県下民商の魁となった長崎・佐世保両民商が、相次いで創立50周年を祝いました。輝かしい歴史を築いてこられた皆さん、本当におめでとうございます▲創立された両民商は直ちに「年所得百万円まで免税に」の署名にとりくみました。当時、標準世帯の生計費が約97万円余でしたから「生活費に税金をかけるな」の要求です▲所得税の基礎控除額は13万円でした。この額は、成人男性が最低必要とする年間の食費を計算して、エンゲル係数で除し算出された生活費を一応の目安としていました。食費は大蔵省(現財務省)が、国立栄養研究所に、1日2500カロリーを摂れるよう依頼して作られた献立から算出されました▲献立は「猿の食事の方がまし」と言われた程お粗末でしたが、額はともあれ基礎控除は、憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に応えようとするものでした▲当時の算出額が仮に正当として、諸物価(葉書は7倍超・大卒初任給は8倍程)の上昇率を勘案すると、現在の基礎控除額は少なくとも60万円位はあっても良いはずです▲「生活費非課税」や「応能負担の原則」は民商の一貫した主張です。税金は大企業・大資産家から、消費税増税は断念せよ。節目の年の参院選です。今、民商の本領を発揮する時ではないでしょうか
<67年前(昭和24年)の6月18日、象列車一号が千四百人の児童を乗せて走りました。象列車は、戦後、名古屋市立東山動物園に、唯一生き残っていた象を見たいという子ども達の為に、名古屋と各地を結んで走らせた特別列車のことです。およそ2万人を運びました▲発端は東京台東区のこども会議の要望です。こども会議は同時に、象の輸入の請願も参議院に行っています。翌年、インドからインディラ、タイから花子の二頭がやってきて、象列車はこの年限りでした。花子は、日本での最長飼育記録を残し今年5月、69歳で死亡しました▲戦争末期。多くの動物が餓死させられ、また、射殺されました。東山動物園でも、戦争を生き延びたのは僅かに、象2頭、チンパンジー1匹、鳥類23羽と記録されています▲浅田次郎の短編「獅子吼」は、軍の残飯を動物園の動物たちに運んでいた罰として、動物の射殺を命じられる元飼育係の「草野二等兵」と、檻の中のライオンの「私」の交互の語りで、戦争の愚かしさを訴えています▲お釈迦様は、正しいことを怯むこと無く勇気を持って言う態度を、百獣の王、獅子の吼える様に例え「獅子吼」と呼び、弟子達を諭したそうです▲参議院選挙です。戦争法は廃止せよ、消費税増税はきっぱり断念せよと「獅子吼」する候補への支持を確り拡げたい。
頓珍漢は、見当違いや、つじつまが合わないこと、場違いなことを言ったりしたりすることを指しますが、語源は、鍛冶屋の相槌の音が重なり合うことなくトンチンカンと聞こえるところからだそうです▲「何とトンチンカンなんでしょう、灰におびえる人々も、それを撒きたがる人々も、同じ人間なのは」。頓珍漢人形の作家、久保田馨の詩の一節です。原水爆を作った人間の愚かしさ、悲しさを人形の名にあたえたといわれます▲長崎には江戸時代から土産物の阿茶さんや西洋婦人などの土人形があります。頓珍漢人形も素焼きの土人形で、修学旅行等の土産物として売られていました▲造形はピカソの絵のようでもあり、土偶の趣もあり、アフリカや中南米の彫刻をも思わせ実に多様です。芸術的に高く評価されましたが安価な土産物に徹していました▲「核兵器がある限り作り続ける」と語っていた久保田が生み出した人形は30万体ともいわれ、一部が今も平和を願って長崎市歴史民俗資料館に展示されています▲安倍首相は、なんとトンチンカンなんでしょう。戦争法やTPP、沖縄の米軍属が起こした事件、多数の国民が怒りを拡げているのに、首相はどこを向いているのか。安倍流頓珍漢の根底は、「国民の声を聞く耳は持たぬ」の独善です。審判を下す日は近い。
