笹のは さらさら
揺れて
願いが灯った
短冊が揺れる・・・
「・・・で。かごめちゃんどんな願いコトかいたの?」
「うーん・・・。やっぱり受験合格かな」
犬夜叉に大きな笹をとってこさせ、おなご衆はきゃっきゃと嬉しそうに
かごめが持ってきた短冊や飾りをつける。
「おめーらばっかり楽しみやがって!オレも混ぜろ!」
「えー?だって、あんた、字、かけないでしょー?」
「オラはかけるぞーーーv」
七宝は犬夜叉自慢げに短冊を見せる
「うふふ。七宝ちゃん字、覚えるの、早いのよ」
「おう!オラ、頭いいんじゃ♪どっかの二股男よりははるかに賢いぞ♪」
バキッ!
短気な二股クンに一発くらい。七宝の頭に、天の川がながれる
「なんだこんなもん!!くっだらねぇ!オレはちょっと
風にあってくる!」
バキッ・・・!!
(え・・・(汗))
出ていこうとした犬夜叉・・・
竹を知らずに踏んでしまう・・・
竹は真っ二つに・・・
(はっ・・・やべ・・・)
シーン・・・
かごめは深く俯いてしまう・・・
珊瑚の殺気だった視線が犬夜叉に・・・
「さ・・・。笹ならま、またとってきてやる・・・っ。だから
怒るんじゃねぇッ」
「・・・」
てっきりお座り連発がくるのかとビクビクする犬夜叉・・・
かごめの様子にあたふたする犬夜叉。
「・・・何よ。願いごとするの・・・。そんなにいけないことなの?」
「べ、別にいけないなんて・・・」
「願っても願っても・・・。叶わないことがあるからこうして
短冊に書いて形にするの・・・。微かな望みをかけて・・・」
(かごめ・・・なんでそんな・・・)
切ない瞳をしているのか・・・
「・・・ちょっと実家に帰るね」
すくっと立ち上がるかごめにビクつく犬夜叉。
「あ、こ、こらッ。かごめ、逃げる気か」
バコ・・・!
かごめを追いかけようとした犬夜叉、珊瑚に殴られ阻止される。
「珊瑚。てめぇッ」
「・・・。女心もわからんような奴はここで大人しくしてな!」
「うるせえ」
暴れる犬夜叉の襟をぐっと掴んで睨む珊瑚。
「・・・かごめちゃんの願い・・・教えてあげようか」
「え・・・」
珊瑚は折れた短冊を何枚か持ってきた。
「”珊瑚ちゃんと弥勒さまがうまくいきますように”。こっちは”琥珀くんが無事珊瑚ちゃんのところへもどって
きますように”」
「・・・」
”仲間のみんながいつも元気でいますように”
”犬夜叉があんまりケガしませんように”
青の短冊も黄色の短冊にも・・・書いてあるのは
「・・・どれもこれも・・・
自分の願いじゃない・・・。あんた、これ見てもくだらないなんてこといえるの?」
「・・・」
「かごめちゃんが最後に書いた願い・・・。なんて書いてあるかわかる・・・?」
赤い短冊・・・
「・・・な・・・なんて書いてあったんだよ・・・」
緊張感が走る・・・
(かごめの最後の願いって・・・(汗))
「・・・サヨナラ。犬夜叉・・・」
「・・・!!」
サヨナラ・・・
サヨナラ・・・
(それが・・・。かごめの・・・ねが・・・い・・・?)
「・・・。いつかは別れるときがくる・・・。それをかごめちゃんは覚悟してるってこ・・・」
ガタン・・・
力の抜けた呆然とした顔の犬夜叉・・・
糸が切れたたこのようにふらり・・・
どこかへ消えた・・・
「・・・犬夜叉・・・」
珊瑚が持つ赤い短冊・・・
(ちょっと・・・。効きすぎたかな・・・)
その短冊には
『犬夜叉が幸せになりますように』
と書かれていた・・・
”サヨナラ 犬夜叉・・・”
御神木に呆然とよりかかる犬夜叉・・・
何だか力が抜けて・・・
サヨナラ、犬夜叉
(・・・願うほど・・・。オレと一緒にいるのが嫌になったのか?それとも・・・)
”いつかくる別れを覚悟してるってことよ”
「・・・」
別れる。
かごめと・・・?
