裸足の女神 〜天使の歌〜 エピソード4 結婚記念日 「ねぇ。歩。今日は何の日か覚えてる?」 「え?」 さくらを抱っこしたかごめがカレンダーを指差す。 「あ・・・。覚えてるよ。俺たちが・・・。”法律的に何の遠慮もなく結ばれた日” だろv」 「・・・///そ、そういうリアルな言い方じゃなくて。もう」 「本当はどこかへ食事へ連れて行きたいところなんだが・・・。 オレの自慢の料理を二人にご馳走するつもりだ。楽しみにしててくれ」 ♪柄のエプロンを身にまとい、笑顔の歩。 「幸せのスパイスは愛〜♪匙加減が大切ですよっと」 卵をしゃかしゃかとといで こしょうと塩を少々 (オムレツみたいね) ひょこっとカウンターから頭を出すかごめとさくら。 「幸せは毎日こさえましょう〜♪身近にあることを 感じましょう〜♪」 歌いながら料理。 そのときの気分でメロディと歌詞が即興される。 「幸せの裏にある不安の種こそ幸せへ 味付け〜♪大切な盛り付け〜♪」 ほうれんそうとにんじんを炒め、皿に盛り付け。 少し風邪気味のさくらのために 栄養価を考えました。 「最後の仕上げはふわっと黄色のお布団〜♪ 天然素材の卵のお布団で出来上がり〜っと♪」 卵アレルギーは調べてもらったらなかった。 ただ、医者からは 注意しろと言われている。 「・・・。育ち盛りの子供が・・・食べることを制限されるなんて・・・。 寂しすぎるよな・・・」 子供の頃はは好きなものを飲んだり食べたりしたいだろう。 たまには甘いお菓子も食べたいだろうが さくらは過度な糖質を取ると 湿疹が酷く出ることがある。 (あ、さくらのことばっかり考えていた。 今日は結婚記念日だったんだよな。いかんいかん) 「・・・自分の幸せは自分で守る〜♪オレが一番大好きな ”お布団”への感謝の気持ち〜♪ふかふかで いい匂いのお布団へっと♪」 (変な歌歌わないで///) と、ケチャップで 『KAGOME MY LOVE』と書き書きする。 「よおし!カンペキだッ!ふふ。これぞ 我が家の愛の大合唱マイランチ!」 歩はエプロンを脱いでかごめとさくらを呼ぶ。 「さぁさ!うちの女神様。召上れ〜♪」 テーブルの上にはぷるぷると 黄色の玉子焼きが湯気を上げ 中からはチラリとオレンジ色のご飯が見え隠れ。 「わー。美味しそうねぇ♪」 「ああ。一週間前の夜のかごめと同じくらいおいしそうに したつもりだ〜♪」 今週、さくらの夜のグズリが再発していた(笑) 「・・・(汗)だ、だから・・・///なんか 最近。私より・・・」 「ん?なんだ?」 「なんでもない。なんでもない」 (私より・・・。キャラが出来上がっているって言うか・・・(汗)) 「では皆の衆、さぁ召上れ〜♪」 スプーンをぎゅっと握り締めて そっとさくらに一さじ食べさせる。 自分がつくったものを 食べに来てくれる人がいる。 ・・・居る。 ・・・居る・・・。 「・・・。これからもずっと作るからな」 「え?」 「・・・お前のために・・・。さくらのために。 ずっと・・・ずっと・・・」 (歩・・・) 「あーあ。さくら鼻にケチャップつけてるぞ」 自分の服の袖口でさくらの鼻を拭く。 (・・・私って・・・。一人じゃないのね。 ここに居ていいのね) あったかいご飯のにおいと ・・・自分以外の賑やかな声。 「・・・??あ、お、おい?」 じんわり 黄色のたまごの上に一滴透明な雫が落ちた。 「・・・ごめんね。なんか・・・」 「なんか?」 「・・・嬉しくて切ないの」 「・・・かごめ・・・」 ほかほか あったかいキッチン。 けど片隅に ふわっとふかぶ”不安”という名のほこりが・・・ じっと見つめあう・・・ 「ぱぁぱぁ!マァマァ!」 「・・・!!」 顔を近づけ合おうとしていた歩とかごめ。 じーっと二人の顔を覗き込む。 そして・・・ 「・・・。だっこ」 うるっと くりくりの目を響かせて 「ああそうか。そうだな。 そうだな」 歩とかごめの方膝に さくらがちょこんと乗っかって。 テーブルの下ではかごめと歩はしっかりと手を握り合っている。 「悲しみもはんぶんこ。さみしさもはんぶんこ。 ハッピーはさらにはんぶんこ〜♪」 歩の即興の歌が キッチンにこだまする。 明るくて ・・・ちょっと切なくて。 来年も再来年も 幸せな歌が聴けますように 歌えますように 哀しい歌 寂しい歌 みんなみんな 少しでも幸せな歌になりますように・・・