森という名の力  中編
神楽
「ふふ・・。あんた達はかごめって小娘のところにいけないよ」 朱李が草木に絡まれた2人をあざ笑うかのように微笑んだ。 周りはこの3人以外にも草木が生きているかのように這いずり回っていた。 それがさらにこの森の不気味さを増させていた。 犬夜叉と弥勒はきつく・・さらにきつくと草木に縛られていく。 「ぐぅ・・・・・」 どんな法力を持とうと所詮は人間。弥勒には草木の圧迫が強すぎる。 しかし半妖の犬夜叉にはそんなこと関係ない。 「くそくらえぇぇぇ・・・・・!!!!!!」 ブチッ!!! 犬夜叉は草木を無理やり引きちぎり朱李の方に向かっていく! それでも朱李は余裕の笑みを浮かべていた。 「無駄だってば。あんた達は私に触る事も出来ないって」 シュルルルッ!!!! 「何・・・!??!?!」 草木がまた犬夜叉に絡みついた。先ほどよりも強い力で・・。 流石の半妖もこれほど強い力で絡まれたら逃げ場はない。 「くそぉ・・・!!!!!」 「見て分かるじゃんか。この森は草木だらけ。逃げ場所なんてどこにもないんだから。」 確かに朱李の言う事は最もだ。 森は草木が青々と茂っている。たとえまた絡みついた草木を引きちぎっても次の草木が絡みついてくるだろう。 だからと言ってここで止まるわけにもいかない。 この先にかごめがいるのだ。ここでのんびりしてるわけにはいかないのだ。 「さぁって・・かごめが野獣木に取り込まれるまであんた達のもがく姿を見せてもらおうかな〜」 朱李がその辺りにある木の根に座り込んだ。まさに余裕といった表情で・・。 ギュルルルッ!!!!!!! 「!??!?!?」 気がついたら犬夜叉と弥勒に絡み付いていた草木が何者かによって引き裂かれていた。 犬夜叉達や朱李の足元に草木の残骸が散らばっていく。 「誰だよ!??私の邪魔するのは・・!!!!」 朱李が怒りの目で辺りを探った。 「邪魔してるのはあんたの方だろ!」 凛とした声が朱李の後ろで聞こえた。 朱李はさっとその場を離れて間合いを取った。 「さ・・珊瑚・・・!?!?」 そう。そこにいたのは犬夜叉達の仲間の珊瑚。そしてその後ろで身構えていたのは七宝と雲母だった。 「どおもさっきから様子がおかしいと思ったら・・あんた一体何者!?」 珊瑚が飛来骨をかかげ怒鳴った。しかし朱李は珊瑚の姿を見てさっきと同じ余裕の表情を出した。 それどころか笑い出した。 「・・っふふ・・・っ・・。なぁ〜んだ〜。退治屋の小娘か・・。びっくりさせて・・」 「あたしのことをそうなめないでほしいね・・!!」 珊瑚はそう言って飛来骨を朱李の方にかかげながらゆっくりゆっくりと犬夜叉と弥勒の方に近づいた。 「法師様・・・!かごめちゃんは・・!?」 「犬夜叉ぁ!かごめはどうしたんじゃ!?」 七宝が犬夜叉に涙目で抱きついてきた。滅多にない光景だ。(ぉぃ 弥勒は2人の様子を見て犬夜叉の肩に手をおいた。 犬夜叉は弥勒に何のつもりだ?と聞こうとした。しかし弥勒の方が早く口を開いた。 「いけ。犬夜叉。朱李は我々が食い止める」 犬夜叉は迷った。敵はこの森を相手にするようなもの。それを3人と一匹に任せてよいのか? (どうすりゃいい・・・!?かごめ・・・・・・!!!!!!) ギシギシッ・・・・・・ 魔獣木がまたさらにかごめを包み込んだ。もはやかごめの姿はかすかにしか見えない。       本当に・・犬夜叉は私をおいていっちゃったのかなぁ・・・・       本当に・・・・桔梗のこと選んじゃったのかなぁ・・・・・・       本当に・・・犬夜叉が死んじゃったのかなぁ・・・・・                 かごめ・・・・・・!!!!!! 「・・!??!?い・・犬夜叉・・・!?」 かごめは聞こえた・・。犬夜叉が自分を呼ぶ声を・・・。 その声でかごめは起き上がろうとした。しかし体が思うように動かない。 (・・・何・・!?これ・・・・・・!?) かごめは何が何だか分からないまま起き上がろうと力を入れた。 しかし動く事は出来ない。 『おのれ・・・・・目が覚めたか・・・我悪夢がそんなに気に入らぬか・・・』 (声が聞こえた・・。どこから・・・・?) しかし声はかごめの頭から・・聞こえてくるようだった。 まるでかごめを通して声を発してるように・・・。 『我名は魔獣木・・・。せっかくお前のためにわざわざ悪夢を見せてやったものを・・』 (悪・・・夢・・。じゃあ今までには夢・・・!?) 途端かごめの心に怒りが生じた。人の心の中を探るように闇を見せ付ける・・。        まるで奈落じゃないの・・・・・・!!!!!! 『しかしよく考えてみよ・・お前の闇はいずれは現実になろうこと・・。その時お前はさっきの姿のように途方にくれるのか・・?』 かごめの体がドクンとうなる。図星だ・・。きっとさっきと同じ末路であろう・・。 『ならばいっそそれを忘れ・・消滅せよ・・。我がお前の闇を吸い取り、安らかなる眠りを約束しようぞ・・』 魔獣木の言葉にかごめは迷った。正直今の状況・・すごく辛い。 犬夜叉が桔梗のところにいっただと思うと・・すごく辛くて・・悲しくて・・・寂しくて・・嫌で・・・ 何回犬夜叉を憎んだろう・・?何回桔梗を憎んだろう・・・? 自分の事を見てくれない犬夜叉・・。いつも桔梗を見ている犬夜叉・・。 犬夜叉と桔梗は今だって愛し合っている・・。きっと誰がどう言ってもそれだけは変わらない・・。 もし私が   ≪桔梗のことを諦めて≫   といったら半妖の少年はどのような表情をするだろうか・・? 自分のことが嫌いになるだろうか?軽蔑するだろうか?もう守ってくれないだろうか? それでもそんな気持ちは頭から消えはしない。 かごめの頬を一筋の光が流れた・・。涙・・・・。 『お前は・・・本当は我慢がいつまでもできるような娘ではない・・本当はあの半妖に抱きつきたいだろう・・         あの半妖に想いを告げたいであろう・・。しかしお前は半妖の気持ちばかりを考え、自分の気持ちを後回しにしていた・・           しかしもう我慢しなくてよいのだ・・。これ以上お前が苦しむ必要などないのだ・・。』 かごめは静かに瞳を閉じた・・。涙をいっぱいためて・・・。 「もうっ・・・終わりに・・っ・・したい・・・。安らかに・・・っ・・眠りたいっ・・・・」 かごめは言った。                            もう嫌・・。これ以上苦しむのは・・待つのは・・・終わりにしたの・・・。                  ねぇ・・?貴方もそう思うでしょ・・?                          犬夜叉・・・・・・・・・ 「・・・!?また・・かごめの声が・・・・」 犬夜叉はかごめの声がした方角を見つめた・・・。 弥勒や珊瑚はそんな犬夜叉をジッと見つめる・・。 「犬夜叉・・。早く行きなさい・・!かごめ様がお前を呼んでいるのでしょう・・!」 「そうだよ!早く行ってあげてよ!!」 「犬夜叉ぁ!!ここはおらたちに任せるのじゃ!!」 「みゅ〜!」 みんなが・・それぞれに犬夜叉に声をかける。 その一言一言が犬夜叉にとってうれしかった。信頼を持つことがこれほどの幸福だなんて今まで考えたこともなかった。 「お前ら・・・すまねぇ!!俺はいく!!!」 犬夜叉はしっかりとした口調でそう答えた。仲間達のためにも・・かごめのためにも・・行かねばと感じた。 「ふん。いけるもんならいってみなさいよ・・!この森の草木から逃げれたらね!!」 朱李が新たに草木を犬夜叉達の方に仕向けた!草木はまた犬夜叉達を絡めようと襲ってくる・・! しかし犬夜叉に向かってくる草木だけは弥勒や珊瑚が守りを固める。 「いけ!犬夜叉!!我々がこうしている間に・・!!!」 