沖縄と固く結んで ・旧友の思いに応え

2018・6・10

♪固き土を破りて、民族の怒りに燃える島、沖縄よ♪(沖縄を返せ)を高唱しながら佐世保の街を闊歩したのは、10代の終わり。共に肩を組み歌ったH君から便り▲彼は、上京し、20代で印刷業を始め、中小業者運動や文化活動に積極的に取り組んでいました。今年、単身になり、予てからの希望であった沖縄に移住。その一報です▲連日、辺野古の新基地建設反対の闘いに参加している由。70代半ばで、尚、10代の情熱を持ち続け、一途に行動をしてる姿に励まされます。同時に粘り強く闘い続ける沖縄の仲間の姿にも▲6月23日は「沖縄慰霊の日」です。この日に日本軍の組織的戦闘が終了したとされています。犠牲者は約20万人、実に県民4人に1人の割合です▲初めての沖縄(85年の全商連全国活動者会議)で、ガマ(壕)を案内して下さった役員さんの悲惨な体験談は、あまりに強烈で、今も記憶に残ります▲沖縄は、戦後も長く米軍政下に置かれ、72年の復帰後も、日米安保条約によって米軍が占領軍の如く居座り続けています▲H君曰く、「戦争する国へ」を許さない運動と併せ、新基地建設反対を我がこととして、熱い連帯と支援を▲佐世保基地は、これまで以上に沖縄と深く関わっています。決してよそ事ではありません。確り応えたい。

写真の日

2018・5・27

6月の別名、「水無月(みなつき)」の由来は諸説あるようです。旧暦では、田植えを終えて田に水を張る月から来ているというのが一般的▲6月1日は「写真の日」です。1841年、日本人による初めての写真が撮影された日。被写体はNHK大河「西郷どん」に登場した薩摩藩主・島津斉彬。撮影者は長崎の上野俊之丞。東洋日の出新聞に掲載された「日本写真の起源」の記事が元になっています▲上野彦馬は、俊之丞の四男。医学伝習所のポンペに化学を学んだ後、写真の研究を行い、日本初の商業写真家となりました。著名人の肖像(坂本竜馬や桂小五郎、高杉晋作等)や各地の風景を撮影。貴重な映像を後世に残し、多くの弟子を育て、日本の写真業界の基礎を築きました▲今、長崎歴史文化博物館で「写真発祥地の原風景・長崎」展が開催されており、幕末・明治の長崎を観ることができます(24日迄)▲6月1日は気象記念日でもあります。1875年、東京気象台が設置された日に因みます。また、1884年のこの日、「全国一般風の向きは定まりなし、天気は変わり易い、但し雨天勝」という曖昧この上なしですが日本で初めての天気予報がだされました▲まもなく入梅。豪雨災害が身に染みています。行政は努々、用心怠りなきよう。

5月の空に

2018・5・13

日本政府が全く無能無策「蚊帳の外」なのは嘆かわしいけれど、北朝鮮が非核化の意思を表明し、核・ミサイル実験の凍結を約束したことは、文句なしに喜ばしい▲5月の空に映える鯉のぼり。起源は中国の「後漢書」に記された故事に由来します。黄河の上流に竜門という滝があり、その激流を登り切った鯉が龍になったという話で、日本でも立身出世の関門を「登竜門」と呼ぶ事で知られています▲今年60年を迎えた原水爆禁止国民平和大行進が、被爆地・広島、長崎を目指して歩きはじめています。隊列には濃紺の全商連の旗や幟もはためき鯉のぼりに劣らず空に映えています▲広島は世界史で最初の被爆地として記録されています。長崎が人類史上、永遠に最後の被爆地として記録されることを願い、また、日本政府に被爆国としての責任を果たさせる為にも一歩でも二歩でも歩き続けたいものです▲全商連総会が目前です。筆者が、初めて参加したのは49年前、創立間もなく50名に満たない民商の代表でした。会場を埋め尽くす代議員の数に驚き、厳しい中、明るく希望に満ちた生き生きした活動の交流に励まされ、1日も早く、民商を大きくと決意したのを思い起こします。今回のスローガンにも「強く大きな民商・全商連を」とあります。頑張ろう。

憲法週間

2018・4・22

共済会のバスツアーで旧陸軍大刀洗飛行場跡地にある平和記念館を訪ねました。10代半ばの少年を、特攻隊員に育てた場所です。残骸を復元した零戦や隊員の遺品展示等がありました。戦争末期には基地が存在するゆえに激しい空襲を受け、幼い子供を含め多くの犠牲者を出した所でもあります。若者を死地に追いやったものへの怒りと、平和への誓いを新たにしました▲ゴールデンウイークの大部分は、5月3日の憲法記念日を中心とする「憲法週間」に重なります。この「週間」の歴史はふるく1950年の日本国憲法施行3周年の式典に合わせて「憲法記念週間」として始められました▲「憲法週間」の意義について政府機関である法務省のホームページは「国民主権・平和主義・基本的人権の尊重を定めた日本国憲法の意義を再確認する絶好の機会」と述べています。大いに共感するところですが、国民の啓発よりも、まずは政府自らが省みるべきでしょう▲隠ぺい・改ざん・ねつ造・虚偽答弁は国民主権を踏みにじるもの。財務省次官がセクハラ問題で辞任、基本的人権のなんたるかがまるで分っていない政府の対応。極め付きは戦争する国への執念で平和主義への真っ向からの挑戦。こんな安倍内閣は即刻に退陣いただきたいものです。

