久遠の絆 第18章 かすみとでぇと@ 日曜日。 某高校の教室が試験会場だ。 一夜は受験番号表が張られた机に座る。 筆記用具をだして。それと・・・ (・・・。お守り・・・) 机の上にお守りを置く。 (かすみのお守り・・・) ”私だと思って” (///) お守りからかすみの匂いまで感じてしまう。 これも恋のチカラ(妄想)という奴です(笑) 「それでは・・・。開始!」 一斉に答案用紙を表に返してペンを走らせる。 だが一夜君。もしもし。 氏名を各欄に・・・ 『かすみとでぇと』 と書いちゃあまずいでしょ。 (しゃ、しゃんとしねぇと!) 一夜はあわてて消しゴムで消して本名を書きました。 そして改めて気合を入れて。 答案用紙と向き合った。 (・・・やるぞ・・・っ) 自分のために 自分を応援してくれる誰かのために・・・。 キーんコーン・・・。 終了のチャイムが鳴った。 (いつ聞いてもこの音はすかねぇな) 試験が終わり、受験者達は教室を後にしていく・・・ (ま、やるだけのことはやった・・・) 校門を出て行くと・・・。 「一夜ー!」 「!?か、かすみ!?」 帰っていく受験者達を押しのけて大声で一夜を呼ぶかすみ。 「あ、いたいたー!」 (て、手なんか降るなよっ) 辺りの目を気にするがちょっとだけ嬉しい気もする。 「どうだったー?」 「ど、どうだったって・・・。まぁまぁだよ」 「そっか。まぁまぁか・・・」 かすみは含み笑い。 「な、なんだよっ」 「ううん・・・。絶対受かってるよ。ね!!」 「お、おう」 合格していたら・・・。 (そしたら・・・でぇとか・・・///) 一夜君、顔が早くも笑ってますよーv 「あんた・・・。なんか今、やらしー想像してる?」 「するかっ。馬鹿や郎ッ。か、帰るぞッ」 家に帰ってカレンダーに合格発表の日に丸を付ける。 その下に。 『かすみとでぇと』 と書いて・・・。 (あ、ちがった合格発表って書くつもりだったのに(汗)) 一夜17歳。 17歳の挑戦の結果は果たして・・・。 そして合格発表。 家に郵送されてくるという。 『合格通知書』 (・・・やった・・・!) 一夜、小さくガッツポーズ! (・・・ということは・・・) 一夜、ちらっとカレンダーに視線をやる。 『かすみとでぇと』 の日・・・。 (///) そしてその夜。 一夜は合格したことを皆に伝えた。 「おめでとうーーーー!!」 クラッカーがお店に響く。 今日は貸切り。 「さーっ。今日はお祝いよ☆一夜!!」 利三おじさんもおばさんが一夜のために 丹精込めてご馳走をつくってくれた。 「ふふ。おめでとう。ささやかじゃがわしらからの お祝いじゃ」 小さな包み・・・ そっと箱を開けると・・・。 「わぁっ。万年筆じゃない。立派な・・・」 黒いつやのあるしっかりとした万年筆。 「犬君みたい若者はあまりつかわないじゃろうが・・・。 ワシが若い頃、大学受験の時のお守りにしたんじゃ。受け取ってくれる かのう」 「・・・」 一夜は暫く沈黙してからぼそっと・・・ 「・・・サンキュ(照)」 (一夜・・・) 素直にお礼を言ってくれた・・・。 「気に入ってくれてうれしい・・・!ふふ。ね!おじさん! さ、みんな、ご飯食べよう!」 ”サンキュ・・・” 一夜が心を開いてくれている・・・ それだけでかすみは自分が誉められたように嬉しい。 (お母さんが・・・。守った命が・・・ちゃんと生きようとしてるよ・・・) 母が守った命と心が・・・。 そして盛り上がった祝賀会も終わって・・・。 (・・・かすみとでぇと・・・。いつすんだろうな・・・) 一夜は部屋でずっとそのことばかりよぎって・・・。 (かすみとでぇと・・・) ”一日だけ、彼氏と彼女になるのよ” (かすみがカノジョ・・・か・・・) 彼氏とカノジョ・・・。 どんな感じなんだろう・・・? 自分だけの”かすみ”になってくれるのだろうか (///) ドキドキ・・・ 何だか顔の筋肉が緩んでくる・・・。 こんこん。 可愛いノック。 (これは・・・。かすみだ!!) 一夜はがばっとベットから起き上がりすぐさまドアを開けた。 「な、なんだよ・・・こんな時間に」 平静を装っておりますが、犬君。 ”でぇと”のお誘いじゃないかとワクワク・・・vv 「明日・・・空いてる?」 「は?ど、どうしたんだよ」 わかってるくせに。犬君、期待しまくってワクワクがマックスに☆ 「約束したでしょ。”デート”しよう♪一夜の合格のお祝い、 私からしたいの」 「・・・お、お祝いなんて別に・・・///」 とりあえずはかっこつけで謙虚に断ってみる犬君。 でも内心は喜びまくってますよーv顔が今にもにやけそう・・・☆ 「一夜、頑張ってもの。お祝い・・・させて・・・?」 (・・・さ、させてって・・・(妄想)) 一部、ちょっと勘違いしてます、一夜君。 「わ、わかったよ。つきやってやる」 「そ♪じゃあ・・・明日9時。玄関の前でね☆おやすみ♪」 パタン・・・。 かすみが自分の部屋に入ったのを確認してから・・・。 (かすみとでぇと・・・!かすみとでぇと!!) 犬君の顔は自然に緩みっぱなしで頬がぽぽっとそまっております。 (・・・かすみとでぇと・・・///) ひょっとしてあんなことや! (かすみとでぇと・・・(照)) あーんなことも!! あったりなんかしてほしいと思春期真っ只中の犬君の妄想は止まりません・・・。 (・・・かすみとでぇと・・・。でぇとか・・・(ワクワクワク・・・)) 一夜17歳。 初恋に酔いしれる夜。 一方かすみは・・・。 「お母さん。嬉しいね・・・」 亡き母の写真を見つめていた。 (・・・このまま・・・一夜がもっと元気になって生きていって欲しい・・・。 ね、お母さん・・・) 一夜とは違い 一夜の幸せを願うかすみ。 それぞれ想いを秘めて夜は更けていった。 (かすみとでぇと・・・か(にこにこ・・・))