12月8日、太平洋戦争開戦の日。決して忘れることの出来ない日です。「桜疑惑」から逃げ回る一方で、日本を再び戦争できる国に向かわせる改憲策動は決して許さない決意を改めて固め直しています▲西暦689年12月8日、1300年以上前に、日本の記録に残る最古の賭博禁止令が出されています。貴族社会でも大流行したのでしょう、当時の賭けの対象は「盤双六」というゲームです▲室町時代には、この盤双六の道具であるサイコロのみを使う丁半博打が生まれ、一方で、盤双六は現在の絵双六に形を変えていきます。絵双六はヨーロッパにもあり、オランダ双六が出島で体験できます▲ともあれ、賭博は大昔から、社会問題になり、繰り返し禁止令が出されています。現在も賭博は法律で禁じた明確な犯罪行為です。例外は競輪・競馬・競艇や宝くじ等の公営賭博です▲パチンコも公認ですが、極めてギャンブル性の高いもの。これらの依存症になり、商売を危機に陥れたり、家庭を崩壊させた人を幾人も見てきました▲政府はカジノ実施法の具体化をすすめ、長崎県は積極的に誘致に名乗りを上げています。カジノは賭博です。経済の振興を掲げますが、得る利益の何倍もの損失を出す、こんなものに経済対策を委ねることはできません
嬉しいことに、商工新聞連載中の「日本の島に魅せられて」に、軍艦島が登場しました。文中「廃墟以外のなにものでもないのに、島全体を包む大きな情念のようなものを感じた」の文言が▲きっと、草創期、戦前と戦争の時代、黄金期、斜陽期を含めて、そこに暮らした人々の思いが詰まっているからに違いありません▲日本の近代化は勿論、戦後復興に、本県の石炭産業は大きな役割を果たしました。最初に近代的な採炭法を導入した高島や、当時の最先端の技術を結集して造られた軍艦島だけではありません▲かつて石炭は、本県の基幹産業の一つでした。60年代には国内総出炭量の約1割を占めていました。県北部でも、例えば、松浦市全体の所得の4割以上を、石炭産業が生み出していました▲それ丈に閉山に伴う大きな痛みも経験し、多くの炭鉱マンが、新分野に生きる道を求めました。慣れない商売を始め、労働者として培った経験を民商運動に生かしてくださった忘れがたい方もいます▲軍艦島は、9月の台風17号被害で上陸再開は来春3月末になるとか。軍艦島は、年間30万人もが訪ねる観光スポットです。観光政策の上からもですが、この島は、単なる観光資源ではありません。行政の対応に問題はなかったのでしょうか
どのチャンネルも天皇即位パレード(祝賀御列の儀)を映し出しています。15日は大嘗祭一色になるのでしょうか。天皇の代替わりに関する総費用は166億円だとか▲国民の祝日は、それなりに意義あること故、特段の異議はないのですが、形を変えて「建国記念の日」(かつての紀元節)のように戦前の天皇神格化に基づくものが幾つかあります▲文化の日は、憲法公布の記念日でもありますが、一方では戦前の四大節の一つ明治節(明治天皇の誕生日)にあたり、勤労感謝の日は、宮中祭祀の新嘗祭に当たっています▲新嘗祭は、天皇が五穀を先祖(神々)に捧げ自らも食して収穫に感謝する天皇家の神道行事です。新天皇の最初の新嘗祭が大嘗祭で、天皇の代替わり儀式の一つです▲この費用は27億円。行事終了後は直ちに撤去される大嘗宮の建設費用丈でも19億円だそうです。大嘗祭は、憲法の定める国事行為でも、公務でもありませんが、費用は国の財政で賄われます▲低い年金の上、消費税増税で、みみっちくとも一円でも安いものをと財布の紐を締めるわが身はさておき、度重なる災害で、生業の再建、復興の費用の目途さえ立たぬ人々さえいるなか、何かがおかしくありませんか▲政教分離の点からは憲法違反の疑いさえ残ります
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、秋は様々に引っ張りだこの季節です。読書の秋もその一つ。「読書の秋」の由来は、遠く中国・唐の時代の詩文に(秋の夜)「燈火親しむべし」の一言があり、夏目漱石が名著「三四郎」の中で用いたのがきっかけだとか▲秋の「読書週間」は、戦争の爪痕が生々しかった1947年「読書の力で、平和な文化国家を作ろう」と出版社・取次店・書店・図書館などの呼びかけで始まったのだそうです。当時、読書を自由に楽しめることに平和を実感できたのでしょう▲「長崎の鐘」の著者、永井隆博士は、原爆で本を失った子供達のために、広く本の贈呈をよびかけ、焼野の中に「うちらの本箱」と名付けた図書館をいち早く開設しています。これを受け継いで現在、永井記念館二階は図書室になっています▲出版不況と言われて久しく、書店の数も2000年には2万店を超えていたのに、現在は1万店ほどらしい。街の小さな書店を殆ど見かけなくなったのは寂しい限りです(老生は現在、経済的理由から専ら図書館利用で恐縮ですが)▲長崎県立図書館と大村市立図書館の合築は様々な問題を残したけれど、今月初め、にぎにぎしくオープンしました。知は力ともいいます。秋の夜長、さて今晩は何を読もうかしら
