シャイン
〜人はそのたった
一言で傷つく、そして救われる〜
”キモイ””生理的に受け付けない”
沢山の言葉の刃で
斬りつけられてきた。
体の傷は無いけれど
心の傷は無数にありすぎて悲鳴の変わりに
体に”病”という形となって現れる。
「ちょっと!そこどいてよ!!邪魔ッ!!」
「!あ・・・す、すいません」
学校内の階段で・・・。
急いで一階に駆け下りる生徒から罵声を
うける。
”ちっ。キモイ顔”
すれ違い座間に聞こえた一言よりも
怒りがこもった人の声に
敏感になってしまった・・・
突然、声をかけられると
心臓を鷲づかみさたみたいに動悸がうつ。
(・・・ハァ・・・。駄目だな・・・。大きな音はまだ・・・
苦手だ・・・)
50メートルを全力疾走したみたいに動悸が不快な止まらなくて・・・。
廊下をただ歩くだけなのに
(・・・)
人の視線を感じすぎる。
人がそこにいなくても
見られている・・・と錯覚する癖が今でも抜けない。
(しっかりしろ・・・!大丈夫・・・!)
教室のドアを開ける時、一生分の緊張感をつかわないと
開けられない。
握力の欠片を集めてドアを開ける・・・
(・・・うっ・・・)
ずらっと並んだ机と椅子達。
言いがたい威圧感が蘇る。
中学校や高校ではないから、決まった席はないけれど
光は極力後ろのほうに座る。
・・・人の視線が少ないからだ。
「ねぇねぇ。次の講義ってさ。ほら・・・。例の”イギリス帰り”の
あの先生でしょ?」
「あ、うん。知ってる。特殊メイクとかも手掛けてたって・・・」
(・・・特殊メイク・・・)
その言葉だけで
光の勘はすぐ不安に変換される。
案の定・・・。斜め前のクラスメートがちらっと光を見ていた。
「・・・あの。何か用ですか?」
「えっ・・・い、いえ別に・・・」
クラスメートは軽く会釈して再び雑談に戻る。
(・・・どうってことないけどね・・・)
ちょっとした視線でも
直ぐに光の中では痛みとして変換されてしまう。
(本当にいろいろ・・・。過剰に敏感になる癖がついてしまったな・・・)
だが、その敏感な心が
辛うじて光の心を守っているのだ。
(逃げ・・・ともいうけれど・・・)
自分の心を守る術が染み込んでしまっている。
(・・・痛みなんかに負けてられない。今は国家資格をとることだけに
集中集中・・・)
光はノートを広げ、ペンを走らせる。
今日の講義は先ほど女生徒達の会話に出てきた凱旋帰国したという
今巷では話題の講師らしい。
そしてその講師の授業が始まった。
授業内容といえば、最新のメイク技術やデザイン等、日本ではまだ
馴染みの無いメイク法を生徒自身がモデルとなって
実践していく。
生徒たちは直に感じる新しいメイクの感覚に
新鮮さを感じて授業も盛り上がっていく・・・
「なぁ。先生。先生は昔は特殊メイクとかもやってらしたんですよね?
それ、ここで披露してくださいよー」
そんな申し出が生徒たちから出て、教室は盛り上がる。
その講師は
「じゃー。誰かをモデル、立候補してくれないかー」
「ああ!先生ならば適役がいますよ!」
(えっ・・・)
不意打ちだった・・・
男子生徒が光の手を無理やりつかんであげた。
(な・・・何・・・)
光は立ち上がらせられ、挙手させられた・・・
「横山さんならー。メイク時間も省けますよ。んー。
フランケンシュタインなんていいかなー」
”ぷっ””ふふ・・・”
薄笑いが・・・一瞬沸いたのを
光の耳は・・・
完璧に捉えていた・・・
「・・・おいおいー。そんなことしちゃぁ可哀想じゃないか。
無理しなくていいんだよ。君」
講師はそう言うが口元が薄笑いを浮かべている
ように光には見え・・・
「えー。でも、横山さんならー。いいモデルじゃないですか。
なにせ”天然フランケン”ってね」
「失礼なことを・・・」
(・・・)
ザワザワ・・・
このザワザワ感・・・
中学のときも
高校のときにもあった・・・
”いじめ”というほどの重くも無い”からかい”
人が人をあざわらうという言葉の意味を
身をもって
無理やりに
知らされた・・・
(・・・泣くな・・・。泣いたって・・・意味がない・・・)
昔の傷を
ニヤニヤ薄笑いが
抉る。
「いいですよー・・・。私の顔がお役に立てるなら」
「えっ(汗)」
光の予想外のリアクションに講師は戸惑って引いた。
「特殊メイクですか・・・。それで私がきれいになれるなら
是非お願いします」
光は精一杯に平静を装う・・・
(負けるな・・・負けるな・・・)
ここで泣いたって
涙なんか見せたら・・・
(・・・泣くもんか・・・!)
