花

私って綺麗でしょ♪


今日も私の美貌を見せつける為に

こんなに素敵に咲き誇っているのよ♪


どう？こんな私を見て貴方はどう思うの？

でしょ！？とっても綺麗って思うわよね♪

そんな貴方の美的感覚ってとっても正常よ♪

だって私って、とぉ〜っても美しいんだもの！


おまけに、とっても良い香がするのよ！

さぁ、見て！かいでみて！手に触れてみて！！

キャァ〜ッ！！


なんで摘んじゃうのよぉ〜！！


貴方、今私の事を見て綺麗って褒めたばかりじゃないの！

なんで綺麗な物を、そう簡単に摘んじゃうのよ！？

綺麗な物を壊しちゃうのよ！？ボロボロに破壊しちゃうのよぉ〜！？


じゃあ何！？

貴方は綺麗なネックレスとか見付けたら思わず引き契っちゃう訳！？

違うでしょ！！

じゃあ、なんで私にだけこんな事しちゃうのよ！？


私の事を綺麗だって思うんだったら

ちゃんと根っ子から優しく取って、鉢か何かに植え代えなさいよ！！

それが出来ないんならほっといてよっ！！


もう切っちゃったものは仕様が無いから、せめて花瓶に位は生けてよね！

それも私の美貌に見合う素敵な花瓶によ！

あっ！後、只の水じゃ駄目よ！ちゃんと養分を入れといてくれないと！

私を少しでも長く、美しく咲かせておいてよ！




・・・って言ってる側から何してんのよ！？

ちょっと、私をノートに挟んでどうする気なのよ！？

ちょっと貴方！止めなさいって！！何？何なの一体！？ちょっ・・・

・・・押し花にしちゃうのぉ〜！？


何でまた・・・寄りにも寄って・・・ペチャンコにしちゃうのよぉ〜！？

綺麗な物を綺麗な形で残そうとは思わないの！？


ああ・・・私の汁が・・・体液が・・・紙に染み込んでいく・・・

何よ！綺麗だなんて褒めておきながら・・・

結局、押し花にしちゃうなんて・・・




あら？何？

私の汁が染み込んだ紙を取り出して・・・どうしようって言うの？


ま・・・まさか！？

そっちが必要なのぉ〜！？

何？私は！？私はどうでも良いの！？

私は？私は一体どうなるの！？


ちょっと！捨てるの？捨てちゃうの！？


あっ！ゴミ箱に・・・！！



あぁぁぁぁぁ〜っ・・・




なにが『花の命は短くて』よ・・・


貴方達が短くしてるんじゃないの・・・