「分かった!!てめぇらも後から来いよ・・!!!」 犬夜叉は草木をかわしながら走っていった・・。かごめの声がする場所まで・・・・。 「ちっ・・!!あんた達・・いちいち人の邪魔ばかりして・・!!」 朱李の表情から余裕が消え、怒りが出てきた。 「ふっ・・!あいにく我々はお前の思い通りに動きはしない!」 弥勒が草木を錫杖で切り裂きながら言った。 その言葉がさらに朱李を怒らせていた。朱李は顔を真っ赤にして赤い瞳も殺気だっていた。 「もういいさ・・!!!あんた達には草木だけで十分!!!」 朱李はそれだけいうと風とともに消えていった。 しかし草木は止まることを知らぬようにまだ弥勒達を襲ってくる。 「きりがないよ・・!!」 「ここはなんとか持たせましょう・・!」 (かごめ・・・!!かごめどこにいるんだ・・・!!!!!!) 犬夜叉は風を切るようにかごめの声がした方に向かっていた。      匂いもしない・・・・・            気配もない・・・・・ 手がかりは先ほど聞こえた声だけ・・・・・・・ それでも犬夜叉は探し続けた。どんな隙間でもかごめを探す。 「・・!?ここは・・・・・?」 犬夜叉が見つけたのはまさに闇・・・・。 いや・・闇に包まれた湖だ。これはまるで暗黒に支配されているような・・。 「・・・・・!?!?な・・これは・・・!?」 犬夜叉は絶句した。なんと言うことであろう・・・。 水面にはとてつもなく大きな木が何かを木の枝に乗せ、その何かを包み込もうとしてるではないか。 その何かとは・・・・・ 漆黒色の髪・・・白い肌・・・そしてこの時代にはありえないような着物・・・・・ そう・・それはかごめだ・・・。 「かごめ・・・!!!!!」 犬夜叉はかごめの姿を確認した。かごめの体はもう半分以上が飲み込まれている・・。 急いで顔を上げて陸の方を見た。しかしそこには大きい木などどこにもない・・。 あるのは普通の大きさの普通の木・・。 「ど・・・・どういうことだ・・・!?」 皆さんはわかっているでしょうか・・・・? 魔獣木とかごめは犬夜叉とはちがう・・異次元・・とでもいおうか・・? そのようなところにいるのだ。 犬夜叉は焦った。魔獣木がかごめをどんどん包み込んでいる・・・。                  『さっき来た女だって闇が大きかったらそのうち魔獣木に食われてるさ』 朱李の声が木霊する・・・・。               『闇を持つ人間を食らう木さ。まあ闇を持たない人間なんてあんまいないけど・・。                                 だから大きい闇を持つ人間を好んで食らうのさ。』 嘘だ・・・・。嘘だ・・・・!!!!!!!!!                        『さっき来た女だって闇が大きかったらそのうち魔獣木に食われてるさ』                            『さっき来た女だって闇が大きかったらそのうち魔獣木に食われてるさ』 「んなこと・・俺がさせるかぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」 犬夜叉は闇の湖に飛び込んだ。この寒い時期に湖に飛び込むなど馬鹿がすること。 しかし犬夜叉にはそんなこと関係ない。 たとえ世間が・・・周りの者たちが馬鹿なことをしてると思っても・・・。        かごめのためなら喜んで馬鹿なことでもしてみせよう・・・・。      いつも自分に優しげで・・暖かい笑顔を見せてくれるお前のためなら・・・・。 冷たい水が犬夜叉の体にしみていく・・・。 しかし犬夜叉は一生懸命魔獣木とかごめの方へと泳いでいった。 「かごめぇ・・・!!!しっかりしやがれ・・!!!!!       てめえはそう簡単にやられる女じゃねぇだろぉが・・・!!!!!            