貧しい人々のために生涯を捧げたマザー・テレサは生前、長崎原爆資料館を訪れ、今も展示されている炭のように焼かれた少年の写真の前に立った時、「世界の指導者達は是非この写真を見るべきだ」と語ったそうです▲原爆を投下した国の大統領が初めて被爆地・広島を訪問すると報じられました。そのことは、多くの被爆者が求めてきたことであり、喜ばしく意義あることです▲折角の被爆地訪問です。その地に立って、原爆投下が何を引き起こしたのか、その実相、その非人道性を確りと自らの目と心で確かめて欲しい、そして被爆者の思いと声を真摯に受け止めて欲しい。同行する安倍総理にも▲オバマ大統領は、かのプラハ演説で「核兵器のない世界を」や「(原爆投下に)道義的責任がある」と述べたけれど、実際の米国の核政策は、核抑止力の立場に固執し核兵器禁止条約の国際交渉に一貫して反対してきました▲核兵器禁止条約を各国政府に求める「被爆者が訴える国際署名」も始まっています。核超大国アメリカと共に、被爆国でありながら、核大国のお先棒を担いで恥じない日本政府が、その姿勢を根本的に改めることを重ねて強く求めたい▲長崎原爆資料館は、先頃リニューアルされ、見やすく資料も豊富に加えられています。改めての見学をお薦めします。
我が家も大きく揺らせた熊本地震。被災された方々へのお見舞いとともに、一日も早い復旧を願わずにはいられません。長崎県連からも、早速、支援・激励に現地を訪れています。改めて、頼りになる民商、助け合いの民商を実感します▲本稿が目に留まるのは連休のさなかでしょうか。薫風香る5月、例年なら観光地は繁忙期ですが、修学旅行等のキャンセルも相次いでおり、熊本地震は長崎県の観光にも大きな影響を及ぼしています▲ゴールデンウイークには、祝日法に定める16祝日の内、4祝日が集中していますが、筆者が心から祝いたいと思うのは、憲法記念日と子どもの日です▲永井隆博士は、その著書「いとし子よ」の中で、戦争をしないことを決めた憲法の大切さと、これを破ろうとする力を防がねばならぬと、子どもに熱く説いています▲理屈は何とでもつき、戦争放棄の条項を削れと叫ぶ者が出ないともかぎらない。その時こそ、きっぱりと「戦争絶対反対」を叫び続け、叫び通しておくれと。まさに今その時でしょう▲子どもの日は、子どもの人格を重んじ、子どもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日と定められています。ちなみに連休中にある母の日は残念ながら祝日法に定める祝日ではではありません。
「夏も近づく八十八夜」小学唱歌の「茶摘み」に歌われた八十八夜は、日本独自の雑節の一つ、立春から数えて八十八日目のことで、今年はメーデーと重なる5月1日です▲季節の変化の目安で、この頃には霜が降ることもなくなり、一番茶(新茶)を摘む時期になります。八は末広がりで二つ重なる八十八夜に摘んだ茶は縁起が良いとされてきました▲また、八十八夜は農作業全般の開始の目安ともなっていました。八十八は組み合わせると米の字です。この日に、苗代に種籾を撒いたり、豊作祈願の神事を行う地方もあるようです▲米は八十八手間をかけるのだとか、秋には、たわわに黄金色の稲穂をつけます。みずみずしい稲穂を瑞穂といいます。この瑞穂の豊かに実る国を「瑞穂の国」(豊葦原千五百秋瑞穂国)とよび、日本国の美称として古来から使われています▲いま、この瑞穂の国で、稲作をはじめ農業が、いっそうの危機にさらされています。自公政権がすすめる国会決議にも公約にも違反するTPP(環太平洋連携協定)です▲安倍総理の国家観のキャッチフレーズは「美しい国」です。多くの先人達の汗や涙や努力を平気で踏みつけ、平和憲法を含む瑞穂の国の本来の美を破壊し、軍事力と強権こそが美しさだと言わんばかりです
