針尾にそそり立つ巨大な3本のコンクリートの無線塔。電信室も共に残る県下の貴重な戦争遺跡です。1941年12月8日の真珠湾攻撃指令の暗号電報「ニイタカヤマノボレ1208」が中継されたともいわれています▲過日、九州国際大学学長(元自民党衆院議員)西川氏が県立高校創立式典で「先の大戦は太平洋戦争ではなくアジア開放のための大東亜戦争」「日本は正しい戦争をした」といった趣旨の講演をしたと報じられました▲小さな記事でしたが、公的教育の施設の場で、従来の政府見解とも異なる偏った歴史観を、教育者の立場にあるものが語ったこと、それを許したことは、けっして小さなことと済まされません▲総選挙で改憲勢力が3分の2を占めたことで岸田政権は改憲策動を一気に強めています。その推進勢力の中核を担っているのは、他ならぬ歴史を修正・改ざんし戦前への回帰を志向するメンバーであり、先の講演と軌を一にしています▲改憲の策動は自衛隊の海外での無制限な武力行使にもつながります。歴史を学ぶことは現代を知り未来を方向づけることです。それ故に誤った歴史観は未来を誤らせることになります▲12月8日はジョンレノンの命日。彼の歌「イマジン」を聴きながら改憲策動を許さぬ決意を今改めて(
師走が目前、今年も残りは一月余。年齢を重ねるたびに1年の過ぎゆくのが早くなっていくように感じるのは老生ばかりではないでしょう▲「ジャネーの法則」なるものがあるそうです。記憶される年月の長さが、年少者より年長者が短く感じるのは、生涯のある時期における時間の長さが年齢に反比例(50歳の1年は人生の50分の1であり5歳の1年は5分の1)するからというもの▲これは現在進行している時間の体感速度ではなく、過去を振り返る時に感じる時間の流れの印象です。楽しい時間は老若に関係なく短く、退屈な時間は長く感じますものね▲高齢者が時間を早く過ぎゆくと感じるのは、毎日同じことの繰り返しで、新鮮な経験が減少するからとも、記憶のインプット量が減少するからともいわれています。こちらの方は努力次第で解決できそうです▲この月、瀬戸内寂聴さんが白寿の命を全うしました。彼女は「生きるとは死ぬまで自分の可能性を諦めず与えられた才能や日々の仕事に努力し続けること」や「戦争は全て悪だと、たとえ殺されても言い続けます」の名言を残し、実践を貫かれた方です。きっと1年を短いと思うことのない人生だったに違いありません「平和と非核を守れ」の彼女の熱い思いを引き継ぎたい。合掌
霜月もはや半ば。いつもの散歩道に石蕗が黄色の花を咲かせています。「静かなる月日の庭や石蕗の花」(虚子)▲14日に開催される全商連創立70周年の記念式典にご招待戴きながら、妻の介護のこともあり参加が叶わないのは残念ですが、心からの「おめでとう」を贈ります▲全商連が節目の記念行事を初めて全会あげて取り組んだのは30周年の折でした。正式な年史が編まれたのもこの時が始めです。長崎県連でも記念映画の製作・上映運動に取り組み、私は祝賀集会にも送り出して貰いました▲40周年の折は、全商連勤務に移っており、全会討議に付す「民商・全商連運動の基本方向(案)」が提案され(素案作成に関わったのも懐かしい想い出の一つです)翌年の定期総会で採択されました▲50周年は、主催者代表の一人として参加。「基本方向」の改定案を報告、50年史の編纂に関わりました。60年の折にも年史編纂に関わり記念式典には顧問として招待戴き参加しました▲この10年来、中小業者を取り巻く環境は激変していますが「仲間と共に団結し、自らの手で道を切り開く」伝統を継承発展させています。私事に終始しましたが、世界に類例のない民商・全商連運動に身を置いてきた幸せと誇りを感じつつ、更なる前進を願って
「植民地支配と奴隷制度は過去に遡って非難されなければならない」と明記したダーバン宣言採択から今年で20年です▲宣言は、ダーバンで開催された「人種主義、人種差別、排外主義及び不寛容に反対する世界会議」で採択され、植民地支配を反省する世界の流れを強めてきました▲オランダが、自国の17世紀にまで遡る奴隷貿易や植民地支配と、奴隷の酷使・搾取を謝罪し、植民地起源の略奪文化財の無条件返還を決めたのも一例です▲歴史的不正義を認めることは、自国の尊厳をなんら否定するものではありません。むしろ、その国や社会にとって道義的・道徳的な高さと成熟をあらわすものです▲残念ながら、自民党や維新の会、右翼的潮流に身を置く文化人等々、少なくない人々が、台湾や朝鮮半島の植民地支配と人権侵害に目を閉じ、歴史の隠蔽や捏造さへ行っています▲侵略戦争を「自存自衛」「アジア開放戦争」と肯定する靖国派閣僚達の言動、「現在の価値観で過去の戦争を裁くとキリがない」(高市早苗自民党政調会長)の主張にもよく表れています▲「従軍慰安婦」「強制連行」が教科書の記述から減っているそうです。過去を知り、それを語りあうことは人類の未来にとって、とりわけ日本にとって、大きな課題ではないでしょうか