かごめぇぇぇ・・・・・!!!!!!!!!!!!」 キィィ・・・・・・・・・・・・ン 突然犬夜叉が光の包まれた。         強い光・・・・淡い光・・・・全てを許してくれそうな優しい光・・・・・・ その光からは『かごめ』を思い浮かばせた・・・・・。 「かご・・・・・め・・・・・・」 犬夜叉はあまりに強い光に意識を奪われた。 ザシュッ・・・!!!!!!! ザクッ・・・!!!!!! 「ちっ・・!キリがねえな・・・・」 弥勒と珊瑚・・そして七宝、雲母はまだ草木と戦っていた。 しかし草木には弱点がないのかいくら切り刻んでもすぐに次が来る。 「やっぱりさっきのおなごを倒さねばならぬのではないか・・!?」 七宝も微力ながらも精一杯戦いながら言った。 みんなからは疲れが見え始めていた。 「しかし・・・朱李は犬夜叉を追って行ったようです・・。           ここは犬夜叉に任せるしかないですね・・・・」 「犬夜叉に任せちゃって大丈夫・・・?その前に私達がばてないといいけどさ・・!!」 珊瑚が次からくる草木を切り刻みながら言った。 戦いながらもしゃべるのは余裕だからではなく少しでも疲れを紛らわすため・・。 「大丈夫でしょう・・!犬夜叉はああみえてよくやるやるですから・・!!」 「・・・・そうだね」 みんなに希望が見える・・。どれだけ疲れても仲間がいるからがんばる・・・。 だが弥勒達が持つのも時間の問題だ・・・・・・。 ギシッ・・・・・ギシギシ・・・・ギシ・・・・・・ 木の軋む音で犬夜叉は目が覚めた。 最初は何がなんだか分からなかった。 なんで己がここで倒れているのか・・・・・・・           一体なんの音なのか・・・・・・・・     かごめはどこにいるのか・・・・・・???? その考えですぐに思い出した。       かごめは・・!?かごめはどこに・・・!? 犬夜叉は咄嗟に倒れている体を起こした。 そこは先ほど泳いでいた湖などどこにもなかった。 あるのは巨大で怪しげな雰囲気を出している木・・・・。 そしてその枝にいるのは・・・・・・・                まさしく己が探していた少女・・・・・・。 「かごめ・・!!!!!」 犬夜叉が木からかごめを出そうとした・・・・が バチィッッ・・・・・!!!!!! 「なぁ・・・!?」 その木が結界を張った。まるで犬夜叉を避けるかのように・・。 「ちっ・・これも魔獣木ってやつの力か・・・・」 『いや違う・・・・。これはこの小娘自身の力・・・・・・』 「!?!?!?!」 空から声がした。いや背後か? どこから発せられているか分からない声に犬夜叉は緊張を覚え      いつでも戦える体制を整えた。 しかし声の主の姿は影も形も見えはしない。 『愚かな・・・。自らこの小娘に闇を植え付けながらも                  尚もこの小娘を我から取り戻そうとするか・・』 犬夜叉はまさかと小さくつぶやいてかごめと魔獣木の方を見上げた。 そう・・。しゃべっていたのは魔獣木自身。 この邪気と妖気に絡められている木から・・・・・・。 「おめぇが・・・しゃべってるのか・・・・・・」 『そう・・・我は魔獣木・・・・。この森を支配する木よ・・・』 「へっ・・・そぉかよ・・・・!!!」 犬夜叉は声が魔獣木のものと分かるとすぐに魔獣木に向かって行った! 愛用の鉄砕牙を変化させ、大事な少女を助けるため・・・・。 バチバチバチッッ!!!!! 「っちぃ・・・!この結界・・・強すぎて切れねぇ・・・・・」 犬夜叉は先ほどと同じように結界に拒まれ簡単に吹き飛ばされた。 そんな様子を魔獣木は大きな声で笑った。それはまるで奈落の声のよう・・・。 『やはり愚かだな・・半妖が・・・。              先ほども言ったであろう・・。                 