裸足の女神 〜天使の歌〜 2 さくらのお帽子★ 「・・・ガーゼどこいったガーゼ!」 「はいはい」 夜中の二時。 歩パパとかごめママは救急箱を取りに布団から飛び出して。 「さくら。かかないで。今、お薬つけてあげるから」 愛娘のさくら。 かさぶたが取れて血が出ている小さな足の指をかゆいのか 手で触ろうとする。 「ひどいな。いつのまに増えたんだ。湿疹」 「昼間、お布団干したし、掃除機もかけたし・・・」 「・・・。ほこりが原因だっていうから掃除も念入りにしてるのに・・・」 お値段がはったけど、空気清浄機も3台買って、 換気扇回して ほこりと一生懸命格闘中なのに。。 「オレがガキの頃は、砂場なんかでどろんこになって遊んだのに。。 さくらはそれもできないのか」 「・・・。しょうがないわ。健康には返られないもの」 「・・・。さくら・・・」 どろのおだんごとか どろのお城とか。 さくらと一緒に楽しみたかった。 「・・・。オレのせいだな。オレがもっとしっかり してなかったから・・・」 かごめママは寂しげに首をもたげる歩パパの背中をそっとなでた。 「誰のせいでもないわ。さくらにはさくらの楽しい遊びを 一緒に探してあげればいいのよ」 「・・・。そうだな。オレがしょげててもさくらの足しにはならない」 二人のあったかい手がさくらのちょっと赤い湿疹がでているおでこに触れました。 さくらはうれしそうに笑って。 「・・・。さくらの笑顔が一番の薬だ」 二人の若いパパとママの元気になった。 次の日。 朝から歩パパの家からミシンの音が響いています。 「おー!できたどー!」 歩パパがミシンをかけおわって。 さくらが大好きな♪のマーク布地で出来た、さくら専用のお帽子が。 「ほら。見ろ。中が通気性がいいコットンメッシュで 外側には日光を遮断する生地をつかってみた!」 えっへん!といわんばかりに かごめママにお帽子を見せています。 「大分上手になったわね。でも、糸の始末が残ってますよ」 「あ・・・」 ちょっと、手縫いの部分。 玉止めの後、糸が残っておりました。 「・・・まだまだ。かごめ先生にはかないませんなぁ。 ふふ」 歩パパ。鼻を頭をぽりっと照れくさそうにかきました。 「さあ。さくら試着だぁ!」 さっそくさくらにできたてのおぼうしをかぶせてあげました。 そうっと。 湿疹がかぶれないように。 そうっと・・・。 「どうだ?さくら」 「・・・♪」 かがみの中のさくら。 かがみに映った自分をじーっと見て お口をにこっとさせました。 「くああ♪きれいだぞ〜。日本一だぞ〜。可愛いぞ〜。 あーもうどうしてさくらはこんなに可愛いのか!! チュウをいっぱいあげよう!」 歩パパはお帽子がずれるほどに 沢山のチュウをさくらのほっぺにあげました。 「ヤァ!」 ばっちん! ちょっとやりすぎたせいか、さくらに平手をお見舞いされました(笑) 「あー。嫌われちゃったわね。ふふ」 「そうかぁ!だがオレはさくらが大好きだ。代わりにママにいっぱいチュウを あげよう!」 「ちょっと!きゃー!歩ったらぁ!」 「らぁ!」【パパってば】←さくら。心の声。 歩パパのラブは 果てしなく・・・(笑) さくらのお手手と足はちょっと痛そうで とってもかゆそうで。 お薬は大人になってもつけなきゃいけないとお医者さんに言われました。 大人になったらもっと酷くなるかもって言われました。 一生、かゆいのと闘っていくかもって言われました。 かごめママはお医者さんの言葉に涙をためたし、 歩パパは自分が不甲斐ないと怒った。 けど、その涙にも怒った心にもラブがいっぱいつまっているから。 「オレは3人が笑っていれば幸せだ」 さくらのお帽子にこめた歩パパのラブ。 ♪が楽しそうに縫ってあります。 3人のラブがちりばめられているようです。 今日もほら。 笑顔という名の音符が窓から聞こえてくるのです。。 ★第一楽譜。おしまい★