純旬の味
                                           
erimo
ダッダダダダッ!シャーーーー! 襖が勢いおく開いて閉まった。 「弥勒様!・・・お酒ある?」 「えっ?あぁ、ありますけど・・・。いったいどうなさるのですか?」 そういいながらも、弥勒はお酒を取り出す。 「ちょっと、飲んでみたいなぁ〜と思って。」 やっと掘り出したお猪口を弥勒に差し出した。 「これはなんていうお酒?」 「これはですね・・・純旬というお酒です。」 かごめはお猪口をじっと見つめ何かを考えている。 「かごめ様なにかあったのですか?」 「うーん、・・・何もないわ。そうだ!」 そう言って、弥勒の横に置いてある純旬の入った壺の数を数え始めた。 「かごめ様?」 「うふふっ。一緒に飲み比べしない?」 「かごめ様はお酒を飲まれたことは・・・?」 かごめは自身ありげに 「ないっ!」                と答えた。 「かごめ様、私的にはお勧めできませんのですが・・・」 「いいの、やろう〜。ねっ。」 即座にお猪口をぐいっと勢いおく口へ入れた。 左手には純旬の壺が握られている。 「ほら〜、弥勒様も飲んで〜!!」 「はははっ・・・。かごめ様大丈夫なんですか?」 といいつつ、弥勒は少しずつ純旬を口にする。 なぜ、かごめがお酒に手を出しているかというと・・・その数時間前に遡ります。 「おっきぃね〜!ここの宿!」 いつもながらに弥勒の順能力で宿に泊まることになった。 これがなんとも大きなお屋敷だった。 家も大きければ庭も大きい。 庭も大きければ大きな池もあった。 そこには鯉が泳いでいた。 かごめと七宝は部屋に荷物を置いて早速はしゃいでいる。 部屋は犬夜叉と七宝、弥勒、珊瑚、かごめと4つに分かれていた。 「ここ、平安時代みたいな庭だわ〜。」 「平安時代とはなんじゃ?」 かごめの肩に七宝が乗っている。 「そうね〜。平安時代は今から約500年くらい前の時代よ。」 「ほぉ〜。その時代はこういう感じじゃったのだな?立派なもんじゃ。」 二人は池の中を眺める。 「池の中に金色の鯉がいるんだね。」 いつのまにか珊瑚も一緒に覗いていた。 「きれいね〜。」 「法師様が持っていかないように注意しないとね。」 と珊瑚は弥勒を睨む。 その矢先には女子の手を握る寸前の弥勒が・・・。 「法師様〜浮気しないのよね?」 笑顔で言ってる珊瑚の顔が一段と怖かった・・・。 「まぁ、待ちなさい。私はそのようなことなど・・・」 といいながら女中の手を握ろうとする。 「法師様・・・谷から突き落としますよ。」 かごめはハンカチで汗を拭いていた。 夕食の時間。 「うわぁ〜おいしそう!ねぇ?犬夜叉。」 「飯は飯だ!」 がっつく犬夜叉。 「もういいわ・・・。」 「かごめちゃん。あとでお風呂行こう?」 珊瑚が魚をきれいに食べている。 「えっ!?お風呂あるの?行く行く〜。」 そう言ってかごめも早く食べ続けた。 『犬夜叉っ。』 「なんでぃ。」 こそっと七宝が犬夜叉を呼んだ。 『あとで、ちょっと用があるのじゃが・・・。付き合ってくれぬか?』 「おう。ここは妖怪も出そうもない・・・か。いいぜ。」 犬夜叉はご飯に夢中になっている。 「おっ。そういえば弥勒がいねぇな〜。」 「弥勒なら、さっき谷から突き落とされてどうなったかわからぬぞ。」 七宝は沢庵を貪っている。 「大丈夫だよ、七宝。法師様は部屋に忘れものを取りに行てるんだよ。」 ちょうどその時、 シャーーーーーッ! 襖が開いた。 「遅くなりました。って、あらーもう食べてしまったのですか・・・。」 「まったく、遅いね〜。」 