これは小娘自身の力だと・・・・』 「ふざけんじゃねぇ!!!かごめがこんなことするはずねえだろ・・!!!」 犬夜叉はそう怒鳴り返した。         かごめに限って自分を拒絶するなどありえない・・・!! そう強く心に思いながら・・・・・。 『だが・・・・小娘が望んでいるのだぞ・・・・・・。                 我に取り込まれ安らかなる眠りにつきたいと・・・・・・』 魔獣木が静かに・・・そして確実に犬夜叉を苦しめる現実を突きつける。 魔獣木は犬夜叉の心までも闇に染めるつもりだ・・・・。 犬夜叉は魔獣木の言葉をまだ怒りの目つきで睨みつけながら聞いていた。 『全く・・・この小娘も愚かなやつだ・・・・・。            お前のような汚らわしい半妖を好きになっただけでなく                  お前に想い人がおるのも知っていながらお前に恋焦がれていた。    そして自分を見てくれるかもしれぬという浅ましい希望だけでお前の傍に居た・・・。』   魔獣木はそう言いながらもかごめを包んでいる・・・・・。              「だからなんだってんだ・・・!!!!!!!!」 犬夜叉が魔獣木に向かって怒鳴った。この空間だとよく響いていた。 「たとえなぁ・・!かごめがそう思ってたとしても・・・俺はかごめを嫌いになんてならねえよ・・・・!!!!                                 それにかごめは浅ましくもなんともねえ・・・かごめは俺のことを心配して・・・・                俺を追いつめないためにいつも我慢してたんだ・・・・・!!!!!!      それのどこが浅ましいんだ!?かごめだって人間だ・・・!!少しくらいの欲望ぐらいあるんだよ・・!!!          生き物は皆少しの欲望はあるんだよ・・・!!だけどそれを表に出さないようにしてるだけだ・・・!!!!!                    てめぇみたいにボーっと突っ立てるほど人間は甘くはねぇんだ!!!!!!!!!」 犬夜叉の怒鳴り声に空気が震える・・・・・。                  魔獣木の枝が騒ぐ・・・・・・・。    そう・・・。いつだってかごめは我慢していた・・・・・。              俺が桔梗の元にいき、抱きあっていたとしても・・・・・・・・                          かごめは文句一つ言わない・・・・・。                               だからいつしか俺はかごめに甘えすぎていた・・・・。           かごめだって心を・・感情を持つ生き物なのに・・・・・・・・。                              魔獣木は重い声をゆっくり・・ゆっくりと出す・・・。 『知ったような口をしおって・・・・・。                 我とてお前のような生き物・・・・・・。                        この世に存在しているのだ・・・・・。           お前に我の気持ちが分かるか・・・?人間の闇を養分にし、生きる気持ちが・・・                                              人間の闇ばかりを見てきた我に何を言おうと無駄だ・・・。生き物は闇が強すぎる・・・        その証拠が我の存在だ。もし人間の闇が弱ければ我は生まれはしなかった・・・・。』 「お前の存在だと・・・・?ふざけんじゃねえよ・・・・!!!!!!!!!              お前は人間の闇の部分しかみたことねぇからそんなことばっか言えるんだ・・・・!!!!!   だからお前はそんな存在になったんだよ・・・!!生き物はいくらだって変われるんだ・・・・・・!!!!!!           