寺町を過ぎ、伊良林を通り矢の平2丁目のでると長崎四国二十五番霊場の札がかかる小さな地蔵堂がある。正式名称は「矢の平地蔵堂」。「横向き地蔵堂」とよばれ、お堂の中に顔を横に向けた金色のお地蔵様が祀られている。
お堂の前に地蔵の由来が書いてあったので読み覚えてきた内容を以下に紹介しておこう。
昔、ひとりの泥棒が、町でひと稼ぎ。盗んだものを大きな包みにして背負ってこの地まできて一休み。荷をおろして盗んだ品物を調べはじめました。なんとなく人目を感じでふと見ると小さな祠があり、お地蔵様がみとらす。
泥棒は「地蔵様にみられたばい、これはおおごと」と地蔵様に「誰にもいわんでください」と頼み込んだ。地蔵様は「一度だけはみんやったことにしておこう。そのかわりお前も人にしゃべるなよ」と顔を横に向けられた。
それから3年、再び地蔵の前にきたくだんの泥棒、お地蔵さんが顔を横に向けたままなのにびっくり。お詣りにきた人をつかまえて「このお地蔵様は頼んだことはちゃんと聞いてくださる。これこれしかじか」とあの日のことすっかり話してしまった。
それを聞いたお詣りの人「さては3年前、おいの大事な道具を盗んだ奴は・・・」泥棒を奉行所に突き出しました。お地蔵様はすっかりお見通しだったのです。それから横向き地蔵とよばれるようになり、人々から尊信されてきたとか。地蔵堂は、寛政三年、1791年に置かれたと伝えられているそうだ。
昔、この地蔵祭りの日のご馳走は女手を煩わさないで男たちが作り、女性たちはゆっくり休養したそうです。