「・・・面白そう。センセイ、許可もおりたことだし、
やってあげなよ」
男子生徒達はあるものは口をピーピーと鳴らして煽り
その他の生徒達は拍手で悪ふざけた雰囲気を煽る・・・
ギャハハハ
ダハハハ・・・
(・・・。痛くない・・・泣かない・・・。負けない・・・)
出掛る水滴を目尻で食い止める・・・
まるで
素っ裸にされて
背中に
『醜い馬鹿女』
そんな文字を書かれて見世物にされているよう・・・
ギャハハハ
ダハハハハ・・・
被害妄想という防御壁で
壊れそうな心を食い止める・・・
バン!
「アンタら神経、異常だわ!!」
光と仲がいい神崎が溜まりかねて怒鳴った。
その迫力に
生徒達の薄笑いは静まり返った・・・
「・・・いったい・・・何なの!?この教室は・・・!!中高生の子供じゃあるまいし・・・!
あんた達、この学校に何しに来てるのよ!!人を傷つけに来てるの!?」
「か、神崎さん・・・お、落ち着いて」
講師の男は神崎をなだめようと着席を促すがかえってそれが
神崎の勘にさわった。
「大体先生、貴方それが人に物を教える人間ですか!??
生徒と一緒になって苛めてどうするんですか!??」
「た、確かに・・・ちょ・・・ちょっと悪乗りしすぎた・・・。
すまなかった。横山さん・・・」
講師の男はどうにかこの場を収めようと光と神崎に頭を下げるが・・・
「謝るのは先生だけじゃないでしょ!??横山さんを笑った人間みんな、
前に出てきて土下座しなさいよっ!!!」
顔を真っ赤にして怒りを露にする神崎・・・
「もういいよ・・・神崎さん」
「だ・・・だって・・・!だって・・・!!」
感情が収まらない神崎・・・涙を零して怒りを
吐き出す・・・
「・・・もういいんだ・・・。こんなことは初めてじゃないし・・・」
「で、でも・・・」
「・・・。泣いても・・・。明日には・・・。みんな忘れてる・・・。
今の出来事・・・」
空しい瞳で
光はつぶやいた・・・
「私のこの顔でみんなので”ストレス発散”になるならそれでいいよ・・・。
最も私はストレス満杯だけど・・・」
「横山さん・・・そんな・・・。哀しいこといわないで・・・」
「・・・。先生・・・。クラスの皆さん・・・」
光は全員をまっすぐ顔を上げて見据えた。
「・・・心の傷は・・・絶対に癒えることはない・・・。
歪んで凝り固まって・・・。一生引きずって・・・」
弱いものは
それが病となって体に現れ悩まされ
さらに弱いものは
自分より弱い誰かを傷つけて発散させて・・・
人の悪意が更なる悪意を生んでいく。
「皆さんは・・・。何のためにメイクの勉強をしてるんですか・・・?」
光の問いに
誰もこたえない・・・
応えられない・・・
「・・・先生。すみません・・・。今日早退します・・・」
光はバックを背負い、静かに・・・
教室を出て行った・・・
”皆さんは何のために・・・メイクを勉強してるんですか・・・?”