珊瑚が呆れている。 「じゃぁ、お先に。お風呂行ってます〜。」 珊瑚とかごめが部屋を出て行った。 「じゃぁ、オラたちもいくぞ。犬夜叉!庭に出てくれ。」 「庭に何があるってんでぃ。」 「いいからいくぞ!」 「ぉぃっ、まてーっ。」 と二人も出て行ってしまった。 「まぁ、いいか。」 弥勒は夕飯を食べ始めた。 「法師様、今日はありがとうございました・・・。」 この家の主人である。 「いえいえ。ところでここには女子はおりますか?」 弥勒は先ほどの刑を忘れてしまったのだろうか・・・。 「おりますが、あなたの奥様が断れとおっしゃられましたので・・・。」 「はぁ・・・。(珊瑚〜泣)」 「家も庭も大きくてお風呂もおおきいのねぇ〜。」 なんと、立派なお風呂がそこにあった。 ―――――  チャッポンッ  ――――― 「ん〜っ。気持ちいいーっ。」 「ホントだね〜。なんでも大きいんだね〜。」 かごめと珊瑚はゆったりとお湯に浸かった。 「ねぇ、珊瑚ちゃん。」 「んっ?なに?」 「弥勒様あれから、どうしたの?」 「どっ、どうしたって・・・。」 かごめの顔はニタニタしている。 「まさか、かごめちゃんまで私が法師様を谷から落としたと思ってるの?」 珊瑚がカーッと赤くなった。 「ううん。思ってないよ。そうじゃなくてね・・・」 かごめが珊瑚に近づいてゴニョゴニョと話し掛けた。 「そっ、そんなことするわけないだろう///!」 珊瑚がより真っ赤になった。 「そう・・・。残念v」 かごめがニコニコしながらタオルで空気を閉じ込めては破裂させて遊んでいた。 (かっ、かごめちゃん。わっ、私が法師様とそんな////) 珊瑚はお湯に口まで浸かってぶくぶくしている。 かごめが珊瑚がのぼせてしまったことに気づいたのはそうとう後だった。 「で、用事ってなんでぃ。」 「おらは、強くなりたい!だからっ・・・その・・・」 めずらしく、七宝はおどおどしている。 「でっ?」 「とりあえずオラの変化を長く保つ練習をしたい!」 「ぉお、勝手にしてろ!じゃぁな。」 犬夜叉は帰ろうとした。が・・・。 「おらは他人の評価を見たいのじゃ。さしあたって犬夜叉。お前の評価を見たい。」 「めんどくせーな・・・。」 犬夜叉はいかにもめんどくさそうである。 「犬・夜・叉vオラはおまえの情報をしっかりともっているのだぞ〜。」 「え゛っ・・・。」 犬夜叉はとても驚いている。 「あれは四日前のことじゃった。おまえはかごめのかばんのなかの・・・」 犬夜叉の顔が一瞬にして青ざめた。 「わぁああああああ〜!!!!わぁあったよ。評価してやろうじゃねぇか!」 「よし、手始めにあの女子に変化するぞ!」 「「「変化!!」」」 ――――― ボンッ! ――――― 「どうじゃ?」 「おめぇは、人間に変化するのだけは得意だな・・・。」 「それはほめているんじゃろな・・・。」 「おぅ。」 その様子は遠くから見ると若い男女が向かい合ってなにかありげな雰囲気を漂わせているように見えた。 「珊瑚ちゃん、大丈夫?」 かごめは必死の思いで珊瑚を部屋へつれていき、寝かせていた。 「あぁ、なんとか。」 「ちゃんと寝ててね。今女中さんに布団ひいてもらうように頼むから。」 「かごめちゃん、ありがとう。」 そう言って珊瑚は壁に凭れかかった。 (布団布団〜♪) かごめは廊下を急いでいた。 「すみませ〜ん。ちょっと、珊瑚ちゃんがのぼせちゃって・・・お布団ひいてもらえますか?」 「はい、わかりました。お鴇、言うとおりに。」 「はい、解りました。」 お鴇という女子が布団を取りにかごめの来たほうへと走っていった。 それから、かごめは庭を散歩しようと歩き始めた。 