国宝・大浦天主堂の側に、神社とお寺が隣り合わせのように建っていて、祈りの三角ゾーンと呼ぶ場所があります。さるくガイドが観光客を「ここで祈れば、御利益間違いなし」の冗談で笑わせます▲かつて権力者の都合で、異教を排斥する時代がありました。県下の切支丹大名、大村純忠や有馬晴信の支配地では神社・仏閣が破壊され、日野江城(有馬氏の居城)跡には、仏塔や墓石が踏み石になった石段が今も残されています▲逆に、キリスト教禁令時代には、全ての教会が破壊され、言語に絶する過酷な弾圧が加えられました。慶応4年の浦上四番崩れや、明治の廃仏毀釈もありました▲今、長崎には「異なる宗教を認め合うことが世界平和の第一歩」と、仏教、キリスト教、神道などの様々な宗教者が一緒になって、40年以上、活動を続けている宗教者懇話会という団体があります。「核兵器廃絶・平和」が共通の大義です▲政治の世界でも今、「違いは脇に置き大同で協力を」の声が広がっています。大同の大義は「安保法制の廃止と立憲主義の回復」です。民商も取り組んできた、戦争法廃止2000万人署名も力に、参議院選挙を、市民と全ての野党の協力でと、自公政治に対決する統一候補が実現しました。新たな勇気がわいてきます。
フランスの経済学者ピケティ氏の著書「21世紀の資本」が大きな話題になっていた昨年、書店には立ち寄ったものの、わずかな年金で暮す身、一冊、5940円の価格に購入を断念しました▲図書館では、既に予約が100名を超えており、1年以上を経て、このほど、700頁を超える分厚い本が、やっと我が手に届きました▲本書は、「格差の拡大が経済成長を阻み、このままでは、今以上に、極端な格差社会の到来を招き、民主主義さえ成り立たなくする」と警告。是正の処方箋として、「富裕層への適正な課税強化」を示しています▲オックスファムというNGO組織の調査では、世界の富裕層上位1%の資産総額は、他の99%が所有する総額を上回っているそうです▲OECD報告も、富裕層と貧困層の格差が過去最高に達したと報告しています。この報告も、是正には、富の分配、累進課税を強化、富裕層や多国籍企業に、確実に税負担を負わすべきだと指摘しています▲世界の流れは、富裕層課税強化の方向です。しかし、安倍自公政権は、これらの指摘や流れに逆らい、大企業には一層の減税の一方で、庶民に負担を強いる、逆進性の最たる消費税増税に邁進し、相変わらず格差と貧困の拡大路線を推進しています。許せません
3月8日は、国際女性デー。女性の権利と地位向上、平和のための行動が各地でとりくまれます。男性から女性に、あるいは女性同士、花を贈り合う習慣のある国もあります▲1904年3月8日、アメリカで女性労働者が婦人参政権を要求して、デモを行いました。この日を、社会主義運動家クララ・ツェトキンが、「女性の政治的自由と平等のためにたたかう記念日」とすることを提唱したことが始まりです▲日本での女性参政権獲得運動の草分けは、高知で坂本龍馬と同年生まれの楠瀬キタさん。戸主であり、納税もしているのに、女性ゆえに選挙権が認められないのは納得できないと、1878年(明治11年)、税金の支払いを拒否して、県庁に抗議、政府に意見書を提出しました▲この主張は、自由民権運動と結び、3年後に、区会の選挙で戸主に限り、女性の投票を実現させています。一自治体の選挙とはいえ、世界的にも先駆的な快挙です▲その後、政府によってこの選挙権は奪われ、女性参政権獲得運動は弾圧されました。実現するのは戦後のことです。今では当たり前の権利も、先人達の、血の滲む、時には命をかけた闘いによって勝ち取られたものです。あだやおろそかにはできないでしょう。夏には参議院選挙が待っています。
「銅像探検隊」なるクラブの調査によれば、銅像数の第一位はダントツ二宮金次郎で千を超えるとか。かつてどの小学校にもあった(?)薪を背負い読書をしながら歩く、あの少年像です▲わが母校の像は石造りでした。金次郎像は時代に翻弄されます。戦前、国家総動員体制に向かう中で、勤勉・倹約などが奨励され一気に銅像が普及しましたが、1941年の金属類回収令によって、銅製は次々取り壊され石像が残ったのだとか▲金次郎こと二宮尊徳は、江戸時代の後期に報徳思想を掲げた農政家・思想家です。戦後に発行された一円札の肖像画にもなりました。出身地、小田原には二宮神社があります▲報徳思想は、極簡単に言えば、「私利私欲に走らず社会に貢献すれば、いずれ利益が自分にもどってくる」ということになるでしょう。この尊徳さんの言葉に「道徳を忘れた経済は罪悪」というのもあります▲データ偽装や不正な会計処理で社会や消費者を欺いた企業や、ブラック企業などは論外だけれど、中小業者や労働者に犠牲を強いながら、莫大な利益を独占し、社会還元を顧みない大企業に聞かせたい言葉です▲この罪悪的経済を牽引し、後押しをしているのが「アベノミクス」の正体のように思えますが、皆さんはいかに