俺が・・・孤独から抜け出たのも・・・・!!!今俺がかごめを助けようとしてるのも・・・・!!!!          生き物の優しさを知ってるからだよ・・・・!!!!!!!お前も少しは知ってるだろうが!!生き物の優しさをよ!!」 犬夜叉はそう言って鉄砕牙を鞘におさめ素手で魔獣木に向かっていった。その先には結界がある・・・。 バチバチバチッッッ・・・・・!!!!!!!!!! やはり結界は犬夜叉を拒み続ける。 しかしどんなに結界が犬夜叉を拒もうと犬夜叉は一歩も引かない。              火鼠の衣までもが結界の威力でぼろぼろになっていた。     勿論犬夜叉の体も傷ついていく。 「かごめぇ・・・!!!!!てめぇ寝てんじゃねえよ・・・・・・!!!!!!            お前がこんな奴につけこまれるほど悔やんでたなんて気づかなかった俺が悪かった・・・!!!!!!              だから・・・・てめえも気づけよ・・・・!!!!!自分のいいところも悪いところも!!!!!!                   全部受け止めちまえよ・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!           俺はなあ・・・・お前の全部ひっくるめて好きなんだよぉぉ・・・・・!!!!!!!!!!!!!」 犬夜叉の切ない叫び声が・・・・          犬夜叉の周りに・・・・・・・・                  この大地に・・・・・・・                              魔獣木の周りに・・・・・・・                               魔獣木に・・・                 そしてかごめの元まで響き渡っていた。 そのかごめの瞼からは・・・・・・涙が一粒零れ落ちていた。 その涙に誘われてか・・・かごめの瞼がゆっくりと開かれる・・・・・。 「犬・・・・・夜叉・・・・・・・・」 眠り姫はやっと・・・・目を覚ました。 瞼を開けながらも魔獣木によって動けぬ体。         しかし瞳だけは・・・・犬夜叉を見ていた。 結界はまるで犬夜叉を許すように少しずつ消えていった・・・。                 まるでかごめの涙が結界を消すように・・・・・。 『何を・・・・半妖が・・・・。この小娘に一体何をした・・・』 魔獣木の声が震え、驚きを表していた。 犬夜叉は結界によって傷ついた体を諸共せずゆっくりと魔獣木の・・・・              かごめの方へ歩んでいく。 「へ・・・。てめぇには一生かかったってわからねえよ」 そう一言つぶやいて・・・。犬夜叉は鉄砕牙を鞘から取り出し魔獣木に向ける。 「さぁ・・!とっととかごめを返してもらおうか!!               さもねえとてめえをぶっ倒す・・・!!!!!!!」 「そんなことはさせやしないよぉ・・・・・!!!!!!!」 そんな緊迫した声が犬夜叉の後ろからした。 シュッッ!!!!!! 「・・・!?」 犬夜叉は飛んできた葉をすばやく読み取り高く舞い上がってそれを回避した。 そう。後ろにいたのは朱李だった。しかし今までの冷やかした雰囲気は消え、            生き残るために全てを捧げるような雰囲気が漂っていた・・・・。 「魔獣木には・・・!!!指一本触れさせやしない・・・!!!!!                お前のような半妖なんかに・・・倒されるわけにはいかない・・・・!!!!」 「ふざけんな・・!!!!俺はなんとしてでもこいつを倒す・・!!!!!!!                   そしてかごめを取り戻すんだよ・・・!!!!!!!!!」 犬夜叉はそう言うと猛スピードでかごめの動きを封じている魔獣木の枝に向かって鉄砕牙を向けた。 