SDGs(エス・ディ・ジーズ)は、持続可能な社会の発展を目指し、現代社会が抱える貧困や飢餓、紛争、不平等などの解決のために、17項目にわたり、2030年迄に到達すべき国際的目標のことです▲気候変動への対応も主要課題の一つ。今年のノーベル物理学賞は、この分野の研究で礎を築いた真鍋淑郎さんが受賞しました。今、改めて科学的知見に基づく地球温暖化対策の重要性を示しているように思えます▲「ジェンダー平等の実現」も主要課題に挙がっています。政治・経済・教育・健康等を指標としたグローバルジェンダー指数は、アイスランドが連続13年間、第1位。日本は156カ国中120位、先進国中最下位というお粗末さです▲アイスランドには「女性の休日」と呼ばれる日があります。同国での女性の地位を築くきっかけとなった1975年10月24日の女性のゼネストを記念する日です。給与の格差や性別分担に抗議して仕事や家事をやめ、9割以上の女性が参加したそうです▲当時の記事は「今日は貴方の為の珈琲を淹れません」と夫に告げて参加した高齢女性もいたとのエピソードや「この日をきっかけに男性たちに、女性がいなければ社会は回らない、1日も国が持たないことを突き付けた」と報じています。
十月の和月名は「神無月」。日本中の神様が出雲の国に集り留守をするからという説が一般的(出雲だけは神有月)。反対に「無」は「の」を表し「神の月」の解釈もあります。「おくんち」をはじめ10月には各地神社の例大祭があるのを見れば後者が正解かも▲本稿掲載時には新内閣が発足しています。表看板を張り替えて新鮮味をみせ、総選挙を乗り切ろうとの思惑が垣間見えますが、総理が誰であれ、アベ・スガ政治の正統な継承者であることは確かです▲喜寿を過ぎたTさんの年金は月額で8万円弱。要介護4で介護施設を利用しています。月額の費用は、7月までは10万円ほど。収入額を上回り、不足分は夫の少ない年金収入から補っています▲8月から低所得者向け補助の縮小で月額約1万円の負担増になりました。施設長のお話では3万円以上の方もいるとか。弱者に追討ちをかける仕打ちに怒り沸々です。この恨み晴らさでおくものか。手段は選挙▲「そうだ選挙にいこう」という歌を知りました。「変わる、変わる、世の中かわる。わたしたちの一票で、世の中変わるなら、選挙にいこう。よく見て、よく聞いて、よく考えて、そうだ選挙に行こう」(一部略)▲公示は目前。なんとしても命・くらしを守る政治への転換を実現させる決意を新たに
9月の和名は長月。元々は夜長月らしい。「暑さも彼岸迄」とか。長崎人は「おくんち迄」とも。日中の暑さは残っているけれど、朝夕には秋へ移り行く確かな気配を感じます▲コロナの爆発的拡大、酷暑、記録的大雨に見舞われた夏。オリンピック・パラリンピックも閉会しました。マスコミの「メダル・メダル」の叫びはうんざりでも、選手たちは過酷な環境の中、様々な思いもあったことでしょうが、素晴らしい力を発揮してくれました▲某芸能人の、選手の素晴らしいプレーを観て「開催反対を叫んで御免なさい」のコメントには肯首できません。選手の頑張りには万雷の拍手を惜しまないけれど、IOCや組織委員会、政府等の開催強行が決して免罪されるわけではありません▲菅内閣が発足したのは1年前の9月16日。「パン・ケーキが好きな庶民派」等、マスコミの持ち上げもあって発足時には74%もの高支持率でしたが、今や20%台に転落です▲科学的知見の無視・誤ったメッセージ・自助の強要などコロナ対策失敗と無反省、強権、腐敗的体質、国民への説明責任の放棄。挙句の果てに政権投げ出し。むべなるかな▲自民党の総裁選、所詮は党内のごたごたコップの中の争い。総選挙の日時は不明ですが議員任期満了はこの秋。目前です(
