居場所を探してシリーズ最終シーズン 「タンポポの綿毛が舞い落ちて・・・ 〜遠い空〜」 第五話 かごめのポケットティッシュ 〜みんな、つながっている〜 ワオオオーン! かごめさんちの飼い犬ゴマちゃん。♀。 ワンワン!【ちょっとかごめちゃん、夕ご飯まだ!?】 と、しっぽをふって催促。 「はいはい。ごめんね。今あげるから」 ワンワン【おなか減ったわ!今日は何??】 ゴマちゃん、けたたましく吠えております。 同じころ。 北国の空の下で同じく吠えている犬が・・・ (・・・かごめの飯が食いたいーー!) 毎度のことですが、 カップヌードルとコンビニ弁当な夕食の犬夜叉。 じゅるじゅるを寂しくすすっております。 いつもなら仕事から帰ると当たり前のようにほかほかの ご飯とお味噌汁がならんでいました。 (・・・。当たり前は当たり前じゃない・・・。 うう。実感しまくりだぜ・・・) 『お夕飯のレシピ』 かごめからレシピノートをかいてはもらってみたものの・・・ (・・・料理には才がねぇ(汗)) フライパンをこがし、砂糖と塩間違えるし、 料理酒しまいには飲んじゃって酔っ払うし(笑) 「いやだめだ。少しずつでもいいから 自炊しねぇと・・・」 と、決意を固めたそのとき。 トントン。 「はい」 犬夜叉の部屋を訪ねてきたのは・・・。 「こんばんは」 「あ・・・どうも」 陽子だった。 (なんかいい匂い・・・) と思ったら。 「あの・・・。ビーフシチュー。作り過ぎちゃって」 と、ラップにつつまれたおいしそうなじゃがいもが 湯気を立てています。 「よかったら・・・どうぞ。味には自信ないんですけど・・・」 少し照れくさそうに言う陽子。 「栄養結構考えてつくったんですよ・・・///」 「え・・・は、はぁ・・・」 「じゃあどうぞ!お皿はドアの下において置いてくださいね☆じゃあv」 「あ・・・」 ちょっと強引に皿を置いて帰ってしまった・・・。 (・・・ど、どうしたもんか・・・) ぐうう。 犬夜叉の腹時計が答を出す。 しかし・・・ 「・・・これを食べるわけには行かない・・・」 ・・・一番おいしいご飯を作ってくれる女がいるから。 コンコン。 「すんません。やっぱりもらえません」 「え?」 「自惚れじゃんですが・・・。周囲から ”誤解”を招くような行動はしたくないんです、 オレには大事な女房がいるから・・・」 「・・・」 「・・・すんません。せっかくの・・・ご親切を・・・」 「・・・」 陽子はしばらく固まってはっとわれに返った。 「あ、い、いえこちらこそ・・・。ごめんなさい。 軽率でしたよね。ご家族があるのに私ったら・・・」 「すんません」 パタン。 犬夜叉は何度も頭を下げて出て行った・・・。 (・・・。一人で・・・。舞いあがって・・・) 陽子は泣きそうな自分をぐっと押さえ、 レンジで温めなおし、自分で洗いざらい食べてしまった。 すててしまい衝動を抑えて (そこまで子供染みたことしたくないもの) 最低限のプライドを保ったのだった・・・。 一方。腹をすかせ、女心など知らぬ男は。 「うーし!じぶんでつくるぞ!」 と、賞味期限ぎれの野菜やらを色々 きったり焼いたりしてみました。 そして 「野菜炒め完成!!」 さらにもって取って箸をつける犬夜叉。 「はー・・・。やっぱ、やっぱり手料理はいいよな・・・。 けど塩いれすぎtがぜ。」 けど・・・ (・・・かごめのが・・・食べたいぜ) 舌が覚えきっている味。 一番ほっとする味。 (・・・かごめのが食べたい。かごめが食べた・・・ って・・・オレは!!///) 発想が別の場所に(笑) 犬夜叉がほくほくとじゃがいもをほお張って 眠りについた頃。 「かーちゃん。なにやってんだ?」 「んー?お仕事よ」 居間でかごめは、ポケットティッシュの透明な袋に 旅行会社の小さなチラシをはさむという内職を・・・。 ダンボール10箱で600個分。 「ふぅー・・・。やっと半分ね」 5箱やりおえた所だ。 ポケットティッシュ一つ10円だとすると100個 やってやっと千円・・・。 「かーちゃん。昼間も保育所のおてつだいしてるのに・・・?」 「おとーさんに会いたいから頑張ってるのよ。 けどお父さんはもっとがんばってるの。だからね・・・」 (かーちゃんががんばってるのにオレは・・・) 保育園で、スモッグをどろんこにするまで遊んできてしまった。 (・・・かーちゃんのせんたくがたいへんになる・・・) 「かーちゃん!おれも手伝う!」 「え?いいわよ。貴方は早く寝なさい」 「なんで!!オレ、かーちゃんのお手伝いしたいんだ。 オレもとーちゃんに会いたいから・・・」 「・・・。そうね。でもこのお仕事は大人のお仕事なの・・・。 だから・・・。じゃあ満。小雪のお布団、めくれていたら 直してあげる係りになってくれる?」 「・・・うん!!わかった!!まかしとけっ!!」 満はやる気満々でベビーベットで眠る小雪のそばにへばりついた。 そして小雪が寝返りを打つたびに毛布を直す。 だがそのうち・・・。 「zzzz」 ベビーベットに背中をもたれて、眠る満。 「・・・ふふ。満・・・ありがとうね・・・」 こうなることを予想して、小雪毛布係に満を任命した。 (・・・子供は育つことが仕事・・・。大人の都合に 巻き込めないわ・・・) 子供にだけは負担をかけたくない。 ましてお金の心配などさせたくはない。 (飛行機は無理かな・・・。新幹線の方が安いかな・・・) 月に一度はあわせてやりたい。 家族で会いたい。 「かーちゃんおれにまかせろ・・・。むにゃむにゃ」 満の寝言に微笑むかごめ・・・。 親を想うやさしい気持ちを見せてくれるだけで 嬉しい。 「さーてと!納期は明日なんだからがんばらなくちゃ!」 満の寝顔を見ながらかごめはあと半分の ポケットティッシュの作業を続けるのだった・・・。 このことは、満の手紙で犬夜叉も知った。 『かーちゃんがおうちでよるおそく、おしごとをしています。 ティッシュの中にりょうこうのかいしゃのチラシを入れるおしごとです。 それからふうとうに、 シールをはるおしごともしています』 かごめがティッシュを入れている絵が 一緒に描かれていた。 (・・・。そんなに沢山内職抱え込んで・・・。 体に負担じゃネェのか・・・) 大きな手術をかごめはしている。 日常生活に支障はないほどに回復はしたとはいえ、 ストレスはよくないと・・・。 (・・・。すまねぇかごめ) 犬夜叉は即座に内職は控えめに、自分の体を一番に考えろ・・・と メールを打った。 遠い空。 メールはすぐ届くけれど かごめの頑張りや健康状態は 分からない・・・。 離れ離れの暮らしを改めて実感する・・・。 (・・・自炊ぐれぇ出来るようにならねぇとな。かごめが 頑張ってるんなら・・・) と、心改める犬夜叉。 その日の帰り。 かごめのレシピを見ながらスーパーで夕食の材料を買い、 (ともかく肉じゃがからマスターするぞ!) と、意気込む。 社員寮に着くと、郵便受けを見る 一瞬、かごめ達からの手紙か!?と 期待したが・・・。 『○○旅行店支店開業のご案内』 と書かれた封筒とその中にポケットティッシュが・・・。 (けっ・・・なんでい。くだらねぇ) ぽいっとゴミ箱に捨てようとした犬夜叉だったが・・・。 『○○旅行店』 (・・・。確か・・・) 満の手紙描かれた絵を見る犬夜叉。 かごめの手の中にある封筒の文字・・・。 『○○りょこうてん』 と、ちゃんと描かれていた・・・。 (・・・。かごめ・・・) もしかしたら もしかしたら たった一個のポケットティッシュ。 かごめが綺麗に折りたたんで 封筒に入れたものかも・・・。 もしかしたら・・・。 「・・・かごめ・・・」 犬夜叉はその封筒をそっとテーブルの上に置いた。 そして家族写真たての横に立てかけた。 「・・・。繋がってる・・・。離れていても・・・」 離れていても 会いたいという気持ちが ・・・繋がっている。 何気ない作業 小さな仕事でも きっとどこかで 誰かが 使って ・・・そして 繋がっている・・・。 無意味なことなんてないのだから・・・。 「うおおおおおし!!自炊するぞ!!オレは 最高の肉じゃがを創るぞ!」 と、エプロンをつける犬夜叉。 気合いれまくりです。 〜♪ 「お!満からのメールだ」 満は最近、携帯で写真を撮ることを覚えました。 さらに、送り方も・・・。 携帯を見る犬夜叉。 といきなり出てきた画面は・・・ 「・・・っ!!!///」 『とーちゃんへ。かーちゃんが おきがえしてるとこ、こっそりとりました』 とコメ付で・・・ (///) この世で一番だーい好きな画像がそこに・・・vv ピンクのブラウスを両手を挙げて 脱いで、大好きなピンクのブラ(チラっと)が見えている じつにいいアングルで 激写っ! (み、満お前という奴は・・・こっこのやろう!///(喜) つーかこんなん覚えたこと、かごめにばれたら・・・) お説教したいけど 出来ないでしょう。犬パパ君v(笑) ・・・ポタリ 「!!」 思わず犬君ったら赤いものをお鼻からお流しに・・・ 思わず、写真たての横に置いてあったポケットティッシュで 拭いちゃいました。。。 「・・・。お、お、オレはなんて非常な行動を・・・(汗)」 かごめのポケットティッシュで お着替え写真見て お鼻を拭き拭きしたなんて・・・(爆笑) 「か、かごめ。使ったのはい、一枚だけだ。 あとは絶対につかわないから・・・」 と写真の中のかごめに誤りつつ、 「と、ともかく自炊するぞーーー!!」 と気合を入れなおし、肉じゃが作りにはげみました。 (・・・チラv) っとじゃがいものの皮むき中、 エプロンポケットの中の携帯画面みながら・・・vv 犬夜叉の肉じゃがが成功したのかは・・・ 次回のお話で・・・。 かごめのが作業して出来上がったポケットティッシュ。 もしかしたら かぜをひいた子の鼻水を拭いていたり。 もしかしたら、節約お母さんがたんまり溜め込んでいたり。 知らないところで誰かの 何かの役になっています。 小さないさな作業ですが ちいさな活動ですが ・・・小さく 確実に役にたっています。 ・・・生きて「おはよう」を言うだけで 誰かの心を助けていたり・・・。 いつかどこかで だれかの力に だれかのために だれかの助けに なっている。 みんなだれかの・・・ ・・・きっと誰かために活かされています みんな、誰かの・・・