オカシな自殺志願者！

Ｈ：あぁ〜！今日はええ天気やなぁ〜♪

　　こんな天気のええ日は、仕事をサボって屋上でノンビリするに限るなぁ〜！

　　確か、昨日もこんな事言うてた気がするけど・・・まぁ、ええか！(笑)

　　・・・あっ！昨日と言えば、ビックリしたなぁ〜！

　　まさかの自殺志願者やもんなぁ〜！

　　しかもなぁ〜・・・あんな事で、死にたいなんてなぁ〜！(笑)

　　今頃はどないしてるやろ、あの人・・・

Ｈ：あぁ〜！今日はええ天気やなぁ〜♪

　　こんな天気のええ日は、仕事をサボって屋上でノンビリするに限るなぁ〜！

　　・・・なんて、明日も言うてたりして！(笑)

　　・・・あれ？今日は先客が居てるやん！珍しいなぁ〜！

　　ん？あの人、靴なんか脱いで何してるねん！？

　　えっ！？金網、登ってるやん！！

　　ちょっと！ちょっと！あんさん、待ったらんかいっ！！



Ｂ：・・・・・・なんですか！？



Ｈ：なんですかやあれへんがな！自分、金網なんか乗り越えて何する気やねんな！？



Ｂ：何って・・・私の事なんか放っといて下さいよ！



Ｈ：そう言う訳にいかんがな！まさか、自殺する気と違うやろな！？



Ｂ：・・・良いんです・・・もう、私なんか生きてても仕方ないんですよ！！



Ｈ：ちょっと待てって！そんなん言わんと、もう一回考え直してやなぁ〜！！



Ｂ：考え直したって無駄ですよ！あんな・・・あんな失敗をしてしまって・・・

　　もう、私には死ぬしか道は無いんですよ！！



Ｈ：いやいや！死んだって何の解決にもならんから！

　　如何やろ？ちょっと、その訳を俺に話してくれへんかなぁ〜！？



Ｂ：貴方に話したって・・・如何にもならないんですよ！！



Ｈ：いやいや！そうでもないかも知れへんで！

　　喋ってみたら案外と楽になったりするからさぁ〜！！

　　・・・なっ！？如何やろ！？



Ｂ：・・・馬鹿にしないで・・・聞いてくれますか！？



Ｈ：当たり前やがな！

　　人が生きるか死ぬかの話やのに、馬鹿になんかする訳がないがな！！



Ｂ：じゃあ・・・あのですねぇ〜・・・



Ｈ：なんやのん？仕事で失敗したとか！？



Ｂ：いえ、仕事は毎日順調で・・・



Ｈ：ほな何やろ？・・・あっ！彼女に振られたとか！？



Ｂ：いえ、彼女とも毎日ラブラブで・・・



Ｈ：えぇ〜？他になんかあるかぁ〜！？

　　・・・あっ！これや！借金で首が回らん！！間違いないやろ！？



Ｂ：いえ、貯金は１千万ありますから・・・



Ｈ：ほな何やねんなぁ〜！仕事は順調！彼女とはラブラブ！金も持ってる！！

　　死ぬ理由なんか、何処にも無いやないかいな！！



Ｂ：それが・・・トンでもない、ミスを犯してしまって・・・



Ｈ：なんやのん？一体、どんなミスしてもうたんや！？



Ｂ：チョコボールを・・・

　　間違えてキャラメル味を買ってしまったんですよ！！



Ｈ：・・・・・・ハァ〜ッ？？？



Ｂ：本当はピーナッツ味が食べたかったのに・・・



Ｈ：いやいや！あのさぁ〜・・・

　　えぇ〜っ！！？？そんなんで死ぬのん！？



Ｂ：そんなのって、どう言う言い草ですか！！

　　貴方に私の、この気持ちが分かるんですか！！



Ｈ：そら、分からんけど・・・



Ｂ：ショックなんですよ！

　　私の生き甲斐であるチョコボールの味を間違えるなんて・・・



Ｈ：チョコボールが生き甲斐って・・・理解出来へんなぁ〜！



Ｂ：貴方に話した私が馬鹿でした！もう、死にますっ！！



Ｈ：いやいや！別に死なんでも・・・



Ｂ：じゃあ、他に如何しろと言うんですか！？



Ｈ：買った店に頼んで、代えてもらうとか・・・



Ｂ：私もそう思いましたよ！でもねぇ〜・・・



Ｈ：でも・・・何やのん？なんか不都合でもあったんかいな！？