「・・・っ!!!!やめろっていうのが聞こえないのか・・・!!!この半妖が・・・!!!!!」 しかし朱李の声もむなしく犬夜叉はかごめの動きを封じている枝を切り落とした。 枝や葉は脆くも鉄砕牙によって切り刻まれかごめは魔獣木の魔の手から解放された。 『どおおおおおおおおぉぉぉぉ・・・・・・・!!!!!!!!!!!!』 魔獣木の悲痛な叫び声がこの次元に広がっていった。 しかし犬夜叉はそんなこと気にせず、愛する少女の身を案じた。 犬夜叉はすぐにかごめを抱きかかえ魔獣木から数メートル離れたところにかごめを降ろした。 「かごめ・・・!!!大丈夫か・・・!?」 犬夜叉の心配そうに叫ぶ声が聞こえていた。 そんな犬夜叉の声にしっかりと答えたい・・・・・。 自分の身を案じ・・・自分を好きだと言ってくれた少年に・・・・・。 今自分の出来る精一杯のことを・・・・・・。 そのためにかごめはやんわりと微笑んだ。いつもよりも少し強張った・・しかし優しげな雰囲気の笑顔・・・・。 「うん・・。大丈夫・・・・。・・・・・ありがとね・・・・犬夜叉・・・・・・」 かごめの笑顔・・・。それは人を癒す・・・。 まさにそのままだ。かごめの笑顔はどんな状態であっても人を癒してくれる。 たとえそれが自分とは異なる異形の者でも・・・・どんなに恐ろしい亡霊でも・・・        かごめは引くことはない。 「・・・・!?」 突然木の根が犬夜叉達を襲ってきた・・・! しかもさっき相手にしていた朱李が操るような簡単なものではない。 今まで見たこともないほどの巨大な根・・。それは大蛇を思い浮かばせる。 『おのれ・・・半妖が・・・・。我直々にお前らを始末してくれよう・・・。』 魔獣木の低い声がその場にいるものに恐怖を感じさせる。 「待って・・・!!私が・・私がこいつらを・・・!!!」 朱李が前にでて言った。その表情が慌てていた。 『黙れ朱李・・・。こやつらは我がやらねば気がすまぬ・・・・・。それとも我にはむかうか・・・?』 「でも・・・あんたが死んだら私は・・・・」 朱李のか細い声が犬夜叉達にも聞こえた。 『こんな汚らわしい半妖と人間の小娘に我が負けると思うか・・??それこそ気違いだ・・・・。』 魔獣木はそう言うとさらに根を出し続ける。そして枝もざわざわとざわめく。 「けっ・・!俺が半妖だからってなめんじゃねぇぞ・・・!!!俺がてめえをぶったおしてやる・・!!!!」 犬夜叉がかごめを片腕で強く抱きしめ、もう片方の手には鉄砕牙が握り締められていた。 そして犬夜叉はかごめの耳元で小さく囁く。 「今この状態でお前を残したら朱李に狙われるのが関の山だ・・。俺と一緒にいくぞ・・・」 かごめにNOの返事はない。かごめだってその気だ。 「そんなこと言われても私はついていっちゃうからね・・・・」 まだ体力の戻らぬ声でそう言った。犬夜叉がかごめをちらりと見るとかごめはやはり笑っていた。         ったく・・・。俺もとんでもないやつを好きになったもんだな・・・・ 犬夜叉はその事をふっと鼻で笑ってまた魔獣木をキッとにらみつけた。 「・・・・さぁ・・・!!!!!ここからが勝負だぜ!!!!!!!!」                                                               続く  〜〜あとがきのようなもの(ゥォィ〜〜 森という名の力中編ですー^^; すいません;;すいません;;;前編後編で終わらすつもりが終わりませんでした!!(殴蹴 本当にごめんなさいぃ;;後半で必ず終わらせます!!(当たり前だ やっぱり私の書くものってシリアスっすねぇ^^;(ォォィ いやなんとなく深い意味を持つストーリーが好きなので^^(マテ 後半も送るのが遅れると思いますがこれからもよろしくお願いします(__)