネェよ。ふふ・・・。妹か弟 できたらいいねぇ】 両親のお邪魔いけないと やっぱり満は其の夜はおとなしくおねんねしたのでした(笑)