春徳寺のクスノキ

春徳寺の大楠
  桜馬場中学校の横をを登ると春徳寺。この前にあるのクスノキである。長崎市内には県・市の天然記念物に指定された大クスが6本あるが、このクスノキは大の部類には入っていない。指定漏れではあるが、充分に大木の風格と貫禄がある。
  桜馬場中学のある場所は、この地を領した長崎氏14代長崎甚左衛門純景の館があったところ、長崎開港以前にはこの界隈が小さな城下町であった。甚左衛門は大村純忠とともに切支丹大名となり、長崎の地をイエズス会に寄進しました。
  イエズス会の宣教師ルイス・デ・アルメイダは、この地ではじめてキリスト教の布教をしたとされ、その記念碑前に立つとクスノキはもう目の前。
  春徳寺のある場所は、はじめ古い仏寺があり、この仏寺を改造して、日本最初のキリスト教会、トードス・オス・サントス教会が建てられました(1569年)。後に三大教会の一つとなり、セミナリヨ(初級神学校)コレジヨ(大学)、活字印刷所も併設されました。やがて禁教令にもとづいて破壊され(1619年)、この跡に、春徳寺が移転されてきました。現在も教会時代の井戸が残されています。春徳寺は以降幕末まで書物改めの任につき、輸入書籍の中からキリスト教関係の発見とその処置にあたっています。