Pure tears

あきな

       いつの間にか覚えた‥‥。声を殺して泣くの。










    誰にも気付かれないように。    











    彼に知られないように。










    皆が寝静まった夜。









    ただひっそりと‥‥。


































    またいつものくだらないケンカ。いつもの決まり文句。
    分かってた。これは犬夜叉の子供じみたやきもち。
    いつものように謝って‥‥。仲直りすればいい。













    分かってたけど‥‥。今日は‥‥‥。素直になれない。
    お互い背中合わせで。ずっと黙ったまま‥‥。












    「おいっ!」









    沈黙に耐えきれなくなったのかしびれを切らし今日は犬夜叉が折れる。
    苛立ってた気持ちが少し和らぎ後ろを振り返る。
    早く仲直りしたくて‥‥。











    「こ、鋼牙くんとは何でもないんだから!誤解なんだからね!」















    こんな状態はいや‥‥。ちゃんと説明したら分かってくれるよね?
    振り向いてほしくて続けようとした私の言葉を遮るように犬夜叉は‥‥。





    背を向けたまま‥‥。何でもない風に。















    「別に‥‥。おめーが鋼牙のヤローとどうなろうと関係ねぇ…」













    一瞬思考回路が停止する‥‥。目の前が真っ暗になって……。
    犬夜叉の何げない言葉が痛いくらいに胸につきささって‥‥。














    何、それ‥‥?













    これが犬夜叉の本心じゃないことくらい分かってた。
    ここで軽く受け流せばよかったのに。
    












    だけど‥‥。
    













    気がついたらもう‥‥、止まらなかった。














    「あっ、そう。そうよね。あんたに私の事なんて関係ないわよね!
      犬夜叉は桔梗のことが好きなんだもんね!」













    言ってしまって後悔した……。
    桔梗の話しなんてしたくないのに‥‥。
    










    ばかみたい‥‥。    












    売り言葉に買い言葉。
        またケンカになって、こじれて‥‥‥。











    どうして私たちはいつもこうなっちゃうの?
    ただ好きなだけなのに。













    いろんな感情が頭の中をぐるぐる回って‥‥‥。






















    やだっ‥‥!涙出ちゃう!止めなくちゃ‥‥‥。

















    犬夜叉に背を向け顔を思わず伏せた。
    こんな顔見られたくない。泣いた顔なんか見せたくない。














    震えそうになる声を必死にこらえて言った。 
 













    「もう‥‥、いいよ。一人にして‥‥。」














    じわじわと溢れてくる涙を必死にとめて、早く立ち去ってくれるのを待つ。



    














    泣かない‥‥‥。  絶対泣かない‥‥‥。
    誰があんたの為なんかに泣くもんか‥‥。

















    背中に犬夜叉の痛いくらいの視線が突き刺さるのを感じた。
    




    だけど……。









    何か言いかけ……、結局何も言えないまま……………。

    









        
    そっと立ち上がり、犬夜叉は‥‥。
   






















    -----------------------------------行ってしまった………。
     
























    と同時にもう‥‥。






















    涙が止まらなかった……。

















   



























    嘘よ!本当は‥‥‥!

















    どこへも行かないで‥‥‥!



















    ずっと私のそばにいて!




















    大好きなの‥‥!




















    ケンカなんてしたくない!




















    ずっとそばにいたいよ。
 





















    「っく……」
















    やだっ……、どうしよう‥‥‥。


















    こんな気持ち知らない……。ううん、知らなかったよ……。
   
















    好きになり過ぎて‥‥‥。
















    恐いよ‥‥。










    













    一気に感情が押し寄せてきて。   
    次々と流れてくる涙は止めれそうにない。
    それでも……。













    いつの間にか声を殺して泣いてる自分に気づく…。
    














    おかしいよね。ここにはもう、誰もいないのに……。













    彼は行ってしまったのに……。











    「っく……。ぐずっ…」











    膝を抱えてそっと涙を拭った。




   


        













        

       ---------------その時!





















    暖かい、優しく逞しい腕が私を包みこんだ……。














    「い、犬夜叉!!」














    息をつめ驚いて顔を上げると、とまどってる犬夜叉の顔があった。



















    行ってしまったんじゃなかったの‥‥?   




    戻ってきてくれたの‥‥?















    流れる涙を隠すように私は、犬夜叉の衣に顔をうずめた。













    「泣くな‥‥。泣かないでくれ。うそだ。あんなの。悪かった。
     言い過ぎたから‥‥。
     泣かれると‥‥、どうしたらいいか分らなくなる。」
  















    さらにきつく抱きしめられ私は‥‥、犬夜叉の名前を何度も何度も呼び、 
    声を荒げて泣き続けた。













    時間にしたらほんの数分の間だったけど、私が泣き止むまで犬夜叉は、
    ずっと私を抱きしめてくれてた。
    
     
    









    嬉しくて………。

















    嬉しくて…………。

























    「犬夜叉‥‥‥。大好き‥‥!」




























     ------------------------------------やっと素直に言えた‥‥‥。


























     顔を見たくて振り向いた私に犬夜叉は‥‥‥、そっと……。

























     
     優しいキス1つくれた……。














              
   
     

















     仲直りした後の帰り道、しっかり手を握って、夕焼けに染まる道を
     楓の村へと歩いた。
     





     ふと視線を感じて横を見ると犬夜叉は真剣な目で私を見つめてる。
     そしてつぶやくように、「も、もう泣くなよ……」って。







    

     「うん。」








      って犬夜叉には言ったけど………。---------------約束はできないよ。













     だけどね、犬夜叉……。





     
     これだけは覚えておいてね……。
















     私がいつも泣いちゃうのはあんたの為………。
















     他の誰でもない。


















     あんたの為でしか泣けないんだからね……。



     
 



                                         End

      

     


       

     

(水)
   うわぁ〜!うわぁ〜!かなり恥ずかしいです。
   かなり少女漫画入ってます。
   そして愛するかごちゃんを泣かしてしまってすいません(><)
   

   でも切ないお話しが大好きなんでこうなってしまいました。
   もうかれこれ1年前に書いたものでパソの中に埋まってたのを取り出して
   きたんです。
   今読んだらかなり砂吐きですね。


   一つ弁解といいましょうか、最後の「あんたの為でしか泣けない」
   の部分なんですが、これは「好きな人に対する愛しい涙」と取って下さい〜。
   

   かごめちゃんはどんな人に対しても深い愛情で泣ける素敵な女の子だと
   思います。
   かごめちゃんの涙vvv素敵ですvvv大好きですvvv
   歪んでますかね…(笑)


   ではこんな稚拙なブツですが喜んでもらえたら嬉しいです。