すると、なにやら池の近くに人の気配がした。 (誰だろう・・・。) 覗いてみると。 (犬夜叉!それにさっきの女中さん・・・。一体何してるの?) しかし、少し離れているせいか話は聞こえない。 「いっ、犬夜叉一言いいか?」 七宝の目が潤んでいる。 「おうっ。なんでぃ。」 「オラ、精一杯やっておるのじゃが・・・おらがんばっておるな?」 七宝が一歩踏み出した。 「おう、がんばったな。今までよりも長い時間変化してねぇか?」 「じゃよな?」 もう、七宝はふらふらのようだ。 「おら・・・もうだめじゃ・・・。」 そういうと七宝は犬夜叉にの胸に崩れ落ちた。。 「おう、よくがんばったな。七宝。」 犬夜叉は七宝を抱きしめた。 「えっ!?犬夜叉・・・。」 (犬夜叉が女中さんと抱き合ってる。というか犬夜叉が自分から抱きしめたわ。) (しかも、顔が嫌がってない・・・微笑んでる!) その様子は恋人同士で抱き合っているようにも見える。 かごめは一歩一歩後ずさりし、早歩きをしだした。 (犬夜叉のこと信じてたのに・・・) 目には涙がうかんでいた。 かごめが行ったすぐあとに、七宝は変化をといた。 ――――――― ボーンッ! ―――――――― 「おら、疲れたわい。」 「そうだな。部屋に戻るか。」 そう言って犬夜叉と七宝は部屋へと戻っていった。 かごめに誤解を持たせたことを知らないで・・・。 というわけである。 「弥勒様って〜お酒強いほうなの〜////」 あっというまに二人で3壺もあけていた。 「まぁ、強いほうなのでしょう。」 新しく弥勒が3壺目を開けた。 「ところで、何があったか話してくれませんか。///」 すると、かごめは手にもっていた壺の中身をいっきに飲み干した。 「犬夜叉が・・・ここの女中さんと抱き合ってたのよ・・・。んもうっ!///」 そう言って、弥勒から3壺目を奪った。 といっても、弥勒が2壺半、かごめが半壺の割合でしか飲んでいなかったのだが。 「かごめ様・・・私もそろそろ限界が・・・」 それはそうである。 「なぁ〜にいってんのこれからでしょ〜!うぃ〜っ。」 弥勒はもう、まぶたが重くなっていた。 「犬夜叉はーっ!犬夜叉―ぁはさ〜、嫌な顔しないでニコニコしてたわよ〜!なぁああによあの男!」 もう、かごめも出来上がっている。 「ほら〜、弥勒様も飲んで飲んで〜。」 「ありがた〜くっ。」 弥勒がお猪口の中を一気に飲み干した。 その途端、ガクッ。 ――――  スーッ  スーッ  ――――― 弥勒が寝てしまった。 「たぁ〜くっ。男の人ってだめねぇ〜。弥勒様〜あたしの勝ちよ〜v」 (あぁ〜、なんか涼みたい気分だわ〜。) そう思ってかごめは弥勒を置いて庭へ出ようとした。 (一応、ご信用に〜弓矢でもっもってこうかなぁ〜) もう、かごめはふらふらであった。 「あぁ〜、涼しい〜」 そのたどたどしい足取りでしばらく歩いていくと門にたどり着いた。 「なぁ〜によ。この門。」 ―――  ギィイイーーーッ   ――― 「なんだ〜。簡単に開くじゃない〜。見張りの人いないのかしら?」 そういうとかごめは外へ足を踏み出した。 「レッツーゴー。〜いっけ〜。」 辺りは暗く何も見えなかった。 門の外の木々はぶきみにゆれていた。 「なぁ〜んも見えないや〜。ウフフッ〜。」 完全に酔っているかごめは何一つ恐怖を感じていない。 すると。 「ん〜?妖気だわ〜。アハハッ〜。」 目の前に現れたのは大きな狼の妖怪だった。 『おいっ、そこの娘。四魂のかけらをもっているな〜。』 「持ってないわよ〜。ここにないのよ〜。ごめんね〜。持ってくるの忘れちゃった〜vえへへっ〜。」 もう、かごめはでれでれである。 