モリとカケ

2017・6・24

クロスワードパルズは認知症の予防に効果的だと聞き、今はまっています。「モリとカケ」。2文字のカギなら答えはソバに決まっています。盛り蕎麦と掛け蕎麦、さてみなさんは、いずれがお好みでしょうか▲もし、4文字ならば、迷わず「ソンタク」(忖度)。8文字なら「ソウリノゴイコウ」(総理のご意向)。漢字パズルで4文字なら「印象操作」でしょう。「モリとカケ」は、云わずと知れた、森友学園と加計学園疑惑です▲行政が、誰かのご意向や、そのご意向を汲んでの忖度で歪められるのは許されることではありません。安倍総理自身と総理夫人に関わる疑惑です。「知らぬ、存ぜぬ」では誰も納得はしないでしょう▲総理は野党の質問に対し「印象操作」を連発して、正面からまともに応えていませんが、「印象操作」は、安倍総理の手法そのもの。天に唾する言いようです▲歪曲した印象を相手に与えようとする行為。断定的口調で自らの主張を提示。その主張が一般的であるかのように強弁。反対者にはレッテル貼りする。これが「印象操作」であり、この手法で憲法違反の「共謀罪」を強行しました▲会期末、疑惑の幕引きとあわせ、委員会抜きの本会議採決。もはや、この傲慢不遜な、強権・暴走の自公内閣には、政権を担う資格はありません。更に大きな世論と運動で必ず退陣に追い込みたい。

被爆者の願い

2017・6・4

6月7日は第1回日本母親大会の開催記念日です。1954年のビキニ水爆実験を受け、平塚らいてふ等の働きかけで世界母親大会が開かれることになり、その準備会として翌年のこの日に開催されました▲開催された世界母親大会には、日本から各層・地域を代表する14名が派遣され、その中に長崎の被爆者、山口美代子さん(故人・被爆時14歳、三菱兵器工場へ動員中)がいます▲先日、原爆投下の第一報「大変です。広島がやられました。全滅です。新型爆弾にやられました」を伝えた、岡よしえさんの訃報が伝わりました。(被爆時14歳、軍司令部に動員され連絡業務に従事中)▲山口さんも岡さんも、被爆の生々しい体験と平和への強い想いを語り続けておられました。被爆者たちの証言は原水爆禁止運動を前進させる大きな力になってきました▲ちなみに長崎原爆第1報は、爆心地域とは山で隔てた県防空本部(立山防空壕)から送信されました。状況を直ぐには把握できず、被害軽微とあります。しかし、第2報、3報と大混乱の中で刻々と被害の広がりを明らかにしていきます▲公表された国連の核兵器禁止条約草案は、被爆者への言及もあり、開発や使用を禁じる積極的なものです。憲法改悪を企み、禁止条約に背を向ける安倍内閣を追い詰めるとともに、被爆者の願いを実らせたい。

日本遺産

2017・5・21

「日本遺産」認定は、安倍内閣肝煎りの地方創生政策の一貫です。「世界遺産」とは違い、この認定制度は、文化財そのものの価値ではなく、これを積極的に活用して地域の活性化を図るのが目的です▲地域の特性・文化財を活用した活性化に異論はないけれど、気をつける必要があるのは、地方創生担当相の暴言で露わとなったように、文化財を軽んじて、経済優先、「観光」「稼ぐ」こと一辺倒に陥ることの危険性です▲日本遺産の是非はさておき、県下では、壱岐・対馬・五島が「国境の島」三川内や波佐見等が「日本磁器のふるさと」佐世保が、呉・横須賀・舞鶴と共に「鎮守府のまち」として認定されています▲過日、三川内の「はまぜん祭り」と「波佐見陶器祭り」を訪ね楽しんできました。御用窯として培った伝統を持つ三川内、巨大連房式登窯で、大衆向けの大量生産に特化した波佐見。ともに、日本の窯業を牽引した産地です▲この肥前磁器の陶祖たちは、李三平(有田)李祐慶(波佐見)巨関と高麗媼(三川内)等、豊臣秀吉の朝鮮出兵の折りに、彼の地から連れ帰った陶工たちです▲北朝鮮の核開発と脅しは断じて許せないけれど、ろうそく集会で新大統領を選んだ韓国と共に最も近い国です。古代から現代まで、改めて、朝鮮半島との関係を学び直す必要がありそうです。真の友好善隣のために。