消費税が、ついに2桁税率・10%に引き上げられ、新たな闘いの節目を迎えています▲自民党・財界が本格的に大型間接税導入の策動を始めたのは、老生が民商運動に参加して間もない70年代の始めでした。付加価値税から一般消費税までの10年にわたる闘いは、国民的運動として発展し、その導入を阻止してきました▲80年代に入ると大型間接税(売上税)を策します。これも列島騒然の闘いで阻止しましたが、88年、公明党と旧民主党の協力を得て税制改革法案を強行成立させ、消費税は、89年4月1日、税率3%で実施されました▲以降、度重なる税率引き上げの策動に対し、消費税廃止や増税阻止の闘いが連綿と続きます。経団連や経済同友会が、早くから二桁後半の税率を要求するなかで10%までに実施から30年を要したのは、紛れもなく国民のこの間の粘り強い闘いがあってのことです▲節目に当って大切なことは原点に立つことだと、よく言われます。「消費税のそもそも(本質)」を学び、語り、広げていくことが、これまで以上に大切になっているのではないでしょうか▲10%実施ぎりぎりまで闘いぬいた力は私たちの大きな財産です。消費税に負けない経営の努力と合わせ、天下の悪税を葬るまで共に力を合わせましょう
長寿かぞえ唄なるものがあります▲長寿を祝う節目ごとに、還暦・60で迎えがきたならば、とんでもないと追い返せ。{以下、○○で迎えが来たならば部分は同句}古希・70まだ早いとつっぱねろ。喜寿・77せくな楽しみこれからだ。傘寿・80なんのまだまだ役に立つ。米寿・88もう少し米を食べてから。卒寿・90年に卒業はないはずだ。白寿・99百の祝いがおわるまで。あと茶寿、皇寿まであります▲敬老の日は1947年兵庫県の小さな村で「老人を大切にし、老人の知恵を借りて村作りを」の趣旨で老人の日が提唱されたのが始まりとか。以前、アメリカの先住民地区に招かれた食事時、長老たちが大切にされ、心底、敬まわれている様に接して、感じ入ったことがあります。今の日本、高齢者を本当に敬っているでしょうか▲敬う側の現役労働者は4割が非正規、その7割以上が年収2百万円以下という状況では、敬う気持ちは充分でも、「自分のことで精一杯」ということになりかねません。高齢者を真に敬う社会は、同時に若者たちを大切にする社会でもある筈です▲敬老のかけらもないのが安倍自公政権です。年金カット法を強引に導入。70歳以上の医療費窓口負担を倍増。高齢者医療保険料の負担も増えました。彼らに政治を担う資格はありません
安倍総理の辞書には「聖戦はあれども、反省はなし」に違いありません▲元徴用工問題に端を発した日韓関係は、政府の対韓輸出規制という経済圧力を解決手段にした高圧的手法が摩擦に一層の拍車をかけています▲安倍政権は「徴用工や慰安婦問題はすでに解決済」の立場を崩さず、それは国民の中にも少なからぬ影響を与えています。先頃も「韓国は、なんであんなに執拗なのか」と質問されました▲この背景には、歴史認識の違いがあります。例えば、多くの日本人には、あの戦争は「悲惨な体験」として記憶され、韓国の人々には、同時に「植民地として従属させられた」記憶です。加害者意識の希薄さと、被害者としての痛みの違いとも言えます▲私たちは、原爆や戦争の惨禍の体験から平和の尊さを語ります。「悲惨な戦争は、もうこりごりだ」の思いはとても大事だし、平和を守る確かな力です。この思いは日本社会で継承され9条を守る力にもなっています▲一方で、慰安婦問題などなかったと言い放つ政治家や集団がいます。日本の植民地支配、加害の認識と、被害者の痛みへの理解が抜け落ち、この記憶の継承に不十分さがあります▲現憲法はあの戦争の「惨禍」と「反省」から生まれたものです。日韓摩擦の解決もこの立場が必要です