『まぁ、よい。お前だけでも食ってやる。』 前足のつめを剥き出しにしはじめた。 「へぇ〜。やれるもんならやってみれば〜。」 かごめはニタニタしながらも自分よりも大きな狼に矢先を向けていた。 「!?妖気だ!!」 犬夜叉はその妖気に気づいた。 「七宝!」 しかし、七宝は先ほどの長時間の変化で体力を使い果たし寝ている。 「ちっ。仕方がねぇな。」 犬夜叉は部屋を抜け出し弥勒の部屋へ向かった。 「おぃ!弥勒!!ってだめだな!」 そこには弥勒が酒の壺にまみれて寝ている。 するとすぐに、犬夜叉は弥勒をあきらめ珊瑚の部屋へと向かった。 「珊瑚っ!ってお前もかよ。」 「ごめんね。犬夜叉〜。ちょっと上せちゃって・・。」 「しゃーねーな〜。ゆっくり休んでろ。」 犬夜叉も忙しい者である。 次にかごめの部屋へ向かった。 「かごめ!」 しかし、そこにはかごめの影形もなかった。 「畜生!どこへいきやがった!」 (とりあえず俺だけでもいくか。) 犬夜叉は急いで妖気のするほうへ向かった。 「あんた〜なんか〜私に勝てると思ってるの〜。」 『娘。お前相当酔ってるな〜。』 「だから、なんなのよ〜。」 ―――― ブシュッ  ―――― 「キャーーーーっ。今日は調子いいみたい〜v」 かごめの放った矢は一発で妖怪を砕いた。 「さぁ〜ってと調子も出たからもう一杯行こうかな〜。」 「ん?妖気が消えた。」 (一体・・・。) 犬夜叉は門の前に来た。 (んっ?かごめの匂いがする。) 開いている門を見つけた犬夜叉。 ゆっくりとそこへ歩いていくと。 「あぁ〜んなやつ―――、ちょろいちょろい〜♪」 かごめがふらふらしながら出てきた。 「かっ、かごめ!?」 「ん〜犬夜叉?」 ゆっくりと犬夜叉を見る。 その目はきょろきょろしていた。 「なんで、こんな夜に一人で外に出てたんだよ!」 「別にいいでしょ〜。おすわりっ!」 ―――  ギャァンッ  ――― 「さぁ〜てともう一杯行くぞ〜。」 かごめは弥勒の部屋へと向かった。 「かぁ〜ごめぇ〜!」 「おれがいったいなにしたんだよ〜!!!」 かごめの後を追いかけた犬夜叉。 たどり着いた先は弥勒の部屋だった。 「うゎっ、酒くせぇ。」 「おすわりっ!」 ―――  ギャァンッ  ――― 「かっ、かごめ〜。」 その間かごめは片手に壺を持ってごくごくと飲んでいた。 「おいっ。飲むのやめろよ!」 「いやよっ。おすわりっ。」 ―――  ギャァンッ  ――― 「俺がなにしたってんだ。」 「あんた〜。さっき女中さんと抱き合ってたでしょ〜?」 「あぁ?女中?」 犬夜叉には思い当たる節がない。 「だれだそれ?」 「おすわりっ!」 ―――  ギャァンッ  ――― 「おすわりやめろよっ。」 かごめの隣でおすわりをしている。 「あたし、見ちゃったのよ〜さっき〜。しかも、あんたまんざらじゃない顔してたわよ。」 「だから、誰だよ!?」 「おすわりっ。」 ―――  ギャァンッ  ―――   「あの人に決まってるでしょ?」 ちょうど弥勒の部屋の前に女中さんがとおった。 「俺は、今日誰とも抱き合ってないぞ。」 (まあぁ。まだそんなこといってるわ!) 「おすわり!」 ―――  ギャァンッ  ――― 「いっかいや〜め〜ろ〜。」 「ふんっ!」 かごめが一気にお酒を飲み干す。 「むっ?まてよさっきの顔はどこかで・・・。」 「やっぱり知ってんじゃないの〜!」 「あぁ。かごめ勘違いするなよな〜。」 「はぁ?」 「あれは、七宝だ。」 「はぃ?」 その場に沈黙が・・・。 「あははっはっ!!!」 「かごめ?」 いきなりかごめがおなかをかかえて笑い始めた。 「どうしたんだよ!」 