新茶の香り

2017・4・25

本欄を担当して、50回の節目です。締め切りに追われ、多分に勝手で雑な文章ですが、ご容赦戴き、ご愛読を願います▲5月初旬から6月初旬にかけて、早岐茶市が、初市、中市、後市、梅市と、各3日づつ、8の日をはさんで、開催されます▲およそ400年ほど前、東彼や嬉野のお茶や山の幸、早岐の特産品であったワカメをはじめ海の幸の物々交換が行われたのが始まりという伝統のある市です▲お茶は、奈良時代に遣唐使によって貴族社会に伝わりましたが、その栽培は、鎌倉時代に栄西禅師(日本臨済宗の開祖)が宋から茶の種と栽培法を持ち帰ったことに始まります。最初の種は、平戸の富春園や背振山一体に植えられたといいます▲16世紀始めには、平戸に釜炒り製法が伝わり、17世紀半ばに来崎した隠元禅師(黄檗宗開祖)が、改めてこの製茶の方法を伝え、釜炒り製法は長崎から西日本一帯に広がりました。長崎県は、お茶の文化発祥の地でもあるのです▲相変わらず閣僚たちの暴言が続きます。自主避難を自己責任という復興相、文化学芸員を一番のガン呼ばわりする地方創生相。総理自ら、森友問題で注目の「忖度」の言葉を使って悦に入る。なんと傲慢な政権であることか▲怒りばかりでは身がもちません。連休の中、少し心身を休め、香しい新茶を戴き、世直しの英気を養おう。

原城跡にたって

2017・4・16

現在の長崎県域には、江戸時代、六藩(平戸新藩を含む)・五領と一天領がありました▲関ヶ原の合戦以降、島原以外は、同じ藩(領)主家が明治まで続きますが、島原藩は、有馬、松倉、高力、松平、戸田、再度の松平氏と変遷しました▲切支丹大名だった有馬氏の居城は、南島原の日野江城。城跡から、西洋技術の石組みや、金箔瓦等がでて往時を偲ばせますが、贈賄事件があり、日向に転封されます▲次の松倉氏が島原城を築きます。新たな築城は重税を招き、重正・勝家と二代にわたる苛政は島原一揆を引き起こし、勝家は斬首、家は廃絶します▲次の高力忠房が、各地から農民を移入し藩を再建。島原素麺もこの折りに、小豆島からの移住者が技術を伝えました。二代目は失政が多く改易になりました。戸田氏・松平氏はお家の事情で領地を替わりました▲現在、島原城本丸跡に、天守・櫓などが復元され、県下では、平戸城とともに日本百名城に選ばれています。有馬氏の支城だった原城は3万の一揆軍が籠城戦を闘った城です▲原城趾にたって思った事。森友疑惑、防衛省の日報隠蔽、閣僚の暴言、国連の核廃止条約交渉不参加、庶民虐めの悪政の数々、安倍内閣打倒の今一揆を起こしたい▲同行した友人が「そうだ」「そうだ」の賛同の声。これって、もしかすると「共謀罪」かも。おお恐い。

