居場所を探してシリーズ最終シーズン 「タンポポの綿毛が舞い落ちて・・・ 〜遠い空〜」 第三話 手紙・・・そして新しい出会い 「・・・さ、寒い・・・」 男一匹。 最北端の地へ出稼ぎに家族のため単身できて2日目。 会社から用意された社員寮はちょっとレトロな木造のアパート。 が、部屋は割りと綺麗に改装されておりお風呂とトイレ付きといった 結構条件は◎だった。 が・・・。 どんなに寝床が新しくてお洒落でも・・・。 部屋8畳の部屋に一人。。 ぽつんと小さなテレビがあるだけ。 そして布団と・・・。 (・・・さ、寂しすぎる・・・) 我が家では仕事から帰ると満が 「とーちゃんアンパンマンごっこやるぞ!」 とか言ってまとわりついてきて、 「ご飯だからあとにして」と かごめがあったかーいお味噌汁を持ってきてくれる。 しかし今は・・・。 ・・・カップラーメン一個。 (・・・泣) 犬夜叉は鼻水をすすりながら お湯をカップに注ぐ。 ・・・携帯の家族の待ち受け画面を見ながら・・・。 「・・・。荷物の整理でもするか。何かしてネェと気がもたねぇ」 夕食を終え、積み上げられたダンボールのガムテームをはずす。 (はー・・・。昔は一人暮しが当たり前だったのに・・・) しみじみ。 (一人じゃなんだな。オレは・・・) と改めて感じる。 (ん?) ダンボールの奥に、アンパンマンのイラストが描かれた紙袋発見。 『とーちゃんへ。おくりものです。みつる』 と、赤色のクレヨンでかいてあった。 「なんだ。これ。いつのまにいれたんだ」 と、紙袋の中身を空けてみると・・・。 『オレのとーちゃんはせかいいちのだいくさん』 というタイトルがはられた絵が・・・。 「・・・(号泣)アイツいつの間に・・・。 絵、うまくなりやがって・・・ぐす」 息子の成長と思いやりに・・・。 若き父、酒がなくても涙出来るようになった今日この頃。 そしてなんとさらに父を知り尽くした息子のオプションが! 『よる、さみしくなったらつかってください』 と、ちっちゃなスーパーの袋にはいっていたのは・・・。 (・・・!!!) ピンクの・・・ かごめの・・・ ・・・ブラ。 『ぬぎたてのやつです。さみしくなったら つかってくらさい。みつる』 「・・・///あ、あ、アイツ・・・な、なに言いやがって・・・」 (つーかどっから持ち出してきたんだ(汗)ぬぎたてって・・・///) 父を愛する息子は 父が一番”欲しがるもの”を知っていたのですv(笑) 「ったくま、ま、ませやがって・・・。こ、こんなモンでオレが・・・ 気分を紛らわせるなどと・・・///そ、そんな助平な男では・・・」 といいつつ犬夜叉。 (満・・・。ナイスだ!) とかおもってて(笑) そんで早速・・・ お風呂からあがったあと、新しいお布団の中で・・・ (満、小雪・・・) 壁に飾られた愛息子の絵を眺め・・・。 そんでメインの・・・。 (かごめ・・・) 愛妻のブラで愛妻のぬくもりを思い出しつつ・・・ 抱きしめて ・・・眠る若き父でした・・・。 一方。父がいない 「とーちゃんに会いに行くにはな、ひこーきに乗るんだ。 わかるかこゆき」 「あうう」 「小雪にはまだわからないわよ。ほら。 満、ちゃんと体洗って」 三人一緒にお風呂中。 「とーちゃん、さみしいだろうなぁー」 「なにが?」 「だーって。かーちゃんとおふろはいれねぇんだろ? かーちゃんの体、洗いっこして・・・ニタニタし」 満の口をタオルで押さえるかごめ。 「///そ、それ以上大声で言わないで(汗)」 「だってさ、お風呂でさ、とーちゃん、かーちゃんのおぱ・・・ブカッ」 「も、もうあがるわよッ///」 子供はとにかく見たこと聞いたことをそのまま 言葉にするものなのです(笑) (嗚呼・・・。私達って教育上よくないことばっかりしてきたのかしら・・・汗) ラブラブ夫婦。 (・・・一人風呂・・・。