学習しよう

2018・4・1

4月の別名は卯月。卯の花の咲く月です。唱歌に「卯の花の匂う垣根にホトトギス早も来鳴きて忍び音もらす夏は来ぬ」があります。旧暦4月は夏のはじめです▲1954年4月5日15時33分、青森駅を出発、上野駅に向かったのが「集団就職列車」の第1号となりました。1975年の運行終了まで21年間、幾十万もの若者を運び続けました▲中卒で列車に運ばれた少年・少女たちが「金の卵」と呼ばれ、流行語になったのは1964年のことです。この年、井沢八郎の歌った「あゝ 上野駅」は空前の大ヒット曲になりました▲民商・全商連運動を担った幹部・活動家で、上野駅(九州からは名古屋方面が多かった)から新たな人生を始めた方たちは少なくありません。懸命に働き、工場や店を持ち、その根性で、仲間と力を合わせて民商運動を前進させました▲そんな一人が「初めて役員会で商工新聞の輪読があり、読めなくて恥ずかしく、次の会からは、事前に調べて漢字にはルビーをふり、何度も読んでから出席した」と語ってくれたことがあります。「民商は商売・人生の学校だ」とも▲民商・全商連は意識的に学ぶこと。学習の大切さを強調してきました。「学習しよう、学習こそ人間成長の糧、営業の繁栄、民商発展の土台」。

怒りにまかせて

2018・3・18

3月13日、第49回重税反対全国統一行動日の朝刊は、各紙一斉に、森友公文書改ざん問題を報道。内容は、本欄読者諸氏の充分知るところではあるが、「物言わぬは、腹膨れる」こと故、あえて触れたい▲まず、確定申告の最中に、財務省理財局長(当時)として「記録は廃棄した」と繰り返した国会答弁が虚偽であることが明らかになり、佐川国税庁長官が辞任▲ことはそれに留まらず、公文書(国有地売却に関する財務省の決裁文書)の改ざんという大問題に。然も、改ざんで削除された部分には安倍首相、妻の昭恵氏、複数の政治家の名前や「本件の特殊性」等があるというではないか▲安倍総理も、麻生財務相も「我に責任は非ず、官僚の勝手にやったこと」と宣うが、国民を馬鹿にするのもいい加減にしてもらいたい▲ことの次第は、官僚たちに「忖度」を強いた輩の存在を明確に示しているではないか。直接の指示さえ疑われる。「安倍総理は辞職せよ」「居直りは許さんぞ」と、ここまで書いても尚、怒りおさまらず。(本欄は基本的に「です・ます」調なのだけど)▲政府は、消費税増税に、財政再建、子育て支援など様々な理由をあげるが、その理由に、改ざん、偽りはないか。誰だって、正当性を疑うだろう。増税計画はきっぱり撤回せよ。

玄海原発を再稼働

2018・3・4

3月の別名は弥生。「弥生」は、厳しい冬を越した草木が勢いを増すさまのこと。暖かさと一緒に野菜の値段が落ち着いてくれると良いのだけれど▲3月の出来事・記念日を思いつくままに並べると、1日はビキニデー。隣国では独立運動記念日。3日は上巳・桃の節句。8日、国際女性デー。10日、東京大空襲の日。13日は重税反対統一行動。21日、国際人種差別撤廃デー等でしょうか▲記憶に生々しく、忘れることの出来ない日は11日でしょう。7年前のあの日、三陸沖で巨大地震が発生。津波が襲い東北地方に未曾有の災害をもたらしました▲更には、福島第1原発事故が、原発安全神話を完全に崩壊させ、一旦事故が起きると取り返しのつかない重大事態になることを示しました▲世界で原発の危険が最初に認識されたのはアメリカのスリーマイル島原発の事故でした。1973年の奇しくも3月の出来事です。福島の事故は、チェルノブイリとともに、この事故をはるかに上回る規模です▲九州電力は、この3月にも玄海原発の再稼働を目指しています。事故が起きれば影響が及ぶ、同原発30キロ圏にある平戸・松浦両市が再稼働への反対・懸念を表明しています。筆者が社会人のスタートをきった企業だけれど九電の姿勢は容認できません。