長崎の冬の風物詩ランタンフェステバル。この祭りは新地中華街で始められた中国の春節(旧歴元旦)を祝う行事から出発しています。毎年、春節から元宵節(旧暦15日)までの間、開催されます▲元宵節にランタンを飾る風習に因み、街を飾るランタンは1万5千個を超えます。沢山のオブジェも目を楽しませてくれ、メーンオブジェは、その年の干支です▲干支は各々に動物が配された十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)を指すことがほとんどですが、元々は十干と合わせで、暦や時刻、方位を表しました。この組み合わせは60年で一巡します(還暦)▲十干は「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」読みは、(コウ・オツ・ヘイ・テイ・ボ・キ・コウ・シン・ジン・キ)または(きのえ・きのと・ひのえ・ひのと・つちのえ・つちのと・かのえ・かのと・みずのえ・みずのと)▲今年は丙申です。壬申の乱(皇位継承を巡る政争)や戊辰戦争(倒幕戦争)、辛亥革命(清朝を倒した民主革命)等は、そのことが起きた年の干支を冠して名付けています▲干支の蘊蓄はさておき、長崎は中国文化の影響を色濃く残す街です。元宵節には、唐寺で団子が振る舞われます。ランタンを楽しみ、団子を戴きながら長い日中友好の歴史を振り返るのもいいのでは。
年頭に「第二楽章・男鹿和雄展〜吉永小百合と語り継ぐ〜」を鑑賞して、核廃絶・平和への思いを新たにした日、「北朝鮮が水爆実験に成功したと発表」のニュース▲かの国の子どもの3分の1は栄養失調状態にあるとも伝えられています。国民の困難をしり目に、自らの独裁体制を維持するために核をもてあそび、挑発行為を繰り返す。こんな無法は断じて許せません▲「第二楽章」は女優・吉永小百合が30年続けている原爆詩の朗読をCD・詩画集としてまとめたものです。広島・長崎に、沖縄編・福島編が加えられています▲男鹿和雄はアニメ「となりのトトロ」等の美術監督を務めた人。展覧会は「第二楽章」に彼が描いた挿絵原画や、広島・長崎・沖縄・福島のスケッチが原爆詩と展示されています。作品は人間や自然を愛おしむ暖かい雰囲気が漂っています▲核兵器廃絶の先頭に立つべき日本が最大の核保有国・米国の戦争に加担する戦争法強行。事故収束の目途も立たず、故郷に帰れない被災者を放置して原発再稼働。県民の反対と抗議は一切無視、遮二無二、辺野古の米軍基地建設、アベ政治の向かう方向は、まるであべこべの世界です▲安倍総理、金正恩主席に似通っていると思うのは小生だけではありますまい。
映画「母と暮らせば」を観ました。原爆で生き残った母親と死んだ息子の物語です。戦後三年経って母親の前に現れた息子の亡霊との思い出話や、息子の恋人を含む戦後の暮らしを通して、戦争が、原爆が、何を奪い去っていったのかを改めて胸に刻みました▲母親役の吉永小百合さんは、30年近く原爆詩の朗読を続けています。彼女の言葉に「戦後何年という言い方がずっと続いて欲しい」があります▲「もはや戦後ではない」の言葉が経済白書に書き込まれ、流行したのは60年前の丙申(今年の干支)の年。「戦後」を「戦争前夜」にしたくはありません▲先頃、小学生から平和ガイドの礼状が届きました。嬉しいことの一つです。「平和とは世界中の人々が笑顔でいることだと思いました」「私たち一人ひとりが努力すれば、平和な世界になると思いました」等と綴ってくれたこの子らの為にも▲その年の世相を表す1文字の漢字、昨年は「安」でした。揮毫した清水寺の森貫主は「命に対する不安からこの字が選ばれたのではないか。来年は安心安全な社会を作ろうという思いがあらわれている」と語っています▲夏の参議院選挙も含めて、戦争法廃止や消費税増税阻止の確かな展望を切り開き、「今年の漢字」が「喜」であることを願って