久遠の絆
第十九章話 かすみとでぇとU ”一夜・・・。今日は朝まで一緒にいましょうね・・・” ブラウスのボタンをはずすかすみ・・・。 (な、何してんだ。かすみ、そ、そんな・・・) ”だって今日は私達・・・。恋人同士でしょ・・・?” (だ、だけど・・・お、俺はまだ17だし・・・ってかすみもう裸・・・ドキドキ) そのままかすみを押し倒す犬君・・・ 「かすみ・・・ッ」 犬君、枕抱きしめたままおめざめv (・・・。ゆ、夢か///) もっとその先が見たかった犬君。ちょっぴり残念です☆ (だが・・・、今日はかすみとでぇとの日・・・。これは夢ではない) 犬君、かなり緊張しております。 (・・・オレ・・・。服とか持ってたっけ・・・) ごそごそ。押入れからTシャツやらジーンズやら服をぽいぽい 出してみる。 (・・・ロクなもんねぇな(汗)) Tシャツとジーンズばかり。 仕方ないのでせめて一番新しいTシャツを着て、 (髪型とかもなんか・・・) 鏡の前で髪を掻き分けてみる。 (・・・ジャニーズ系とか?それとも・・・) 色々くしでとかしたり、ムース使ってアップしてみたり・・・。 「・・・。くそ。爆発した科学者の頭みてぇなっちまった」 もこもこ頭になっちゃいました(笑) (くっそー!!なんでこの俺がかすみとでぇとごときで こんな・・・) ”あ、一夜・・・かっこいいじゃん!” そんな風にかすみに誉められたい・・・。 (・・・) 犬君、結局2時間かけてお洒落しました。 そして9時・・・。 ”明日、9時にお店の前で待ってる” (彼女と待ち合わせ・・・か///) そう思うとワクワク・・・。 カラン・・・店の入り口から外へ出る一夜・・・。 (あ・・・) ふわっと・・・ 振り向いたかすみの髪がなびく。 「一夜・・・。おはよ」 毛先をカールさせ、白のキャミソールに 薄いピンクのカーディガン・・・。 (・・・(惚)) 「一夜・・・?」 (・・・かっか、可愛い・・・(照)) 「おーい。一夜。どうかしたー?」 「はっ(覚醒)べ、別に俺は見惚れてたわけじゃないッ」 「・・・?訳わかんないこと言ってるの。じゃあ、いこっか」 (行くって・・・) HOTELの文字が犬君の脳裏にぱっと浮かんだ。 「今日は私達・・・。一日だけ彼氏と彼女だね。へへ」 「・・・けっ・・・(嬉)」 「じゃ、出発進行ーーー!」 (・・・!) かすみは何気なく一夜の腕に掴まるけれど・・・。 (・・・な、なんか、やわらけぇモンが・・・) 一夜はドキドキが止まらない。 だがかすみに緊張しているとは思われたくない。 思春期の少年は顔の筋肉に顔が緩まないように 力を入れる 「うわー。やっぱり若いカップルが多いね。一夜と 同じ年頃の・・・」 (けっ) 街は初夏の日曜日。 かすみたちは公園にやってきた。 若いカップルが目立ち・・・ 一つのソフトクリームを食べあっているカップルも・・・。 (ったく・・・。あんなもんがしてぇのか) 一夜、ちょっと冷たい視線を送る・・・。 「はい。一夜、アイス」 (えっ) 屋台のアイスクリーム屋さんでかすみがソフトクリームを買って一夜に 手渡した。 (も、もしかして・・・さっきのカップルみてぇに・・・) と思ったけど。 「おいし♪」 かすみの手にもちゃんと自分の分が・・・。 犬君、残念。残念。 だが・・・。デートの神様は犬君のお願いをちゃんと聞いてくれるのだ。 「はい。一夜。たべあいっこしっか」 「た、たべあいっこ??」 「そ。こうやって・・・。お互いのアイスを手を交差させて たべあいっこ」 (そ、そういうのもあんのか・・・(喜)) しかたねぇな、ってかおしながらも犬君は嬉しくてたまらない様子☆ 「じゃあ、はい。一夜」 かすみは一夜の口元にソフトクリームをもっていき・・・。 (な、なんか・・・いい・・・(大喜)) 食べさせてもらうのもいいのだけど。 「んじゃ一夜のアイスもいただきまーす」 ペロっと一夜のソフトクリームの先を舐めるかすみに・・・ (・・・っ///く、くすぐってぇだろッ) ぞくぞく反応しちゃってます。思春期17歳♪ その後二人はゲームセンター。 「きゃー♪一夜、UFOきゃっちゃーうまーい♪」 「・・・ふふ(自信満々)」 かすみの大好きなキャラクターの人形をGETして 犬君、いいところを見せて盛り上がり☆ ボーリング場では・・・ 「連続ストライク!!すごーい!!やるじゃん!!」 「ふふ・・・っ(もう自信満々MAX)」 運動神経のよさをかすみにアピール! そして昼食。 「んふふ。お昼にしようか。お弁当つくってきたのよ」 お昼はかすみのお弁当♪ ”あーん・・・” ってな新婚さんなシーンを犬君は妄想しておりますが。 「いただきます。一夜もたべていーよ」 (・・・) ちゃーんと二人分のお弁当箱に分けられたました。 ”はい、あーん・・・”はお預けv 「あ、一夜ッたら。ご飯粒ついてるよ」 (///) 思わぬごほうびにデートの神様はほほえんだようです。 午後からは映画鑑賞。 流行の純愛映画『戦国での中心で愛を叫ぶ』 を見てかすみは・・・。 涙しながら見ております。 しかしやはり一夜は。 「ふぁああー・・・」 全く興味がなく・・・居眠り・・・。 「やっぱり寝ちゃったか。ふふ。でも一緒に 映画みられただけでうれしかった」 「///」 かすみの言葉にさらに一夜の恋心は疼いて・・・。 純愛映画より ときめいておりました・・・v 映画が終わり、映画館から出ると。 「あ・・・。雨だわ!」 「かすみ、こっちに屋根あるぞ」 一夜はかすみの腕を掴んでとある建物の屋根下に走った。 「ふぅ。夕立かしらー・・・」 かすみはハンカチで濡れた腕を拭いていると犬君、或ることに気がつく。 (はっ。こ、ここは!??) 『HOTEL・雨宿り』 ”一夜・・・今日は朝まで一緒よ・・・” 夢の続きを心の中で上映されちゃっております。 「///」←夢の続き妄想中 「・・・?どうしたの?そんな赤い顔しちゃって」 「・・・(ドキ)」 「・・・。あー・・・!」 かすみ、後ろの看板に気がついた。 (・・・(ドキドキ)) かすみの反応にドキドキする一夜。 「やっだぁ。ふふ。なんかお約束的な展開だね。 これもデートの醍醐味って感じ。ふふ」 「・・・。それだけか」 「え?何が?」 「・・・。な、なんでもねぇッ」 かすみの割と普通なリアクションに一夜、ちょっと残念。 (い、意識してんのは俺だけかよ・・・けっ) ドキドキしたり ちょっとがっかりしたり・・・。 かすみと一緒にいると 今まで知らなかった感情を知っていく・・・。 「ふふ。雨って・・・。嫌いじゃないよ。雨は・・・。 土を潤すし・・・雨上がりの空って一段と綺麗なの」 「・・・」 どす黒い雨雲も・・・ かすみと一緒にいると楽しく見えてくる・・・。 (・・・かすみと一緒に・・・。居たい・・・。ずっと・・・) かすみと一緒なら 絶望だらけの世の中だって・・・ 生きていける気がする・・・。 「・・・?私の顔になにかついてる・・・?」 「な、なんでもねぇよッ(照)」 まだかすみと見詰め合うことすらできないけれど・・・。 いつかかすみに気持ちを伝えられたら・・・。 (・・・いつか・・・。俺が強い人間になったとき・・・。 かすみに・・・) 気持ちを伝えたい・・・。 「あ・・・。虹・・・」 かすみが指差す方向。 雲の間から虹のアーチが顔を出す・・・。 「お願いしとこ」 「・・・?」 かすみは虹に向かって手を組んで目を閉じた。 「何、願ったんだ」 「んー・・・?大切な人が・・・幸せになれますようにって」 「た、大切な人!??お、お前ッ、そういう奴、いんのか!??」 「いるよ」 (ガーン・・・) 一夜、一気にテンションが下がって・・・。 「一夜だよ」 「えっ!!!」 (お、お、お、オレか!??) 一夜、一気にテンション復活して(笑) 「それから、おじさんにおばさん。月森教授・・・。みんなだよ♪」 「・・・。そ、そういう意味か・・・」 「・・・?」 「いや・・・。いんだ。今はまだ・・・」 「今はまだ・・・??」 ”強い男になれ” 月森の言葉が一夜の脳裏に過ぎる・・・。 (・・・かすみに認められるような男に・・・。なって・・・ それからだ。俺の・・・恋は・・・) 空に掛かった虹を照らす太陽のように・・・。 かすみを守れる男になりたい・・・。 一夜はそう思って虹を見上げた。 「じゃ・・・。そろそろ帰ろうか。一夜」 「え・・・」 かすみが一夜の手を握る。 「今日一日私達・・・”彼氏と彼女”でしょ?ふふ・・・」 「・・・(照)」 温かくて・・・ 柔らかい手・・・。 この温もりのおかげで自分は 前向きになれた・・・ (この手を・・・。いつかは俺が・・・支える男に・・・なりてぇ・・・) 「一夜・・・?」 「な、なんでもねぇよ(照)か、帰るぞ」 「うん!」 自分の手より 大事な 大事な手・・・。 一夜は少し不器用に そしていたわるように握り返す・・・。 「かすみ」 「なあに?」 「・・・。あ、ありがと・・・よ」 「え・・・?」 一夜の耳が真っ赤・・・。 「い、行くぞッ」 「うん・・・」 一瞬の呟きだったけど かすみはちゃんと聞いた。 一夜の・・・言葉を・・・。 (嬉しい・・・。一夜の”ありがとう”が・・・。 こんなにも・・・嬉しい・・・) 一夜の成長が 心の変化が 何よりも嬉しい・・・。 (お母さん・・・。嬉しいね・・・。嬉しいね・・・) 雨上がりの空・・・。 かすみと一夜が家に帰りつくまでずっと・・・ 消えなかったのだった・・・。