NHK番組「原爆初動捜査・隠された真実」は、原爆投下直後に米軍が行った大規模な被害・放射線の影響等の調査結果が隠蔽されていた事を伝えていました▲番組は触れなかったけれど、直後に、国際赤十字から派遣され治療に当たったジュノー博士が、被害の甚大さに、国際支援の要請をスイスの本部に打電しようとした時、連合軍(米軍)司令部は阻止しました▲ファーレル准将は「広島・長崎では死ぬべき者は死に絶え、放射能で苦しんでいるものは一人もいない」の声明さえ出しています。隠蔽や支援要請阻止がなければ、救えた命が少なからずあったのではないでしょうか▲要請電報の阻止も虚偽声明も国際法違反に問われることを恐れ、あまりにも凄まじい原爆被害を世界の目に触れさせまいとする米軍の意図に基づいたものです▲人の命よりも国の威信・大義を優先させた歴史は今に蘇っています。コロナ禍の中でのオリ・パラ開催。五輪閉会直後、小池都知事は急激な感染拡大を想定内と言い放っています▲都知事も政府も、都合のいい数字だけを拾い、オリンピックは人流を減らし、感染爆発の要因ではないという。制御不能、救える命が救えなくなっているとの専門家の指摘・現状にとてもまともに向き合っているとは思えません
コロナ禍での五輪。その賛否は置いても、安倍元首相の「反日的ではないかと批判されている人たちが開催に強く反対している」の言は許し難い▲かつて戦争に反対する人を非国民と呼んだ同じ流れであり、東京五輪は人の命や健康よりも国威を優先させるこうしたアベ・スガ路線にそって開催されている▲76年前のあの日を想う。そして語り続けよう。日常を瞬時に切り裂いた奇襲性、大量破壊と無差別殺傷の残虐性、被害の継続性とにおいて、原爆投下がいかに非人道的であるかを。そして、被爆者の体験と思いを受け継ぎ、伝え続けよう▲原爆資料館前に「降伏のみことのり妻をやく火いまぞ熾りつ」の少し大きめの碑と、脇に「なにもかもなくした手に四枚の爆死証明」等、7句を刻んだ碑がある▲松尾あつゆきの原爆句である。原爆に妻と3人の子を奪われ、炎天下、自らの手で荼毘に付した彼の句に、残された者の思い、奪われた全ての命の無念を想像するに難くない▲核兵器禁止条約の発効は核兵器廃絶運動の大きな成果だが、いまなお核抑止に固執する勢力がある。現在、地球上に核弾頭が13410発も配備されている。存在する限りは使われる▲訴え続けよう「被爆者と共に核兵器のない平和で公正な世界を・人類と地球の未来のために」
今年もまた豪雨による災害が頻発し、痛ましい犠牲者を出す甚大な被害も発生しました。繰り返しテレビ画面に映し出される被災現場に、39年前の7月23日、長崎大水害を思い起こした人も少なくないでしょう▲昨年は九州豪雨、一昨年は東日本台風、その前年には気象庁が初めて個別災害で「温暖化が一因」の見解を示した西日本豪雨、さらにその前年には九州北部豪雨と続いています▲こうも毎年重なれば、もはや何十年かに一度等という自然の異常気象によるとは言えないように思えます。温暖化は、まぎれもない人為的なものです▲今回の熱海の土石流被害は、より直接的な経済的開発行為による危険な盛り土など、人的要因も指摘されているようです。被災者支援と共に、早急に行政の対応の検証を含め、原因を究明し危険個所の点検と対策を求めたい▲1945年7月16日。人類初の核実験「トリニティー」が行われました。長崎に投下されたファットマンと同型の原爆です▲17年7月7日、幾多の壁を乗り越え核兵器禁止条約を国連総会が採択、今年一月に発効しました。あれから76年、やっと、核兵器は国際法違反になりましたが、被爆国日本の政府は署名・批准に背を向けたままです。非核の政府を是非実現させたいものです
7月の和風月名は「文月」です。旧暦7月は、稲穂が膨らむ頃で「穂含(ほふみ)月」からの転訛と言われます。皐月・水無月に続き、稲作と関連しており頷けます▲別説には「文披(ふみひろげ)月」から転じたとも。書道の上達を願って短冊に和歌や願いを書いた七夕の行事に因んでいるのだとか。七夕の伝来は奈良時代。私的には前者に軍配をあげたいところ▲中元商戦本番です。お中元は日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを表す為に贈り物をする古くからの習慣ですが、最近の調査では贈る人の割合は20%台にまで下がっているそうです▲中元は中国道教の教え、三元思想にまつわる行事です。上元は1月15日。1年で最初の満月の日で神仙が見えるとする元宵節に(長崎のランタン祭りにも)名残を留めています▲中元は贖罪日、死者の罪の許しを請う日で、中国仏教の盂蘭盆会(7月15日)とも重なり、日本ではお盆の行事として伝わりました。神仏への供物が始まりのようです。下元の行事は廃れています▲専門家の提言に耳をふさぎ、国民の命・健康への安全安心の担保もないオリ・パラ開催が目前です。イベントで感染拡大が懸念される中、長崎のお盆の伝統行事、精霊流しは自粛なのに。余りにおかしくありませんか