裸足の女神 エピソード6 覚えた言葉はアイスクリーム? 「おちゅわり!」 「そうよ。ずっとそこで座ってなさい」 正座して何故かギター抱えてます。 「さくら・・・。覚えたての言葉がおすわり・・・。だなんて」 ドアの向こうでがっくり 「・・・さくら。おすわりっていうのは ワンワンに言う言葉よ」 「ぱぱ、ワンワン」 (・・・!そ、そんな・・・い、犬って・・・(汗)) 近所の飼い犬と最近仲良くなったさくら。 名前が「アユム」だったものだから、 さくらとかごめがからかっているのだ。 「かごめ。お前な、娘にもっとましな言葉・・・」 「ふふ。いいじゃない。自主性を尊重しているのよ」 「自主性って・・・」 (はぁ。娘ってのは・・・。やっぱり母親につくのかな) いつまでも可愛い可愛い娘ではないことは 父親がいつか見つめる真実。 (いいさいいさ。俺は家族への愛を込めて歌をつくるからさ・・・) ぽろろん〜♪ ”愛してる照れくさい言葉を 素直に言える時間が・・・” 10代の頃にこっそりつくった曲。 若い頃は照れくさすぎて 気障過ぎて 言の葉にすらできずにいたが・・・。 (今は・・・。言えるよ) 「パパ・・・。”アイス、すてる”」 「え?」 「あいちゅ、ちゅてる??」 さくらは体を横に振って リズムをとりだした。 「あいちゅ、すてる〜♪あいす、すてる〜♪」 バタン。 ドアを開けてギターを弾く歩の横に座って一緒に歌いだす。 「おうさくら〜♪」 「あいす、すてる〜♪あいす〜」 こうなったらもうさくらは歩側。 (はぁ。やっぱりさくらは歩の子ね・・・。ふふ) 歌が大好きな魂は ちゃんと受け継がれているようで・・・。 (歌が歌い終わったら・・・ 冷蔵庫の中のアイス・・・デザートに出してあげないとね(笑)) 「あいす、すてる〜♪パパ、ママアイス、すてる〜♪ おふろばで〜♪おふとんで〜♪」 歌詞の中に パパとママの「愛してる」の形が(笑) 「!??」(歩) 「・・・!!」(かごめ) 「さくらー。大声で歌わないでッ///」 「そうだぞ。さくら。けど、お前、観察眼は いい感性してる!うん!」 「納得しないでッ。父親が。もう〜///」 賑やかなリビング。 冷蔵庫の中のアイスクリームは 溶けずにずっとずっと 甘くて優しい味で待っていてくれる・・・。