嘉代子桜とカラスザンショウ

嘉代子さくら

嘉代子桜
  城山小学校にある嘉代子桜とカラスザンショウは被爆の悲しみと命の尊さを今に伝える長崎を代表する樹木です。
城山小学校は爆心地から500メートルの小高い丘にあります。被爆当時は国民学校とよんだ。九州では初の鉄筋コンクリート3階建ての校舎でしたが原爆で大部分が瓦解・焼失。残された被爆校舎は同校の平和記念館となっています。

  林嘉代子さん(当時16才・県立高女4年)は、同校南校舎を使用していた三菱兵器に学徒報国隊員として勤務中に原爆の犠牲となりました。両親は、毎日、娘を捜しましたが校舎の瓦解がひどく容易にみつかりませんでした。最後とおもい訪ねた被爆21日目の夕刻、上半身のみの遺体が発見されました。
  嘉代子さんの母、津恵さんが昭和24年、花が好きだった娘と、被爆死した女学生の慰霊のために寄贈した50本の桜が校庭に植えられました。今年も見事な花を咲かせた嘉代子桜の前には千羽鶴が供えられていました。

カラスザンショウ(烏山椒)

  カラスザンショウはミカン科の樹木で、日本や朝鮮南部・東南アジアに分布する落葉樹です。高い木では15mになるそうです。葉は大きな複葉です。茎には大きな棘があります。 7月から8月にかけ、枝先に多くの花をつけます。実は秋に枝ごと落下しますが、独特の香りがあります。
  城山小学校の平和坂斜面にあるカラスザンショウは、原爆で幹の大半を焼かれていますが、かろうじて生き残っています。現在は、下に植わっている椋の木に支えられています。案内の際、支え合って生きることの大切さを伝えるようにしています。
  この学校には、少年平和像(父母を原爆で失った当時5年生をモデルに、台座にある平和の文字も出征中の父以外家族7名を失った少女が揮毫したもの)や原爆殉難者の碑、平和の鐘などの他、永井坂の桜、荒川桜、被爆くすなどもあり、原爆や戦争、平和や命を考える多くのものがあります。