紅葉の見える丘で
                                       
ひゅぅ…と、冷たい風が吹く。 もう秋なんだなぁ。と、私は心の中で呟く。 山は赤や黄色に姿を変えている。 こんな時に紅葉を見に行ったら、綺麗だろうな…。 「かごめ?」 丘の上で体育座りしていた私の横に犬夜叉が座る。 軽く肩がぶつかったと思ったら、もう私の肩に手をまわしている。 「何やってんだよ。こんな時間に。」 まだ突き刺すような風が吹いている朝方。 確かに、こんな時間に外に出歩いているのは変かも知れない。 「んー…此処に居たら、犬夜叉が来てくれるかなって。」 にこ、と笑って、犬夜叉に言う。 今考えたけど、なかなかいいじゃない? 嘘なんか何処にもないわ。 犬夜叉は呆れたような顔をする。でも少し嬉しそうにも見える…なんて、自惚れていいの かしら。 「馬鹿。だからってこんなとこまで来るなよ。」 「だって、ここが一番いいところでしょ?」 「お前…本当に好きだよな…ここ。」 「だって、犬夜叉が教えてくれたんだもん。」 それから返答はなかった。 顔を赤くして、目を明後日の方向に向けてしまった。 言ったあたしも、今更ながら頬を紅潮させる。 「…行くなら一言声かければいいだろ…。」 「あ、うん。そうだったね。」 こんな風な会話、いつもなら受け流すくせに。 何時の間に、そんな風になったのかな。 昔だったら可愛いな、で終わりだったけど、最近は特に照れてもここまで初心じゃなかっ たのにな。 「ねぇ、お昼になったら紅葉を見に行こうよ。」 「…紅葉?」 「うん。」 「…みんなで?」 もう。なんでわかってくれないのよ。 犬夜叉の馬鹿ーっ 「………………。」 二人で。なんて、恥ずかしい。 そんなに恥ずかしい言葉じゃないかもしれないけど…やっぱり、二人きりの時だと、誘っ てるみたいで嫌だな…。 それに… 「…黙るなよ…。冗談だ。二人で行こうな。」 こういうのは、犬夜叉の方から誘って欲しいもの…。 そう思っていると、あたしの心の中を読んだように犬夜叉が言った。 あたしは嬉しくて、思わずぎゅっと抱きつく。 吃驚したような顔をしたけど、犬夜叉もきつく抱き締めてくれた。 その後のことはあんまり言いたくない。まぁ、弄りあってた…って言うのがいいかもしれ ないわ。 如何わしい意味じゃなく…ね。 ***************************************************************** 「きれーい!」 思ったとおり、山の中は紅葉のアーチみたいになっていた。 あたしの右手は、しっかりと犬夜叉に握られている。 デート…って言ってもいいのかな…。 思わずえへへ。と頬を緩ませてしまう。犬夜叉は不思議そうな顔で見ている。 「何笑ってるんだよ?」 「うぅん。」 「何だよ…。」 「内緒。」 拗ねた子供みたいにあたしの手を離す犬夜叉。あたしは少し焦って、 「ごめんごめん。気にするほどのことじゃないのよ。」 「けっ。」 だめだ…完全に拗ねちゃったかなぁ。 「犬夜叉、好きだよ。」 「………。」 上目で見上げる。黙りこんでいるけど、急に腰に手をまわしてきた。 「犬夜叉?」 突然後ろから抱き込まれる。遅れて、頬も赤く染まってきた。 「俺だって好きだ……。」 ぼそっと、耳元で囁かれる。息が掛かって、少しくすぐったい。 …でも、嬉しい。 「内緒とかやめろよ…たいした事じゃなくても俺には言え。」 ずっと山を歩くわけにも行かないので、麓の方で眺めることにした。 さっきからずっと体勢が変わってない。 急に話し掛けてきて、少し吃驚した。 「…だから、本当にたいした事じゃないんだってば。」 「いいから言え。」 「いやよ。」 「なんでだよ。」 「…恥ずかしい。」 へぇ…と、意地悪そうな笑みを浮かべる犬夜叉。 あたしは虐められるっ…と直感的に思った。 「恥ずかしい?…余計気になるじゃねぇか…。」 首元に息が掛かる。ぞくりと、変な感覚に襲われる。 「き、気にしないでよっ。」 「いやだね…。言ったらもっと可愛がってやるよ。」 くす。と犬夜叉が笑う。 悔しい…。 可愛がってあげる=自分がしたい。と解釈してもいいのかしら。 でも…だって…。 「可愛がってくれなくていいわよっ。」 つい、言葉が漏れる。 言ったあとで、はっと口を押さえた。 いつもなら、あたしから離れて「ふぅん…。」と、あたしが諦めるのを待つ。 仕方ない。潔く負けを認めよう。 …あれ? 離れていかない。どうしたんだろう…。 「いぬや…」 「んじゃぁ、もう俺に愛想尽きたっていうのか?」 ぎゅぅ…と、痛いくらいに抱き締めてくる犬夜叉。 なんだろう…今日、なんか変だよ…。 夕日が落ちた。 「ぁっ…。」 犬夜叉の髪が黒に染まる。 そっか…今日、朔の日だったんだ…。 ん?朔の日…? 「じゃぁ、今日はおあずけだな。」 「ぇっ…え?」 だんだん思考がショートしていく。 今日…は、なんかあったかしら…。 「今日じゃないとできないんだけどなぁ…1ヶ月待たせる気か?」 …………………………………え? 「俺は嫌だぜ?なんなら今此処で…。」 「ちょっ…待ってよっ!」 「嫌だ。待てねぇ。」 「やだやだっ…こんなところでっ!」 「なんだ。わかってるじゃねぇか。」 服をずらし始めていた犬夜叉の手を掴んで、あたしは必死で説得した。 そうだ…朔の日は…。 もぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ! 今日は寝かせてもらえるのかしら…。                                                                                                                          【終v】 後書き(と、言う名の言い訳タイム) こんにちは。莱(らい)です。 なんともまぁ。無駄に長い。いや…短いかな。 とりあえず、こんな駄文をすみません。 かごめちゃん思考なんてあんまりやったことがなくて; でも愛してるわ!かごちゃん! 水音さま、こんな感じでよろしいのでしょうか…;;(滝汗) 何気に最後は小学生の方には見せられないですわ。どうしましょう。 あぁ…なんなんでしょうか本当に。 こんなん載せたら客が減る!とか思ったらどうぞ。個人でお楽しみください。(爆) 莱は寝ます。(再爆) では。お体に気をつけて頑張ってくださいね^^