かごめが自分のそばにいることが
身に纏う衣のように
あまりに当たり前で
”サヨウナラ 犬夜叉”
かごめの口からその言葉を聞いたら
どうなるだろう
”サヨウナラ 犬夜叉”
かごめが隣からいなくなる
”さようなら 犬夜叉”
優しい匂いが消える
”サヨウナラ犬夜叉・・・”
安心できる笑顔が消える・・・
(・・・かごめが・・・いなくなる・・・)
一匹の蛍が
犬夜叉の手のひらに静かに舞い降りた・・・
「あ・・・」
手の中に閉じ込めようとするが指の間からすり抜け
遠くへ高く飛んでいった・・・
”サヨナラ・・・”
(・・・いやだ・・・。そんなのは・・・そんなのは・・・!)
ザ・・・
犬夜叉は何かを思い立った。
御神木を見上げる
(よし・・・!)
急いで楓の小屋に戻る犬夜叉・・・
「・・・あーあ。せっかくの七夕だっていうのに・・・。またケンカしちゃったな・・・」
しょんぼりした顔で井戸から出てくるかごめ。
ふと見上げると空に星々が・・・
(きれい・・・。金平糖みたい)
かごめは両足をかかえて座り
「ささのはさらさら・・・」
口ずさみ始める
「・・・・・・ごしきのたんざく私が書いた・・・」
赤 青 白 黄色・・・
短冊に書いた願い
星の数だけ書いたから
織姫も彦星も怒って願いをかなえてくれないかもしれない
(だから犬夜叉とケンカしたのかな・・・)
「・・・なんの歌だ」
「犬夜叉・・・」
かごめの横にストン・・・と座る犬夜叉。
「・・・。な・・・何の歌かって聞いたんだよ」
なんとなくぎこちない空気・・・
「お星さまの歌。変・・・?子供っぽいかな?」
「べ・・・別に・・・。変じゃねぇけど・・・」
子守唄みたいでもっと聞いてみたい。
(・・・)
言おうと思うけどやっぱり照れくさくていえない。
「そう?ありがとう・・・」
「あ・・・。そ、そうだ。かごめ、ちょっとこい」
「え?」
「いいいから来い」
犬夜叉はちょっと強引にかごめの手を掴んでどこかへつれていく
それは御神木の前・・・
「・・・。七夕・・・ってやつ作ってやった・・・(照)」
「わぁ・・・」
御神木にかごめと珊瑚がつくった飾りが無造作にくっつけられ
さわさわと
風になびいる・・・
短冊
それから星の形の折り紙。
ちょうちん・・・
大雑把にくっつけられている
それがなんとも・・・
「うふふ・・・犬夜叉らしい七夕ね」
「わ、笑うなッ。こ、これでも一生懸命やったのに・・・」
「でもとっても綺麗だよ。ありがとね」
「///お、おう・・・」
サラサラ・・・
サワサワ・・・
犬夜叉の銀色の髪と
かごめの綿菓子のような黒髪が
短冊たちと一緒に風になびく・・・
「・・・かごめ」
「なあに?」
「・・・お前の最後に書いた”願い”だけは絶対許さねぇからな」
「え・・・?」
犬夜叉はぎゅっとかごめの右手を握った。
「お前の最後の願いは・・・。絶ってぇ、オレは叶えさせねぇからな・・・!!」
「・・・。何だかよくわからないけど・・・。わかった」
「絶対・・・。叶えさせないから・・・な・・・」
「うん」
楓のような白い手を犬夜叉はめいっぱいに握り締める・・・
(かごめが・・・。どこへも行かないように・・・)
犬夜叉の願い
もし、今、短冊があるとしてそこに何を書くかと聞かれたら・・・
”かごめのそばにいられますように”
『いて欲しい』じゃなく『居たい』んだ・・・
サラサラ
サワサワ・・・
二人・・・
手を繋ぎ
天の川を眺める・・・
天の川で織姫と彦星
きっと・・・
「仲直りしたよね。織姫と彦星」
「あ?誰だそいつら」
「ん?うふふ・・・。私の空にいるお友達よ。うふふ・・・」
「??」
地上の織姫と彦星。
ケンカして仲直りして・・・
絆を深めていく。
そして。
きっと時代というなの天の川を飛び越えられる。
きっと・・・