光の問いかけが
教室の空気を重くしていた・・・
「横山さんまって・・・!!」
校門で光を呼び止める神埼。
「横山さん・・・。私・・・。私・・・」
追ってはきたものの・・・
光にかけることば
が見つからない・・・
「・・・私・・・。私・・・」
コンクリートの地面に・・・神崎の言葉にならない思いが
しずくが落ちる・・・
「・・・。ハイ」
「え・・・」
光は黄色のチェックのハンカチをバックから取り出した。
「可愛い顔が台無しだよ・・・?涙、拭いかなくちゃ・・・な」
あんまり光の
声と・・・
「横山さん・・・」
「・・・ふふ。でも、泣いても神崎さんは可愛いね・・」
拭き方がやさしいから・・・
余計に切なさがとまらない・・・
「私・・・何もできなくて・・・」
光は首を振った。
「ありがとう・・・」
「え・・・?」
「神崎さん・・・私のために・・・怒ってくれた・・・。
うれしかった・・・」
「横山さん・・・」
「・・・だから神崎さんには笑っててほしい・・・」
瞳を潤ませる神崎に光は
ポンポンと髪を優しく撫でた・・・
「でも・・・流石に今日は・・・。私も少し疲れたかな・・・。
今日少し休んで明日から・・・また・・・がんばるよ・・・」
「横山さん・・・」
「じゃあ・・・。またね」
光の笑顔が痛い・・・
(・・・横山さん・・・)
今は・・・。下手な励ましの労りも
優しさではない
(・・・私は味方だから・・・。それだけは言えるから・・・)
光の後姿を神崎はずっとずっと見送った・・・
「・・・ただいま・・・」
昼間の12時・・・。誰も家にはいるはずもなく・・・
(・・・。静か過ぎるな・・・)
コチコチコチ・・・
居間の振り子時計の音が
やけに寂しく聞こえる・・・
(・・・)
光は二階の自分の部屋に上がっていく・・・
パタン・・・
体が重たい・・・
ベットに
うな垂れるように倒れる・・・
「・・・」
目を閉じれば
あの汚い笑い声が
聞こえてくる・・・
(・・・何にも考えない・・・)
”ギャハハハ”
(眠ろう・・・。今日は・・・)
”ダハハハハ・・・”
(・・・眠ればいいんだ・・・眠れば・・・忘れる・・・)
”ギャハハハハ・・・!”
けれど
あの声達が
耳の奥から取れない・・・
枕カバーを握り締める・・・
光が眠りについたころには・・・
涙の痕が
染み込んでいた・・・
誰かを”ギャグる”、言った本人は親しみを込めて言ったとしても
聞いた人が”不快”に感じてしまったら、それは単なる
嘲笑い、罵声でしかありません。親しき仲にも礼儀ありといいますが
冗談で言ったことでも一生、絶縁してしまう原因にもなります。
外見、さらには不可抗力的なことをネタにしがちな最近のテレビ番組は
見たくないものが多い。
この暑い夏という季節は私にとっては
何を着たらいいか困る季節です。
というのは肘から上が短い夏の衣類が着られない。
湿疹が気になる季節で脇の少し下辺りとかひどくなるんです。
健康な人は”誰だって汗疹や湿疹ぐらい”っていうかもしれないけれど
小さいときに湿疹の痕の事をからかわれてから
”肌がさらけだされる”ということに敏感になってしまいまして。
あとアクリル繊維とかも基本的に避けています。
故に夏はTシャツ(綿100%)と短パンが主。
”お洒落”というのは流行を重んじるんじゃなくて
それぞれに納得して”出来る範囲で”楽しむことだと思います。
外見的なことに拘りすぎな世の中。綺麗なりたいって女性の気持ちは分かるけど
そういう女性の気持ちに付け込んで悪い商売やる輩もいっぱいて・・・
テレビや雑誌の情報なんてごく”一部”のことに過ぎません。
胸元が見えるほど、襟ぐりが開いているような・ブラウスは私は着られませんが
代わりに可愛いブローチを集めたり、作ったりするのが好きです。
・・・下手ですが(汗)
自分が身につけたいなって思うブローチ一つ、
自分の手でビーズでつくってみる、
そういう細かい作業が面倒なら、帽子一つ可愛いものを
さがしてみるとか。
自分なりの方法でいいんです。
流行=お洒落じゃないのですから。
説教癖が私の悪い癖なのですが↑のことが少しでも
感じてもらえたら幸いです・・・(滝汗)