犬夜叉がかごめに手を伸ばそうとしたその矢先・・・。 「おすわりっ!!!」 ―――――  ギャァーン  ―――――― 「あんた、いいかげんなのもほどほどにしてよね。じゃぁね!」 ふんっ。 ドンドンドンッとかごめは襖を開けて部屋へ帰っていった。 「・・・なんだったんだ?」 正直なことをいったまでなのにな・・・。 犬夜叉が立ち上がろうとしたとき、 ―――――――――  ボキッゴキッバキッ  ―――――――――― 「うぁわぁっ!」 おすわりの連発で犬夜叉の腰は相当痛んでいたのだった・・・・。                                「んーぁあ゛〜よくねむってしまいました・・・。  おや、犬夜叉こんなところでどうしたのです。」 「おめぇ、かごめと飲んでたんだな!なんでだよ。かごめに飲ませやがって!!かごめになんかしようと考えてたのか!?」 犬夜叉、とてつもなく怒っております。 「まぁ、怒るのではない。お前が悪いのではないか。」 「思ってたんだな!?」 犬夜叉は弥勒の衿をつかんだ。 「かごめ様はお前と女中の抱擁を見て荒れていたのですよ。」 「それは、さっき聞いた!でも、俺は女中じゃなくて七宝を抱きかかえただけでぃ。抱擁なんかじゃねぇ!」 パッと弥勒を離し座り込んだ。 「七宝と、と言ってもかごめ様はしんぜまい。」 弥勒は壺を片付け始めた。 「きっちり誤って来い。犬夜叉。」 けっ。とふてくされる犬夜叉。 「ところでどの女中ですか?」 いきなりニマニマと微笑み顔を近づける弥勒。 「・・・。」 (こいつはまったく信じてない・・・。) 犬夜叉言葉がなかなか出ない。 「七宝って言ってんじゃねーかよ!」 「その間が気になりますな・・・。」 ようやく壺を一つのところに集めた弥勒。 「とりあえず、俺は寝る!じゃな。」 犬夜叉は部屋へ戻っていった。 「おいっ!七宝!」 「なんじゃ犬夜叉?」 ――――― ゴンッ! ――――― 「いっ、いたいわい!なにするんじゃ!」 たんこぶが痛そうです。 「お前のせいでかごめをおこらせちまったじゃねーか!!!」 「なっ、なんでじゃ!?」 「そっ、それはな!」 犬夜叉の怒りは七宝にことごとく味あわされたという。 スーッ。 「弥勒様、さっきはごめんなさいね・・・。」 かごめが戻ってきたのだ。 「いやいや、それよりもかごめ様からだの具合は大丈夫ですか?」 「ちょっと、ガンガンするけど大丈夫。すこし頭が冷めたわ。」 かごめはその場にちょこんと座った。 「ごめんね。今片付けるから。」 と、壺を2個抱えたかごめ。 「いえいえ、今女中さんが片付けに来ますから。」 「そう。」 かごめはそうっと壺を置いた。 「かごめ様、もう一度聞きますが犬夜叉がどうしたのですか?」 「んとね・・・。犬夜叉が・・・・」 「失礼いたします。酒壺を引き取りに参りました。」 「あぁ、お願いします。」 ―――  スーッ ――― 「あぁ、この人!」 かごめが驚いて指を指した先には例の女中がいた。 「はい?何の御用でございましょうか・・・。」 女中さんは不思議な顔をした。 「あのー、かごめ様?どうなされました?」 「この人が犬夜叉と・・・」 (ははぁーん・・・。) 弥勒はピンと来たようだ。 「かごめ様、それは勘違いですよ。」 弥勒は笑顔で言う。 「えっ!?」 かごめはとても驚いている。 「だって、たしかにこの人だったわ。」 「いやいや、違いますとも。私が証明いたしましょう。」 真剣な顔になった弥勒。 「かごめ様がここに飲みにいらっしゃる前にこの女中さんと私は一緒にいましたから。」 「え゛っ!?」 弥勒の浮気発言のようなことをきいて二重に複雑になりぼーっとするかごめ。 