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「居場所」シリーズ 読み切り編 ハッピーハッピークリスマス 早く会いたいな。 早く会いたいな。 クリスマスっていう日に生まれるの 早くみんなに 会いたいな・・・。 ※ 「ちゃんたくろーしゅちゃんたくろーちゅ」 こちら犬一家。 クリスマスツリーの飾り付けをしております。 「ねぇ・・・」 「おう。わかってらぁ」 クリスマス。 親にとっては色々と大変なイベントであります。 満はクリスマスツリーに吊るされた毛糸の靴下の中に 『あんぱんまんのかおのなかのあんこがほしいです』 と書いたそうな。 犬パパかごめママ。 難題ですなぁ・・・(笑) 「嗚呼サンタクロース。私に知恵を・・・」 「なんでい。商店街の饅頭屋から 勝手くりゃ・・・」 ぽか! 「夢のないこと言わないの!ああ。本物のサンタさん・・・ どうかよいお知恵を・・・」 (ちぇぇ・・・) だが犬パパ。 今年はもう一つ。 ご用意しているものが・・・。 (・・・。かごめにだって用意してらぁな) 最近なんだかかごめから 『男』として見られていないんじゃないかって心配なご様子で。 (ふッ・・・。子供のクリスマスが終わったら・・・。 夫婦のクリスマスで・・・) にやにやにや・・・ 顔がにやけてますよ (・・・。”二人目”ってプレゼントくれたりして・・・ サンタクロースのじじいよ・・・) 「!!」 満、とーちゃんの顔を指差した。 「とーちゃんのかお・・・へん!」 「!!」 「・・・。なんか変なこと考えてたわね?」 「べッ別に・・・///」 もうモロバレは母子の特技になってしまったようです(笑) 「とーちゃん」 「なんだ」 「ちゃんたくろーすはどこからくるの?」 「・・・さぁ。窓からじゃねぇのか」 適当に応えてます。 「まど・・・あいてない」 指差す満。 「・・・さ、サンタクロースは痩せてるから 隙間からはいってくんだよ(汗)」 「・・・すきま・・・」 満、窓へとことこっと・・・走って物差し持ってきて 何センチ隙間があるか、計ってます 「・・・とーちゃん!さんたくろーしゅは ちっちゃいのか!?!??」 「いや・・・あの・・・」 難問質問攻め。 犬パパはかごめママに助けを求めます。 (しょうがないわね。全く・・・) 「あのね。満」 ひょいっとかごめママは満だっこして。 「サンタさんはね・・・。とってもはずかしがり屋なの」 「はずかしがり屋?」 「そう・・・。だからね。満やママ達がぐっすり眠ってないと・・・ 姿をみせてくれないのよ」 「じゃあ・・・すやすやねんねしてたら・・・。くんのか!?」 「そうよ。だから・・・。サンタさんを信じて・・・。 一緒に楽しく・・・クリスマスをお祝いして・・・。楽しい夢を みましょう?」 「わかった!オレ、くりすましゅたのしんで・・・。 早く寝る!」 (そうだ!早く寝よう!子供は!) と、犬パパは密かに思ったのです(笑) 「ずんぐるべーるずんぐるべーるすずがーなるー。 きょうはーたのしいくりしゅましゅ〜♪」 夜。 かごめママのお手製のケーキとご馳走を食べて。 「とーちゃんアンパンマンごっこ!」 「・・・クリスマスにまでアンパンマンか!??(汗)」 満はお気に入りのアンパンマンのコスチュームを着て、 犬パパは食パンマンのお面をかぶらされ(笑) 「きょーもパトロールだー!」 「・・・。パトロールだー・・・(汗)」 ちょっとバテ気味の犬パパ。 かごめママは微笑ましく二人の様子を見ています・・・。 シャンシャンシャン。 「・・・寝たか」 「うん」 アンパンマンの格好をしたまま眠る満を優しく見つめています。 けど、散々アンパンマンごっこを12時過ぎまでやらされた犬パパは疲れ気味。 「お疲れ様でした。お父さん」 「・・・おう」 「ふふ・・・」 「なんだよ(汗)」 「いいおとうちゃんだなって・・・」 「フンッ。子供の・・・笑顔見るためならなんでもするさ」 「・・・。子供の・・・だけ?」 (・・・うっ///) かごめママはちょっと大胆に腕を絡めてきました。 シャンパンの酔いが残っているのか 色っぽいかごめママ。 「ほれ・・・お前に」 「え?」 犬パパはかごめママの指にスッと何かをはめました。 「これ・・・」 「た、た、高くはねぇけど・・・。くっクリスマス だからなッ///」 ホワイトの雪の結晶の指輪・・・ 「・・・。ありがとう・・・」 「な、泣くな。その位で・・・」 「だって・・・」 「・・・。こ、これからもずっと 一緒に・・・一緒にクリスマス過ごそうな」 「うん・・・」 二人はぎゅっと抱きしめあって・・・ シャっとカーテンが閉まって・・・。 電気が消えて・・・。 満の寝言のお隣の部屋では 「大好き・・・」 と甘い台詞が襖から漏れてきて・・・。 パパとママの”大人のクリスマス” 満はしらん顔で 「・・・。うみゃ。アンパンマンの顔のあんこ・・・」 寝ています(笑) シャンシャンシャン。 ベルが鳴る。 かごめファミリーのクリスマス。 満の頭の上の靴下の中には かごめママお手製のおまんじゅうがいつのまにか 入っておりましたとさ・・・ そして満はある夢を見ました。 「おまえだれだ?」 「まだなまえついてないの。でも 逢えるよ」 「???」 サンタクロースの赤い服を着た女の子 「おまえ・・・サンタクロースか?」 「ちがう。ちがうけど・・・会えるの」 「??変なの」 「待っててね・・・、生まれてくるから」 「????????」 小さな女の子はスーっと消えました。 (へんなの・・・。でも・・・。なんかかーちゃんににてたなぁ・・・) ハッピーハッピークリスマス。 紅葉が映えてくる頃 かごめファミリーに新しい家族が増えるのです・・・。 ハッピーハッピークリスマス。 世界のおうちが あったかなクリスマスでありますように・・・。 FIN