本稿は老生にとって百回目の節目の原稿です。つたない、多分に自分勝手な文章を受容し、お読み下さった皆さんに感謝を申し上げます▲節目の原稿故、ぬくもりのあるものにしたかったのですが。あまりに腹がたった出来事だけに少し前の事だけれど、書いておかずにはいられません▲今月初旬、自民党の広告塔的、若手政治家とフリーアナウンサーが官邸を訪問「できちゃった婚」を首相に報告。報道陣に囲まれての生中継を病院の待合室で見て思わず絶句▲第一に「結婚」という私事を権力の象徴ともいうべき首相官邸でする神経を疑いました。テレビもやり過ぎでしょう。ワイドショーは延々と続き、夜には自宅前でのお色直しさながらの中継です▲国民の願いをよそに、消費税増税・憲法改悪に走る政策の不人気をカバーする意図かと疑います。まさに、官邸を利用しての劇場型演出を図った政治家とそれを煽ったメディアですが、この劇場型演出は父親譲りであることに気づきました▲郵政民営化を巡って「自民党政治をぶっ潰す」と打ち上げ、反対する自党候補の選挙区に「刺客」候補を送り込む等、与党を大勝させた選挙がまさにマスコミを巻き込んでの劇場型でした▲自民党政治とこれに馴れ合うマスコミの劣化に強く警鐘を鳴らしたい
夏本番。熱中症対策は万全ですか▲「戦時下のくらし展」を見てきました(長崎歴史民俗資料館で18日まで開催中)200点を超える展示物は、戦時下、厳しい統制を強いられた庶民の過酷な暮らしを今に伝えています。「欲しがりません、勝つまでは」の標語は、まさに政府の統制と生活物資の不足の象徴です▲物資の不足は代用品・代用食で賄っていました。展示物に、「ハコベラ」を具にしたみそ汁や交ぜ飯の作り方等を紹介した食べられる野草の図解(戦時体験の催しで当時の「すいとん」を食したことはありますが)や、百頁を超える全文を手書きで写した手製の教科書。陶製の焙烙などの展示もあります▲各家庭に備えてあったという紙袋の「投砂弾」(消火器具)なるものを初めて見ました。空襲が強まる中、安心して寝ることも叶わなかったのではと想像します。戦時貯蓄債権や戦時郵便貯金切手等は莫大な戦費調達のために奨励し、戦後はインフレで反故紙同様にされたものです▲隣の追悼平和祈念館では、被爆の実相を広める「写真展・写真で見る被爆体験記」が開催されています(19日まで)被爆者が見た光景と手記が展示されています。原水爆禁止世界大会が目前です。原爆のことも戦時下のくらしも共に後世に語り継ぎたいものです
多くの犠牲者を出した1982年7月23日の長崎大水害。市中に水が溢れ、交通も寸断、その日、帰宅できぬまま、翌朝から直ちに会員の安否と被害の確認。救援活動。全国の民商の支援も忘れることができません▲小生の水害恐怖の初体験は、1957年の諫早大水害。大村市内の濁流の中で張られた綱にしがみついていた記憶が鮮明です▲1昨年7月の北部九州豪雨。「数十年に一度といわれる災害が差し迫っている時」に出される大雨特別警報が発表されていました▲昨年は、西日本を豪雨が襲い、2年続きで同警報の発表です。いずれも、甚大な被害を及ぼしました。識者は、豪雨が地球温暖化と深く関わっているとの見解です。であれば自然災害ではなく人災です▲安倍総理が議長を務めたG20大阪サミット宣言は、気候変動対策のパリ協定を軽視、協定を離脱した米国に最大の配慮をして見せました。恥ずべきことです▲マスコミの社説の幾つかが、災害から命を守る自助努力を強調していました。確かに日常から避難場所の確認や生活必需品等の万一の備えも必要でしょう▲同時に、国や自治体は、万全の措置を取っているだろうか。災害復興時の支援は万全か。まずはそのことを問うておきたい。未だ生業を取り戻せない被災者もいる故に
参院選、何はさておき、米国と大企業の言いなり、国民の安全と暮らしにはそっぽ、ウソと強権の安倍政治に鉄槌を下そうではありませんか▲言い尽くされてはいるけれど、それでも言いたい「老後の2000万円不足」。百年安心は何処へやら。具体的な年金減らしの額も明らかになりました▲ことの始まりは、厚労省資料を基に、所管外の金融庁が示した報告書。一言でいえば、年金はあてにせず、自助努力で老後に備えよとのご託宣。安倍政権の本音丸出しです▲老後資金は金融商品への投資でどうぞという。政府は、これまでも莫大な公的資金の投入で株高を支えてきました。其の上、乏しい庶民の虎の子まで、投機社会に総動員するつもりか▲PGF生保会社の調査では今年60歳の方の貯蓄額は、高額貯蓄者がある一方で、4人に1人は100万円未満(昨年は5人に1人)。ここにも貧困の拡がりがみてとれます▲妻はかつて70歳を心待ちしていました。国保の窓口負担が1割になるからと。70歳と同時に、負担は2割に引き上げられました▲今年、後期高齢者医療保険に移管します。これまた、今年度、軽減率を1割引き下げるとのこと。不安は増すばかり。安心して歳が重ねられる。それが当り前の社会にとの願いも我が一票に託したい。