中国産の縁起物

2018・2・22

長崎の冬の風物詩、今年のランタンフェスタが始まりました。例年は、中国の正月(春節)から最初の満月の日(元宵節)まで15日間ですが、今年は3月4日まで2日間の延長で開催されます▲ランタンの中に「福」の字が逆さに吊されているのは、中国語で「倒」と「到」が同音で「福が来る」の意味だとか▲中国の縁起物「蝙蝠」(コウモリ)も「蝠」が「福」に通じるため。主会場に沢山飾られている金魚も「魚」と「余」が同音で「金が余る」からだそうです▲ちなみに、鯉や、桃も、中国では縁起物で唐寺の山門等にも描かれています。桃カステラも、そんな中国文化を反映しているのかも▲3月3日、ひな祭りは「桃の節句」。瑞々しい桃は長寿の縁起物。中国の伝説では、仙人の住む崑崙山に、食せば不老長寿が得られるという、3千年に1度実る桃があり、この桃を、仙女を束ねる西王母が守っているという。孫悟空が盗み出し食したとも▲桃源郷とは理想郷、世俗を離れたユートピア。秦の戦乱を逃れた人々が世の中の変遷を知らず数百年にわたり平和に暮らす里があるという物語。陶淵明(六朝時代の詩人・「帰去来辞」が有名)著の「桃花源記」です▲戦火のない豊かな社会が決して夢でないことを願い、今回は雑学、中国縁起物の一端を。

平成30年

2018・1・28

「増税も改憲も許さない」の熱気に包まれた中小業者決起集会が開催されたその日、安倍総理は真逆の消費税増税、改憲への重ねての執念をみせました▲施政方針演説を「150年前、明治という時代が始まった・・・」と切り出し、「新たな国創り」(結局はお国のため、アメリカと財界への一層奉仕)を呼びかけました▲かつて本欄で触れた、礼賛一辺倒の明治回帰が、富国強兵・海外膨張の部分を覆い隠し、改憲の動きに連動しかねないとの危惧は、どうやら的を射ていたようです▲現在の元号は、来年、天皇の譲位でお役御免になります。平成元年は消費税元年でした。個人的には、長崎県連から全商連へと任務が変更になり、忘れることの出来ない年です▲この年4月1日に消費税が3%で実施されました。6月に中国の天安門事件、11月にはベルリンの壁が崩壊、12月の大納会は、バブル期最後のあだ花のように史上最高の株価を記録しました▲以降、バブルが弾け、悪政と相まって「失われた20年」、リーマンショックを経て、今日まで格差と貧困が急速に拡大、中小業者の経営基盤を容赦なく掘り崩してきました▲消費税はこの間に5%、8%と引き上げられ、その都度、景気回復の腰を折ってきました。次の元号は未定ですが、その初年を「消費税10%元年」にはさせないために、今、頑張り時です。

焼き場に立つ少年

2018・1・14

フランススコ・ローマ法王が、原爆投下後の長崎で撮影された「焼き場に立つ少年」の写真をカードにして配布するよう指示したと伝えられました。法王の署名と「戦争が生み出したもの」という言葉を添え「幼い少年の哀しみは、ただ血の滲んだ唇をかみしめるその身振りの中にのみ表現される」の短いキャプションも付けられているそうです▲この写真の撮影者は米軍の従軍カメラマン、ジョー・オダネル氏。軍に提出せず密かに持ち帰ったフイルムの一枚で、悲惨な記憶を封印するように長い間、現像されませんでした。その後、戦争反対を訴えるため「トランクの中の日本」と題された写真集に納められ、各地でも写真展が開催されました▲死んだ弟を背負い、火葬を待つ少年の背筋はピンと伸び、唇を噛みしめ、まっすぐに正面を向いているこの写真は、長崎原爆資料館に常設展示されています。是非見て欲しい。修学旅行生を案内する際には、必ず前で立ち止まり、少年の見つめる先に何があるのか想像を促し、戦争がどんなに残酷かを伝えています▲昨年、核廃絶をめぐり国際社会で大きな前進がありましたが、日本政府は、この流れに背を向け続けています。長崎を訪れたICAN事務局長は、各国、特に日本政府が核廃絶国際条約に署名することを求めました。被爆県長崎の責任は重い。

共に生きる

2018・正月

謹賀新年。今年が良い年でありますように▲昨年の世相をあらわす漢字1字は「北」でした。誰もが、北朝鮮のミサイル発射や北部九州の豪雨被害等を思い浮かべたからでしょうか▲2位以下は、政・不・核・新・選・乱・変・倫・暴と続いています。全体として否定的な出来事(とりわけ政治の世界で)が多数を占めているように思えます▲「核」は北朝鮮を連想させますが、一方で歴史的な核廃絶国際条約やICANのノーベル賞受賞という大きな喜びと希望と受け止めたい▲年末に県立歴史文化博物館で、新春14日まで開催されている女流書家・金澤翔子さんの書展を鑑賞しました。どの作品も、伸びやかで力強く、圧倒されます▲ご本人の揮毫会、書の師であり、ダウン症の翔子さんを育てた母、泰子さんのお話も拝聴できました。揮毫されたのは「共に生きる」でした。彼女がこれまで最も多く書いた言葉だそうです。今の社会、誰もが噛みしめたい言葉ではありませんか▲毎年、正月2日には、高校生のパフォーマンス書道の鑑賞にでかけます。4畳半分程の紙に大きな筆を振るい一気に書き上げるのは圧巻です。若者の希望に燃える選んだ言葉にも励まされます▲「新しく、めぐり来たれる年のむた、わが若き友よ、ひとしく立たな」(斎藤茂吉)さあ、今年は知事選での幕開けです。