Ｂ：気が付いたのが・・・食べた後だったんですよ！！



Ｈ：気付こうや！食べる前にさぁ〜！！



Ｂ：貴方に分かりますか！？

　　ピーナッツのカリッとした歯応えを期待して噛み締めた途端に

　　キャラメルのネタァ〜ッとした食感に襲われた男の気持ちがっ！！

　　えっ！如何なんですか！？



Ｈ：それやったらさぁ〜・・・また、買いに行ったらええやん！



Ｂ：行きましたよ！行きましたとも！！

　　猛ダッシュで！全速力で店に戻りましたよ！！そしたら・・・



Ｈ：そしたら・・・どないやったのん？



Ｂ：・・・売り切れてたんですよぉ〜！！



Ｈ：もぉ〜！・・・つくづく運の無い人やなぁ〜！！



Ｂ：ですからもう、この上は死んで詫びるしか・・・



Ｈ：えっ？・・・ちょっと待って！！詫びるって・・・誰に詫びるのん！？



Ｂ：決まってるじゃないですか！チョコボールにですよ！！



Ｈ：・・・・・・ハァ〜ッ？？？



Ｂ：良いですか！？

　　私は小さな頃から、チョコボールを毎日の様に食べてきたんですよ！！

　　しかも、ピーナッツ味ばかりを愛し続けて２０年ですよ！！

　　その私がですよ！不注意とは言え、キャラメル味なんかと間違えるなんて・・・

　　もう、死んでチョコボールに詫びるしかないんですよ！！



Ｈ：・・・あのさぁ〜、なんか自分・・・むかつく奴やなぁ〜！！



Ｂ：何がですか！私の何が、むかつくんですか！？



Ｈ：人の気持ちが分からん奴やから、むかつくって言うてるねん！



Ｂ：人の気持ち？・・・どう言う事ですか！？



Ｈ：お前は確かに、チョコボールの味を間違えて落ち込んでるかも知れんわい！

　　でもな、間違われたキャラメル味の気持ちは如何やねん！！



Ｂ：キャラメル味の・・・気持ちですか！？



Ｈ：良ぅ考えてみぃ〜よ！

　　ピーナッツ味と一緒に並んで棚に陳列されてるのに

　　皆、ピーナッツ味ばっかり買っていって！自分は、いつも取り残されて！

　　ブルーな気持ちになりかけてる所に、やっと自分を買ってくれる人が現れて！

　　『これからや！俺の青春はこれからや！』って思った途端に突然！

　　間違いやったと気付かれて！挙句の果てに捨てられて！！

　　おまけに自殺の原因にまでなってるキャラメル味の気持ちを

　　お前は考えた事があるんか！よぉ〜っ！！



Ｂ：・・・そう言われると・・・



Ｈ：そうやろ！考えた事なんか一度も無いやろ！！



Ｂ：すいません・・・私が間違ってました！



Ｈ：もう、自殺しようなんて・・・思って無いか！？



Ｂ：はい！目が覚めました！有難うございます！！



Ｈ：いやいや！お礼なんてええから！



Ｂ：じゃあ、これから早速チョコボールを買いに行って来ます！



Ｈ：今度は、間違えん様にするんやで！



Ｂ：はいっ！今度は間違いなく・・・ピーナッツ味で！！



Ｈ：良しっ！ほな、行っといで♪



Ｂ：はいっ！・・・あっ！それとですねぇ〜・・・



Ｈ：ん？まだ、何かあるんかいな！？



Ｂ：・・・仕事サボってちゃダメですよ！



Ｈ：うっさい！放っとけっ！！

Ｈ：・・・ってな事で、結局自殺は踏み止まってくれたけど・・・

　　あれから如何してるかなぁ〜あの人・・・

　　ちゃんと、ピーナッツ味を買ったんやろか！？

　　・・・あれ？あの人、また屋上に来てるやん！

　　・・・あれあれ！？また金網、登ってるやん！！

　　ちょっと！ちょっと！また何してるんや、あんたはっ！！



Ｂ：あっ！昨日の人・・・



Ｈ：ちょっと、あんた！昨日の今日で何してくれてるねんな！？



Ｂ：やっぱり・・・私、死にます！



Ｈ：なんでやねんな！？

　　昨日、あれからピーナッツ味を買いに行ったんと違うんかいな！？



Ｂ：それが・・・今度はイチゴ味だったんです！



Ｈ：あぁ〜あ・・・・・・・・・