タイトル(題名):AMラジオ、ADSLへの基本波インターフェア対策

副題:コンデンサ1個で効果のある対策事例

 

コールサイン:7L4WVU

氏 名:原口 忠(はらぐち ただし)

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HF帯にオンエアしてTVIがないと安心していたらAMラジオ、ADSLモ

デムへ障害があると家族からクレームがありました。送信側における

不要輻射対策や対象装置側でコモンモード対策を行いましたが全く改

善しなかったので対象装置自身の混変調等を疑いました。Webで対

策例を調べましたが、AMラジオやADSLの基本波妨害対策について

は具体的なものが見当たらないので自分で実験してみました。結果

としてコンデンサ1個で劇的に改善することもありましたので事例紹介

致します。

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1.AMラジオへの基本波妨害

 

  <症状>サンヨー製CDラジカセ(写真1)で電波を出すとAM全域

が混変調で受信できなくなる障害がありました(FM受信は問題なし)。

無線室は2階、ラジオは1階に設置されており、1.9から28MHz全て

のバンドでNGとなります(出力200W、アンテナは15m高のタワー上

に設置)。CDラジカセを電池で使用しても障害は変わらないという状況

でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           写真1.障害の激しかったサンヨー製CDラジカセ

 

<原因調査>内蔵バーアンテナを使用しているAMラジオについて、

外部での対策はできません。仕方なく分解することになります。中を見

ると電源ライン等にはフェライトコアがすでに挿入されており、昔と異な

り基本対策はされていることが分かりました。AMラジオの受信回路

は1チップのICで構成されており、入力にバーアンテナの同調回路が

あるだけでバーアンテナの2次コイルがICの入力回路に接続されてい

ます。ここで試しにバーアンテナからICへの線を外してみると送信機

の横においても妨害は発生しません。したがって、バーアンテナから電

波が混入したことによる混変調と断定できました。

 

<対策と結果>定石としてはアンテナとIC入力間に中波以下を通すL

PFを入れることになりますが、簡単な対策方法として図1、写真2のと

おりコンデンサを1個バーアンテナの2次側に並列挿入することにし

ました。コンデンサはご承知の通り周波数が低い程インピーダンス

が高くなるので中波帯と比較するとHF帯のアマチュアバンドの減衰量

が大きく取れます。しかしながら、コンデンサを並列に入れることで中

波の電波も減衰するので容量については実際に障害状況を聞きなが

ら決定するのがよいと思います。私の場合は、1000pFで全く障害が

なくなりAMの減衰も気にならない程度で解決できました。参考までにこ

のコンデンサのインピーダンスを計算してみると、10MHzで16Ω、

1MHzで160Ωとなります。なお、同じ改造をメーカーの異なるラジカセ

2台に行いましたが、同様に良好な結果が得られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              図1.コンデンサ追加箇所

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真2.バーアンテナ2次側と実際のコンデンサ追加箇所(極力ICの近くに入れる方がよい)

 

 

 

 

2.ADSLモデムの基本波妨害

 

<症状>HF帯で電波を発射すると住友電工製ADSLモデム(写真3)

が回線断となる障害がありました。筆者のところは、NTT交換局から

5km以上あり、回線減衰量が50dB以上(速度は500k/BPS程度、

ADSL周波数帯域も500kHz以下)というADSL環境が極めて悪い状

態で、特に10MHz以下は障害がひどく5W QRPでもNGでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           写真3.住友電工製ADSLモデム

 

 

<原因調査>

  電源フィルタ、電話回線とLANケーブルにもフェライトコアによるコモン

モード対策を施した上に筐体をアルミフォイルで包んでみましたが改善が見ら

れません。ADSL波が微弱なこともありHF波が信号ラインに直接回りこんで

いると推測しました。

 

<対策と結果>ADSLはHFより低い周波数が使われていますので、AMラジ

オと同様にコンデンサを並列に入れてみました。ADSLモデムの場合、分解す

る必要はなく、電話回線入力部に市販の中継用電話ケーブルを購入してケ

ーブルを加工すればよいので簡単に実験できます。まず、回線に1000pFを

並列に入れたところADSL信号が減衰し接続が困難になってしまいましたの

でADSL速度が低下しない状況での最大のコンデンサ容量を調べました(

コンデンサ取替+回線速度測定を繰り返す。当局の場合620pFだったが各

環境で調べる必要がある)。この状態で、10MHz以上では200Wのフルパ

ワーで全く問題ないところまで改善、ただし、7MHz以下でも改善はしたものの

200WではNGとなりました。

 

  次のローバンド対策としてLPFを考えてみましたが電話線はバランス型の

ため効果は低いと判断し、先の620pFの並列コンデンサをLPFと考え、それ

に加えて3.5MHzと7MHz用のノッチフィルター、コモンモードフィルターを追

加することで設計・試作しました(図2、写真4)。結果としてADSL回線入力側

に挿入したところ無事解決できました。

  特性は写真5の通りでLPFのみでは実現できない良好な減衰量が取れてい

ることが分かります。なお、1.9MHzフィルタは現在ローパワー運用のみで障

害がないため実装していません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           図2.ADSL入力フィルタ回路図(コモンモードにも対応)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真4.試作したフィルタ(コイル、コンデンサは手持ちの特殊型を使用

しているが、FCZコイル+セラミックコンデンサでOK)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真5.フィルタ特性(横軸:周波数1MHz/div.、縦軸:減衰量10dB/div.