50MHz FETリニアアンプの製作
(CQ ham radio1995年6月号)

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<はじめに>
最近、ポピュラーになってきたMOS-FETを使用した50MHzモノパンドの50Wリニアーアンプを製作してみたところ、小型で軽量、かつ高性能(高利得、高出カ、高効率)の結果が得られましたので御報告いたします。




く設計目標>
最初に本機の設計にあたり、考慮した項目は以下の通りです。
(1)回路の簡略化・・・FETをシングルで用いることで入手が難しいセミリジットケーブル、コア等、特殊部品を使用しない回路とする。

(2)電源の安定化・・・電源に市販のスイソチングレギュレータを直列に接続してDC電源を安定化し良質な送信波を得る。

(3)小型化・・・ファンを用いた強制空冷方式を採用することにより体積の大部分を占めるヒートシンクの小型化を図る.


く回路説明>
回路図を図1に示します。

(1)リニアアンプ部
高周波電カ増幅部は、利得が約20dB得られるため、50W出力に対してドライブ電カは0.5Wで十分です。筆者は、自作の1Wエキサィターでドライブするため、入力に8dBのアッテネータを入れています。回路は参考文献に記載されていたものを基に特殊部品を使用しないで製作できるよう簡略化しています.また、使用したMOS−FETのデーターについては、日立のパワーデバイスデータブック、または参考文献にも記載されていますのでここでは省略します。

出力部には同じ基板に3段のπ型LPFを実装しました.2倍の高調波で約30d Bの減衰量が得られますのでエキサイタから本機を合めて全体として2倍の高調波は50dB以下の減衰量を確保できると思います。

FET増幅器のバイアス回路は,FET白身が熱暴走しないことと電圧駆動素子であることから一般に簡略化できるといわれています.実際にバイアス回路は,電流が僅かしか流れないため抵抗器と発光ダイオード(あるいは定電圧ダイオード)を組み合わせた簡略化された回路をよく誌上で見られますが、発光ダイオードが壊れる(オープン状態となる)と,高い電圧がFETのゲートに印加され一瞬の内に高価なFETが破損するため、出力過電圧保護機能を有する3端子電源I C等を用いて3V以上の電圧がかからないような設計を行う必要があります.(この事故は,意外と多く発生しており,某OMも、同じ原因でFETを破損したとのことで、現在はリチウム電池で3Vを加えられているとのことでした.)

送受信の切り替えは、文献を見ているとリレーを2個用い、しかもアース側まで切り替える回路が多く紹介されていますが、ゲインが20d B程度のアンプでは,そこまでする必要ばないと思います.
本機では、DC24V(4回路)のリレー1個で行い、一応、リレ一内部回路の接続を端から入力.バイアス,アース.出力としてアイソレーションが向上するように配線しています。入力アッテネータにより入カインビーダンスを低くしていることもあり.現状、問題は発生していません.

(2)電源回路
FET電力増幅器は.動作電圧が高いため,定電圧電源を入手するのは難しいのが問題です.これまでの製作記事では、出力電圧が、50Vから60V程度の電源トランスを整流して大容量の電解コンデンサーを使用することが一般的でしたが、リニアアンプの歪みを軽減する意味からも、安定化電源を使用すぺきと考えます。本機の電源は、DC24V(1.8A)のスイッチング電源を3台用いて出力を直列に接続して,DC72Vとして使用しています。こうすることにより、FETリニアアンプに適した電圧が容易に得られ,合わせて軽量化が実現できます。

電流容量に関しては本機で75W(CW)出力時に約1.6Aの電流が流れますので目安にして下さい.また,電源出力での通電圧、通電流に対しては、電源側で保護されるので安心です。DC24Vのスイッチング電源は業務用として多く使用されているため、秋葉原ではジャンク品として安価(1台500円から1000円位)で大量に出回っています.したがって容易に入手することができます。


<製作>
本機は、プリント基板上に、やはり基板を小さく切り取った小片を接着剤で固定する方式で製作しました。また、電力増幅部のケースも両面基板を切り取り半田付けで固定しています。部品レイアウトを図2に示します。

FETのドレイン電圧は、DC72Vですので、これまでのDC12Vとは扱いが異なります。端子を指で触ると感電するため注意が必要です。部品は、耐圧に留意し、DC72VラインにはDC160V耐圧の電解コンデンサ、DC500V耐圧のパスコンを用いました。本機の実装は写真からもお分かりの適り5m m厚のアクリル板の上に3台の電源,リニアアンプ部.そして冷却ファンを並べて実装しています.ヒートシンクは、80x 100x 40mmと小型ですが,冷却ファンを用いることによりフルパワーての連続送信でも高温となることがなく,問題はありません.なお.使用した冷却ファンは,AC200V用のものをAC100Vで使用しており,騒音を低減しています.

調整は、最初バイアス回路を接続しないでC級アンプにして同調回路の調整を行います.その後、バイアスをかけて、本機では,IMDの兼ね合いをみて最終的にはアイドリング電流を180mA程度に設定してます。



<結果>
本機の最終仕様を表1に示します.入出力の直線性に関してはデ一夕ブック通り出力80W位までがリニア特性となっていますので出力50Wで使用するとかなりクリアーな電波が発射できるようです。IMD特性に関しては,スペクトラムアナライザーを所有していないため,ステップアッテネータと自作受信機を用いる方法で測定したところ-38dB(50W出力時)という良好な結果が得られました.測定系統を図3に示しますので参考にして下さい.スプリアス特性も良好です.筆者は,密集したアパートからQRVしていますがTVlは全く発生していません.

また,スイッチング電源を用いたことにより電源からのノイズが受信に影響を与えるのでは,という質問が各局からありましたのでこのことについて述べます.筆者は,アハマンハムのため.アンテナがシャンクに隣接していることもあり,最初受信時にS5位のノイズがありました.しかし,各電源のFG(フレームグランド)端子,および冷却ファンのアース端子をリニアアンブ部のグランドに接続することにより,ノイズlこ関しては問題のないレベルまで低減されています。もし.これでも問題が発生するようであれば.シールドケースに各ユニットを実装し.電源入力にノイズフィルターを入れると良くなると思います.

くおわりに〉
これまで,筆者は,責空管で6146Bプッシュプルや4X150Aシングルのリニアアンブを,またバイポーラトランジスタでも高出力リニアを何台も自作していますが、リニアリティー.IMD特性で真空管の方がはるかに便れた結果が得られていました.今回のMOS-FETのリニアアンブは,真空管リニアと比較しても遜色のない良好な動作をしており、ローカルからも音質が向上したというレポートを載いています.

く参考文献〉
「50MHz‐250Wアンプの製作」CQ ham radio.May 1993