未来を花束にして・女性の日

2017・3・26

4月10日は「女性の日」。女性週間の始まりの日です。日本で初めて婦人参政権が行使されたのは戦後最初の総選挙1946年4月10日で、約1380万人が投票、39人の女性国会議員が誕生しました。これを記念して労働省(当時)が「婦人の日」を制定したのが始まりです▲戦前には、平塚らいてふ・市川房枝などの先覚者が治安警察法等に抗して女性の権利、政治参加を求める運動を拡げ、1919年には新婦人協会を設立しています▲英国映画「未来を花束にして」の舞台は1912年のロンドン。女性参政権を求めて闘った女性たちを、実話をベースに描いています。主人公は、過酷な洗濯工場で働きながら、夫、こどもと慎ましく暮らす若い母親▲先鋭化した一部の破壊行動は肯定しかねるけれど、逮捕・投獄、親権を一方的に奪われながらも、彼女が参政権運動に未来への希望を見いだす姿に感銘を受けました。実際に、この運動では、1000名以上が投獄されたそうです▲洋の東西を問わず、女性の権利獲得の運動には、女性自らの犠牲もいとわぬ闘いの歴史があったことを、男女ともに胸に刻むべきでしょう▲安倍内閣は「女性が輝く社会づくり」を掲げてはいても、その実態は、「保育園落ちた」です。日本の男女格差順位は142ヵ国中104位とか。民商婦人部の頑張りに花束を。

語り継ぐ

2017・3・12

風化させてはいけない記憶、語り継ぐべき3月の出来事です▲「母恋し思いつづける涙の少女 八十すぎの老婆となりしも」「この子らにこの哀しみを決して与えぬ 永遠に与えぬ三月十日」。一晩で十万人を超える犠牲者をだした東京大空襲で家族6人を奪われた海老名香葉子さんの歌です▲都市の無差別攻撃はドイツのゲルニカ空爆に始まり、本格的には日本軍の重慶爆撃といわれます。米軍はこれを戦略的に一層発展させて、日本の各地を焦土にし、広島・長崎に原爆を投下しました。加害も被害も忘れてはならないことです▲2011年3月11日は、全国重税反対統一行動の日でした。まだ記憶に生々しい。いまなお、その傷跡は癒えず、多くの被災者の生業(なりわい)さえ解決がほど遠い。二万人もの死者・行方不明者をだした戦後最大規模の災害がおきたこの日は、同時に、原発の安全神話が完全に崩壊した日です▲原発事故は明白な人災です。事故後の国や東電の無策と欺瞞が今も続いています。溶けた核燃料を溜めたままの原子炉の始末の目途さえたっていないのに、一方では原発再稼働を急いでいます。全国で継続されている「原発ノー・金曜日行動」にエールをおくりたい▲3月27日から、国連で核兵器禁止条約の交渉会議が始まります。「核兵器ノー・原発ノー」の声を高く大きく。

沈黙

2017・2・20

映画「沈黙」の舞台は切支丹弾圧下の長崎。ポルトガル人司祭の言動を通し、人間の強さ弱さ、神と信仰の意味、人間にとって大切なこと等を問いかけてきます▲登場するフェレイラ神父は実在した人。拷問で棄教後、沢村忠庵を名乗り宗門目明かしになります。忠庵の署名入り「ころび証文」(棄教の証明書)の写しが長崎の西勝寺に現存します。ロドリゴ神父にも実在のモデルがいます▲西洋生まれの格言に「沈黙は金、雄弁は銀」があります。沈黙は雄弁に優ると云うことでしょうが、無条件賛成はしかねます。通用するのは語るべきことをきちんと語っている前提があってのことでしょう▲この格言は、雄弁(よく語ること)は大切だが、沈黙すべき時を心得ておくと解すのがいいのではないかと思います。「言わぬが花」のニュアンスでしょうか▲雄弁も沈黙も、金でも銀でもないのが、安倍総理。雄弁ではあるけれど中身が無く、嘘を真実の如く語ります。国際社会に、何の影響も持ちません▲安倍氏の沈黙は、世界の笑いものです。トランプ大統領の入国禁止令に、内外からの非難・抗議の声が上がる中での沈黙で、トランプ氏へのへつらいがみえみえです▲かつて、「首相がテレビに映るとスリッパで叩いてやります」と言った著名な哲学者がいたけれど、本当にそうしたい気分です。