いつもならかごめと・・・) 同じ頃、満が言った事を思い出しつつ一人 寂しく背中をながしておりましたとさ・・・(笑) さてさて。 若き父の職場は地方の大きな建設会社で。 ただ今建設中なのは、個人のお宅であります。 (しっかしでっけぇ家だな・・・。なんか会社の社長か?) 色んなお家をつくってきましたが 巷はまだまだ不景気。 新しいお家を建てられるだけでもお金持ちかもしれません。 「おーい。みんなメシにしようぜ」 事務所の横にあるプレハブ小屋 社員達のロッカーや休憩室になってます。 「皆さん、お疲れ様です。お弁当順番にどうぞ」 なかなか美人の事務の女性が社員たちにお茶を注いでくれます。 黒の長髪。 なんとなく・・・。 今頃どうしているかと 思い出してしまうのは遠い空の下で生きる過去の・・・ ・・・元恋人。 (はっ。すまねぇ。かごめ。今のはナシだ!) と、自分で突っ込みを入れる犬夜叉。 まわりをキョロキョロしてしまうのは まだちょーっと悪い”癖”が残ってますね(苦笑) 同じ思い出しても 恋しいとおもうのは・・・。 (かごめの笑顔が・・・一番いい) 携帯をポケットから取り出して 見つめる犬夜叉・・・。 「・・・綺麗な奥さんですね」 「えっ。あ、いや・・・」 事務の女性が覗き込んできてあわてて携帯をポケットに戻す。 「まだご挨拶してなかったですね。私・・・。飯田陽子といいます。 ヨロシク」 「あ、こちらこそ・・・」 「私も派遣なんです・・・。他の人たちもみんなそうなんですよね。 家族と離れて暮らしてる・・・。家族のために頑張って・・・」 辺りを見回すと 自分の父親であっていい程の年齢の人もいて・・・。 東から西から いろんな場所から来ていると陽子は話した。 「大丈夫!わが社のこのプロジェクトが成功したら 帰れます!頑張りましょうね!」 「・・・ええ。そうですね」 前向きな笑顔は 昔の彼人ではなく。 (なんとなく・・・かごめに似てるな・・・) 犬夜叉は何度の何度も 休憩中・・・ 携帯の中のかごめを眺めていたのだった・・・。 「お?」 犬夜叉、郵便受けに入っていた黄色の封筒に気づく。 タンポポ色だ。 (かごめたちからだ!) 犬夜叉、うれしくて 二階の部屋に行くことも忘れ、階段で開いちゃいました。 中には・・・ 『とーちゃん、げんきですか。オレはげんきです。 こゆきもげんきです。かーちゃんもげんきです』 と覚えたての字で鉛筆で一生懸命書いた跡が伺えます 『とーちゃん、おふろのとき、かーちゃんもさみしそうでした。 とーちゃんにからだ、あらってほしかったみたいです』 (///そ、そうかかごめも・・・) と、赤面しつつ読む。 『こんどひこーきにのってとーちゃんの いえにいきます。だからとーちゃんもがんばってね。みつる』 満の文面に ジーンとする犬夜叉。 そして最後はかごめ。 『ちゃんとお掃除してますか?飛行機代なんとか切り詰めて 貯めてがんばるのでそっちも無理しないで頑張ってね。 ・・・大好きです。かごめ』 「・・・///(喜)」 思わず、手紙をぎゅっと抱きしめちゃった犬夜叉。 (あー。駄目だ。もう今すぐ、会いてぇ・・・。 飛んでいきてぇ・・・) 満と小雪と・・・ かごめまとめてハグしたい気持ちでいっぱい。 手紙を抱きしめながら体をもじもじさせながら部屋にあがる犬夜叉・・・。 「あら・・・。こんばんは」 「あ・・・」 飯田陽子だ。 なんと犬夜叉の隣の部屋だった。 「お隣さんだったんですね」 「え、ああ。そうみたいで・・・」 「ふふ。改めてヨロシクお願いします。なんだか 貴方とは初対面な気がしないので・・・」 と、手を差し出す陽子。 だが会釈して犬夜叉は手は差し出さなかった。 「・・・。じゃあおやすみなさい」 陽子は静かに部屋にはいっていった。 (・・・。なんか・・・な) かごめと 良く似た笑顔の女が隣・・・。 秋の始まり・・・ 涼しい風が 少し不安げな風に 犬夜叉には感じられたのだった・・・。