「今日、私はお酒に酔いたい気分だったので、(珊瑚のおかげで) よいお酒はないかと主人に相談したらこれらの純旬という酒があると聞きました。  私はさっそく主人の後について向かい、珊瑚の部屋の前を通った時に 珊瑚の布団をひき終わって出てきたこの女中さんに壺を運ぶのを手伝ってもらったのですよ。 それからずっと壺運びをしてかごめ様がここへ来る前に戻られました。」 「はい、そのとおりでございます。それに私・・・犬夜叉殿とやらがどの方かわかりかねますし  ・・・私、数日のうちに嫁に行くことになっている次第でございます。  それゆえ、私は今日をもってこちらをやめさせていただくことになっております。」 かごめは二人の様子を真剣に見ていたが嘘をついているように見えなかった。 しばらくかごめは考えてニカッと笑った。 「わかった。私の勘違いだったわ。ごめんね〜。弥勒様、女中さん。」 手を前に合わせて深く謝った。 「いえいえ、私は別に・・・」 「女中さん。幸せになって下さいね。」 かごめは女中さんの手を取ってしっかつ女中さんの目を見つめた。 「ありがたく存じます・・・。」 女中さんの顔が赤くなった。 そうして、3人で壺を元の倉の前へ片付け、弥勒は部屋へ戻り女中も厨房へと足を向けた。 かごめはというと犬夜叉と女中(七宝)の立っていたところにすわり池を眺めていた。 (私は犬夜叉を信じるって言ったのに・・・・なんで信じれなかったんだろう・・・。) それはかごめが酔っていたというのもあるのだろうが・・・。 (犬夜叉に謝んないとね・・・。) 「よしっ!」 かごめは勢いよく立ち上がった。 ――――――  ドンッ  ――――――― 「えっ!?」 「ンガッ!」 鈍い音がなった瞬間にかごめは池の上にふわっと浮いていた。 ―――――  バシャーンッ  ―――――― ブクブクブクッ (一体何が起こったの!?) かごめが池の中でうごめいていると池の中に手が突っ込まれ、かごめの腕をつかみ引き上げた。 「かっ、かごめ!?すまねぇ。大丈夫か?」 なんと、そこにはあごを赤くした犬夜叉が・・・。 「えっ・・・。んぁ、だっ、大丈夫・・・。ゴフォッ。」 かごめは水を吐きながらその時の状況を一生懸命把握した。 「あっ、ぬれちまったな・・・。早く、部屋行かねぇと・・・。」 「犬夜叉・・・。どうして?」 かごめはとても不思議そうな顔をしている。 「俺は嘘をついてないって誤解を解こうとしてかごめの部屋へいったら戻ってねぇし、匂いの後をたどってきたんだよ。」 と、かごめをお姫様だっこした。 「犬夜叉・・・。あご、大丈夫?」 かごめは犬夜叉の赤くなったあごを擦った。 「俺は頑丈だからな、でもお前が立った時は流石にひっくりかえったけど。」 犬夜叉は笑って言う。 「かごめ、あれは本当に七宝だったんだからな!」 これでもかと犬夜叉は真剣だ。 「うん。わかってるよ。」 「へっ!?」 犬夜叉の顔が少し緩む。 「だって、一生懸命弥勒様も女中さんも説明してくれたもん。」 そう言って犬夜叉の首に抱きつくかごめ。 「わかればいいんでぃ。さっ、行くぞ。」 顔を赤くして犬夜叉は走り出した。 「あたしは、あんたを信じてるんだから・・・。」 「あぁ〜っ、ビショビショ・・・。」 ここはかごめの部屋。 「お前がいきなり立つからいけないんだぞ!」 目を閉じ部屋の壁によしかかって腕組をしている犬夜叉。 「あんたこそ、あんなとこに立ってるから。」 かごめは制服の変わりに浴衣に着替えた。 「あ゛ぁ、とにかく誤解は解いてくれたからよかったよぉ。」 濡れた物を干し終わったかごめは犬夜叉の横にちょこんと座った。 