坂本龍馬と赤松小三郎

2017・2・5

今年は、龍馬没後150年。長崎の亀山社中跡には全国からファンが訪れ、人気の高さを示しています。龍馬は薩長同盟に果たした役割が有名ですが、事跡の一つに、議会の開設、憲法制定、不平等条約改正などの新国家体制の基本方針を示した船中八策があります▲龍馬と同じ年に同じ京都で暗殺された赤松小三郎の名はあまり知られていませんが、長崎の海軍伝習所に学んだ洋学者で、彼も、当時としては画期的な新政府のあり方の建白書を書いています▲赤松の建白は、民主的選挙による議会の制定と議院内閣制を提言した日本で最初の文書だと言われます。また、天皇は絶対神聖ではなく、その権威は人民の信託に基づくとして人民平等、個性の尊重等にも触れています。日本国憲法には、命をかけた、この先人達の思いが見事に引き継がれているではありませんか▲米国の政治制度は不案内ですが、大統領令に番号があり、過去に遡って、1号を附されたのは、リンカーンの奴隷解放令だとか。しかし、歴史に逆行する移民排斥など、トランプ氏の身勝手で矢継早の大統領令には驚きです▲安倍総理もトランプ氏にあやかりたいようですが、赤松は、憲法を「万国公平の御国律」と言い、日本国憲法前文には、国際社会に向き合う立場が明記されています。安倍さん、真摯に、日本国憲法を学び直しては如何か。

アンネの薔薇

2017・1・11

往年の大女優オードリー・ヘップパーンとアンネ・フランクの二人は、同い年であり、同じ頃、ドイツ占領下にあったオランダに住んでいました▲アンネは、ナチス親衛隊に逮捕され、ベンゲル・ベンゼン強制収容所で十五歳の生涯を終えました。隠れ家での二年間に綴られた「アンネの日記」で有名です▲オードリーは、ドイツへの抵抗運動の資金集めにバレーを踊り、運動に参加していた親族が目の前で銃殺されるという経験をしています。戦後、アンネのことを知りとても心を痛めたそうです▲「戦争が終わって、戻ってきたもののありがたみをつくづく感じました。食料、自由、健康、家庭、そしてなにより、人の命に」はオードリーの言葉▲原爆資料館庭園に「アンネ・フランクの形見」(通称・アンネの薔薇)という品種の薔薇があります。蕾の色は赤、開花すると黄金色、サーモンピンク、赤と変化します▲アンネは「もし神様が私を長生きさせてくださるなら、私は社会にでて人類のために働きたいのです」と書き残しています。「アンネのバラ」は、彼女が生き延びていたら多くの可能性を秘めていたことを表現しているように思えます▲成人の日、着飾った娘さん達を眺めつつ、若者の多様な希望や夢を打ち砕くような社会に二度としてはなるまいと改めて思う。

人生つねに始発駅

2017・正月

謹賀新年。酉歳の幕開けです。今年が良い年でありますように▲「人生つねに始発駅」と書かれた色紙を、生前、路地裏から世界までの幅広い活動をされた金子満広さん(元日本共産党書記局長・衆議院議員)に戴きました▲50余年前「集団就職列車」があった頃、働く若者たちの手記を掲載した「人生手帖」という月刊誌があり、書店でこの雑誌に、読者会への呼びかけのチラシを挟んだのが筆者の組織活動の始まりです▲多くの友人を得、社会を語らい、自らの生き方を決めたのも、この会の(名称・つくも緑の会)活動を通してでした。とりわけ、米原子力潜水艦の初入港への抗議行動の体験は、まさに人生の始発駅になりました▲人生の語彙を含む名言・格言は少なくありませんが、70余年を生きてきて、一番しっくりと頷けるのは「涙と共にパンをかじったものでなければ人生はわからない」のゲーテの言葉のように思います▲「人生、今が旬」と聞いたことがあります。漫画家・手塚治虫は「人生に終着駅はないと思います。人生って毎日・毎日なんだから」と語っています。どんな時にも人間は輝いていけるということではないでしょうか▲そこで新年の決意。年齢相応に体力は落ちたけれど「始発駅」を忘れずに全力で人生を歩み続けようと思う。まずは安倍内閣の暴走を許さない闘いを。