2003-012
傷害致死で保護観察中の三上(反町隆史)は、刑務主任の南郷(山崎努)に「死刑囚の冤罪を証明する仕事」の手伝いをしないかと誘われた。
三年前の事件がいまだに深く心に残る三上だが、慰謝料の支払いで逼迫している家計を助けるためにも成功報酬1000万円は魅力であったため引き受けた。
10年前の事件当時の記憶を失っていた死刑囚は、「犯行当時、自分は階段を登っていた」と記憶の一部をよみがえらせた。
これを手がかりに三上と南郷は調査を開始した。
しかしその土地には、かつて三上が殺してしまった相手の親族が住んでおり、因縁浅からぬ場所だった。
正統派の「真犯人当て」推理物になっている。
そんなエンターテイメントな部分と「死刑」という重いテーマが一体となって見ごたえ十分だ。
しかし、残念なことに観終わった後の爽快感がない。
積み残した謎が心に引っかかってしまうのだ。
プロットはとても魅力的なだけに、「惜しい」一本である。
細かいことを言わなければいいのだろうが、謎解きをやるのなら、矛盾があってはいけない。
2003年1月26日 日本教育会館・一ツ橋ホール