「だよね。犬夜叉が他の女の人に好意をもつなんて・・・私なんでその時点で気づかなかったんだろう・・・。」 かごめはまだ酒が効いていて顔が赤く染まっている。 「それより、かごめ。もう、酒なんて飲むなよ!」 「ほぇ?なんで?」 かごめが聞き返す。 「そっ、その・・・弥勒にいやらしいこと考えさせるんじゃねぇってことだよ。」 「ははっ。私はそんなつもりぜんぜん無かったよ。ウフフフッ。」 「笑うな。お前がそう思っても弥勒はどうかわからねえよ。」 「大丈夫。」 かごめはニコニコして笑ってる。 「弥勒様には珊瑚ちゃんがいるからね。」 「そうだけどよ・・・。」 ※ 夜も深まりより寒くなってきた。 「もう寝ようかな・・・。」 と布団に入るかごめ。 すると、かごめは犬夜叉のほうへ向いてクイックイッ手招きをした。 「え゛?どした?」 犬夜叉は一方に動かない。 「寒いから一緒に寝よう。」 ――――  ドキンッ  ―――――― こちらでは心臓が破裂しそうであります。 ゆっくりと犬夜叉はかごめの元へ・・・。 布団を上げてかごめの横へ着陸。 すると犬夜叉が頭を横につけたのを確認したかごめが犬夜叉のほうへくっついてきました。 「えっ///!?」 固まる犬夜叉。 「あんたの所為で寒いんだからね。///もっとこっち着てよ。」 酔っているせいか積極的なかごめ。 犬夜叉はたじたじになっていた。 「犬夜叉〜。腕枕してくれない?」 かごめの言うがままに犬夜叉は腕を差し出した。 「やっぱり、犬夜叉って暖かいね。」 微笑んだかごめは犬夜叉に抱きついた。 「なっ、なに言って・・・。///」 と言いつつも犬夜叉はかごめを抱きしめた。 「犬夜叉・・・さっきはごめんね・・・。信じてあげられなかったわね・・・。」 「いいんでぃ。今、信じてもらえれば。」 「じゃぁ、寝ようか。」 かごめが目を閉じたのをみて犬夜叉も目を閉じた。 「あっ、そうだ。」 かごめの声がした瞬間に・・・。 ―――――  チュッ。  ――――― 「えっ・・・!?////」 「これで、許してね。じゃぁ、おやすみ。」 かごめはそういうと犬夜叉の胸に顔を鎮め寝息を立て始めた。 (い、今のは・・・。) まさしくかごめからの口付け!! もっと犬夜叉の顔がさらに火照り始めた。 (って、寝てる・・・。) あっというまにかごめは寝てしまったのに気づいた犬夜叉。 「ちっ・・・。寝ちまいやがったか・・・。まぁ、いいさ。俺がお前を寒さから守ってやる・・。」 そういうと、犬夜叉はかごめをきつく抱きしめた。 (今度は俺からするんだからな!明日まってろよ!) そう思うと犬夜叉はかごめを抱きしめたまま寝てしまいました。 fin

ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜!っと、叫んでしまいました///。 erimoでございます。この小説はだいぶ前に書き上げていたものです。暖めすぎましたね・・・。 いまさら、恥かしいな〜と思うような小説に気づきました///。 すみません。文章力が・・・。相変わらずです・・・。そして、今回は攻めかごですね。(後半) 私的にお酒ネタを使ってみたかったんですが、ぜんぜんなってませんね〜。というかまだお酒が飲める歳でもありませんし・・・。 他のサイト様ではかごちゃんがお酒を持ってくる設定が多いようですが私はやはり戦国のお酒がいいと思ったのでがんばって書きました。 実はですね〜暖めてた小説が2,3個あるんですけど・・・連載のような普通の小説のようなという感じなんです・・・。 また、がんばって送ります〜。(←やめろ〜っ。) では〜。