裸足の女神 〜天使の歌〜 3 さくらのプール 巷は夏休みシーズン真っ盛り。 梅雨も明けて、海や山には沢山の家族連れの姿が。 「人を見に行くようだな。家にいる方が賢いかもしれんな」 テレビの前でさくらにお洋服を着せながら、歩はニュースを見ている。 「おみず。おみず。ぱしゃぱしゃ」 「ん?」 波打ち際で、赤いビキニの水着を着た3歳くらいの女の子。 お父さんと砂のお城を作っています。 「おすな。おすなのおうち」 さくらはうらやましいのか、テレビの画面をパンパンとたたいて 歩にを訴えています。 「・・・。さくらも海に行きたいのか・・・。そうだよな。 子供ならみんな行きたがる・・・」 歩の顔が曇る。 歩とて連れて行きたいのは山々だが・・・。 ”直射日光と強い刺激物には注意” お医者様から言われている。 海の水はしょっぱくて、さくらのやわかくて敏感なお肌には とても刺激になって荒れし、それに日焼けもあまりよくない。 「・・・プールならいいか。せめて」 「駄目よ」 「え・・・。なんでだよ」 かごめはさくらの小さな足に黄色の靴下を履かせながら言う。 「プールも駄目なんだって。消毒薬とか色々入ってるから お医者様が・・・」 長い時間の入浴や水に浸すことはよくないとさらに言われていた。 足の指先の皮がふやけて破けそうになるからだ。 「・・・。そ、そんな・・・水でも遊べねぇ。公園の泥も駄目。 じゃあさくらは何で遊べば・・・」 「・・・アレルギーなのか他の原因なのか・・・。 根本的な原因がからないって・・・。ただ症状を抑える薬しか・・・」 かごめは小さなさくらのあんよを撫でながら少し哀しそうに話す・・・。 「・・・」 他の子供が当たり前にしたがることが さくらにとってはとてもつらいこと。 「・・・。この前ね。言われちゃった」 「え?何を・・・」 「”甘やかすな”って。子供を・・・。街で 見ず知らずのおばさんに・・・」 さくらを大事そうに大事そうに 直射日光からあたらないようにだっこして歩いていたら。 ”もう歩ける年なのにだっこしてるなんて。 甘やかしたら子供ためにならないよ” 「・・・甘やかすつもりなんてない。けど 人からはそう見えるのね・・・。さくらのことちゃんと説明しなかった 私も悪いのだけど・・・」 ”いえあの・・・。ちょっと肌が弱くて・・・” ”は?どこが。健康そうな顔してるじゃないの。 少しぐらい都合悪くたってね、ほっとくくらいが丁度いいのよ。 ったくこれだから最近の若い母親は・・・” 「・・・。さくらの服めくって見せる訳にもいかなかったし・・・。 難しいわね・・・」 目玉で見える範囲だけでしか理解してもらえない。 見えにくい場所や部分の痛みは どうしてこんなにも伝わり、伝えにくいのだろう・・・。 「・・・。大丈夫だ。さくらは自分で歩ける子だ。ホラ」 歩がさくらをだっこして立ち上がらせた。 「いっちょ」 さくらはすくっと立ち上がって風呂場の方へとことこ歩いた。 自分の歩きたい方へ。 自分の足で・・・。 「ぷーる。ぷーる」 風呂場のビニールプールを指差して 歩につぶやく。 「おう!そうか!さくら!プールに入りたいか!」 「あいる」【入る!】 「よーし!待ってろ!歩パパ特製プールをつくるからな!」 と、深呼吸をしてふーっと空気をビニールプールに吹き込む。 顔を真っ赤にして。 「パパガンバレ〜!」 「あんばれ〜」【がんばれ】 かごめとさくらは手拍子をうって応援! (よっしゃあ!さくらのためだ!) 5分ほどして・・・。 「ふいー・・・!キテイさんのプールできあがり〜♪」 と同時に歩はすとんと座り込んでしまった。 「・・・出来上がったぞ。ってもういつのまに水着に・・・」 黄色のチェックの水着。 おにゅうですv 「可愛いぞ〜♪さくら♪海やプールになんぞ行けるか! さくらの水着姿、他のガキにみせられねぇ!」 「・・・まぁ。ふふ。じゃあお水いれるわよー」 水道のお水。 ちょっとカルキの匂いがして 潮の風も吹いてないけれど・・・。 「それー!水鉄砲だー!」 「きゃぁあ♪」 歩もかごめもびしょ濡れになって はしゃぐ。 笑う。 笑う。 海の家も、貝殻も 何も無いけれど。 笑顔と。 「気分ぐらいは海になりてえからな」 ササ○オールスタースの曲を鳴らして。。 歩家の海水浴が始まって。 (いつか・・・。絶対に海に入らせてやるからな) と、歩は心に誓ったのだった・・・。 PS.ちゃっかり者の歩パパは・・・。 「かごめ」 「なあに?」 「これ着てお前も気分ださないか?///」 とこっそり、さくらと同じ柄もビキニを差し出す歩。 「・・・もう!こんなのいつ買ったの!」 「わぁ!怒るなって〜!!」 こってりたっぷりかごめとさくらに お水をかけられた歩でした・・・v